くまもりNews
8月24日 「とよ」に夏のプレゼント
- 2017-09-02 (土)
- くまもりNEWS
①プールの水
プールの水を、ふだんの2倍量に増やしてあげました。
プールの中で泳ぎながら?水を飲む「とよ」
クマの水の飲み方は、犬や猫と違います。
口の先を水面につけて、ズーゥと飲みます。
宮澤正義先生は、前方に舌を丸めてスプーンのようにして水を飲むと表現されています。
水飲み中の拡大写真です
②青いドングリ
食べ物を、すのこの上に並べてあげました。
まず最初に飛びついて食べたのは、まだ青いクヌギのドングリでした。
食べる前
食べた後 殻斗を除けて、中の実だけ食べた
ドングリをもっとあげたいけれど、青い実は採集がむずかしいです。
次々と食べていきましたが、最後まで食べなかったのは魚の干物です。後で食べるとは思いますが。
お腹がいっぱい。
お世話隊のみなさんの傍に寄ってきて、甘える「とよ」
お世話隊の皆さん、いつもありがとうございます
くまもり本部2017年9月度> 自然保護ボランティア募集(初参加、非会員も歓迎)
- 2017-09-01 (金)
- _クマ保全 | _野生動物保全 | いきもり | お知らせ(参加者募集) | 太郎と花子のファンクラブ | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
※拡散希望
熊森協会本部では、各分野のボランティアを募集しています。
会員・非会員に関わらず、多くの方々にご参加していただきたいです。
学生さんや若い方も、みなさん誘い合ってご参加ください。
ご参加いただける方は、活動日の3日前までに電話、FAX、メールにて熊森協会本部事務局までご連絡ください。
本部電話番号 0798-22-4190
本部FAX番号 0798-22-4196
メール contact@kumamori.org
2017年9月の活動予定
<いきものの森活動>森林整備
9月9日(土)柿の植樹地の草刈りと電気柵設置(兵庫県宍粟市波賀町原)
9月23日(土)高代寺の竹の伐採(大阪府豊能郡豊能町)
午前8:00に阪急夙川駅南口ロータリーに集合してください。
- いきものの森活動は人工林の間伐や実のなる木の植樹、クマの潜み場の草刈りや柿もぎなど、兵庫県北部を中心に実施しているフィールド活動です。参加者のペースに合わせて活動を進めていきますので、誰でもご参加いただけます。
現地までは本部が用意した車にご乗車いただけます。
天候不順で中止になることがあります。
当日連絡先090-1073-0980(担当:家田)
<環境教育例会(於:本部事務所)>自然の大切さを伝える
9月7日(木)10:15~ 見学も歓迎。
- 小学校や保育施設などで、森や動物の大切さを伝える環境教育を実施しています。環境教育例会では、授業に向けての練習や打ち合わせ、プログラムの作製を行います。絵本の読み聞かせや紙芝居にご興味のある方、子どもがお好きな方、ぜひご参加ください。
<とよ君ファンクラブ(大阪府豊能町高代寺)>飼育グマのお世話
9月7日、14日、21日、28日(毎週木曜日)
- 大阪府豊能町で保護飼育しているツキノワグマのとよ君のお世話です。
現地までの交通手段は本部にご相談ください。
<太郎と花子のファンクラブ(和歌山県生石町)>飼育グマのお世話
9月24日(日)(毎月第4日曜)
参加費:1000円(交通費)
- 和歌山県生石高原で保護飼育しているツキノワグマの太郎と花子のお世話です。
午前8:30に阪急夙川駅南口ロータリーに集合してください。
現地までは本部が用意した車にご乗車いただけます。
環境教育以外は兵庫県ボランティア保険(4/1~3/31の年間500円)への加入が必要です。
太郎と花子のファンクラブ以外は本部の車に乗車される場合、集合場所から現地までの交通費は不要です。
自車参加も可能です。
たくさんの方のご応募をお待ちしております。よろしくお願いします。
(環境省)自然保護の象徴・オオタカの「希少種」指定を解除
- 2017-09-01 (金)
- _野生動物保全
オオタカは、平地から山岳地帯にまで生息している猛禽類(留鳥・渡り鳥)で、水田や畑、森林が混在する里地里山を主な生息地としています。
