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リニアから南アルプスの自然と大井川の水を守ろうとした静岡県川勝平太知事の偉大さ

川勝知事が知事最後にあたって非常に大事なことを言われていますので、長文ですが熊森の記録に残したいと思います。

以下は、SBS静岡放送5月10日発信ニュースからです。

 

静岡県の川勝平太知事は2024年5月9日、退任会見を行いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知事は「4期目の最大の公約は南アルプスの自然環境の保全と水資源の確保であり、それとリニア工事を両立させること」だったとして「一つの区切りがついた」と改めて辞職の理由を語りました。

<川勝平太知事>(2017年10月) 「工事によってメリットもない。すべてデメリットしかない。この工事を静岡県下ですることに対し、断固猛省を求めたい。考え直せということです」 これまで川勝知事は強い言葉でJR東海と対峙してきました。

2027年に開業を計画していたリニア中央新幹線は、東京と名古屋をわずか40分で結ぶ国家プロジェクトです。南アルプスをトンネルで貫く静岡工区をめぐっては、大井川の水の減少などを懸念して川勝知事は工事に同意せず、手付かずのまま。

2020年には、JR東海のトップ・金子慎社長(当時)が川勝知事に直談判しましたが、議論は進展しませんでした。国の有識者会議も報告書をまとめましたが川勝知事は態度を崩さず、JR東海の丹羽俊介社長はー。

 

<JR東海 丹羽俊介社長>(2024年3月) 「残念ながら品川~名古屋間の2027年の開業は実現しない」 2027年開業の断念。リニアの開業は早くとも2034年以降になります。

この発表の数日後に川勝知事は辞意を表明。そして、5月9日の最後の会見で「トンネル工事によって南アルプスの自然環境はマイナスの悪影響を受ける。黄色信号がつく」という認識を示し、「強引に進むのか、あるいは留まるのか、まさに岐路に立った」と強調しました。

 

また、リニア工事が静岡工区以外でも遅れていることをJR東海が発表したことにも触れ「不都合な事実の公表は、くさいものに蓋をする従来のJR東海の姿勢が一新された」と皮肉にも聞こえる表現で評価しました。 一方、JR東海は「開業時期に直結するのは静岡工区」との考えに変化はありません。

<川勝平太知事> 「4期目の公約にかかわる仕事に一つの区切りがついたと判断いたしました。水資源を保全するためにも、南アルプスの自然環境は保全しなければなりません。そこに住む私たちもそれは使命ではないかと思います。県民の皆様を信頼申し上げております

<川勝平太知事> 「4期目の最大の公約は、南アルプスの自然環境の保全と水資源の確保であり、それとリニア工事を両立させることでございました。辞職の理由と重なりますので、お別れの挨拶の最後にこの件について申し述べておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

南アルプスは国立公園であります。昭和39年に国立公園に認定されました。それ故、その自然環境の保全は日本政府の国策でなければなりません。また、南アルプスはユネスコのエコパークに認定されております。従いまして、南アルプスの生態系を保全することは日本政府の国際的責務であります。

国の生態系に関する、いわゆる有識者会議が昨年暮れに最終報告書をおまとめになりました。それによりますと、南アルプス山中のトンネルの上を流れる沢・渓流は、工事によって例外なく水位が下がると報告されています。水位が下がりますと、水際に生きる生物などはそこに水が来ませんので、生死に関わる厳しいマイナスの悪影響を受けます。

また、工事で出る濁った水を透明にするためには、凝固剤の使用を報告書は提案されております。凝固剤を使いますと、水質は確実に悪化いたします。 この報告書の内容を一読いたしまして、一言で言いますれば、トンネル工事によって南アルプスの自然環境はマイナスの悪影響を受けると。言いかえますと、工事によって南アルプスの自然環境には黄色の信号がつくという認識を私は持ちました。

 

それでもなお、工事を敢行するということであれば、工事による南アルプスの自然環境への悪影響をいかに小さくするかが課題であります。沢の水位が下がることで死滅しかねない生物の保全などのために、有識者会議はモニタリング会議を提案なさいました。モニタリング会議は政府主導で今年2月に発足いたしました。モニタリング会議、その第1回会合、2月29日、2カ月前のことでございますが、基本方針がそこで確認されました。

 

そして、第2回会合が3月29日のことでございまして、その会合で丹羽氏を新社長とするJR東海は、南アルプストンネル静岡工区の事業計画について、これまで知られていなかったデータを公表をされました。世間はあっと驚きました。私も同様であります。いわく、高速長尺先進ボーリングに3カ月から6カ月、工事ヤードの整備に3カ月、トンネル掘削に10年、ガイドウェイ設置に2年という事実の公表でございます。

その数日後に、いわく、岐阜県は恵那市のトンネル工事に40カ月、すなわち3年と6カ月、長野県は飯田市の高架橋の工事に70カ月、すなわち5年と10カ月、山梨県は駅の工事に80カ月、6年と8カ月がかかるという公表をなさいました。

昨年までのJR東海の前の社長の体制の下では、一貫して静岡県の工事の遅れだけが繰り返し強調されていました。そのことからいたしますと、隔世の感がございます。今回の2度にわたる事実の公表で、静岡県のみならず、岐阜県、長野県、山梨県でも工事が遅れていることがはっきりといたしました。これらはいわば不都合な事実というべきものであります。くさいものに蓋をするといった感のある従来のJR東海の姿勢が一新したというふうに思われます。

不都合な真実とはいえ、正直に事実を有り体に公表された現在のJR東海の丹羽社長の姿勢には、感じ入っております。正直に勝る徳目はありません。正直な丹羽社長に対しまして、敬意を表するものであります。

 

