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2021-04-12

北海道厚岸町 山菜取り中にヒグマとの死亡事故発生 音の出るものを音が鳴る状態で携帯を

4月10日、北海道厚岸町で、ヒグマによる死亡事故が発生しました。亡くなられたのは、山菜採りに山に入っておられたご夫婦の夫の方です。心よりお悔やみ申し上げます。

 

人を恐れ、人から逃げたい一心で人身事故を起こすツキノワグマと比べると、人間よりずっと大きなヒグマは、ほとんど人身事故を起こしません。

                     ヒグマの親子 北海道

 

過去50年間をさかのぼってみても、里に出て来て人身事故を起こしたヒグマはゼロです。

知床のガイドによると、ヒグマは人間を見ると自分たちより小さくてかわいいと思うらしく、好奇心で見に寄って来る。すると、観光客は、「キャー、ヒグマだ」と、なり、困っていますということでした。

ヒグマによる事故は、ヒグマの生息地に人間が入ってきたときに怒って起こると、門崎顧問にいつも教えてもらっていますから、ニュースを見た時、ヒグマの生息地に人間が入ったんだなと、熊森はまず思いました。

 

以下は、NHKウェブニュースによる事故の概要です。

ヒグマに襲われ死亡 北海道 厚岸町

2021年4月10日 18時49分 NHKWEBニュース

10日午前、北海道厚岸町の山林で、夫婦で山菜採りをしていた男性がヒグマに襲われ、死亡しました。男性を襲ったクマは現場から去り、警察が注意を呼びかけています。

警察によりますと、10日午前11時前「北海道厚岸町の山林で夫婦で山菜採りをしていたところ、夫がクマに襲われた」と妻から通報がありました。警察が現場に駆けつけたところ、山林の中で男性が頭部を襲われて倒れているのが見つかり、その場で死亡が確認されました。警察によりますと、妻は夫から少し離れた場所で山菜採りをしていて「悲鳴が聞こえて振り返ると、夫がクマともみ合いになっていた」と話しているということです。また妻は、その場から逃げ、けがはありませんでした。男性を襲ったヒグマは現場から去り、行方が分からないということです。現場は厚岸町役場から南東におよそ7キロの、厚岸湾に突き出た半島部の山林で、人里からは離れた場所です。警察によりますと、この時期はヒグマが冬眠から覚め、餌を求めて動きが活発になるということで、付近をパトロールするなどして注意を呼びかけています。

事故現場の概要(厚岸町HPより)

 

どうして死亡事故が起きてしまったのでしょうか。

今後、どうすればいいのでしょうか。

 

■熊森本部は、地元担当者から電話で聞き取りを行いました。以下、概要です。

 

現場は海岸から150mくらいしか離れていない場所。もともと、クマがいる場所で、地元ではクマの通り道があるといわれていました。ご夫妻は、50キロほど離れた町から来られていました。この時期だから、フキノトウやアイヌネギを採りに来られていたのでしょう。

この場所は地元の方もほとんど入らない場所で、山菜採りに入る人はまずいないです。

ご夫妻は、互いに離れたところで山菜採りをされていました。クマ鈴はつけていたそうですが、しゃがんで地面の山菜をつまんでいたので音は出ていなかったようです。

ご主人の叫び声が聞こえ、クマともみ合いになっているのを見て、奥様は逃げられたそうです。数時間後、現場を猟友会と町でパトロールをしましたら、男性のご遺体がありました。もうクマはそこにはいませんでした。頭を引っかかれていましたが、食害した跡はありませんでした。

クマも、フキノトウなど山菜を食べにきていたと思います。

後日、この場所で、母グマが死んだ子グマを見守っていたことが判明しました。

 

 

町としては、近くの道路に注意喚起の看板を設置しました。

現場を立ち入り禁止にはしなかったのは、もともとここは道有林で本来立ち入ってはいけない場所だからです。

この辺りは広大な森で、どのクマがやったのかわからないし、クマももういないので捕獲はできないし、しません。

 

<熊森から>

北海道でヒグマによる人身事故は、山菜採り、山中での狩猟、登山中に発生しています。

 

熊森本部スタッフは、先週、群馬、新潟、福島、宮城などのクマ生息地を次々と訪れ、ツキノワグマとの人身事故にあわれた方や、猟師の方、住民の方、山林で仕事をされている方など、次々とインタビューして現場を見てきました。熊森は徹底した現場主義です。

 

新潟県では、「山菜採りをするときは、少し動いただけでも鈴が鳴るように工夫して服に鈴をつけている。あと、あまりにも深い藪の中には入らないことだ。」と、地元の方に、クマに出会わないための工夫を教えていただきました。

 

これから山菜採りの時期ですが、山菜は、山の者たちの食料です。ほどほどにしていただいて、深入りしないようにお願いします。特に、ツキノワグマは怖がりですから、ふだん人が入らないところに人が入っていたら、びっくりしてしまい、引っかいたりかんだりして人から逃げようとして、人身事故を起こしてしまいます。

 

クマの生息地に山菜採りに入るときは、どうか、音の出るものを、音が鳴るようにして携行してください。歌を歌ったり時々手をたたいたり、とにかく、人が山に入ってきたとクマにわかるようにしていただくよう、お願いします。今回の厚岸ではヒグマを捕獲しないようですが、一般に日本では、人身事故が起きるといくつもの罠を設置して、人身事故に関係、無関係を問わず、何頭ものクマを捕殺してしまう国です。

 

人の命もクマの命も、どちらも大切にする国でありたいです。

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