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2023-06-01

新潟県胎内市の動物園で、初のくまもりイベントを開催!

2023年5月21日、新潟県のくまもり会員と熊森本部スタッフ3名で、新潟県胎内市にある胎内市樽ヶ橋遊園という動物園で、クマと人の共存を考えるイベントと展示会を行いました。

 

樽ヶ橋遊園は、新潟県で唯一クマを飼育している動物園です。動物園のスタッフさんによるとクマのクーちゃんは、10年前に魚沼市で子熊の状態で保護されたそうです。この動物園で飼育されている動物たちは、多くが飼育放棄されたり、傷病を負ったり、子供だったりで保護された経緯があるようです。かわいそうな動物ばかり集めて飼っている動物園なのです。この動物園を作った人々の優しさに、感服です。

樽ヶ橋遊園で飼育されている、クマのくーちゃん(11) エンリッチメントがしっかりしており、タイヤで遊ぶ姿も見られる

新潟県内では毎年、クマと人の事故が発生し、負傷者が出ています。そのため「クマが里に出たら危険なので」と、不特定多数のクマが捕獲され殺処分される例が後を絶ちません。2020年には、過去最多の660頭ものツキノワグマが捕殺されています。

 

村上市のくまもり会員の佐藤正陽さんは「この状況をどうにか変えたい!」と日々考え、今回の企画に至りました。ご自身もクマが生息する地域に住まれております。

 

本部スタッフはこの1年間、何度も新潟へ足を運び、佐藤さんと、新潟県でクマと人の共存・棲み分けができるように、講演会や地元学習会を行ってきました。

 

今回、クマも飼育されている動物園で、動物を見に来た来園者に、同じ新潟に棲む野生動物であるツキノワグマとの向き合い方をどうするか、ということを考えて頂きたく、イベントを行いました。

イベントでは、クマの実際の毛や糞をみたり、クマの大きさやクマが茂みに隠れたらどのくらい探すのが難しいか、といった展示パネルを来場者の皆さんに見て頂きました。

茂みの写真にのどこに、クマが隠れているかを探してもらいました

 

また、屋外では「クマと出会ったとき&出会わないようにするためにどうしたらいいか?」というテーマで、クマとの急な遭遇を避けるための方法を熊森本部スタッフが実演しました。

クマとばったり遭遇して、逃げられない時の対処法を実演しました

 

そして、最も多くの方が見に来て下さったのは、熊森環境教育部の紙芝居「ドングリの森を守って」です。

紙芝居「どんぐりの森をまもって」の読み聞かせ

イベントを見て下さった来園者の方々からは、次のようなコメントを頂きました。

「紙芝居が感動でした。子供でも大人でもわかる話ですね」

「クマが出たら、実際どうしたらいいのか具体的にわかってよかった。」

「クマって、肉食動物じゃないんですね。」

 

新潟県は、山間地のみならず、平野部や海岸までクマがやってくる場所があるということで、クマ対策講座や展示を見にこられた来園者の皆様に、とても関心を持っていただけました。

 

展示では、魚沼市在住のくまもり会員で版画家の赤祖父ユリさん(81)の動物版画の展示も行いました。赤祖父さんは、動物版画を見て、少しでも野生動物について興味を持っていただきたいと、お話されます。

野生動物の毛の1本1本まで忠実に再現し、野生動物の命のあたたかさを感じさせるような版画に、ご来園の皆様も興味深く見てくださいました。

この日は、新潟県で動物の保護活動を行っている、新潟動物ネットワークの岡田代表(歯科医)も見に来てくださいました。

 

赤祖父さんの版画を囲む、佐藤会員と岡田さん(新潟動物ネットワーク代表)

 

野生動物の本当の姿を知ってもらい、向き合い方を考える。そうした機会をたくさん作って、人と動物の共存・棲み分けができる社会を作っていきたいです。

滋賀県2頭vs京都府622頭 過去5年間のクマ捕殺数の合計比較です

滋賀県と京都府は隣り合っていますが、クマ対応は真逆です。

滋賀県のクマ捕殺数は、毎年ゼロか1頭です。

滋賀県(2018年~2022年までのクマ捕殺数計2頭

一方、京都府はこの5年間を見ても、毎年100頭以上捕殺しています。

京都府(2018年~2022年までのクマ捕殺数計622頭

同じような環境なのに、この違いは、どこからきているのか、ずっと不思議でした。両方の担当部署を訪れてみました。

 