さて、南アルプストンネル工事について、工事に要する年数を単純に足しますと、12年から13年ということになります。重なるということになると、11年というふうになっているようでありますが、しかも、しかしながら、それをモニタリングをしながら、言いかえますと、順応的管理で工事を進めるということです。順応的管理、すなわち工事中に何か問題が生じますと、もう一回その工事がよかったかどうかフィードバックして考え直して計画を立て直すということでありますが、こういうやり方が順応的管理というものであります。したがって、こういうモニタリングをしながらの工事となるとすれば、ここで挙げられている工事年数を超えることが十分に予想されます。それは何を意味するんでしょうか。南アルプストンネル工事自体に黄色信号が灯ったことを意味すると思います。工事をすれば南アルプスの自然環境に黄色信号がつくというのが有識者会議の最終報告書の内容だというふうに私は認識しております。

 

そしてまた、今回、工事自体にも最低10年以上かかるということでございますので、これも青から黄色に信号の色が変わったというふうに捉えております。信号が黄色になれば、道路交通法に従いますれば進んではいけませんけれども、中には強引に突っ込む方もいらっしゃいます。強引に進むのか、あるいはとどまるのか、まさに岐路に立ったということでございます。それをどうするかについては、モニタリング委員会の御見識次第であります。

 

 

私は以上のことをもちまして、4期目の公約にかかわる仕事に一つの区切りがついたと判断いたしました。これまでJR東海さんに対しまして、かなり厳しいことも言ったことに対しましては、改めて申し訳なく存じますけれども、同時に丹羽社長の正直な姿勢に改めて敬意を表する次第でございます。ご立派でした。

なお、2018年6月、今から6年前ですが、JRさんと静岡市との間で締結なさいました、いわゆる用宗・落合線の5キロのトンネル工事は6年、丸6年経ちました。現在、掘削すら始まっておりません。丹羽社長はぜひこの約束は、約束通り実行してくださるようにお願いをいたします。

 

富士山と南アルプスは、いわば父と母のような存在であります。この霊峰と赤石山脈とは、命の水を供給することで、静岡県民を、またそこに息づく生きとし生けるもの全てを何世代にもわたって養ってまいりました。水資源を保全するためにも、南アルプスの自然環境は保全しなければなりません。そこに住む私たちもそれは使命ではないかと思います。

県民の皆様を信頼申し上げております。私はこれをもちまして、ふじのくに、愛するふじのくにを後にすることになります。ありがとうございました。皆様方の御多幸をお祈り申し上げます」

 

 

 

 

コロナでリモートワークが広がり、リニアによる東京―大阪間の時間短縮の利便性を訴えておられた方々の主張が通らなくなりました。私たちはこれは南アルプスに穴を開けてはならぬという天の声だと感じました。

 

いったん走り出すと止められないというのは人間の悪いくせですが、南アルプスの自然や水を犠牲にしてまで造らねばならないものなど、この世にないはずです。いったん壊してしまった生態系は、もう二度と元に戻せませんから、リニア推進者の皆さんには、何とか目を覚ましていただきたいです。

 

川勝知事はいろいろと言われてきましたが、南アルプスと水を守ろうとして誰に何と言われようと頑張ってこられたことに関しては、誠に偉大な知事であり、後の世で必ず最大限に評価されるだろうと思います。

 

川勝知事に、心からお礼申し上げます。

 

絶滅寸前!四国のクマのえさ場作り奮闘記2024年春編

四国のツキノワグマの絶滅を止めるため、くまもりは今年も、人工林で埋め尽くされた四国山地のスギやヒノキを伐採して、跡地にクマの餌場を再生する活動に励みます。

 

G.W.真っ只中の5月2日~5月5日、本部フィールドチーム5名と愛媛県支部員3名、徳島県支部員1名の計9名で、高知県と徳島県の境にある四ツ足峠近くの熊森トラスト地(22ヘクタール)へ行ってきました。四ツ足峠という名前のいわれは、あまりにも山が急峻なため、四つ足にならないと登れないからとか(納得します)、お堂の四本の足の二本が高知県側、二本が徳島県側にあるから等の説があります。

初日は兵庫県西宮市にある本部を、午前5時に出発。
途中、資材の購入などをしながらちょうど正午に登山口に到着しました。
その後、資材やチェーンソーなどを担いで崖のような登山道を1時間半かけて登り、やっとトラスト地へ到着します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下草のない人工林に覆われた険しい山道を歩く

 

愛媛県支部の会員さんが、途中の足場の悪い登山道を安全に通れるように道直ししてくださいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陥没していた道が歩きやすくなりました!

 

トラスト地では小面積皆伐した箇所にシカ除けネットを張り、ネット内で苗木の植樹、種をまく、何もしないで鳥などの種子散布による発芽を期待など、いろんな方法で試行錯誤しながら植生回復を促しています。
なかなか活着しなかった苗木ですが、今回調査したらすくすくと大きくなっていて、100~150cm程度の高さに!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネット内は緑でいっぱいに!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

植樹した木もすくすく生長していました

 

早稲イチゴの花が咲き乱れ、辺りは何とも言えない甘い香りに包まれていました。

その花の蜜を吸いに、多くのマルハナバチが一生懸命働いていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2日目は四国の会員さんを対象に行なったトラスト地ツアー。
みんなで登頂した後、シードトラップを設置しました。
トラスト地内にある野生の栗の木から、栗の実を空中でキャッチするトラップです。
地面に落ちてしまうと虫が実を食べてしまうので、空中でキャッチしてその実を植樹地内に植えてみようという作戦!
うまく栗の実を採集できるか…秋に乞うご期待です!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ツアー参加者の皆さんは記念植樹をしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日目、4日目は次にネットを張る場所の下準備です。
小面積といっても人間にとっては広い土地。ネットを張るのに邪魔になる伐倒木を丁寧によけていきます。
2日目にツアーでいらっしゃった徳島県の会員さんが、2日目に引き続き4日目も意欲的に参加してくださいました!
みんなは大喜びです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボランティアの皆さんらみんなで力を合わせ作業を進めることができ、おかげさまで予定していた作業をすべて終えることができました。
参加してくださったみなさん、応援してくださったみなさん、本当にありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