食物連鎖の頂点に位置する鳥で、里地里山に豊かな自然が残されていないと生息できません。
オオタカ
日本国内では、生息地の大規模開発などによって数が激減し、1984年の調査で約400羽とされ、絶滅の恐れが指摘されました。
そのため、1993年に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)が施行されると、「希少野生動植物」に指定され、保護対象となりました。
「希少種」に指定されたことで、捕獲や輸出入が禁止され、土地所有者は「保存に留意する」義務を負うこととなりました。その結果、これまでオオタカの生息が乱開発の歯止めとなり、オオタカが自然保護に果たしてきた役割には絶大なものがあります。
そのうち、東日本や里地でオオタカの数が回復してきて、2000年代の環境省調査では生息数が最大9千羽近くと推計されました。
●この度、「希少種」指定が解除されたことに対して、環境省希少種保全推進室担当者に熊森本部が電話で聞き取りました。
熊森:環境省ホームページを見ると、6/3~7/2のパブリックコメントの応募演数は、97件ですよね。(自然保護団体からの応募はゼロ)ほとんどの意見は、オオタカの希少種指定解除に反対していますが、それでも希少種指定を解除されるんですか。
環境省:中央環境審議会の答申です。希少種指定を解除するための審議会です。
熊森:もう答えは決まっていたのですか。パブコメの結果は関係ないのですね。
環境省:指定を解除するかしないかは、多数決で決めるものではありませんので。
熊森:では、何のためにパブコメをとられたのですか。
環境省:希少種指定を解除した後のことなど、いろいろとご意見を参考にさせていただきます。
熊森:希少種指定を外されたオオタカは、これからどうなるのですか。
環境省:これまではオオタカの学術捕獲や飼養登録などは地方の環境事務所の許可が必要でした。これからは都道府県の許可となります。普通の野生鳥獣となるので、「鳥獣保護管理法」が適用されることになります。具体的には、有害捕獲の申請をしたら、駆除できます。
熊森:オオタカが有害駆除されるのはどういう時ですか。
環境省:ハトなどを食べるので、鳩小屋に入ってハトを食害する可能性があります。
熊森:これまでオオタカの存在がどれほど多くの乱開発を止めてきたかわかりません。環境収容力以上に増えることはできないのですから、全国に9千羽ぐらいいたっていいじゃないですか。
環境省:そういうことではなくて、希少種ではなくなったから希少種指定から外すということです。新たに希少種に指定しなければならない鳥が次々と誕生していますので。
(熊森から)
オオタカを希少種から外さないようにとパブコメに応募してくださったみなさん、ありがとうございました。全国に9千羽しかいないのなら、希少だと思います。
今回の措置に、開発業者は大喜びしていることでしょう。破壊された自然は回復していないし、餌のウサギは減少したままだし、オオタカにとっては厳しい状況が今後も続きます。引き続き、手厚く保護すべきだと思います。
これまでオオタカが果たしてきた<乱開発を止める>という役割を、新たに希少種となった鳥が果たせるのでしょうか。開発が止まらない日本には、ぜひそんな鳥獣が必要です。
(農林水産省) 鳥獣捕獲「尾」で証明…ハンターによる補助金不正が相次ぎ、ルール統一へ
以下、読売新聞/ 2017年8月31日記事コピー
有害鳥獣の捕獲頭数を水増しして報告し、補助金をだまし取る不正が各地で相次いでいることを受け、農林水産省は、各自治体がそれぞれ定めている補助金申請時のルールを統一する方針を固めた。
捕獲個体の証拠写真を撮影する際、体の向きを統一し、提出する部位は「尾」に限定することで、同じ1頭を複数頭に見せかける手口などを防ぐ。来年4月から適用する。
鳥獣による農作物被害は年間200億円近くに達し、同省は2012年度から、シカやイノシシなど1頭あたり8000円の捕獲補助金を自治体を通じて支給している。補助金申請時には、証拠写真や鳥獣から切り取った牙や耳などを提出する必要があるが、細かなルールは自治体の判断に任されている。