滋賀県庁

担当者2名。どちらも今春から担当です。

2022年の滋賀県のクマ生息推定数は

【湖北個体群164 頭】、【湖西個体群152 頭】
生息数はずっと横ばいで、保護対象動物です。

【第一種特定鳥獣保護計画】で保護されています。

箱罠やくくり罠に錯誤捕獲されたクマは㈱WMOに依頼して全て放獣しています。

昨年度の放獣数は15件だったそうです。滋賀県民はクマに寛容なようでした。

イノシシは豚熱で自然減少しており問題なし、シカは年間16000頭捕っているということでした。

 

京都府庁

担当者は昨年からで、クマとサルを担当しておられました。

令和2年まで京都府もクマは保護対象動物でしたが、クマ生息推定数をベイズ法に変えて㈱WMOに推定してもらったところ爆発的に増加していることになり、令和3年からクマは管理(=捕殺)対象【第二種特定鳥獣管理計画】になりました。

2012年の京都府のクマ生息推定数は、標識再捕獲法やヘアトラップ法により、

【丹後個体群300 頭】、【丹波個体群200 頭】でしたが、

2017年の京都府のクマ生息推定数は、ベイズ法で推定すると、

【丹後個体群990 頭】、【丹波個体群650 頭に激増です。

熊森は、クマが5年間に3倍にも増えたりするのか、クマが爆発増加したのではなく生息数の推定法が変わったから数が増えたように見えるだけではないのかと疑問を提示しました。また、階層ベイズ法による推定は、クマの捕獲数が増えれば増えるほど推定生息数が大きくなり過大推定となるため、他府県では使わなくなってきていることもお伝えしました。

 

熊森としては、京都府の延々と続く放置人工林の中は真っ暗なまま、ブナはこの10年ほとんど実っていないし、ミズナラはほとんど枯れてしまっている。生息環境がどんどん劣化して餌がなくなったらクマが爆発増加するというのはミステリーではないかと訴えましたが、担当者は山を見ていないということでした。また、担当者は、お隣の滋賀県ではクマの捕殺が毎年ほぼゼロのことをご存じなかったそうです。京都府のクマ生息推定数が突然増えたことに対しても何の疑問も持っておられませんでした。

 

京都府は、クマの生息数を減らすために予察駆除をかなり進めており、子グマまで殺していました。予察駆除というのは、ヌカを入れた箱罠を山裾にセットしておき、罠にかかったら将来被害を及ぼすかもしれないからあらかじめ殺しておこうという殺し方です。害獣としてしかクマを見ていないことがわかりました。熊森としては、山からクマの大好物であるヌカでクマをおびき出しておいて殺すなど人として卑怯ではないかと大抗議しましたが、担当者はこのような予察駆除に何の疑問も持たれていないようでした。野生動物の命をいったい何と思っているのか、熊森の怒りは収まりませんでした。京都府は野生動物の捕殺事業に年3億円も使っているということでした。(令和3年)

 

京都府庁のクマ対応改善はすぐにはできそうになく、いくつか申し入れをして、また来ますと言って今回は帰りました。まず、生息数を推定した㈱WMOから推定過程がわかるものを取り寄せてもらうことにしました。

 

熊森本部もがんばりますが、自分たちの税金がこのようなおかしな使い方をされていることを知って、クマたちのために声を上げようという方が、京都府民の中からも出ていただきたいです。熊森本部までご連絡ください。府民がこういう問題に声を上げないと京都府は変わりません。

釜石市役所前に出てきたツキノワグマ対応に思う

2023年5月26日金曜日夜、くまもり本部は岩手県釜石市役所前の集合住宅のガレージにクマがいるというネットニュースを会員のメールでキャッチしました。

 

 

 

 

 

 

このガレージの奥にクマが入り込んでいる

 

今から市役所に電話してもつながらないし、明日も明後日も土日でつながりません。

岩手県にはまだ熊森の支部がないので、現地に行ってもらえる人もいません。

熊森からの声を届けるのが大変難しいケースです。

 

