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(環境省)自然保護の象徴・オオタカの「希少種」指定を解除

オオタカは、平地から山岳地帯にまで生息している猛禽類(留鳥・渡り鳥)で、水田や畑、森林が混在する里地里山を主な生息地としています。

食物連鎖の頂点に位置する鳥で、里地里山に豊かな自然が残されていないと生息できません。

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オオタカ

 

日本国内では、生息地の大規模開発などによって数が激減し、1984年の調査で約400羽とされ、絶滅の恐れが指摘されました。

 

そのため、1993年に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)が施行されると、「希少野生動植物」に指定され、保護対象となりました。

「希少種」に指定されたことで、捕獲や輸出入が禁止され、土地所有者は「保存に留意する」義務を負うこととなりました。その結果、これまでオオタカの生息が乱開発の歯止めとなり、オオタカが自然保護に果たしてきた役割には絶大なものがあります。

 

そのうち、東日本や里地でオオタカの数が回復してきて、2000年代の環境省調査では生息数が最大9千羽近くと推計されました。

 

 

●この度、「希少種」指定が解除されたことに対して、環境省希少種保全推進室担当者に熊森本部が電話で聞き取りました。

 

熊森:環境省ホームページを見ると、6/3~7/2のパブリックコメントの応募演数は、97件ですよね。(自然保護団体からの応募はゼロ)ほとんどの意見は、オオタカの希少種指定解除に反対していますが、それでも希少種指定を解除されるんですか。

環境省:中央環境審議会の答申です。希少種指定を解除するための審議会です。

熊森:もう答えは決まっていたのですか。パブコメの結果は関係ないのですね。

環境省:指定を解除するかしないかは、多数決で決めるものではありませんので。

熊森:では、何のためにパブコメをとられたのですか。

環境省:希少種指定を解除した後のことなど、いろいろとご意見を参考にさせていただきます。

熊森:希少種指定を外されたオオタカは、これからどうなるのですか。

環境省:これまではオオタカの学術捕獲や飼養登録などは地方の環境事務所の許可が必要でした。これからは都道府県の許可となります。普通の野生鳥獣となるので、「鳥獣保護管理法」が適用されることになります。具体的には、有害捕獲の申請をしたら、駆除できます。

熊森:オオタカが有害駆除されるのはどういう時ですか。

環境省:ハトなどを食べるので、鳩小屋に入ってハトを食害する可能性があります。

熊森:これまでオオタカの存在がどれほど多くの乱開発を止めてきたかわかりません。環境収容力以上に増えることはできないのですから、全国に9千羽ぐらいいたっていいじゃないですか。

環境省:そういうことではなくて、希少種ではなくなったから希少種指定から外すということです。新たに希少種に指定しなければならない鳥が次々と誕生していますので。

 

(熊森から)

オオタカを希少種から外さないようにとパブコメに応募してくださったみなさん、ありがとうございました。全国に9千羽しかいないのなら、希少だと思います。

今回の措置に、開発業者は大喜びしていることでしょう。破壊された自然は回復していないし、餌のウサギは減少したままだし、オオタカにとっては厳しい状況が今後も続きます。引き続き、手厚く保護すべきだと思います。

これまでオオタカが果たしてきた<乱開発を止める>という役割を、新たに希少種となった鳥が果たせるのでしょうか。開発が止まらない日本には、ぜひそんな鳥獣が必要です。

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