兵庫県や鹿児島県で昨年度、同じイノシシを異なる方向から撮影して複数頭に見せかけたり、補助金が出ない冬季に捕獲したシカの耳を冷凍保存して、後に提出したりするケースが発覚していた。
(熊森から)
お金が絡んでくるとどうしても、不正をたくらんでもうけようとする人が出て来ます。
以前、ある県の猟友会長さんが、補助金制度は猟友会内に犯罪者を誕生させるものだとして、有害駆除費をゼロにしてほしいと言われていました。
それにしても、各地でハンターの不正が相次ぐというのは、困ったものです。
エゾナキウサギの写真集
エゾナキウサギの写真集を見ました。
2010年7月にまだ残雪が残る大雪山にヒグマ調査に行った時のことを思い出しました。
あちこちに穴があいている岩場がありました。
氷河期の生き残りであるエゾナキウサギの巣穴だということでした。
巣穴に手をかざすと、ひんやりとした風が巣穴から出ていました。
エゾナキウサギはこの冷涼な環境がなければ生き残れないということで、何ともはかなくデリケートな生き物であることよと思いました。
写真を撮りたいと思いましたが、警戒をして登山者の前になど出てこないので不可能だと思いました。
ところが、写真集を見て、このエゾナキウサギの写真を撮っている人がいることがわかりました。
どの写真のエゾナキウサギも全ての生態が愛らしく、見終わってすぐに、鳴き声と動きを知りたいという衝動に駆られ、ネットに走りました。
解説を読むと、まだ天然記念物になっていないのだそうです。
なぜこんな貴重な生き物がまだ天然記念物になっていないのかと憤りを感じ、文化庁にすぐに電話をしました。
<文化庁希少種保全推進室担当者の答え>
天然記念物は、文化財保護法に基づき、動物、植物及び地質鉱物で我が国にとって学術上価値の高いもののうち重要なものを指定して、その保存と活用を図る制度です。
天然記念物の指定については、通常は事前に地元の教育委員会から指定に向けた相談があり、その後、調査結果などに基づく学術的価値の評価や生息・生育状況、利害関係者の同意など指定の検討に必要な情報を含む意見具申書を提出していただき、その意見具申書に基づいて、文化審議会への諮問などによる、指定に係る検討が行われます。ナキウサギについては、これまでそうした動きには至っていません。
なお、北海道中央部では大雪山が天然保護区域として昭和52年に特別天然記念物に指定されており、その指定範囲内では、ナキウサギを含む動物や植物、地質鉱物が特別天然記念物として保護されています。指定範囲に係る現状変更等の行為は規制されていますので、当該指定地において、ナキウサギが絶滅する程にその生息環境が人為的に大きく物理的改変を受ける可能性は極めて低いと考えられます。
(熊森から)
エゾナキウサギもヒグマも北海道の先住民です。私たち人間は、彼らの生息地をこれ以上壊さないように注意し、畏敬の念を持って共存しなければなりません。
兵庫のくまもり植樹地 クマがクマ止め林の柿の青い実を、早や食べ尽くす
- 2017-08-28 (月)
- くまもりNEWS
8月18日、兵庫県のあるくまもり植樹地を見回りました。
ここは、15年前に柿の木を植樹した場所です。
3年前にも、クマが来て枝をボキボキに折って実を食べました。
その後3年間は実が付きませんでした。
今年、やっと再び実が付いたと思ったら・・・
派手にやってくれました
なぜか3つだけ青い実を残してあとは食べ尽くしていた
枝の折り過ぎです
まだ実が青いのに、もうほとんど食べ尽くしてしまっていました。
地面には、折られた柿の木の枝の残骸が積み重なっていました。
これでは、以後3年間は、また実がつかないと思います。
いかに兵庫のクマは夏の食料がないかです。
枝を折らずに、実だけそっと食べてくれたらなあと思わず願ってしまいますが、習性ですから仕方がありませんね。
4年前に植樹した柿の木は・・・
まだ実がついていない
早く大きく育ってほしいですね。
ヤマザクラ、ウワミズザクラ、ミズキ、昆虫・・・なぜか、この山にはクマの夏の餌がほとんど見当たりません。
現在、兵庫のクマは駆除対象です。
なんとか踏ん張って、山にとどまっていてほしいです。
