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2023-04
4月15日 第26回くまもり全国大会<東北特集>に定員いっぱいの140名 盛会お礼 於:尼崎市
- 2023-04-25 (火)
- くまもりNEWS
今年もおかげさまで、熊森発祥の地尼崎市にあるホテルヴィスキオで、全国大会を盛大に祝い合うことができました。参加者は会場定員いっぱいの140名。フェリーで12時間かけて参加してくださった方もおられました。
年1回のくまもり全国大会は、くまもりを支えてくださっている全国の会員のみなさんに感謝し、この1年間の活動をみなさんにご報告して、次の1年もみんなで「クマともりとひと」を守るために自分にできることをやろうと誓い合う、楽しくて力が湧いてくるイベントです。
くまもりはたとえ国の政策であっても、堂々と物言える自然保護団体であり続けたいと、設立以来、国の委託事業などは受けないと決めて、完全民間を貫いています。
●野生動物を駆除し続けるのではなく、祖先がしていたような棲み分けの復活を!
●奥山などの人工林は天然林に再生すべき!
●広大な自然界で繁殖してしまった外来種根絶は無用の殺生。それよりも現在も続いている外来種の大量輸入をすぐに止めるべき!
などと、これまでも言うべきことをしっかりと世間にも国にも主張し続けてきました。
全くぶれずに26年間やって来れたことを思うと、感無量です。
以下、第26回くまもり全国大会の様子です。
開会は午後1時ですが、午前11時、大会運営ボランティアのみなさんはすでに集合してくださっています。一人一人の役割を確認して、大会準備に取り掛かります。
開会2時間前に、ホテルの会場前に勢ぞろいした運営ボランティアのみなさん
今年も新潟県の法人会員マルソー株式会社渡辺社長から見事な祝花が届きました
午後1時開会
<第1部>
追悼
栃木県のクマカメラマン横田博氏が撮影した足尾のツキノワグマの生態動画は、NHKスペシャルで何度も放映されてきました。横田氏他この1年間に亡くなられた34名の会員のみなさんに、参加者全員で起立し黙祷。
オープニング
地元の方が撮られた息をのむように美しい宮城県加美郡加美町の自然風景動画です。
地球への歌にのせた映像
●室谷悠子会長の基調報告
室谷会長
(要旨)
やっとコロナによる行動制限が緩和され、こうやって一堂に会することが出来るようになりました。
本日は北は青森から南は宮崎県まで、全国から皆さんに集まっていただいています。
くまもりは2022年も、これまでのクマ保全・森保全に加え、メガソーラーや巨大風車群によって豊かな水源の森が破壊されようとしている問題に必死で取り組みました。
森林大破壊が東北や北海道など全国各地で行われようとしているのは、再生可能エネルギー事業が大儲けできる事業だからです。
山林が狙われる理由の中に、山林の開発規制がゆるく、地価が安いことがあります。
現在の法律ではこのような開発を止めることができないため、森や地域を守ろうと立ち上がっておられる地元の皆さんは大変なご苦労をなさっています。
熊森が事務局を務める全国再エネ問題連絡会に加盟される団体は、現在50団体近くにも増えています。
抜本的な法規制を求めて、日弁連に声明を出してもらったり、各省庁を回って訴えたり、地元で闘っているみなさんと国会議員に会いに行ったり、熊森は2022年もフル回転し続けたました。
そんな中、尾根筋に計画されている巨大風車事業を止めるには、イヌワシやクマタカの生息調査が必要とわかってきて、熊森ではありますが、現在、鳥の調査にも取り組み始めています。(笑)
熊森活動が、この国の自然を守りたいと本気で願っている会員の皆さんの会費と寄付だけに支えられた活動であることを、会長として誇りに思います。
もっと会員を増やせたら、もっと守れる自然が増えます。
みなさん今年もがんばって、会員を増やしてまいりましょう!