トラスト地内に設置している自動撮影カメラには、シカが写っていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

いつかこのカメラに、またクマも写りますように…(完)

4月21日、クマ保全未曽有の危機の中、第27回くまもり全国大会盛大に開催③

4月21日の13時から16時まで、3時間にわたって展開された恒例のくまもり全国大会のもようを最後までご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会場入り口

 

6、顧問

新顧問紹介
ビデオレター 山梨大学名誉教授 鈴木猛康 氏 (防災学)
特定非営利活動法人防災推進機構理事長

熊森とは、行き過ぎた再エネを止めるということで出会いました。工学部ですが、森林保全のための重要な知識である地質学も学んでいますので、熊森と一緒に山に入って熊森活動にも貢献できるのではないかと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

顧問紹介
ビデオレター 務台俊介衆議院議員

衆議院環境委員会委員長を仰せつかっています。クマがまるで危ない野獣のように扱われておりますが、実は生物多様性の頂点に立つ大切な存在です。熊森をしっかり応援していきたいと思います。今、地域の生物多様性増進のための法律が、衆議院を通っております。

 

 

 

 

 

 

 

ビデオレター 片山大介参議院議員

クマが指定管理鳥獣に指定されてしまいましたが、安易な指定や捕殺には反対していきたいと思います。皆さんの頑張りで、再エネによる森林伐採も止まるところがいくつか出てきました。今後もクマの棲む水源の森の大切さを共に訴えていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

会場

和田有一朗衆議院議員

私は、実は熊森を立ち上げたメンバーの一人でございます。クマが指定管理鳥獣になって、今までにない新たなピンチだと思います。体を張ってこの1年闘ってこられた皆さんに、心から敬意を表します。

 

 

 

 

 

 

嘉田由紀子参議院議員

以前、滋賀県知事をしていた時、トチノキ巨木の伐採問題に直面しました。研究者として知事として、トチノキの1本も守れなくてどうすると、自分を鼓舞して頑張りました。その節は、熊森にもずいぶんと助けていただきました。ここ尼崎市の蛇口の向こうにある滋賀県の水源の森長浜市で、5月18日19日「全国トチノキ学ネットワーク」第1回大会を開催します。

 

 

 

 

 

 

 

7、来賓代表挨拶

中野洋昌衆議院議員

多くのクマが急に里に出て来た中で、温暖化が原因なのかどうか、どうしていけばいいのか、大きな課題です。再エネによる乱開発の問題では、クマの棲む一番豊かな森を守っていくというのが皆さんの活動であり、今日来させていただきましたので、私もしっかりお役に立てるように頑張ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8、法人紹介 略

9、支部長紹介 略

10、祝電披露

 

 

11、支部活動報告

北海道 鈴木ひかる 支部長

クマを指定管理里鳥獣にして捕殺を強化しようと呼びかけたのは北海道鈴木知事ですが、私は北海道のもののけ姫になって、北海道の自然と野生鳥獣を守ろうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

札幌でシンポジウム開催

 

スペシャルゲスト 我満嘉明 札幌地区長 85才

札幌市森林組合理事の我満氏は、北海道のエジソンと呼びたいぐらい、これまで様々なものを発明してこられました。戦後の森林政策は間違っていた、今後は広葉樹林を再生すべきであると断言される力強い同志です。今回は、ヒグマとの遭遇に、電池式クマ杖を開発してご持参くださいました。いざという時には、杖の先から4万ボルトの高圧電流が発射されます。これを製品化して、収益は熊森に寄付したいと言われています。

 

 

 

 

 

 

 

 

クマ杖

 

秋田県 井阪 智 支部長
大仙市で東北大学名誉教授である清和研二先生の「人とクマが棲み分けるための森づくり」講演会を開催。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青森県 井垣 真由美 支部長代理

八甲田の次は奥入瀬渓流を守る。森林破壊型風力発電事業から水源の森を守るスタンディングを開始。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山口県 松田 利恵 支部長

支部長として、各地でお話し会「今、日本の森で起こっていること」を開催し、山口県と広島県に多くのくまもり会員を誕生させている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

松田支部長講演会チラシ

 

 

12、森林保全活動報告 坂部幸太

13、環境教育活動報告 工藤真那

14、保護グマ動画

会計報告

15、日本奥山学会 脇井真理子

17、終わりの言葉 赤松正雄顧問

ここまでの司会は、くまもり国際部長 米田真理子が担当しました。

 

<休憩時間>

19、懇親会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅茶を飲みながら楽しそうに歓談する皆さん


20、熊森応援隊   応援隊長 石原じゅん

 

熊森応援隊のラインは現在150名が参加。

今日の会にも何名かがお手伝いに来ています。

 

 

 

22、記念撮影

 

熊森から

 

今年の全国大会も、多くのボランティアの皆さんが支えてくださいました。

ボランティアの皆さん、参加してくださったみなさん、本当にありがとうございました。

参加して良かった、来年も来たいの声がしきりでした。

 

日本国の生き残りをかけて、水源の森と森を造る野生動物たちを守るために、完全民間団体である熊森は今後も奥山保全・再生に果敢に声を上げ行動し続けます。

 