クマは、子グマの時は何かしらずっと大声で表情豊かにしゃべり続け、本気で日本語を教えたらしゃべれるようになるのではないかと思うほどですが、なぜか大人になるとほとんど声を出さなくなります。

しかし、大変情感豊かな動物で、言葉の代わりに目で語るようになります。ウクライナで野生グマと友達だったというタライダさんは、クマの目を見ていると自分に何を語りかけているのか言葉が聞こえてくると言われていました。

 

釜石市役所前に出てきたこのクマの目はべそかいており、困り切って人間に助けを求めている目です。

ネットニュースではクマはガレージで寝そべっていると書かれていましたが、そんな悠長なものではなく、足を骨折をして人間のところに助けを求めてやってきたのではないかと熊森は感じました。温かく保護されることを祈るばかりでした。

このクマの目に注目!弱り切って、人間に助けを求めている。

 

このクマが翌日殺処分されたことを週明けに知り、5月30日各部署に電話しました。

 

釜石市役所水産農林課

市役所のすぐ裏が山です。そこから出てきたのでしょうが、現地には猟友会や沿岸広域振興局の県庁職員らも駆けつけ、話し合った結果、人間に被害を及ぼさないように殺処分することになりました。

 

ハチの巣を入れたドラム缶檻にこのクマを誘導できたのが午後6時半。翌日の朝9時ごろ銃で殺処分しました。5歳くらいのオスで、右ひざを骨折していました。

 

岩手県庁自然保護課

岩手県には鳥獣保護センターがあるが、鳥やカモシカまで。けがしたクマをしばらく保護する施設はありません。自分たち本庁職員は、現地に行っていません。こういう時は振興局の者が行きます。

 

クマに詳しい獣医師

骨折したクマにギブスをはめてもすぐに自分で取ってしまうので、治療は難しい。今回のような場合、水と餌がある山に放してやれば、少し不自然な形になるだろうがいずれ骨は自然とくっつくので生き残れたと思う。

 

熊森から

筆者は足を骨折したことがあるので、あの耐えられない痛みを思い出しました。せめて水や食料を与えてやってほしかったです。殺すぐらいなら、このまま山奥に放してやってほしかったです。

 

人間のやさしさを信じて一か八か人間に救いを求めて出てきたクマではなかったかと思うと、結末に胸がつぶれそうです。

 

傷病鳥獣は自然界で人知れず亡くなっていきますが、人間に助けを求めて出てきた者については、やはり保護センターで保護して、元気になったら自然界に放してやるべきだと思います。そうすることがその国の文化の高さではないでしょうか。弱者を大切にすることによって、人間社会も優しさを取り戻せるのではないでしょうか。山に返せない個体については、終生保護飼育してやればいいと思います。

熊森は、そんな保護センター施設の設置を訴えていきます。

 

クマを一時保護飼育して山に返しているところもありますが、山に返した後、クマは人間のところには戻ってこないということです。狭い檻に再び入れられるのが嫌なんだろうと、クマ飼育を担当している猟師の弁です。

アメリカでも一時保護し、放獣している施設があります。

 

今回の骨折グマの哀しく訴えるような目が頭に焼き付いています。日本では今、一生懸命生きている野生動物たちの生息地を人工林や開発で奪った挙句、生きられなくなって人間のところに出てきた彼らを害獣扱いして、彼らの命を奪うことに何の抵抗もない風潮が広がっていますが、とんでもないことだと思います。根本的な法改正や共存に向けての環境教育が必要です。野生生物も日本国民であり、日本国に暮らす同じ仲間たちというのが日本人本来の自然観です。

6月4日投開票予定の青森市長選立候補者全員がみちのく風力発電計画に白紙撤回の姿勢

熊森青森県支部が6月4日投開票予定の青森市長選立候補者に対し、みちのく風力発電や再生可能エネルギーに関するアンケートを実施しました。結果は以下の通りでした。

青森市長選候補者アンケート結果

 

熊森から

クマたちの棲む森が守られるのはうれしいのですが、これからの風車は洋上でという流れを感じます。洋上ならいいのだろうか。こちらも調べていかねばなりません。

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