(大拍手)
室谷会長の話に耳を傾ける参加者のみなさん
●本部特別報告動画
●この日の特集は、再エネ森林破壊から地域や森を守ろうと闘っておられる東北のみなさんからの活動報告です。
・メガソーラーから町を守りたい(宮城県伊具郡丸森町)
・巨大風車群から町を守りたい(宮城県加美郡加美町)
・東北比例区 庄子賢一 衆議院議員
・巨大風車群から八甲田を守りたい(くまもり青森県支部長)
出席者紹介
顧問・来賓17名、法人会員3名、参加した全国支部長19名
お祝いメッセ―披露
近年、再エネ問題で熊森が国会を何度も訪れているからか、例年になく国会議員のみなさんからのお祝いが多かったです。
地元尼崎市長や宝塚市長をはじめ、お祝いメッセージをくださった全てのみなさん、ありがとうございました。
支部活動報告
①神奈川県支部
②大阪府支部
休憩
<第2部>
本部活動報告
①クマ保全
②森保全
③環境教育
・飼育グマ報告
・会計報告
ティータイム懇親会(30分間)
紅茶とクッキーをいただきながら、あちこちで歓談が盛り上がっていました
くまもりエール
終わりの言葉
赤松正雄顧問がなごやかに、とてもうまく締めてくださいました
記念撮影
午後4時
予定通り終了
本部から
新たな情報をいろいろと得ることができ、とても勉強になった、楽しかったので来年も参加したいなど、うれしい感想をいくつもいただきました。
参加してくださったみなさん、応援してくださったみなさん、本当にありがとうございました。
来年の第27回くまもり全国大会は同じ会場で4月21日(日)に開催されます。ぜひご予定ください。
4月1日くまもり神奈川講演会に参加者84名!熊森の輪がさらに大きく! 於:横浜市
2023年4月1日(土)、横浜市のかながわ県民センターで神奈川県支部主催のくまもり講演会が開催されました。
支部長作成のポスター
神奈川県・東京都支部のボランティア計13名が会場の準備・片付け等をお手伝いしてくださいました。
当日の参加者はなんとスタッフ寄せて84名!
みなさん、お忙しい中、足をお運びくださってありがとうございました。
神奈川県支部の高野支部長は、以前から個人でツキノワグマの調査をしていました。誰か一緒に調査してくれる人はいないかなと探していて、熊森を見つけたそうです。今も仕事を兼ねて毎日山に入っています。今回初めて熊森講演会を企画しました。
高野支部長
まず、神奈川県出身の本部研究員羽田が、クマの特性や熊森が行っている被害対策、都市の人々に知っておいてもらいたいことなどを30分間話しました。
本部研究員羽田
次に、室谷悠子会長が熊森の成り立ちや歴史、再生可能エネルギーによる森林破壊に対する熊森の取り組みについて90分間講演しました。
室谷悠子会長
会場風景
参加者の皆さんには質問事項を用紙に記入してもらい、休憩後、室谷会長と羽田が約20分間、お答えさせていただきました。
<主な質問内容>
・野生動物が山で生きてけるようにするにはどうしたらいいのか?
・クマの個体数が急増しているというニュースをよく見るが実際どうなのか?
・人工林はどうやって伐り出すのか?
・国は荒れた人工林に対してどのような対策をとっているのか?
・人工林を天然林に戻す場合、山は購入しなくてはならないのか?
などなど
皆さん最後まで熱心に聞いてくださり、「今日は勉強になりました」という喜びの感想を何人もいただきました。
帰る前に物販コーナーに立ち寄ってくださる方も大勢いました。
熊森協会の活動を多くの方に知っていただくことができて、とても良かったと思います。
高野支部長のリーダーシップでさらに神奈川県での熊森の輪が大きく広がり、大型野生動物と彼らの棲む豊かな森を守ろうという流れが関東でも大きくなることを願います。(完)
新潟県クマ目撃地点痕跡調査
- 2023-04-11 (火)
- くまもりNEWS
クマの痕跡を追う
3月19日、新潟県村上市内のクマ目撃地点でクマの痕跡調査を行いました。場所は高速道路の法面と河川敷の2か所です。
どのような場所でクマが目撃されたのかを調べることによって、移動経路や行動範囲を予測し、被害対策で役立てることができます。
高速道路法面が夜間の移動経路になっている?