来年またお会いしましょう。

第28回くまもり全国大会は2025年4月19日(土)兵庫県尼崎市で開催します。

全国支部長研修会は4月19日夜と20日午前となります。

皆さん今からご予定ください。

 

春の戸倉植樹地メンテナンス~くまもりボランティア大活躍~

雪融けを待って植樹地へ

4月21日、27日の2日間に渡って、熊森のフィールドボランティアチームが、兵庫県宍粟市戸倉にある植樹地のメンテナンスを行いました。

戸倉は豪雪地帯で、毎年大量の雪が山を覆い尽くします。植樹地はシカなどに苗木を食べられるのを防ぐためにネットで囲いをしていますが、雪の重みでネットをかけている支柱が倒れたり、折れたりしてしまいます。雪が積もっていると作業できないので、春が来て雪融けとともに修復作業を開始しています。

今回はボランティアの女性3名が作業してくださいました。

 

1日目

戸倉トラスト地には5か所の植樹地があります。21日は3か所の修復作業を行いました。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壊れた囲いが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この通り!

 

苗木の生育状況の確認も行いました。戸倉は苗木がうまく定着せず、なかなか大きく育ちません。今後さらに試行錯誤を続けていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苗木から新芽が!順調に育って欲しいですね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

移動中にシカの角を発見!

 

2日目

27日は残りの2か所をメンテナンスです。

太陽が照り付け少々暑い中、皆さん頑張ってくださいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

丁寧にネットをかけていきます

 

野生動物はちょっとした隙間も見逃しません。ネットがたわんでいないか、破れている部分はないかなど、細かいところまで気を配って作業を進めます。

 

 

 

 

 

 

 

 

全ての囲いの修復が完了!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余った資材を確認して作業終了です!

 

2日間で5か所全ての囲いが修復できました。苗木や外から入ってきた植物が無事に大きくなり、少しでも早く広葉樹林が再生されることを願うばかりです。野生動物が安心して暮らせる山になるといいですね。

今回は女性のみのチームでしたが、大変な作業を根気強く頑張ってくださいました。作業してくださった方々本当にありがとうございました。

日本熊森協会はこれからも人工林の広葉樹林化を目指して、地元の方々やボランティアの皆さんと手を取り合って頑張っていきます!

熊森の活動やボランティアに興味のある方は、ぜひご連絡ください!

<祝>石川県小松市のクマ止め林づくりクラウド・ファンディング、早々と目標額500万円達成

石川県小松市×かが森林組合プロジェクト

ふるさと納税で応援(ガバメントクラウドファンディング)

・・
クマを森に帰そう!
豊かなドングリの森づくりで、
・・
人と野生動物の共生を
目標額、達成!
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<以下、中日新聞12月2日記事より>

森林再生のために植栽するかが森林組合の組合員=小松市内で(かが森林組合提供)

森林再生のために植栽するかが森林組合の組合員=小松市内で(かが森林組合提供)

 

食べ物を求めて人里に現れるクマの出没を減らそうと、小松市とかが森林組合(同市)は、豊かな餌場をつくる森林整備のため、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングで寄付を募っている。クヌギやコナラなどドングリの実をつける広葉樹を植栽する。目標金額は500万円。

 市には今年、例年の約5倍の225件のクマの目撃情報が寄せられ、人身事故が2件起きている。冬眠前のクマの餌のドングリが凶作で、餌を求めて住宅密集地まで出没するクマが後を絶たない。森林の手入れが行き届かず、里山が荒廃し、人里との境目があいまいになったことも出没の要因とされる。
 寄付金は放置林の除去、森林の間伐や植栽、苗木の生産などに活用する。ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス ガバメントクラウドファンディング」で受け付けている。募集は来年2月24日まで。
 開会中の市議会一般質問で8日、岡山晃宏議員=会派自民=がクマの餌不足対策を質問した。市産業未来部の林活歩部長は「伐期を迎えた森林の再造林を進め、クマがすみやすい環境づくりに必要な森林を整備したい」と話した。
(問)市財政課ふるさと納税推進チーム0761(24)8068 (長屋文太)

 

小松市岡山晃宏市議の質問

1.有害鳥獣対策について

今年も集中豪雨により、球磨川の氾濫など天候による災害はありましたが、それ以外に新型コロナウィルス、感染症、クマの出没と、生き物が絡む災害ともいうべき被害で日本中が大混乱した年になりました。

本市においてもクマによる人身被害が出てしまったことは残念ではありますが、消防署や消防団、警察、市の職員や関係者の皆様には、昼夜を問わず、監視の強化や、薮払いなど今できる最大限の対策をとっていただいたことに、心より感謝申し上げます。

 

 ・緩衝帯の整備について

クマが人里に降りて来る原因もいろいろあるようですが、長い目で見るとクマ対策、有害鳥獣対策は、野生獣と人との棲み分けをめざす里山の整備が必要だと考えます。一昔前は里山では、畑で多くの人が仕事をし、薪炭材として木が伐採され、移動しやすいように道が造られることにより、自然と緩衝帯ができ、里山には実のなる広葉樹が多くあり、野生獣との棲み分け・共生が成り立っていたこと、それが、過疎化や林業の後継者不足などで管理ができず、耕作放棄地や里山が荒れて行ったことを聞いたことがあります。これまで野生獣の出没抑制の緩衝帯整備は、県の石川森林環境税を使って整備され、昨年から交付が始まった国の森林環境譲与税は、本市では県の事業と重複しないよう、森林管理者や境界の調査、森林管理に必要な人材育成、木材利用の普及の促進、森林状況調査などに使われてきました。根本的な鳥獣対策は、里山の再生につながります。そのような意味で里山の再生をめざす国の森林環境譲与税の使途を、人工林の伐採や緩衝帯整備に迄広げることはできないでしょうか。本市の見解をお聞かせください。

