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2019-09

兵庫県戸倉トラスト地 植生調査の結果

こんにちは。インターンシップ学生のTです。9月2日に、広葉樹植樹地の植生調査を行うため、奥山保全トラストさんが保有している戸倉トラスト地を訪れました。今回はそのことについて、書かせていただきます。専門知識がないので、あまり専門的なことは書けませんでしたが、どうか、あたたかい目で閲覧していただけたら幸いです。

 

戸倉トラスト地は、兵庫県宍粟市にあります。2006年に購入され、その広さは、120ha(363,000坪)になります。今回、トラスト地の入り口部分に入らせていただきました。

 

また、今回の植生調査に主原憲司先生も来てくださいました。

 

車から降りて、少し歩き始めたとき、シカにかじられたオタカラコウとシダを発見。これらは、シカが本来食べるものではありません。主原先生いわく、これは森の中のシカの食料が減ったことが原因だそう。それによって、シカが本来食べようとしない植物を食べ始めたということです。今後、さらにシカの食料がなくなると、毒性のある植物まで食べるようになるそうです。とてもかわいそうです。

 

シカにかじられたオタカラコウ

 

シカにかじられたシダ

 

丁寧に植生について教えてくださる主原先生

 

また、トラスト地でヤマビルを初確認しました。職員さんによると、去年は全くいなかったそうです。不幸なことに、ボランティア学生が一人、ヤマビルに血を吸われてしまいました。痛みがないので、昼休憩まで気付かなかったそうです。ヤマビルのいる時期には、十分な対策が必要ですね。

 

ポイズンリムーバーで毒を抜いている様子

 

戸倉トラスト地では、クマのエサを確保するために、クマの好きな実をつける木(クリ、サルナシ、ウワミズザクラetc…)が植えられています。中には枯れているものもあり、全ての木々が順調に成長しているとは言えないようです。

 

また、主原先生の指示で、大切な苗木を守るため、自然に生えてきたコシアブラの木(約3メートル)を数本、初めて除伐しました。これから苗木がすくすくと成長して、美味しい果実を実らせてくれることを願うばかりです。

 

シカよけ網で囲まれた植樹地

取り返しのつかないリニア 過去のトンネル工事による水涸れ情報続々掲載 静岡新聞に大拍手 

山にトンネルを掘ると、高い圧力下に封じ込められていた水が噴き出すのは、多くの人が知っていると思います。

その結果、トンネル工事によって取り返しのつかない国土環境破壊が引き起こされるのですが、これまでは、経済や便利さが優先され、ほとんど無視されてきました。

 

以下、静岡新聞9月1日が取り上げた、過去のトンネル工事による様々な水枯れ例から、2つを紹介します。

 

(1)100年前の東海道線丹那トンネル工事に伴う水涸れ

 

トンネル工事を巡る補償問題は全国各地で発生し、被害を受けた住民が対応に苦慮した事例は多い。県内では約100年前の東海道線丹那トンネル工事に伴う水枯れが有名だ。

 

函南町誌や鉄道省(現在の国土交通省やJR)の資料によると、トンネル真上の丹那盆地(函南町)はワサビを栽培できるほど水が豊富だったが、工事の進行とともに地下水脈が変化し、盆地内に水枯れが広がった。

 

飲料水に支障が生じるほどで、住民は鉄道省にたびたび救済を訴えたが、同省は当初、関東大震災の地下変動や降雨量減少のせいだとして本格調査に応じなかった。約10年で多額の補償を得たが、配分を巡って集落間で対立し、住民の襲撃事件にも発展した。同町の資料には「覆水盆に返らず」と記されている。

 

 

(2)20年前の新東名高速道粟ケ岳トンネル工事に伴う水涸れ

 

新東名高速道建設中の1999年、掛川市の粟ケ岳トンネル工事中に出水が発生した。間もなく周辺の倉真地区で農業用水を採る沢が枯れ、東山地区では地下水を源とする簡易水道が断水した。

「切れたことのない沢が突然、2キロくらいの範囲で干上がった。驚いたし困ったよ」

粟ケ岳北麓で沢の水を使って茶園を営んでいた60代の男性は、当時のショックを振り返る。

 

着工前、日本道路公団(現中日本高速道路)の説明会が開かれたが「水枯れの可能性の話はなかった」と男性。断水後、地区の要望を受けた公団は、トンネル内の止水工事に加えて別の川から茶園へ約2キロの引水管路と中継ポンプを設ける補償的措置で応じた。

 

ただ、完成した管路は水が出ず、男性は不具合を訴えたが結局1度も使えなかったという。止水の効果も限定的で、男性は水を確保する負担と茶価安から生産を断念。金銭補償を求めて5年ほどたった昨年、中日本高速道路とようやく補償が成立した。

 

熊森から

 

静岡新聞さま、リニアのどうしようもない負の面を伝えて下さってありがとうございます。大拍手です。こんな新聞なら購読したいです。

 

南アルプスの貴重な生態系を守るため、静岡新聞だけではなく、全国のメディアが、リニア工事の不都合な真実を伝えてください!マスコミが真実を伝えさえすれば、多くの国民は、リニアなんていらないと言い出すと思います。

 

トンネルを掘れば、水脈が失われたり変わったりするのは当たり前です。人間は声を挙げられますが、自然界は声を挙げられません。全国各地で道路や新幹線のトンネル工事が続く今、地元の人たちや自然界、他生物が泣いていることを、全国民が知らねばならないと思います。

 

