2025/07/11
くまもりNews7月6日、第14回日本奥山学会研究発表会を神戸大学で開催させていただきました。
ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました。
当日は73名もの方にお越しいただき、盛況のうちに無事閉幕することができました。
記念講演では、稗田一俊さんによる「命育む川の仕組み」を聴講。
地元にお金を落とす公共事業として治水名目で北海道に多数造られたダムが、なぜ魚の生存を妨げることになったのか。
稗田さんは、川底の石や砂、泥の状態の変化から、その仕組みを誰にでもわかるように、動画や図を用いて丁寧に説明してくださいました。
また、ダムが魚を減少させる理由にとどまらず、下流域を侵食していく仕組みや、私たちの暮らしと水の循環がどのように繋がっているのかについても、映像とともに非常にわかりやすく解説していただきました。
地球温暖化が原因とされる海藻や魚の減少も、実はダムによる土砂(泥)の堆積が深く関わっていることを知り、多くの参加者が深い気づきを得たことと思います。「なぜダムが問題なのか」という問いに対し、川の経年変化を捉えた衝撃の写真により明快な答えが示され、心に強く響く講演でした。
研究発表では、2024年度に日本奥山学会が助成した「高山帯渓流水の水質形成に対する元素供給過程の解明」を、石橋未来氏(信州大学/現・産業技術総合研究所)が発表されました。地下を流れる水の成分変化や、その背景にある自然の営みについて、多くの関心が寄せられました。会場からは「森林があることで地下水の水質はどう変わるのか」「トンネル掘削が地下水に及ぼす影響は」など、鋭い問いが次々に投げかけられ、熱気に包まれました。
日本熊森協会山口県支部 副支部長の高田智史氏による「音環境が人間の快適性に与える生理学的影響」。森林で耳にする音が、なぜ騒音と感じられず、むしろ心地よさをもたらすのか。音は耳だけでなく肌でも感じ取っており、衣服の有無によって音の体感が変わるという新鮮な視点が紹介され、参加者の興味を大いに引きつけました。
例年以上に質疑応答が活発に交わされ、知的好奇心と対話の深まりを感じる、充実したひとときとなりました。
これらの発表の内容は、本学会の次号学会誌に掲載予定です。読み応えのある学会誌になること間違いありません。ぜひ多くの方にお読みいただきたいです。
(学会誌の販売については、学会ホームページからお問合せください)
日本奥山学会では現在、会員を募集しています。観察会や勉強会など、自然と共に学び、考える機会を数多く設けています。森や山、そして自然の循環に関心をお持ちの方は、ぜひ私たちの仲間に加わってください。
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