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2019-03-10

みなべ町での森山名誉会長講演「森林環境税で放置人工林の天然林化を」が、全国ニュースに!

3月6日夜、和歌山県みなべ町の旧ロイヤルホテルで、南部ライオンズクラブ主催の森山まり子名誉会長の講演が開催されました。

 

この日の昼にみなべ町を訪れた森山名誉会長らは、講演前に、真造議員に案内してもらって、有名な梅林や備長炭の炭焼きを見せてもらったり、森林組合の方と長時間懇談したり、数年前の紀伊半島豪雨で山が崩れて死者が出た場所などを訪れたりして、地元の貴重な声を聞いて回ることができました。

 

この町では、かつて、立木所有権の売買がさかんに行われたため、山のスギ・ヒノキ人工林の立木所有者が誰なのか、もうわからなくなってしまっているところが多いという問題があるということでした。

同じ日本の郡部と言っても、これまで熊森がずっと訪れてきた豪雪地帯の山や暮らしとは、全く違っていました。

みなべ町は第一次産業が元気な町です。

みなべ町風景

 

熊森運動のきっかけとなったのは、1992年1月の夕刊全国版トップに掲載された新聞記事です。実はこの記事の中の有害駆除されたクマの写真は、当時の南部川村のツキノワグマです。地元の人達は、この時のことをよく覚えておられ、当時、全国から非難の電話が役場に殺到して、ほろ苦い思い出がありますと言われていました。

このクマさんは、現在、清川小学校の玄関を入った所に、剥製となってガラスケースに入れられ、きれいに保全されていました。このクマさんに会える日が来るなど、考えてみたこともありませんでした。感無量でした。当時の状況など聞くことができました。

まだわかりませんが、森林環境税を使って放置人工林を天然林化する全国初の試みは、みなべ町から始まるのではという予感がしました。もし、そうなれば、剥製にされてしまったクマさんも浮かばれると思いました。

 

 

夜の講演会には、紀伊民報社と日高新報社の記者が出席してくださって、記事にしてくださいました。

この記事を、共同通信が取り上げ、ヤフーニュースにも流し、全国ニュースとなりました。

尚、講演会には、北野久美子熊森和歌山県支部長も参加され、名誉会長の講演会後、和歌山県の話をされました。

 

以下、紀伊民報社2019.3.7より

 

放置人工林を天然林に再生 森林環境税活用で講演

写真【森林環境税を天然林再生の取り組みに生かそうと呼び掛ける
日本熊森協会の森山まり子名誉会長(6日、和歌山県みなべ町山内で)】

 国が新たに導入する森林環境税の活用をテーマに、一般財団法人「日本熊森協会」(兵庫県西宮市)の森山まり子名誉会長が6日、和歌山県みなべ町内で講演した。鳥獣被害や山地災害など放置人工林による問題、動物と共存してきた先祖の知恵にも触れながら「森林環境税で、放置人工林を天然林に再生してほしい」と呼び掛けた。

 

講演会は南部ライオンズクラブ(山崎崇会長)が主催し、クラブ員に加え、町内や田辺市、印南町から役場担当職員、議員、森林組合関係者も参加した。

 

森山さんは、里山は先祖が手を入れてきたが、エネルギー革命などで使う人がいなくなったことで荒れ始めたと話した。先祖が野生動物とすみ分けし、手をつけなかった奥山まで戦後の拡大造林で人工林にしたが、いまは放置人工林となり、鳥獣被害や表土流出、山地災害の多発、湧き水の減少といった問題につながっていると解説した。

日本地図や紀伊半島の地図で、スギやヒノキなど人工林がいかに多くを占めるか色分けしたものを示し、放置人工林を天然林に再生するための協会の国への働き掛けや植樹などの取り組みも紹介しながら「森林環境税を天然林にするために使ってよいとなった。後に続くところが出てくるよう、ぜひその第一号に」と、みなべ町の取り組みに期待を掛けた。