 

・エサ不足への対応について

次に餌の確保についてでございます。熊が人里に降りて来る原因の一つが山林のえさ不足と言われています。えさとなる木の実の豊作凶作だけでなく、気候変動や酸性雨により木が枯れていることも懸念されています。今年捕獲されたクマは、胃の中が空っぽでやせ細っていたとお聞きしました。クマは本来、落ちた木の実は食べないと言われていますが、ドングリを集めて獣道に置いたら、夜食べに来たり、糞の中に普段は絶対に食べないギンナンが確認されたりと、クマも生きるために必死で食料を探していたと思われます。そのような意味で実のなる木を里山に植樹することが必要と考えます。樹種としてクヌギ、アベマキ、ナラガシワ、クリ、サルナシ、コバノガマズミや春から初夏にかけて実がなるサクラなどがよいと聞きました。これらの実のなる木は広葉樹であり、人工林を広葉樹林化することは森林環境譲与税の目的のひとつでもあります。森林環境譲与税で植樹を行うようにすることはできないのでしょうか。本市の見解をお聞かせください。

<以下、石川県かほく市塚本佐和子市議のブログより>

 

小松市でのクマの出没 人身事故は深刻

今年は例年の5倍を超えるクマの出没

人身事故も多発

市民の方は 不安を抱える日々を送られてこられたと思う

・・

クマは本来

人目を避けて暮らす動物でありますが

主食であるドングリの実が不作で

食べ物を求めて人里に下りてきたものと考えられておりますが

 

この度 小松市では

長いスパンを見て(おそらく持続可能にするために)

豊かな森の生活者クマが棲みやすい

環境づくりと循環型の森林づくりを進めるため

人の野生動物の共存をテーマにしたプロジェクトとして

ふるさと納税で応援していただこうと募集を開始しました

 

プロジェクトは

ドングリの実を付ける広葉樹(クヌギ、コナラなど)を植栽し

クマの餌場と豊かな森をつくることで

クマが人里に降りてこなくても冬を越せるよう取り組みです

 

小松市!すばらしい

 

本市としては

今年はクマの出没はございましたが

人身事故はございません

 

しかしながら

森林が荒れていることや

人と野生動物のすみわけがわかる境界線がなくなっている現状もあり

今後のことも踏まえ

クマ対策についてお考えいただく必要はございます

(ということで 12月8日の一般質問ではクマ対策について質問いたします)

 

自然

森林の復興まで長い時間がかかりますが

何もしないよりまし

時間をかけて 森を取り戻そうとする動き

参考にさせていただきます

 

熊森より
・・
人間活動によって昆虫、サケ科渓流魚、木々の実り、山中の全ての食べ物が消え、冬ごもり前の食い込みができず、生きられなくなり、おなかをすかせて山から出てきたクマたちを、全部撃ち殺してしまう。今、日本中でしていることは、恥ずべきことで、人が狂ってしまっています。人間のすることではないと思います。
小松市が、今年もクマが山から続々と出てきたのは、山の実りが消えて、クマが餌不足に陥っているからと、原因を正しく特定してくださったことに、心から拍手を送りたいです。
・・
では、どうしたらいいのか。
・・
えさ場復元しか、共存への道はありません。
・・
このクラファン、もし集まらなかったら、熊森が補填しなければならないだろうと考えていましたが、それにしても500万円は大きなお金です。
どうしたものかと思っていたところ、うれしいことに早々と目標達成がなされたもよう。やれやれ。
2月24日締切の予定が、現在すでに、624万円になっています。
熊森は、日本初、小松市の英断に拍手です。
森林環境譲与税を使うという手もあります。
他の都道府県市町村も、小松市に続いてください。

何度でも訴えたい 石川の山からクマたちの命の糧、ミズナラの木が消えてしまっているのです

2005年時の石川県白山のミズナラ巨木の総枯れ写真です。当時、車で2時間ほど白山の周りを走りましたが、延々と山が真っ赤でした。この世の終わりを感じました。

 

北国新聞2005年8月トップ面

 

次は、石川県白山の2年後の写真です。

枯れたミズナラ巨木群が白骨死体のように見えます。主原憲司先生提供

 

現在の白山の写真

ミズナラの巨木が倒れた空間は、何事もなかったように、他の広葉樹が枝を伸ばして埋めています。

 

白山の山は今も、一見、素晴らしい自然林です。

しかし、何度でも言いたい。クマが冬ごもり前の命の糧にしてきた大きなドングリの実を大量にもたらすミズナラ、野生動物たちの命を支えてきたミズナラの木が消えているのです。

 

環境省も地方自治体も、担当者は3年ごとに新しい人に変わるため、新しい担当者は15年前にほとんどミズナラの木が消滅したことを知らないことが多いのです。

 

これでブナまで大凶作のゼロとなると、クマはもう生きていけません。この歴史を知らないと、クマがえさを求めてどんどん山から出て来るという現象を見て、クマが増えて山からあふれ出してきたという見解になってしまうのです。

 

ナラ枯れの原因は解明されていませんが、200年も300年も生きてきたであろうミズナラの巨木が一気に枯れてしまったことを思うと、ナラ枯れは、昨今の人間活動の結果である地球温暖化や大気汚染が原因であると思われます。

 

国は、ナラ枯れの原因を5ミリほどのカシノナガキクイムシのせいにしていますが、責任転嫁している間は、問題は解決しないと思います。

 

かつて大量の実りをもたらしていた、大きな実が大量に付くミズナラの木

 

