くまもりNews
とよの治療経過を報告
- 2019-08-11 (日)
- 大阪府 | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
7月16日、大好きなブドウも大好きな山菜のミズも食べず、立てなくなっているとよを発見。犬のような格好で寝ていた。お腹が激しくけいれんしていた。尋常ではない。
とよを診に来てくれる獣医さんを必死に探し続けたけれど、なかなか見つからなかった話など、この後のことは、8月3日のブログに書きました。
とよは、寝室に寝たきりで4日間出て来ず、与えたものも食べようとしませんでした。
びっくりしたのは、後肢2本が動かなくなって、アザラシやトドのように、後肢を引きずって歩きだした姿です。
この歩き方は骨折ではなく、椎間板ヘルニアかなんかで脊髄が何らかの炎症を起こしている可能性があるというのが、獣医さんたちの一致した見解でした。
とにかく炎症を抑えて、痛みを取ってやらねばなりません。
第1週抗炎症剤投薬開始
抗炎症剤プレビコックス1日1回2錠+胃保護アルジオキサ(粉末)1日2回
7月25日(木)~7月31日(水)
投薬2時間後、寝室から出て来て排泄し、プールに入った。
抗炎症剤が効いて痛みが取れたのかもしれない。
〇旺盛な食欲が戻る。排泄も順調。
〇表情が穏やかになり、くつろいだ感じになる。
痛みが消えたのか、くつろいだ表情に
おぼれ死なないように水位を下げたプールに入る、とよ
×後肢の足の甲を付けて(脊髄損傷サイン?)、前足2本の力だけで歩く。
第2週抗炎症剤投薬続行
抗炎症剤プレビコックス227を1日2錠+胃保護サイトテック朝夕1錠ずつ
8月1日(木)~8月6日(火)
〇旺盛な食欲。排泄も順調。
以前のようにペロリと平らげるようになった
〇引き続き、表情は穏やか、くつろいだ感じ。
×後肢の動きが、ますます悪化してきた。
ここで、室谷会長以下本部スタッフたちは、獣医師から詳しい説明を受けた。
脊椎骨、椎間板、脊髄、神経のモデル
後肢2本が動かなくなったのは、脊髄に腫瘍ができたか、はみ出した椎間板などが脊髄を圧迫して脊髄に炎症が起きているから。
犬なら、採血して白血球が正常である(=菌に冒されていない)ことを確かめ、ステロイド剤を投与する。菌に冒されていた場合、ステロイド剤投与で菌が活性化するため良くない。また、ステロイド剤は副作用があるため長期間投与すべきではない。
治る場合は3日間で劇的に回復する。
治療期間中は、脊髄を刺激しないよう、出来るだけ背骨を動かさないように安静にする必要あり。
上下運動が一番脊髄に負担をかけて炎症を拡大させるため、プールに出入りするのは厳禁。
3日間で治らなければ、犬ならレントゲンではなくMRIで炎症部位を調べ、即手術すれば治る。
しかし、クマにはクマ用MRIなどないので、手術不可能。
2本の後肢とお尻を引きずって歩いている間に、やがて皮膚が擦り切れ、感染症を起こして死亡する。
第3週最後の賭け:ステロイド剤投与
寝室とバルコニーにとよを閉じ込め安静とし、8月7日~8月9日まで3日間、ステロイド剤と胃の保護剤を投与。
キウイにステロイド剤などを埋め込む
大好きなキウイに14錠のステロイド剤を埋め込んで与えると、一気にとよが丸飲みしてくれ、投薬完了。
引き続き、〇食欲排泄、
しかし、×後肢の改善兆候なし。
8月10日~8月12日あと3日間、ステロイド剤と胃の保護剤投与延長、及び、いちかばちかで抗生物質を投与。
〇食欲排泄、
△狭い場所に閉じ込められたり、暑いのに好きなプールにも入れないことによるのか、とよはイライラしてきたもよう。
以前、誤捕獲されて狭い檻に入れられていた時に、不安解消のためか毎日していた木齧りを再開し始めた。
8月11日、一瞬だが、右足を踏ん張って、お尻を持ち上げた。
お尻を持ち上げられるようになれば、生き延びられるのだが・・・
(8月11日記)
とよを愛してくださる皆様に、治療過程を公開することにしました。
どこまでも希望を捨てずに、とよを見守ってやりたいと思っています。
もし、椎間板ヘルニアなら、人間はもちろん、犬や猫なら治せる病気のようです。
日本には野生動物病院がないため、クマを連れて行くところがなく、残念です。