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2020-01-13

とよ、1月5日から冬ごもりに入りました

信じられないような暖冬が続いています。

新潟でも北見でも、いまだに雪がゼロだそうです。

 

例年、初積雪の次の日からストンと冬ごもりに入る大阪府高代寺のとよですが、今冬はいつまでたっても雪が降りません。

いつから冬ごもりに入ったらいいのか、彼も困ってしまったのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12月29日のとよ

 

どうなるのだろうかと皆で心配していましたが、1月5日から運動場での姿も糞も全く見かけなくなりました。

万一に備えて、いつでも食べられるように運動場には水とドングリを用意してありますが、食べたり水を飲んだりした形跡はもう全くありません。

雪が降らない暖冬の2020年、とよ君の冬ごもり開始記録は、1月5日となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とよの姿が消えた獣舎

 

 

 

 

 

南魚沼の親子グマは山に放しても戻ってこん  ーークマ放獣の実績者が断言ーー

熊森は2012年7月、東北のある県からの依頼で長年さまざまな野生鳥獣を保護飼育され、元気になったら野に戻しておられる猟師さんを訪れました。東北の山は一見緑でいい森が残っているように見えますが、昔と比べるとナラ枯れなどで内部がどんどん劣化しており、クマが棲めなくなってきていることを嘆いておられました。

 

思い出して、あの時の猟師さんに電話をしてみました。81歳になっておられましたが、すごくお元気なお声でした。

 

南魚沼の親子グマのことを説明してから聞いてみました。

熊森「この親子グマを春に山に放したら、戻ってくると心配される方がおられるのですが、どう思われますか」

猟師「戻って来ん」(経験者はすごい。単純明快です)

熊森「どうしてそう思われますか」

猟師「人間を怖がっているじゃないか」

熊森「そうですね。ちょっとのぞいただけで、ものすごい勢いで母グマに威嚇されました。」

 

7年前に訪れたときのことを思い出して、まとめてみました。

(写真はいずれも2012年当時のもの)

 

 

 

 

 

 

 

 

ご自宅付近

 

いろいろな野生鳥獣と共に、クマも3頭飼っておられました。

 

 

 

 

 

 

 

 

保護飼育中のクマ

 

クマに関しては、母グマを殺された後の子グマの保護飼育が主だと言われていました。

一定期間保護飼育した後、山に返していると言うことでした。

私たちはびっくりしました。

熊森「そんなことをしたら、ここに帰ってきませんか」

猟師「一頭も帰って来ん」

熊森「ここだと餌がもらえるでしょう。なぜ帰ってこないのでしょうか」

猟師「檻の中より、山を走り回っている方がええんじゃろな。アハハ」

熊森「山で生きられなくて、死んでいるということはありませんか」

猟師「ちゃんと生きとるよ。放すとき発信機を付けているからな。山の中で生きていることが分かる」

お手製の発信機を見せてくださいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

発信機付き首輪

 

猟師さんの座っておられる後ろには、電波受信用の機器が並んでいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後ろに電波受信機

 

放獣したクマが、今、山のどこにいるのか、地図で見せてくださいました。

猟師「ほらな、どんどん移動しているじゃろ。生きとるよ」

 

<後記>

猟師さんは、熊森からの久しぶりの電話をすごく喜んでくださいました。

 

南魚沼の親子グマをどこにどうやって放したらいいか、いろいろと相談に乗ってくださることになって、後日、本部担当職員らが、お邪魔することになりました。

 

知られざる真実 人間の居住圏でのヒグマによる人身事故、55年間ゼロ

北海道野生動物研究所所長 門崎允昭(まさあき)先生が遺言のつもりで書かれた著書「羆(くま)の実像」(北海道出版企画センター、2019年)は非常に貴重な本です。

 

明治政府は明治2年(1869年)に、当時全道面積の98%が未開の地であった北海道を、本州以南から開拓民を移入して開拓するために、開拓使を設置しました。

開拓というのはヒグマたちの棲む森林原野を伐開し、農地、牧地、宅地などに改変することです。当然、先住民だったヒグマとの間に軋轢が生じ、人身事故が発生します。

明治10年、開拓使は、全道全域に対し、ヒグマを害獣に指定し、人間が追いかけまわして、絶滅させるべく銃での駆除を大展開しました。

 

以来、ヒグマは人間による銃撃を恐れ、市街地はもちろん市街地周辺にも出て来ない時代が続きました。

 

