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2012-11-16
無念 阿仁熊牧場に移送されたツキノワグマ、2頭死亡
悲しくてやり切れません。みなさんに、つらいことをお伝えしなければなりません。
終生保護飼育してもらうために、11月7日8日に、秋田県八幡平クマ牧場から阿仁クマ牧場に移送された元気だった6頭のツキノワグマ(オス3頭メス3頭)ですが、雄の成獣が、昨日1頭、本日1頭死亡しました。残ったオス1頭も、下痢・嘔吐が見られ予断を許しません。
今のところ、メス3頭(うち2頭は、愛知県から来た2歳グマ)は異常なしということです。
今度こそ幸せになってもらおうと思ったのに、何がいけなかったのでしょうか。死因は急性腸炎ということですが、あの元気だったクマたちが、命を失うまでのことになったとは・・・秋田県におかれましては、今後のためにも、原因を徹底究明して頂きたいと思います。
11月15日狩猟解禁
11月15日~2月15日まで、狩猟期間です。熊森顧問故東山省三先生の奥様が、狩猟解禁日に、「森の動物たち、何も悪いことしていないのに、遊びやスポーツのためにこれから撃たれる。痛いやろうな」と、胸がつぶれそうになってつぶやかれていたことを、毎年この時期、思い出します。
ツキノワグマの捕獲許可権限を、なぜ県から市町村に降ろしてはいけないのか・・・ 福島県に意見を!
今、福島県は、「ツキノワグマの捕獲許可権限を①緊急時に限り、②県から市町村に委譲する」ことに対する意見募集を行っています。
熊森本部としては、ツキノワグマの捕獲許可権限を、①緊急時名目であっても、②県から市町村に委譲することは、ツキノワグマの乱獲を招くことになるため反対です。意見募集の対象は福島県民となっていますが、非常に大切な問題なので、福島県はもちろん他県のみなさんも、可能な方は、福島県に意見を送ってください。
① 緊急時には、捕獲許可権限を県から市町村に委譲しておく必要があるのか
必要ありません。県からの捕獲許可を得られなかったので、人身に危険が迫っている緊急時であったのにとっさの対応ができなかったという例は、これまで聞いたことがありません。後で、状況を説明すればいいことです。誰も責める人はいないでしょう。
また、土・日などの行政の勤務時間外にクマが罠にかかった場合、行政関係者らは、お互いに連絡が取り合える体制をすでに作っておられます。
現在、クマの捕獲許可権限を福島県が持っていると言っても、実質的に判断するのは県庁ではなく、地元市町村に近い、県の出先機関(5か所)です。
福島県鳥獣行政の素晴らしい点:中通りと会津は昔からのクマの生息地なので、クマが誤捕獲されないように、シカ・イノシシ・カモシカなどを有害駆除する時、くくりわなをこの地域では使わないように指導されています。
また、これらの地域では、クマが誤捕獲されないようにと環境省が定めたくくり罠の直径を12センチ以内とする規制を守っておられ、猟友会からの規制緩和要請もないということです。
②捕獲=捕殺です
福島県では、「捕獲許可」が下りたということは、「捕殺許可」が下りたのと同じことになります。市町村の判断で捕獲できるようにするということは、市町村の判断で捕殺できるようにするということです。間違いなく駆除が暴走します。
●クマの遺体を埋葬しているかどうか疑問
福島県では、クマを捕獲して殺すための経費や報奨金は、市町村行政から猟友会に出ているということです。有害駆除で捕獲したクマの遺体を利用すれば、狩猟と同じことになってしまいますから、有害駆除されたクマの体は、焼却又は埋設するようにと定められています。
しかし、多くの 他県と同様、福島県でも行政担当者は焼却や埋葬に立ち会ったり見届けたりしていません。猟友会に駆除を頼み、報奨金を払い、殺したクマの体は、猟友会に手渡されています。う まく行けばクマノイ、肉、毛皮など計1頭100万円で売れる(=猟友会情報)というクマですから、「猟友会にあげます。好きなように使って下さい」と、言っているのと同じです。
こうして、狩猟と有害駆除で、1年中、森の動物たちが大量に殺されています。恐ろしい国になってしまったものです。本来の、命を大切にするやさしい国に戻さねばなりません。
クマの捕獲許可権限は、県が責任を持って持ち続けるべきです。福島県は、新潟から入ってきたナラ枯れがひどくて、所によってはクマの冬眠を支えてきたミズナラが大量に失われているということです。駆除するばかりでなく、森の動物たちの食料をどうやって補給してやるか考えてやっていただきたいと思います。
福島県のクマ肉は放射能に高度に汚染されており、流通は禁止されていますが、福島県会員からの情報によると、近くの人たちは気にせずにどんどん食べているということです。