1本のミズナラの巨木が100キロのドングリを落とすとすると、4本あるだけで、秋のクマ1頭の食料を賄えるのではないかと思われます。(以前15年生のクヌギを調査した時、1本の木で、10キロのドングリを落とすことが分かりました)祖先が残してきた奥山は、人間の予想以上に、数多くのクマたちを養っていたのではないかと推察されます。

それが、今や、ああ・・・絶望的です。

 

ナラ枯れの跡地にミズナラの稚樹を見かけた場所もありますが、まだまだ実をもたらすまでには至っていません。

徳島県支部設立記念シンポジウム、会場50人、ウェブ参加35人、盛大に開催

11月14日、熊森徳島県支部は、「くまともりとひと~わたしたちのこれから」をテーマに、設立記念シンポジウムを徳島市の市立図書館に併設されたシビックセンターで開きました。

 

シンポジウムには、四国4県から熊森会員だけでなく新聞報道などで開催を知った非会員を含め計約50人が会場で参加したほか、会場の様子はインターネット中継され、約30人がウェブ参加、入場時の体温チェックや着席の間隔を確保する新型コロナウイルス感染防止対策を取り入れながら、盛大に開催することができました。

 

大西さちえ支部長は開会のあいさつで、今年6月には人工林の皮むき間伐のため、今回のシンポジウム直前の11月12日には初の実のなる木の植樹のため、急峻な山道を2時間かけて、絶滅寸前といわれる四国のツキノワグマの生息地でもある徳島・高知県境の熊森四国石立山トラスト地に登り切って作業したことを報告。「会場には徳島、高知、愛媛会員の他、香川県で熊森の支部をつくりたいという人も来られています。四国のみんなで力を合わせて、くまもりの輪を大きくしていきましょう」と笑顔で呼びかけました。

 

続いて、滋賀県知事を2期8年務められ現在は参議員議員の嘉田由紀子熊森顧問と、徳島県旧木頭村の元村長の藤田恵熊森顧問が記念講演をしてくださいました。

 

記念講演要旨

 

●嘉田由紀子顧問

「奥山からの総合的な流域治水こそが多くの命を守る」

 伐採寸前の滋賀県のトチノキ巨木群を裁判までして守ってくださったのが熊森協会です。弁護士の室谷会長です。本当にありがたい。
今年7月の九州豪雨で熊本県球磨川が氾濫し、死者50名。これによってダム必要論が再浮上、中止された川辺川ダム計画の復活の動きも出てきました。ダムに頼らない治水を訴えてきた私としては、ダムがあれば50名の死が防げていたかを現場を訪れ徹底的に調査しました。結論として、川辺川ダムがあれば救えていた命は3名です。

吉野川の河口堰もいつ復活するかわからない。水を流すための河川掘削や浸水する恐れのある地域に建物を建てないなど、奥山からの総合的な流域治水こそが多くの命を守ります。

 

●藤田恵顧問

「日本は森再生に取り組むべき」

 全国各地で連日クマが山から出てきました。あれは山に餌がないからですよ。昔は木頭村でも奥山に行けば、大きなブナの木があり、クマは大木の洞などに寝て暮らしていました。森にはいろんな種類の木がありましたが、今は全くありません。国は拡大造林政策で1950年代から広葉樹を次々と伐り、スギなど針葉樹を密植したまま放置してきました。山の保水力は失われ、近年、豪雨時、山崩れなどの災害が頻発するようになりました。学者は御用学者ばっかりで、拡大造林の「カ」の字も言わない。マスコミも忖度して一切書かない。そんな中、拡大造林政策の弊害を熊森協会は一貫して指摘してきた。本当にすごい団体だ。
(森が豊かだった頃の徳島の森のイメージ写真を何枚も映し出しながら)今の徳島の山を自然だと錯覚しないでほしい。昔の豊かだった時の山の姿を知ってほしい。今後は、スギと広葉樹を交互に植えて針広混交林を造ったり、広葉樹林を再生したりしていかねばならない。砂漠緑化に成功したすごい人がいる。砂漠緑化に比べたら、日本の森再生はもっと容易なはず。熊森が進めようとしている森再生は、きっと日本で成功する。日本熊森協会の実践活動に大いに期待しています。

 

後半プログラム

 

●本部クマ保全担当、水見竜哉研究員

「自然保護団体として、今回初めて四国のツキノワグマのために実のなる木を植えた」

 水見竜哉研究員が、四国のツキノワグマをめぐる現状や四国の山々で放置人工林が広範囲に及んでいる様子をスライドを使って基調報告。「自然保護団体として、今回初めて四国のツキノワグマのために実際に実のなる木を植えることができました」と喜び一杯に報告。今後も、50メートル四方の群状間伐と広葉樹の植樹を継続していきたいと意欲を語りました。

 

●森山まり子名誉会長

「自然保護団体を大きくして、地球環境破壊に歯止めを」

最後に森山まり子名誉会長が、戦後の林野庁の「拡大造林政策」と、1999年に導入された環境省の「ワイルドライフ・マネジメント政策」、この2つの誤った政策により、日本の森や動物、地元の人たちが、悲鳴を上げています。

今年も、何の罪もないどころか人間活動の被害者であるクマが害獣のレッテルを貼られ、連日、大量に捕殺されていきました。私たちは毎日胸のつぶれる思いでした。クマが山から出て来るのは、生息地であった奥山の自然環境が破壊されたからで、この問題を解決しなければ、私たち人間もやがて生きられなくなります。

他生物や次世代に責任を持つ大人として、熊森がもっと大きくならなければならない。会員をもっともっと増やして、私たちが声を上げていかなければならないと、熱っぽく語ると、会場は大きな拍手に包まれました。