平成10年(1998年)頃から、ヒグマ駆除は、里近くでは銃ではなく、誘引物を使っていったん箱罠に捕獲してから後、銃で殺処分する方式に変わりました。
(熊森:クマ狩猟では、獲り過ぎる恐れがあるため、罠使用が禁止されている。有害駆除も罠使用を規制すべきではないのか。罠使用が広がってから、クマの大量捕殺・過剰捕殺問題が全国で起きている)

 

銃で追いかけまわされて撃たれる恐怖がなくなったヒグマは、主に人間に遭遇することの少ない夕方から明け方にかけて、里や市街地に徐々に出現するようになってきて、現在に至っています。

(絶えず新天地を求めて移動しようとするのは動物の本能で当然のこと:横田博氏)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年札幌に出てきたヒグマ。8歳メス、罠にかけて射殺。

 

ヒグマが出て来る目的は、4つです。

1親から独立した若いヒグマが、自分の生活圏として使えそうかどうか見に来て帰る。
(若いヒグマが人身事故を起こした例はこれまで皆無)

2森から森に移動する途中、道路を横切る。
(このようなヒグマが人身事故を起こした例はこれまで皆無)

3農作物や果樹養魚など、食べ物を狙って出て来る。
(電気柵や有刺鉄線で被害防除する必要あり)

4力の強いヒグマに追い出されて、子グマなどが逃げ出て来る。心配した母グマが付いてくることがある。

 

いずれにしても、人間の居住圏にヒグマが出て来ると、人身事故が起きるのではないかと、人々は過剰反応を示してきました。

 

しかし、「羆の実像」によると、1964年以来55年間、

 

人里や市街地に出てきたヒグマが人身事故を起こした例はゼロ!

なのだそうです。

 

ヒグマによる人身事故は、全て、ヒグマの生息地に足を踏み入れた人間に対するもので、近年50年間の平均事故は、一般人に対しては年1.2件、猟師に対しては年0.5件という少なさです。(ツキノワグマの場合と大違い)

 

2018年度資料から

ツキノワグマによる人身事故被害者50人(突然人間に出会って驚き、人間から逃げようとして引っかいたりしたもので、ほとんどが軽傷。死亡事故ゼロ)

ヒグマによる人身事故被害者3人(死亡事故ゼロ。山菜採り中2件、キノコ採り中1件)

 

 

熊森から

昨年、札幌の町に夜な夜な出てきたヒグマが駆除されたニュースは、衝撃だった。このヒグマをほおっておくと、そのうち人身事故を発生させるかもしれないという不安が人々にあったので、駆除したのだと思う。

 

しかし、門崎先生の50年にわたる調査研究では、市街地に出てきたヒグマが人身事故を起こす可能性は、皆無であることがわかる。マスコミは、人々の不安をあおって大騒ぎするのではなく、このような事実こそを報道して、人間側が冷静に対応するようにもっていくべきだっただろう。

 

それにしても、ヒグマという動物をどう理解すればいいのか。ヒグマは、人間との棲み分けをきちんと理解しており、人間の居住圏では、人間優先を意識しているのではないか。

 

一方、山にいるヒグマは、ここは自分たちの国だと思っているから、入ってきた来た人間が良からぬ行動をとった場合、権利として一撃を加えるのであろうか。

 

もしそうであれば、ヒグマはなんとすごい動物であることか。

 

それにしても、山間部における年間のヒグマによる人身事故件数は0~2件程度。

ヒグマは人間と争おうと思っていない動物だと言えるのではないか。

門崎先生の研究は、ヒグマは危険という私たちのイメージを、180度くつがえすものだ。

 

以前、知床に行ったとき、ガイドの男性が、「ヒグマはね、すごく大きいでしょう。どうも、自分より小さい私たち人間をかわいいと思うようなんです。

ヒグマは好奇心旺盛ですから、観光客が来ると、どれどれどんな奴が来たのかってササ藪から背伸びして顔を出し見ようとするんですよ。観光客の中には、キャー、クマだ、怖いという人もいるので、ヒグマには顔を出さないでほしいのです」と言われていたのを思い出した。

 

人間は、こんなヒグマを害獣として様々な誘引物を入れた罠に掛け、今も1年中駆除し続けているのだ。

 

2018年に北海道で駆除されたヒグマは879頭となり、統計が残る1962年度以降で最多だ。これに狩猟数を加算すると、年間1000頭近くのヒグマが毎年人間に殺されていることになる。人間のしていること、ひどすぎないか?

 

北海道にも熊森の支部ができて、ヒグマと人との共存に向けて活動が開始される日が来るのが待ち遠しい。北海道支部を立ち上げて活動してみようと思う方は、熊森本部までご連絡を!

 

 

 

 

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