水源の森を干からびさせてまで、また、多くの野生生物を死に追いやってまで、今以上、便利になる必要はあるのでしょうか。もう十分便利です。これ以上の便利さを追い求め、国土を開発し続けるなら、自らを生かしてくれている大地を失うことになります。あまりにも愚かです。

 

今からでも遅くない。南アルプスにトンネルを貫通させるなど、クレージーの一言です。

リニアに賛成の方は、クマをはじめとする南アルプスの動植物をどこに移住させるのか、教えてください。移住先などどこにもないはずです。

 

リニア大井川問題、全量回復を事実上撤回 JR「約束ではない」

以下、静岡新聞2019.8.30より

 

リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川流量減少問題で、JR東海の新美憲一中央新幹線推進本部副本部長は29日、昨年10月に同社が表明したトンネル湧水の全量を大井川に戻す方針に関し「約束ではない」との認識を示した。全量回復とした当初の方針は「工事完了後との認識だった」と釈明し、工事中を含むトンネル湧水の全てを大井川に戻すとする方針を事実上撤回した。

 

静岡県庁で開かれた利水関係者との意見交換会後に記者団の取材に答えた。新美副本部長は「その時点(昨年10月)で工事中、工事完了後など、細かいところまで詰めて話をしていなかった」と説明。全量回復の具体策について「私の頭には浮かんでいない。これ以上はノーアイデアだ」と述べた。一方でトンネル湧水の県外への流出量を減らす努力は、引き続き検討する考えを示した。

 

流域市町や利水団体は「全量」には、工事中に発生する湧水も含まれるという認識で「約束が守られていない」(大井川土地改良区の内田幸男理事長)と不信感を募らせている。利水関係者とJRとの今後の協議に影響する可能性もある。

 

JRは昨年10月、利水団体との基本協定案で「原則として静岡県内に湧出するトンネル湧水の全量を大井川に流す措置を実施する」と明記。金子慎社長は昨年11月の記者会見で協定案の「原則として」の削除も可能との認識を示したが、29日の都内の記者会見では「(意見交換会で)技術者が丁寧に説明しているので(私の)説明は控えたい」とした。

 

全量回復の方針に関しては、愛知県の大村秀章知事が「JRは全量返すから影響ないと言っている。次に何があるのか」と発言し、本県の対応を批判する根拠にもなっていた。

 

 

熊森から

 

工事中を含むトンネル湧水の全てを大井川に戻すことなどできないとJRが正直に言ったのですから、南アルプスにトンネルを掘る計画はこれでもうおしまいです。

 

リニア工事は取り返しのつかない国土大破壊です。何度考えてみても、この工事は日本国が滅びることを願っている人たちの策略としか思えません。

 

南アルプスに穴をあけて新しく人工水脈をつくってはならないのは、健康なじぶんのお腹に穴をあけて人工血管を取り付けてはいけないのと同じです。

 

とんでもないことをしてしまったと後で気づいても、もう元の体には2度と戻せません。

森林環境税・譲与税の学習会 in 東京

首都・東京で放置人工林を豊かな天然林へ 8月24日

森林環境税・譲与税法が成立し、各自治体に森林整備のため、森林環境譲与税が配られ、予算化されています。

森林環境税の導入をきっかけに、首都・東京で、豊かな森再生の流れを広めたいと急遽学、学習会を開催し、室谷会長が講師をしました。7名の議員の皆様を含む25名が参加してくださいました。

ツキノワグマは人工林率40%を超えると絶滅へ向かう。

東京都のクマ生息地である多摩地域の人工林率は60%を超えており、その多くが放置され荒廃しています。

関東の人工林マップ(オレンジが人工林)

首都圏全体を見ても、水源地の森が人工林になってしまっていることがわかります。

水源確保、土砂崩れによる災害防止、東京で絶滅寸前となっているツキノワグマの生息地確保(生物多様性保全)、花粉症軽減のためにも、放置人工林の天然林化が必要です。

 

放置人工林の天然林化はほぼ計画されていない

勉強会に、先立ち、熊森本部と東京都支部で、東京都の全自治体に今年の森林環境譲与税に使途について聞き取り調査をしました。聞き取りの結果、森林を持つ自治体でも、都市部でも、森林環境譲与税を天然林化(広葉樹林化)に使うという自治体はほとんどありませんでした。

東京都も水源地域の間伐は実施していますが、自然の森に戻していくという事業はなく取組みが全く進んでいません。

東京都自治体への聞き取り結果

 

市民が声をあげ、水源の森再生の流れを

森林環境譲与税の使途を決めるのは、自治体です。市民が声をあげ、要望することで、税を豊かな森再生のために本当に必要なことに使ってもらうことができます。

参加された議員の皆様から「森林環境税や譲与税について、詳しく知ることができたので、自分の自治体で動いてみたい」「各自治体を指導する立場にある都や県に働きかける必要があるのでは」と言った声が上がりました。

学習会の後、参加者で意見交換をし、東京都支部でも取り組んでもらえそうな自治体を探して、要望をしていこうことになりました。

【熊森の提案する森林環境譲与税の使途】

1 森林がある自治体

 放置人工林の天然林化(広葉樹林化)を進めるための事業(予算)をつくってほしい

2 都市部の自治体

①自治体の水源地にあたる地域の放置人工林の天然林化を応援してほしい

②子どもたちの森林の大切さを伝える環境教育の実施

森林環境税・森林環境譲与税についてたくさんの人に知ってもらい、大切な税金を本当に必要なことに使ってもらうために、これからも全国で学習会を開いていきたいす。

ぜひ、日本熊森協会本部事務所までご連絡ください。

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