クマを守ることは森を守ること、
未来永劫にわたる水源を確保すること
クマは日本の森の生態系ピラミッドの頂点に位置する最大獣で、生存には自然豊かで広大な大地が必須です。そのため、クマを野生で残すことは、私たち人間をはじめ、他の多様な生物の生存を保障する自然を残すことです。
クマをはじめ、野生動物は捕殺するのではなく、動物たちの棲み家の森を再生し、山に帰れるようにして、人と動物の棲み分け・共存が必要です。
クマの人身事故現場の調査、事故予防対応
クマが人の集落近くに現れたり、人身事故が発生したりすると、わなを仕掛けられて捕殺されるクマが後を絶ちません。クマと人の悲しい事故や捕殺を防ぐため、現場に赴き、地元の方に話を伺いながら、草刈りや誘引物の除去などの再発防止策を講じています。
クマの生息状況調査や生態調査
クマを捕獲して麻酔をかけ、クマの体に発信機などの異物を付けて放すなど、クマに負担をかける調査は生物倫理に基づき行わず、足跡、爪痕、食べ痕、糞、クマ棚などの痕跡を、自動撮影カメラを用いて、生息状況や生態を調査しています。
クマの保護飼育
くまもりは、行き場をなくしたクマを保護飼育し、観察、ふれあいを通じてクマに対する理解を広めています。クマがどのような習性をもつ動物なのかを知り、人間はクマと親しむことにより癒され、共存しようという機運が高まると考えています。
野生動物の捕殺ではない対応策を提言
野生動物による農作物被害や外来生物の野生分布拡大に対して、捕殺による対策が全国で推し進められています。くまもりは、捕殺圧を強めることでは解決できないと考え、捕殺によらない対応を行政に求めています。
外来動物問題への取り組み
外来動物は人間によって日本に連れてこられた動物たちです。生態系からの根絶が可能かどうかや在来生態系に及ぼす影響の厳密な検討もないまま、「外来種」という理由で殺処分をされています。外来動物問題にも生命を尊重した解決法が必要とくまもりは考えています。
新潟県南魚沼
親子グマの救命
2019年、新潟県のドングリ類は大凶作。冬ごもり前の食い込みができなかったクマたちが山からどんどん出てきて、全て捕殺されて行きました。
そんな、11月、南魚沼の診療所の縁の下で、1頭の母グマと子グマ2頭が冬ごもりに入りかけました。新潟のクマを1頭でも助けて、共存の流れを作りたい。
熊森本部を真夜中に出発した職員らは、捕殺される前にの一心で、新潟に向けて車を走らせ続けます。
親子グマを引き取り、春まで新潟の企業会員に保護飼育してもらい、無事、春に新潟の山に放獣してやりました。保護飼育中にこの親子グマから学んだことは、人間の親子と全く同じだったということ。感動の連続でした。
兵庫県でクマを集落に
寄せ付けない取り組み
これまでも人身事故があったり、クマが集落近くに現れた際には現地に急行し、原因の調査や予防策に地元と協力して取り組んできました。クマが集落近くに現れると、罠をかける前に豊岡市の鳥獣担当者の方が当協会に電話を入れてくださり、市の依頼を受けて当協会が現地に駆けつけて対応しました。主な対応として、①集落や民家裏の茂みにクマが潜まないよう、草刈りをして間合いをつくる。②柿の実などの民家の不要な果樹を除去し、地元の依頼に従って、柿の木の剪定や伐採をなどを実施しています。これらにより、集落に近づいたクマを集落から離すことができました。地元は過疎化高齢化が進んでおり、このような活動を大変喜んでくださいました。
大阪府の誤捕獲クマ
「とよ」の保護
2014年6月、大阪府豊能町で、イノシシ用のわなに、4歳のオスのクマが誤ってかかりました。大阪府でクマがかかるのは初めてでした。 誤捕獲された動物は放獣することになっていますが、大阪府は、人身事故が起きるのを恐れ、クマのもらい手を探しました。しかし、見つかりませんでした。当協会は、ドラム缶に入れられたままになっていたクマを秋田県から運び込んだヒグマ移送用檻に移し、山に放獣するよう精いっぱい大阪府と京都府に働きかけました。しかしかなわず、大阪府は殺処分を決定しました。
何とか命を救おうと飼育先を探したところ、大阪府豊能町の高代寺の住職さんが、「殺すのはかわいそう」と、保護飼育を申し出てくださいました。当協会は、全国から寄付を集め、獣舎建設に取りかかりました。
2015年4月に獣舎が完成。「とよ」と名付けられたこのクマは、295日ぶりに、狭い移送用檻から解放されました。
元野生グマ「とよ」は、最初、人に強い恐怖心があり、人が近寄ると<威嚇して逃げる>を繰り返していました。しかし、高代寺のみなさんと熊森ボランティアの温かいお世話のかいあって、今では、お世話の人の横で安心して食事するまでになりました。
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