高速道路の法面
昨年、この高速道路付近で実際にクマが目撃されました。3月の時点では植物が枯れているので見通しが効きますが、暖かくなって葉が生い茂ってくると動物が隠れやすくなると考えられます。藪のように植物が繁茂している箇所もあったので、動物が隠れて移動するにはもってこいです。
街灯は車線の脇にしかないので、夜になると法面側は非常に暗くなります。夜間に法面を動物が移動していてもほとんど気づかないでしょう。
対策としては、草刈りを入念に行うことが挙げられます。また、野生動物が法面を伝って市街地へ入ってくる可能性があるので、生ゴミなど誘引に繋がるものを放置しないなどの人間側の対策を強化する必要があります。
河川敷には大雨による増水の痕が
昨年クマの目撃があった河川敷も調査しました。村上市では昨年水害があり、浸水の深さは最大で成人男性の背丈に迫るほどだったそうです。川岸には流されてきたであろう枯れ枝が大量に残されていました。
川から離れた場所に水溜まりが数か所できていて、小さな魚が取り残されていました。今でも短期間のうちに水かさが増減しているのかもしれません。
川岸に残された大量の枯れ枝
驚いたことにオニグルミの実が無数に落ちていて、そのほぼ全てがネズミに食べられたあとでした。実の両脇に穴を開けて中身を食べるのはネズミの特徴です。ネズミを含めたげっ歯類は頑丈な歯を持っているので、硬いクルミをかじって器用に中身を食べます。
これほど大量のクルミが落ちているのは初めて見ました。川が増水した後で一斉に実が落下したのでしょうか。村上市の水害は昨年8月、オニグルミの実が熟すのは10月頃なので、だいぶ時間が経っており確かなことはわかりませんが、これをクマが知ったなら、クルミを食べに来ていてもおかしくはないほどでした(今回クマが食べた痕は見つかりませんでした)。
ネズミに食べられた大量のクルミ
クマの足跡は見つかりませんでしたが、中型哺乳類やサギなどの鳥類のものと思われる足跡が散見されました。様々な生物がいるということは食料の生産性があるのだと考えられます。
迫る春の足音
枯れ枝ばかりの川岸ですが、その片隅でフキノトウを見つけました。春がやってきたのを感じて嬉しくなりました。これからクマを含め様々な生き物たちが活発に動き出すでしょう。
フキノトウ
熊森協会は今年も被害対策をどんどん実践して、より良い成果を上げられるように、ボランティアの方々や地元の方々と共に頑張っていきます!
熊森協会の水見主任研究員が新潟県村上市で講演
- 2023-04-04 (火)
- くまもりNEWS
日本熊森協会が新潟県で学習会を実施
3月21日新潟県村上市で、熊森協会本部主任研究員水見によるクマ学習会を開催しました。
新潟県会員の佐藤さんをはじめ県内の会員さんがチラシを配って参加を呼び掛けてくださり、当日は26名(会員5名、非会員19名、新入会2名)と多くの方がお集まりくださいました。
参加者の中には、ハンターの方、県の環境委員の方、野鳥の会の方もおられました。
まず、水見が「鳥獣被害対策の現場から見えた人間社会の課題」というテーマで60分講演し、
その後質疑応答・意見交換会を行いました。
質疑応答では、「クマと出会わないためにはどんな対策が必要なのか?出会ってしまったらどうしたらいいのか?」といった質問を頂き、水見が実演を交えて回答しました。
クマが向かってきてしまった際の防衛ポイントは、頭と首を確実に守ることです。荷物か手のひらで後頭部を覆い、うつ伏せになって腹を絶対に出さないようにします。こうして体の弱い部位を守ることができれば致命傷は避けられます。
他にも「再生可能エネルギーに関する問題に、熊森協会はどのように取り組んでいるのか?」という質問も頂き、再エネ開発の現状と課題や、どのように地元の方と協力して行き過ぎた開発を止めようとしているかなどの事例をお話ししました。
意見交換会では、
・村上市には、クマ、サルがよくいる。サルの被害が多い。
・シカやイノシシはこの3年間で増加している。
・クマは他の獣種より捕獲数が少ない、頭数制限があるなどの理由で有害駆除費が0円である。
・外国資本が山を買わないように、新潟県は規制をかけようとしている。
・村上市にも柿の木がたくさんある。クマが来るので、山裾の柿はクマが食べてもいいように残して、平野部の民家の柿はしっかりと対策すべき。
などのご意見を頂きました。
皆さん終始真剣に聞いてくださり、地元への思い入れの強さを感じました。
会が終わった後、地域振興や循環型社会を目指す会の方が、「また村上市に来て、うちの会でも話をしてほしい」と仰ってくださいました。
会終了後、佐藤さんと、今後村上市や新発田市でクマカフェのような会や原生林ツアーのようなイベントをしたいと意見交換しました。今後も、新潟県で熊森が活動の輪を広げていけるような道筋を作ることができました。