2023/07/01
くまもりNewsクマが錯誤捕獲されにくいくくり罠があると聞いて、どんな罠か調べてみました。(一財)日本森林林業振興会 長野県支部が開発したベアウォーク(改良型くくりわな)です。以下は、同振興会の札幌支部のブログの一部です。
これがベアウオークです。内側の筒に鹿の足が載ると、重さで筒が下がり、ワイヤーが足を”くくる”という罠です。
このベアウオークは、実は筒の上に蓋をすることにより、誤って熊を捕まえてしまうこと(錯誤捕獲)が出来るだけ少なくなるよう改良・工夫されています。
ベアウオークのsettingと鹿とクマに対する反応は以下のyoutubeで紹介されていました。https://youtu.be/u9SHPxmulZA
熊森から
購入窓口は長野県支部です。電話すると担当者が丁寧にいろいろと教えてくださいました。この罠を考案したのは以前森林管理署で働いていた林野庁の職員だそうです。お値段は8320円で、この3年間に約1500個ぐらい売れたということです。設置効果を尋ねると、年間のクマ錯誤捕獲が27頭もあった長野のある場所にベアウォークを導入したところ、錯誤捕獲が3頭に激減したそうです。蓋はそのうち劣化するので、蓋だけの別売もあるそうです。
2007年に成立した鳥獣被害防止特措法の予算は国庫100%ですから、このお金を使って地元行政が購入すればたくさん買えると思いました。
もちろん、クマの錯誤捕獲が考えられる場所にはくくり罠を設置しない、これが原則であることはいうまでもありません。
尚、熊森はこれまで各地で野生動物による被害を現地で無数に視察してきましたが、被害発生は必ずしも野生動物にすべての原因があるわけではなく、人間側に責任がある場合が多々ありました。野生動物たちも人間同様動物ですから食べないと生きていけません。鳥獣被害と言っても彼らが悪意を持って何かをしたわけではなく、生きるために作物を食べたのです。そういう訳ですから、農家にとって鳥獣被害は死活問題ではありますが、シカやイノシシであっても、いきなり「殺す」から入るのではなく、祖先がしていたように被害防止対策から入るのが、人間として、また自然と共存してきた持続可能な日本文明からも正しいやり方だと考えます。
ただし、現実には第一次産業がつぶされて来た結果の現在の日本の産業構造から、郡部は過疎化高齢化がはなはだしく、被害防止対策に取り組める人員が手薄です。全国民の税金で、行政が被害防止対策員を雇用する必要があると熊森は考えます。可能な限り野生動物たちを殺さない対応は、思いやりのある人間社会を作るためにも、この日本列島で未来永劫に人類が生き延びるための自然環境保全のためにも必要なことであると熊森は考えます。
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