今年も11月15日からは、兵庫県によって山中でのクマ狩猟が奨励されます。
無謀です。何とか止めたいです。
県庁に問い合わせましたが、今年の狩猟の詳細はまだ決まっていないそうです。
岩手県盛岡市で初のクマ追い払い中に人身事故 クマ射殺
- 2017-08-28 (月)
- くまもりNEWS
8月24日、盛岡市の市街地に近い河川敷で、クマの追い払いに参加していた62歳の猟友会員が、前頭部や左手首をクマに引っかかれるという事件が発生しました。
どのような状況だったのか、熊森本部は盛岡市の担当者にすぐ電話で聞き取りました。
◎以下、盛岡市農政課担当者のお話(地図参照)
・8月24日の朝6時と8時半に、クマの目撃情報が入った。現場は、盛岡ICの近くで、盛岡市街地にも近い。
クマは奥羽山脈のほうから雫石川を伝って現場に来たと思われる。
・雫石川の河川敷で、猟友会10人と警察4名の総勢14名で爆竹を鳴らして追い払いを行った。
・猟友会は2人一組となってチームで巡回していた。
・正午頃に、堤防から下りた河川敷の藪の近くで猟友会の男性が爆竹を鳴らしていたところ、3~4m離れた繁みから突然クマがでてきて、2回の攻撃を受けた。2回目の攻撃を受けたときに、自分の身を守るために持っていた銃でクマを射殺した。
・射殺したクマは、体重108㎏、年齢は10~12歳のかなり大きなオスグマだった。
・盛岡市で、こうした追い払いを行ったのは初めて。
(熊森から)
今回けがをされた方に、お見舞い申し上げます。
熊森本部は、8月21日から24日まで東北地方各県のクマの生息地の調査に行っていました。24日はちょうど岩手県庁で県の担当者と、岩手県のクマ保護体制について話し合っていたところでした。
東北では、山から出てきたクマは当然のごとく駆除の対象とされます。そんな中、今回は残念な結果に終わってしまいましたが、盛岡市が初めて爆竹でクマの追い払いを行ってくださったことは、一歩前進でした。
今回のような場合、人は河川敷に下りずに、堤防の上から藪に向かって爆竹をならせば、男性もけがをすることはなく、クマも命を奪われずに済んだのではないでしょうか。
ぜひ、次回は追い払いに成功していただき、人もクマも無事に終わってほしいです。
クマは市街地に出たかったわけではなく、河川敷の茂みの中を歩いていたら偶然、市街地に出てしまったのだと思います。
河川敷の刈り払いも、なんとかお願いしたいです。
北海道下川町 なぜ草原の向こうにいるヒグマまで撃つのか ヒグマ捕殺許可権限はどこに
- 2017-08-26 (土)
- くまもりNEWS
(以下、産経新聞記事より一部抜粋)
北海道下川町役場森林総合産業推進課によると、下川中のグラウンド付近で8月9日午前7時50分ごろ、突然変異で色素が欠乏した『アルビノ』の個体とみられる全身が白いヒグマが目撃された。
様子を見た学校関係者が写真を撮影し、ボランティアの男性に声をかけてそばに近寄ったところ、ヒグマは学校南東部の下川スキー場の方へ逃げた。
下川中学校関係者撮影の白いヒグマ
学校関係者は「猟友会の人たちと現場を後で見たところ、木の根にアリの巣を掘った穴があり、ヒグマがアリを食べに学校付近の林道に入ってきていたのでは」と推測している。
9日午後5時ごろ、ヒグマはスキー場付近の牧場の草地で発見された。猟友会が2回発砲したが弾は当たらず、ヒグマは茂みに逃げた。14日になってもこのヒグマの発見には至っていない。この白いヒグマは約4年前、下川中学校の東側の西興部(にしおこっぺ)村で子熊の状態で最初に目撃されている。
今年4月になって、下川スキー場付近で成獣となった状態で目撃され、同町が警戒していた。(WEB編集チーム)
(熊森から)
ライフルの音がパンパンと鳴った時、ニュース映像ではこのヒグマはかなり離れた遠い草地にいました。
てっきり追い払っていると思い、下川町役場に問い合わせたところ、駆除しようと思って発砲していたとのこと。
アルビノで目立ってしまうこのクマが、狩猟も有害駆除もされずに西興部でここまで成長してきたのに、下川町はなぜ撃ち殺すのか。
「今、クマがアリを食べに来ているので、しばらく通行止めにします」などと人間側に注意喚起して、非捕殺対応を取れないものか。
