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かつてクマたちの国だった紀伊半島最奥地の植林地を調査

かつては修験道の山で、普通の人は入れなかった紀伊半島最奥地の山々を地元の林業家の方に案内してもらいながら調査しました。よくぞこんな奥地にまでと信じられないほど、スギの人工林で埋まっていました。しかし、植えてはみたものの、林業不振で林業撤退者が続出。このあたりでもかつて30軒あった林家ですが、今では1軒になってしまったそうです。しかも、その残された林家の方も、経営は苦しく、親から林業を継いだことを後悔しているということでした。民主党が国会で成立させた「森林・林業再生プラン」について感想を聞くと、こんな急峻な山奥で大型林業機械なんて入れられないし、路網整備も山崩れの元だし・・・ここらでは無理という事でした。日本ではこのような急峻な山がほとんどなのですが。国はどう考えているのでしょうか。熊森は、林業家のためにも、このような最奥地は、野生鳥獣たちに早急に返してやるしかないと考えます。

100年スギの人工林です。手も入れてきたし、木は良く育っています。しかし、搬出コストを考えると赤字になるので、伐り出せないそうです。「こんなことになるなんて・・・」案内して下さった林家の方は落胆しておられました。

民間のスギの植林地や国による分収造林地が山奥の奥まで続いています。林業家としてがんばって間伐して手を入れて来られたそうですが、林業地としてもうあきらめておられる感じでした。

何カ所か、スギの木の皮がはがされていました。クマなのだそうです。このあたりのクマは、皮をはがした後をかじるのではなく、爪で無数にひっかくことがわかりました。地域によるクマ文化の違いです。この木はもう材としてはだめだそうです。(搬出できない場所なので、どうせ売れないのですが)このように皮はぎのある地域では、クマは林業家の敵です。ここでも、くくりわなにかけて、猟友会に撃ってもらっている林業関係者たちがいるそうです。2年ほど前、この県の林業家の皆さんにお会いした時、今でも、林業を守るため、クマをわなにかけて次々と獲っていると教えてくれました。県の有害駆除数発表は毎年ゼロですと言うと、誰も届けませんからという答えでした。この国では、野生動物保護のためのチエック機能がないので、紀伊半島のクマは絶滅危惧種であっても、殺され続けているのが現状です。本来、環境省が調査し、指導すべきなのですが、日本の環境省は、わたしたちが何度訴えても、違法捕殺を調べようとしません。国民はこの現状を知るべきです。

針葉樹でほとんどが埋め尽くされた山の中には、動物たちの食料がありません。しかし、山林所有の境界線上にだけ、境界が分かるように、ブナやミズナラの巨木が残されていました。その1本であるトチノキに、最近クマが登った跡がついていました。実もない時期です。花でも食べに来たのでしょうか。人間に追い詰められたクマたちが、ここにはまだ風前の灯状態で間違いなく残っている。胸が騒ぎます。熊森としては、このあたり一帯の罠を撤去し、植林地を強度間伐で自然林に戻したいという強い衝動に駆られました。野生動物たちが山から出て来て農作物被害を起こすと怒り狂っておられる方々に、奥地のこの現状を、一度見て頂きたいです。戦後人間が行った森林破壊を見て、それでも一方的に動物たちを責められますか。

国や行政は、動物たちを殺すことしかしない。もうがまんならない。国の対策は間違っている。県民が声を挙げよう。和歌山県で、熊森協会の支部結成が進み出しました。

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