みなさん、ありがとうございました。

四国山地の奥山で、熊森がついにクマたちの餌場づくりを開始 

戦後の林野庁の拡大造林政策により、頂上近くまでスギやヒノキの人工林でびっしり埋め尽くされた四国山地。

この山の中には、動物たちの食料が皆無です。

結果、四国のツキノワグマは残りわずかな自然林の中の食料を食べるしかなく、あと十数頭にまで追い詰められています。

絶滅の危機に瀕していることが報道されて久しい四国のツキノワグマ。

にもかかわらず、誰一人、彼らの餌場を復元してやろうとしません。

熊森の四国トラスト地内を歩くクマ。誘引物なしで熊森自動撮影カメラが撮影。

 

見かねた熊森は、数年前からツキノワグマたちの生息地のど真ん中にトラスト地を探し始め、2017年と18年、各1カ所をトラスト地として取得、2019年からトラスト地に登れる道を造り、人工林を伐採し、着々と準備し続け、ついに2020年11月12日、第一弾の実のなる木の植樹にまでこぎつけたのです!

今回伐採に参加してくださった2名は、いずれも若手の森林組合職員。「こんな何もない山にクマたちは住んでいるのか。かわいそうに」を、連発されていました。

かかり木にならないように、一発で倒す。プロの腕の見せ所。

頂上が平原だからか、木は意外と大きく育っていた。伐り出せればよいのだが、奥地過ぎて伐り出せないので捨て伐りに

 

今回の伐倒で、開始前はうっそうとして何も見えなかった人工林の内部の空が急に開かれ明るくなり、何と、隣接する標高1708メートルの石立山の雄大な山頂が見えるまでになりました。

石立山が見える

 

今回シバグリやクヌギ以外に多く植えたのは、ナラガシワ。このドングリは4年で実がなります。堅果(ドングリ類)、液果、昆虫、とにかくえさになるものを四国の山奥にもう一度そろえてやろうと思います。動物は食べ物を食べないと生きていけない生き物です。食べ物がなくなって一番に滅びていくのは、クマなど一番たくさん食料を必要とする大型野生動物たちです。

ついに夢にまで見た植樹こぎつけた

鹿よけ網を張って植樹終了

 

 

この日、熊森徳島県支部の大西さちえ支部長も息子さんたちと険しい山を登りきり、他のボランティアさんたちと初の実のなる木の植樹を行いました。

今回の作業は、12日から14日までの3日間でした。徳島新聞が同行取材して、1日目のことを記事にしてくださいました。感謝。

今回、本部スタッフや愛媛、徳島両県支部の会員ら9人が地元森林組合の2人と協力してトラスト地に登山して、トラスト地のスギやヒノキの人工林約150本をチェーンソーで伐倒し、実のなる木を合計35本植樹しました。昨年間伐した場所の地面を目を凝らして見ると、小さな植物の芽がいくつか顔を出していることがあちこちで確認できました。実生の生育も楽しみです。

 

 

まだクマの餌場づくりは始まったばかり。この山だけで22ヘクタールもあります。作業は50メートル四方の区域で展開。群状間伐といわれるやり方で、まず今回で2カ所の伐採ができました。今後も順次作業を続けていきます。

 

手っ取り早く大型ドローンで里のドングリを山に運んでやればどうか、道が急峻すぎて一般人が登れない場所のため、道づくりから始めるべきだ、潜在植生でなくてもよいので、ナラ枯れに強いものを植えればいいのでは、スギやヒノキの人工林で放置されているよりはずっといいなど、いろいろな声をいただいています。皆さんのお知恵もいただいて、試行錯誤しながら、会員の会費と寄付で食料豊かな森に戻していきます。

 

静岡県から駆けつけてくださった伐倒のプロである山路淳さんは「今回の伐採と植樹は絶滅寸前のツキノワグマを救うために、わずかでも動き出そうとする確かな一歩だと思います。歴史的なことでもあると思い、ぜひとも参加したいと思ってやって来ました。伐倒では思っていたより太い木も多かったですが、作業が順調に進み、目標の植樹もできてよかったです」と話されていました。

静岡県で「クマ止め林」づくり!

熊森の会員がボランティアで頑張ってくださっています

 先日、「クマ止め林」を作ろう!という記事を公開しましたが(10月18日)、実際に静岡県の山でクマ止め林づくりに取り組んで下さっている会員の山路淳さんをご紹介いたします。 

静岡県の天竜川上流で広葉樹林化をめざす

(公財)奥山保全トラストの静岡県佐久間トラスト地での広葉樹林再生活動。衛星写真で茶色く見える部分は人工林を部分的に伐採したところ。

現場は、静岡県浜松市の公益財団法人奥山保全トラスト地が所有する佐久間トラスト地です。

(公財)奥山保全トラストは、熊森の自然保護活動から生まれたナショナル・トラスト運動を進める自然保護団体で、市民のみなさんからいただいた寄付で、生物多様性豊かな水源の森を開発されないように買取って保全する活動をしています。現在、全国に19か所、2346haの水源地の森を買取り、保全しています。

スギ・ヒノキの人工林率77%と山のほとんどをスギ・ヒノキにしてしまった浜松市では、野生動物の棲める生息環境はわずかにしか残っておらず、放置人工林の荒廃も深刻です。人工林地帯である静岡県では、ツキノワグマは絶滅危惧種に指定されています。

奥山保全トラストが所有する294haの佐久間トラスト地も3分の1がスギ・ヒノキの人工林です。ここでは、地元森林組合や日本熊森協会のボランティアに協力いただきながら、クマをはじめとする野生動物の生息地の回復や、保水力ある災害に強い森をめざして、スギ・ヒノキを伐採し、広葉樹林再生活動を積極的に行っています。

