2025/02/13
くまもりNews今冬雪の中、東北などの市街地に於けるクマの目撃件数が例年になく多く、わが国のクマ保護史上に残しておくべき特別事態だと思います。報道映像の顔や体つきから、若いクマだと感じることが多いです。
一昨年の東北山の実り大凶作年時に於けるクマの異常ともいえる大量出没で、母グマに連れられ餌を求めて市街地に出て来たものの、母グマを人間に殺され、山に戻って冬眠することを知らないまま市街地近くでなんとか冬を生き抜いた子グマが、春以降も市街地の裏山でこっそり生き続け、今冬も山で冬眠することを知らずにさまよっているのではないかと推察されます。
餌があるから冬眠しないのだろうという説もありますが、当協会で保護飼育している元野生グマ「とよ」を見ていますと、冬眠中飲まず食わずでも生きられるだけの脂肪層が体に蓄えられると、大量に積まれた餌があっても食べなくなり、自ら寝室に入り込んで春まで出てきませんから、違うのではないかと思います。
ある動物園の飼育者に聞くと、動物園ではクマに冬眠されるとお客に見てもらえなくなるので困る。わざと不十分な量の餌しか与えないようにしているので、冬中起きているとのことでした。
山形県新庄市の場合
マスコミ報道によると、2月1日午後1時半、新庄市内を車で走っていた女性が1頭のクマを目撃。このクマは猟友会などの追い払いを受け、新庄中学校の軒下や市内中心部を逃げ回り、最上公園の中に居座りました。(熊森訂正→逃げ込みました。)
大勢の人間に追われて逃げ惑うクマ(news23より)
地元猟友会の皆さんが公園内に箱罠を設置しましたが入らず、2日朝7時に公園から逃げ出しました。
現行法(鳥獣保護管理法38条)では、人や建物に被害が出るのを恐れて、市街地では原則、銃の使用が禁止されています。
そこで、山形県は獣医による麻酔銃使用を市に指示したようで、獣医さんが公園から200m離れた集落の通路でじっとしているクマを見つけ、建物の3階から2回にわたり背中めがけて麻酔銃を発射。しばらくして動かなくなったところを猟友会のみなさんが網で捕獲して箱罠に移し、離れた山中にこのクマを放獣したとのことです。けが人なし。
麻酔銃が命中して動かなくなったクマ(news23より)
猟友会の方によると、3歳から4歳ぐらいの若いメスの成獣で、やせていたとのことです。
2月7日午前5時40分ごろ、仙台市泉区高森2丁目の高森自然公園に1頭のクマが入っていくところを住民が目撃し、泉署に通報。
行政提供写真:高森自然公園内の茂みにいるクマ。2月7日午前8時39分(朝日新聞より)
市街地でも発砲できるようにすることで、出没したクマを素早く射殺し、短時間で解決することを狙っているのでしょう。
国会議員のみなさんが今後、環境委員会でどのような論戦を闘わせるのか知りませんが、里に出てきたクマはさっさと殺しておけばいいんだという昨今の【他生物の生命軽視論調】に偏らず、どうすれば済み分けて共存できるのかをしっかり議論いただけるよう願っています。
クマを初めとする多くの野生動物たちは日本列島の先住民であり、今も保水力抜群の豊かな水源の森を無報酬で造ってくれているありがたい存在です。
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