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2025/07/25

くまもりNews
奈良県がツキノワグマを保護対象から管理対象に変更案 パブコメ募集中〆切7月31日

奈良県がツキノワグマを保護対象から管理対象に変更案

以下は、奈良新聞2025年06月13日オンライン記事全文です。

クマ目撃増加 奈良県が殺処分含め管理計画見直しへ

奈良県内でクマの目撃が増え、けが人も出ていることから、県はこれまでの保護を重視したクマの管理計画から殺処分を含めた新たな計画に見直すことを明らかにしました。

奈良県によりますと、去年(令和6年)のツキノワグマの目撃情報は、人が襲われてけがをしたケースも含めて145件と記録が残る中で最も多くなり、先月(5月)には、奈良市や天理市などこれまで姿が確認されなかった地域でも目撃が相次いでいます。

 

また、国が平成4年に紀伊半島のツキノワグマの生息数を調査したところ、推定150頭と絶滅のおそれがあるとされていましたが、昨年度(令和6年度)の調査では、推定400頭から500頭ほどと30年余りで3倍ほどに増加しています。

こうした状況を受け、13日、県は県議会の委員会で保護を重視してきたクマの管理計画を見直す方針を明らかにしました。

 

これまでは原則、捕獲されたクマは人里に近づかないよう学習させたうえで安全な場所に放していましたが、新たな計画では集落や農地といった人が活動するエリアに入り捕獲されたクマは原則、殺処分するとしています。

県は今後、パブリックコメントなどを実施したうえで、ことし10月から新たな計画を施行することにしています。

 

熊森の解説

 

近年、各地で山からクマが出て来るようになり、目撃数が増加しています。
これによって、クマ数が増えた、クマが生息域を拡大したと一方的な報道が繰り返されています。
目の前の現象だけを見てそのように判断してしまうのは、余りにも短絡的で、大変危険です。

 

もちろん、私たちも人身事故が起こらないことを願っており、そのために必要な対策も提案したり、応援できる地域では応援しています。

しかし、野生動物の行動の理解と共存のためには彼らの立場に立って考える視点も大切です。

クマたちの言い分も聞いてあげましょう。

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クマたちが本来生息していた奥山の天然林が、戦後の林野庁の政策によってどれだけ大量に伐採されたかというと、東北6県分の面積に相当する628万ヘクタールもです。伐採跡地には、林業用にスギ、ヒノキ、長野はカラマツなどの針葉樹が植えられましたが、国産林業が壊滅状態となった今、多くが放置され、内部には日光が入らず、下層植生が消えて餌になる物がありません。クマたちは広大な生息地を失ったのです。このことにふれる人はまずいません。

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さらに2000年代になって、地球温暖化が進み、ナラ枯れが発生。わずかに残された天然林のミズナラなどのクマたちの冬眠に必要なドングリ類がひと夏で一気に大量枯死しました。

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シカがどんどん天然林の下草を食べだした地域では、下草が消えただけでなく森林生態系を支えていた昆虫たちも消え、虫媒花であった液果の実りも消えました。

 

クマたちが山から出て来るようになったのはクマの数が増えたからですか?
クマが生息域を拡大しだしたからですか?
兵庫県で長年クマやクマ生息地を観察してきた熊森本部から言わせると、兵庫県の場合は明らかにドーナツ化現象です。
生息地を拡大したのではなく、クマたちは生き残るために生息地を集落近くに移動せざるを得なくなったのです。

 

もちろん、これを容易にしたのは、地元集落の過疎化高齢化などの要因もあります。

 

こんな中、環境省は、山からクマたちが出て来るようになったのは、クマの生息数が増加、クマが生息域を拡大したとして、昨年4月にクマを捕殺強化対象である指定管理鳥獣に指定、今年4月には法律で、人の日常生活圏に出現した場合にという前書きがあるものの、クマに「危険鳥獣」のレッテル張りをしました。こうして、クマは日本から消されていくのだと思います。
クマがわが国で生息することにより人間が受けている水源の森保全という大恩恵を知らない方たちが、決めたこととしか思えません。

 

これまで紀伊半島のクマは推定150頭(1995年度)で「絶滅の恐れがある地域個体群」とされ、できるだけ捕殺が控えられてきました。しかし、昨年の環境省の調査と計算では467頭(2025年)に増えていたとのことです。これにより、奈良県、和歌山県、三重県の順に、紀伊半島のクマは、生息数が著しく増えている個体群として、第二種特定鳥獣(管理対象・捕殺対象)に指定していこうとされています。環境省のクマ安定存続地域個体群は800頭以上とされていますから、第一種特定鳥獣(保護対象)に指定すべきだと熊森は考えます。奈良県内のクマの生息推定数は、この30年間に50頭増えて183頭になっているとのことです。

 

行政用語解説: 第一種特定計画(保護対象)、第二種特定計画(駆除対象)

 

奈良県が、クマを保護対象から外し、管理対象や駆除対象にして年間最大10頭まで捕殺できるようにする改正案に対するパブリックコメントを募集中です。(新聞記事と熊森解説記事を読むだけで、応募可能です。)
尚、7月21日夜、支部結成の準備が進む奈良県の会員の有志の皆さんと本部などで、奈良県ツキノワグマ保護管理計画 第6次計画(案)についてのzoom勉強会が持たれました。
・クマを守ることは、最高の保水力を誇る水源の森を守ること、人間も含めた全生物の生存を保障することであることを確認し合いました。

 

奈良県ツキノワグマ保護管理計画 第6次計画(案)
氏名
住所
意見(用紙自由)

上を記入の上、以下のどちらかに意見送付
①〒630-8501 奈良市登大路町30
奈良県食農部農業水産振興課 鳥獣対策係宛
②FAX番号:0742―22―9521
奈良県食農部農業水産振興課 鳥獣対策係宛
メールは受け付けないそうです。

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