ホーム > アーカイブ > 2013-05-19
2013-05-19
5月12日、紀伊半島豪雨災害による山の崩落現場を歩く 三重県池ノ谷トラスト地
一昨年、観測史上最大の豪雨をもたらした台風12号(2011年・平成23年9月)。
三重県大台町でも、3日間で1519ミリの雨が降った。これにより、紀伊半島各地で大規模な土砂崩れが多数発生した。これらの土砂崩れは、雨が地中深くまで浸透して、岩盤の深い部分から大きく崩れる深層崩壊であると指摘された。
NPO法人奥山保全トラストの所有する、三重県大台町池ノ谷でも、国道が崩落したり、山から大量の岩石が崩れ落ちてきたりして大変なことになった。池に流されてきた大量の材木群は、三重県会員有志のみなさんが、チェエンソーを持って集まり、何日もにわたって大変な思いをして片づけて下さったという。
国道の復旧工事が進む中、池にどれくらいの土砂が押し寄せてきているのか、池の保全対策を立てるため、熊森会長、奥山保全トラスト理事長、本部スタッフ、地元の方々ら総勢11名が、5月12日に調査に入った。
工事中の国道横の谷が、恐ろしいほどえぐれて、大きな谷になっていた。谷底に道路が出来ており、この辺までは何度か見に来ているものの、やはり大変な災害だ。
(写真は、工事中の国道から下を見おろしたもの。写っている山は全て、奥山保全トラストが所有)
昨年も一昨年も、5月4日には、すでに満々と水をたたえた池が出現していたが、今年は池の水がまだ少ししかなかった。橋やお社も、有志のみなさんによって、復興されていた。本当にありがたい。
池のふちから山側を見ると、山崩れによる土砂が、池に押し寄せてきているのがわかる。まるで、土砂の広い道が出来た感じ。
一体この崩落は、どこから始まっているのか、開始点を見るため、みんなで山に向かって歩きはじめる。
行けども行けども、崩落開始点が見えない。岩がどんどん大きくなっていく。両側のなぎ倒された木々を見ると、当時の土石流のすさまじさが想像できる。
ついに頂上近くまで来てしまった。
この山は、チャートの岩でできた塊だが、いくつかの所で大崩壊が始まっていた。砂防ダムを造っても、何をもってしても、いったん始まったこの大崩壊を、人間の手では止めることは出来ないというのが、参加者一同の感想だった。これが自然なので、自然界が納得するところまで、崩れてもらうしかない。
ただし、このままでは近いうちに、池ノ谷の池が、上から流れ込んでくる土砂によって埋まってしまう。自然に逆らうことにはなるのだが、池だけは、埋まらないようにしようというのも、参加者の一致した意見だった。これから、専門家の方々にも相談して、対策を練っていこうと思う。