または、ドラム缶檻で捕獲し、山に放獣してやれないのか。
北海道では、国有林も民有林もクマの放獣はお断りというので、放す場所がないそうです。
私たち熊森は自然保護団体ですが、自然保護の基本は、他生物の尊重です。これができなければ自然は守れません。
北海道のヒグマ捕殺許可権限がどうなっているのか調べてみました。
<北海道のヒグマ捕殺許可のしくみ>
北海道では、環境省から降ろされた捕殺許可権限は、北海道庁が持っていることになっています。
しかし、実際は、捕殺許可権限は全道に14ある北海道庁の出先の各振興局に降ろされています。
さらに振興局は、個々のヒグマのケースには関係なく、春に一括して包括的に、市町村に上限数を決めて捕殺許可権限を降ろしてしまっています。
市町村は振興局や道庁に相談する必要はなく、単独判断でヒグマを駆除し、駆除後、振興局に報告すればいいことになっています。
北海道は広いので、振興局の人が現地を見に行く事はないそうです。
市町村の担当者が判断すると言っても、ふつう、担当者はヒグマに詳しくないので、猟友会に相談することになります。
実質上、猟友会が、捕殺許可権限を持っていることになります。
駆除すれば、猟友会には駆除費が入ると共に、駆除したヒグマがもらえるそうです。
これでは結果的に、1年中クマを狩猟していることになり、ヒグマが守れないのではないかと思うのですが・・・。
ある振興局の担当者にお聞きすると、有害駆除は山中ではできないことになっているし、駆除の上限数も決められているから、以前のように駆除オンリーではなくなっていると言われました。しかし・・・
当協会顧問のカナダのフィッツアール先生の話では、カナダではヒグマの放獣もどんどん行われているということです。
北海道はカナダより遅れているようです。
多くの国民は、環境省から北海道に降ろされた捕殺許可権限は、道が責任を持って行使してくださっていると思っています。
実際は、猟友会の行使に任されている部分が大きいとは・・・。
ここまで生き抜いたアルビノのヒグマ、神の使いとして最後まで生き抜いてほしいです。
ヒグマの背こすり 北海道遠軽町
- 2017-08-20 (日)
- _クマ保全
お盆の帰省中である8月13日、北海道遠軽町でヒグマの追い払いを行っている岩井基樹さんを訪ね、調査されている森を見せていただきました。
ヒグマの爪痕
森に入ると、エゾマツやトドマツの木にヒグマの爪痕が付いていました。ふだん、柿の木などについたツキノワグマの爪痕を調査している私にとって、ヒグマの爪痕は、さすがに大きく感じました。
砂利道の林道を車で進んでいくと、ヒグマの大きな糞がありました。
フキノ葉を食べたヒグマの糞
中身は、ほとんどがフキです。周辺には食べても食べても食べきれないまでのたくさんのフキが生えており、夏のヒグマの主な食料源となっています。
糞の臭いを嗅いでみましたが、臭いはほとんどありません。
クマは消化力が弱いので、食べたものの臭いが糞にそのまま残されます。ふつう、臭くないのが特徴です。
ツキノワグマはもちろんですが、ヒグマもほぼ植物食です。
北海道の「ヒグマの会」副会長の山本牧氏の講演によると、1970年代、1980年代の ヒグマの糞を調査したところ、98%が植物質で、残りの2%は、アリ、ザリガニ、自分の体を舐めた体毛で、ほぼベジタリアンだったそうです。
最近は、有害駆除されて山に放置されたシカの死体や山すそまで農地化された畑の農作物や牧草も食べるようになりました。
クマは人間と同じく雑食性ですから、環境の変化で食べ物も自由に変わります。人間が、クマの食性を変えているのです。
しばらく進むと、エゾマツの木に大きな爪痕が2つついていました。木に登った様子もなく不思議な爪痕であったため、岩井さんにきくと、
「これは、ヒグマが背こすりをした爪痕です。この木には何度か背こすりしに来ています。」
と教えてくださいました。
ヒグマが背こすりに通うエゾマツ(この奥は人工林)
クマの4つの足では、かゆくなっても背中をかくことができません。
背中がかゆくなった時は、背中を木の幹に当て、2本の前足を後ろ手にあげて木に爪をたて、体を固定します。