 

熊森から

主催者が、最後に、「本当に有意義で、目からうろこのお話でした。和歌山県の人工林の多さにびっくりしました。原生林を残さなければならないわけも良くわかりました。」と挨拶してくださいました。

 

森林組合や、農家、炭焼き、行政の方たちが、自然保護団体である熊森の主張をどのように受け止められるのか、少し、心配でしたが、非常によくわかっていただけたように感じました。

 

講演後、経験豊かな町のリーダーたちが、熊森の言う通りやと思うなといって会員にもなってくださいました。しかし、私たちは、農業も、炭焼きも、林業もしたことがないので、本当はわかっていないことも多々あるはずです。これをきっかけに、いろいろと教えていただこうと思いました。

 

熊森の活動は、戦後造りすぎた人工林を豊かな天然林に再生させて、山川海を元気にし、100年後も1000年後も、全ての生き物と人間がこの国土でお互いに畏敬の念を持って生きられるようにしておくことです。

 

県平均人工林率62%の和歌山県 赤色部分が人工林で、7割~8割が放置人工林

 

P.S 全国の皆さんへ:森林環境税・譲与税で、今度こそ、放置人工林を天然林に再生しないと、日本文明が崩壊してしまうと熊森は危機感でいっぱいになっています。最後のチャンスです。会長・名誉会長共、全国を行脚して、これまでの26年間に調べたことを命の限り人々に伝えていく決意ですので、どうか私たちに話す機会を作っていただきたいです。お電話ください。

みなべ町議会議員、議会で放置人工林の天然林化を事業化するよう提案

和歌山県みなべ町の真造賢二議員が、将来もはや何の役にも立たないばかりか、山崩れ、河川への土砂の堆積、水資源の枯渇、鳥獣害被害、花粉症等の原因になっている放置人工林を森林環境税で天然林に戻せるよう事業化すべきとして、議会で町長さんに質問されました。

 

まだ決まった訳ではありませんが、町長さんも前向きの回答をされておられます。

 

和歌山県みなべ町議会だより(3月1日発行)より

Wクリックと拡大で全文が読めます。

 

熊森から

全国の都道府県議会及び市町村議会で、このような質問や提案が続いてほしいです。同様の質問や提案を議会でしてくださる議員さんがおられましたら、放置人工林の天然林化を訴えて26年の当協会まで、ぜひお知らせ願いたいです。

 

2007年、熊森は全力を振り絞って国会ロビー活動を行い、鳥獣被害防止特措法の第十八条に、国及び地方公共団体は、人と鳥獣の共存に配慮し、鳥獣の良好な生息環境の整備及び保全に資するため、地域の特性に応じ、間伐の推進、広葉樹林の育成その他の必要な措置を講ずるものとする。(生息環境の整備及び保全)という一条を、国会議員のみなさんに入れていただきました。(この特措法の年間予算は全国で毎年92億円)

 

しかし、その後、調べてみたところ、鳥獣の捕殺や被害防止柵には大量の予算が使われていましたが、広葉樹林の育成に使われた予算はずっとゼロでした。担当者に理由をたずねると、申請する集落がゼロだったからということでした。 (個人使用不可) ガックリ・・・

 

私たち自然保護団体が少しでもこの国の野生動物や山を守ろうと、国会でいい法律を作ってもらっても、実践してくださる人達が現れなかったら、すべて絵に描いた餅です。

 

放置人工林の弊害は、もう待ったなしにまで大きくなっています。今度こそ、森林環境税を有効に使って、全ての生き物たちのために、子や孫のために、日本から放置人工林をなくしていっていただきたいと、都道府県担当者、市町村担当者のみなさんに熱望します。

 

 

森林環境税の使い方に関するくまもり提言

国民の材の需要量は、以前の6割に落ちており、今後、人口減に伴って益々縮小していくと思われます。

燃料にしたらという声もありますが、燃料にするなら広葉樹です。

 

 

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