 

くまもり会員によるクマ止め林づくり

佐久間トラスト地の一角で、熊森協会の会員の方による動物のえさ場となる森づくりが進められています。

十数年に亘り、ご夫婦でボランティアでご協力くださっているSさんご夫妻の熱意に触れて参加されるようになったのが山路さんです。

山路さんにクマ止め林づくりにかける思いをインタビューしました。

(山路さんが伐採しているスギ・ヒノキの林。伐採したことで光が入るようになりました。)
 

くまもり活動にかける思い 

茨城大学 理学部卒業後、静岡県西部で、高校の理科非常勤講師をしながら、ゴミ拾いや耕作放棄地の草刈りなどの環境活動に取り組んできました。

7年前に林業に転職。現在、中田島砂丘の海岸林整備、春野町、愛知県新城市の里山再生、広葉樹林化。竹林再生プロジェクトで、浜松市天竜区、中区の竹林整備を進めています。 海から山まで、総合的な環境保全の必要を考え、研究活動を行なっています。

 

熊森との関わりは、Sさんご夫妻のお宅の竹藪を整備して、沢沿いの眺め良くしつつ、孟宗竹の伐採技術の開発をしたことがきっかけで、熊森協会の存在を知り6年。奥山保全の重要さを改めて再確認して、入会しました。

人口減社会で、林業を続けるのが困難な場所を広葉樹林に戻していくことは、野生動物の保護だけでなく林業の今後の発展にも必要だと思い、活動に参加しています。

現在、ツキノワグマなど市街地の出没で騒動の中にいる人たちに、奥山の重要性について少しでも知ってもらいたいと思っています。

野生動物の聖域として保全しているトラスト地に立つ看板。Sさんご夫妻の思いのこもった動物たちのポスター。とてもキュートですね。

 

共生の場をつくりたい
 

かつてくまもりが植樹した場所。すっかり植物に覆われ地面が見えない。苗木も順調に育っている(2019年11月撮影)。

 現在、佐久間トラスト地でスギ・ヒノキの伐採や広葉樹の保護、生育調査を行っています。今後は、トラスト地全体の調査と適切な生態系保全に向けての簡易土工の実施をしていきたいです。

尾根伝いのスーパー林道の傍(最初の写真)は随分と明るくなりました。
栗の木が生えているので、それを避けて伐採を進めるのは難儀ではありますけど、広葉樹とスギ・ヒノキが混交する森を、作ること。
そのための高度の伐採技術を、地元の人々に見せていきたいです。
熊止めの森。人間と野生動物の共生の場を作っていくこと。そこは死ぬ気でやらざるを得ません。

 

山路さん、Sさんご夫妻、いつもありがとうございます。 奥山保全トラストや日本熊森協会の活動は野生動物との共存を願うたくさんのボランティアのみなさんに支えられています。

【埼玉県飯能市】このまま、メガソーラーのために森林破壊を許していいの? 工事を止めるため、もう一度、声を上げませんか!

埼玉県飯能市が所有する加治丘陵の森林の伐採が始まっています。
●誰のためのメガソーラー開発?
この森は、飯能市が「自然公園」を目的に(すなわち、豊かな森林を守るために)20億円かけて買い戻している場所です。莫大な税金を投入した市民の財産を、飯能市は、年間たった120万円で、一般社団法人飯能インターナショナルスポーツアカデミー(https://hisa.world/index.html)に貸し出し、サッカー練習場とメガソーラー開発が行われます。
開発予定地は、17ヘクタールもあり、多様性豊かな雑木林や針広混交林で、絶滅危惧種も多く発見されています。
インターナショナルスポーツアカデミーから開発事業を請け負ったのは、大手住宅総合メーカーのダイワハウスの子会社ダイワリース株式会社(https://www.daiwalease.co.jp/)で、事業費は60億円を超えると言われています。
メガソーラーの売電収入は年間2億円と試算されています。
市民の税金で買い取った豊かな森林は、一部の人たちの利益のために、今消えようとしています。森の生きものたちはどうなるのでしょうか。
●10月14日、工事着工 伐採が進んでいます
 日本熊森協会は、加治丘陵のメガソーラー開発を知り、地元で工事中止を求めて活動する「加治丘陵の自然を考える会 飯能」のみなさんと、9月27日にシンポジウムを開催しました。
 スタッフも入れて170人を超える方が参加され、飯能市にお住いの方もたくさんご参加くださいました。「計画を詳しく知らなかった」「何とかして止めたい」という声もたくさんあり、もっと事実を知ってもらうことで、開発を止めてほしいと声をあげる市民の輪は広げて行けると感じました。
●一度、壊してしまった森は、二度と戻らない
 動物の棲める森復元に24年間取り組んできた日本熊森協会は、一度、壊してしまうと元に戻すにはたいへんな時間がかかることを身をもって知っています。
今、この森を壊すのは誰のためでしょうか。子どもたちや次世代のために、豊かな森を残してほしい、開発を中止してほしいと、もう一度、森林の所有者である飯能市、事業者である一般社団法人飯能インターナショナルスポーツアカデミー、開発業者である大和リース株式会社に訴えませんか。
 森林の伐採が始まり、開発地の隣の地区では、ニホンカモシカが2頭現れたそうです。工事により、追い出されたのかもしれません。
●10月25日13時~TBS「噂の東京マガジン」に出ます
 森林文化都市宣言をした飯能市の暴挙ともいえる、メガソーラー開発問題が、25日(日)13時~TBS「噂の東京マガジン」で取り上げられます。
たくさんの方に広めていただきたいです。

 

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