そして、背中を動かして木にこすりつけます。
この時についた爪痕だそうです。
よく見ると、幹にヒグマの毛がたくさんついていました。
どのクマか知りませんが、なぜかこの木が気に入って、何度もこの木に来ているそうです。
北海道には、熊の住む豊かな森がまだまだ残されています。
下の写真は、実家近くの裏山です。
下層植生も豊かな森
ここは市街地に近いのですが、時々ヒグマの目撃があるようです。
ここで暮らしていた時には、このような森を当たり前に思っていました。
しかし、熊森で仕事をするようになって、全国各地のクマ生息地を歩く中で、故郷の森がいかに豊かで貴重な森であったのかわかるようになりました。
兵庫県をはじめ、食料の乏しい荒れた森に棲んでいるクマたちに、北海道の豊かな森を分け与えてやりたいです。
兵庫・岡山:国が狩猟獣と定めているからと、頭数基準だけを見て山の違いを考慮せず、クマ狩猟
2017年度のクマ狩猟がどうなるのか、熊森本部は、東中国山地にある3県の各担当部署に問い合わせてみました。
8・31 兵庫県鳥獣対策課
今年もクマ狩猟を続行する。
狩猟と有害捕殺を合わせて、平成29年4月1日~平成30年3月31日までの1年間の上限殺数を134頭とする。
根拠・・・(県内推定生息数897頭×0.15=134頭)
(今年度のクマ狩猟の詳細は未定)
9月4日午後1時30分~兵庫県環境審議会鳥獣部会(於:のじぎく会館、傍聴可)で決める。
8・31 岡山県自然保護課
生息数増加により、17年ぶりに今年からクマ狩猟を再開する。
狩猟と有害捕殺を合わせて、平成29年4月1日~平成30年3月31日までの1年間の上限殺数を30頭とする。
根拠・・・(県内推定生息数205頭×0.15=30頭)
(今年度のクマ狩猟の詳細)兵庫県を参考にした。
ツキノワグマの狩猟期間は11月15日から12月14日までの30日間。銃猟のみ。
10月6日にクマ狩猟講習会を開くが、講習会に参加しなくても、銃猟狩猟者のクマ狩猟OK。他府県狩猟者もOK。
狩猟後狩猟者は最寄りの県民局森林企画課又は地域森林課に報告する。
専門員が駆けつけて、体重、体長、年齢(クマを見ればおよそ何歳かわかる)を測定する。クマの遺体は狩猟者が全てもらえる。
熊森:何故、上限が30頭なんですか?
岡山県:国のガイドラインに基づき、県内の生息数に捕獲上限割合(15%)を乗じて算出しました。
205頭は、平成28年末時点の県内の推定生息数(中央値)です。
熊森:数えたわけではなく、計算で出しただけの推定生息数の信憑性がまず問題です。次に、山の状態です。私たちは東北地方のクマの生息地を調査してきたばかりです。北海道よりは劣るでしょうが、それでも森の深さ、餌供給量は西日本の山とケタ違いに大きく、別の国の山かと思うほど豊かでした。一方、西日本の山は浅く、奥まで人間が入り込んでおり、開発もすさまじく、山が荒廃。餌供給量は非常に乏しい。いくら日本が中央集権国家だからといって、中央で決めた15%の値を全国一律に使用するのは間違っています。元々、環境省の指導が問題なのですが。全国一律に、スギ・ヒノキを植えよと言われて、スギ・ヒノキに向かない山にまでスギ・ヒノキを植えて失敗した拡大造林の過ちの繰り返しじゃありませんか。
兵庫県も岡山県も、ハンターにクマ狩猟を楽しんでもらうような場合ではありませんよ。地元の皆さんのためにも、クマが山に帰れるように森を復元することが、今一番にすべきことです。岡山県の検討会委員の中で、クマ狩猟再開に反対する委員はいなかったんですか?
岡山県:ひとりだけでした。
熊森:それは、岡山県が環境省指導に賛成する人ばかりを委員に集めているからですよ。もっと多様な意見の人を入れないと議論が深まらないし、政策決定を誤りますよ。1時間程度の講習会を受けたからと言ってどうということはないでしょうが、クマ狩猟の経験がない人でも自由に狩猟して良いなど、クマという動物を舐めすぎです。事故の元ですよ。
◎ちなみに、鳥取県はクマ狩猟を再開しないそうです。
理由は、山中にいるクマまで撃つのはおかしいと思うからだそうです。
一番まっとうだと、熊森は思いました。
☆東中国山地のクマ狩猟について、みなさんはどう思われますか。