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2013-11

10月20日 地元新聞に見る「福井県での狩猟の魅力まるわかりフォーラム」の報道

以下、10月21日地元新聞記事から

 

 「若者よ、狩りに出よう」 獣害対策の担い手作り促進

拡大 福井県内外の若手ハンターが免許取得のきっかけや狩猟の魅力を紹介したトークセッション=20日、サンドーム福井

福井県内外の若手ハンターが免許取得のきっかけや狩猟の魅力を紹介したトークセッション=20日、サンドーム福井
拡大 模擬銃を構えてハンター気分を味わう若年層

模擬銃を構えてハンター気分を味わう若年層

 狩猟免許を持つ人が高齢化し減少する中、獣害対策の担い手でもある狩猟者育成を目指した「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」が20日、福井県のサンドーム福井で開かれた。約350人が、若手ハンターらのトークやジビエ(野生鳥獣の肉)試食を通し、狩猟の楽しさや社会的意義を学んだ。

環境省が昨年度から企画し、本年度は本県を含め9カ所で開かれる。

一般企業の営業職を経て狩猟免許を取得した齊田由紀子さん(30)=三重県在住=が司会者とのトーク形式で講演した。鳥獣害対策を担う自治体外郭団体への 就職を契機に狩猟の世界に入った齊田さんは「週末の朝、猟に出掛けるのは他のレジャーと変わらない感覚」と説明。その上で「不安に思う人もいるかもしれな いが、有害捕獲では農業者から感謝してもらえる。ぜひ捕獲に参加して」と呼び掛けた。

齊田さんと県内外の若手ハンターの計5人のトーク セッションもあった。狩猟の魅力について岐阜県の永吉剛さん(30)は「暮らしに直結している。食卓に天然の肉が並ぶこと」、長野県の専業猟師、加藤尚さ ん(49)は「子どもが探検に行くような感覚を大人が毎回味わえる」と説明した。

一方、獲物の命を奪うことについて福井市の男性(42)は「(今は専ら有害捕獲で)集落のバックアップあってのこと」と述べ、別の同市の男性(36)は「肉を得られることに感謝し、責任感を持ち最後まで食べることが大事」と述べた。

会場では、模擬銃やくくりわななどの展示に加え、シカの骨でだしをとったラーメンなどジビエ関連で3団体が出展。美浜町の猟師らでつくる「自然と共に生きる会サンガ」によるシカの角を使ったアクセサリー作りも人気を集めていた。

模擬銃構え、ジビエ食す 20~30代関心

狩猟フォーラム会場には20~30代の若い世代の姿が目立った。模擬銃を構えたり、シカの角のアクセサリー作りなど多彩な企画を楽しみながらハンティングの魅力に触れた。「狩猟の意義をもっとアピールすべき」との声もあった。

小浜市と県猟友会小浜支部が無料提供した「OBAMAジビエラーメン」。シカの骨でだしをとり、イノシシの肉が入った風変わりなラーメンのブースの前に長 蛇の列ができた。初めて獣肉を食べた大野市の会社員中島嵩さん(23)は「想像と違って臭くない」と驚き、「ジビエを食べれば増えすぎた獣を減らすことに つながると学んだ。友達に勧めたい」と話した。

女性の姿も見られた。福井市の梅田実生子さん(23)は環境省への就職が決まっており、里山保全に役立つ狩猟免許の取得を目指している。“主婦ハンター”齊田由紀子さんの講演を聞き「女性でもやれるんだ」と親近感を深めていた。

獣害を食い止めるため、今年わな猟の免許を取った越前市の会社員酒井辰典さん(37)は「命を奪う狩猟には『怖い』という先入観がつきまとう。意義や魅力をもっと伝えるべき。猟友会や行政は今回のようなフォーラムをどんどん開いて」と話していた。

 

<参加した熊森関係者から>

350名も来ていたのかなあ。20~30代の若い世代の姿が目立ったと書かれているけれど、そんなにいなかったよ。壇上で、「猟に出掛けるのは他のレジャーと変わらない」と言ったのは一人だけで、あとの人はそれなりに命を奪うことへの葛藤を語っていた。新聞の書き方が、このフォーラム翼賛になっているように感じる。環境省の発表は、先日、熊森と約束したと聞いたような内容にはなっていなかった。

 一方的に動物を悪者にした当日会場の各種展示から

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10月17日 環境省記者クラブでの記者会見

環境省担当官との話し合い後、環境省の「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」の問題点を訴えようと、記者クラブを訪れました。

 

事前に会見アポを取ってから行ったにもかかわらず、会見時刻になっても、当番のテレビ局の方がカメラなしで、一人来られただけでした。しかも、何故か、連絡などしていないのに、先ほどお会いした環境省の担当官2名がやってきて、後ろに座られました。

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環境省記者クラブには23社の新聞社が入っているそうです。私たちは、現場を歩き続けている自然保護団体の考えも聞いていただきたいと思って、自分たちのお金を使って大変な思いをして上京しているのに、聞いてみようという記者がひとりもいないとは、がっかりです。

 

これまでも、何度か環境省の記者クラブで記者会見をさせていただいたことがありますが、アポを取って行っても、1~2社が来てくれたらいいところで、記事に取り上げてくださったことは、これまで1回もありません。

 

環境省記者クラブは、行政側の発表しか書かないのでしょうか。もしそうなら、本当に悲しいです。多様な考えを国民に提示していただかないと、国民は正しい判断が出来なくなってしまうと思います。

 

ちなみに、当番記者の方は、私たちの話を聞いて、「日本の奥山で起きていることなど全く知らなかった。今日初めて聞いた」と言われていました。

奥山問題は、記者さんの知らない世界である。これは仕方がないと思います。しかし、だからこそ、まったく利権なしで動いている私たち市民団体の話も聞いてほしかったのです。

 

 

 

 

10月17日、 「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」の中止、または抜本改革の要請書を持って環境省へ

環境省担当官と午後1時から3時までの意見交換会のアポが取れました。

今、全国を巡回している環境省主催「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」の内容があまりにもひどいので、とりあえずこれだけでもなんとか直してもらいたいと、熊森から、会長、副会長、調査研究員の3名が上京しました。

 

新橋からタクシーに乗って、「環境省まで」と告げると、運転手さんが、「ここで20年も運転手しているけれど、環境省までと言われたのは初めてだ。環境省ってどこにあるんだ」と言われました。これまでもタクシーに乗ったとき、何度か運転手さんに同様のことを言われました。地方から環境省を訪れる国民は、ほとんどいないのだろうかと思いました。

 

霞が関の中央合同庁舎に着きました。

環境省側からは2名の係官が出てこられました。ひとりは去年の春ここに来られた方で、もう一人は今年の春からここに来られた方でした。

日本の行政は、ふつう3年、短い人は1年で担当者が変わっていきます。

21年間も日本の森や野生動物、奥山の保全・再生に、寝ても覚めてもかかわってきた私たちとは、残念ながら、ほとんど話が合いませんでした。自然観や動物観が、私たちとかなり違うように感じました。

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環境省担当官に、環境大臣石原伸晃様宛の要請文を手渡す森山会長

 

<熊森から環境省への主な要請>

①今、シカはどこにいても撃たれます。ここにいたらいいよという場所(=生息地を)を、まず決めてやってください。<生息地保証>

 

②捕殺対応だけではなく、被害防除、追い払い、避妊・去勢など非捕殺対応も検討してください。<非捕殺対応の検討>

③「すごいアウトドア!!」というキャッチコピーでシカやイノシシを殺すのは、他生物の生命への尊厳を忘れた恥ずべき行為なので、即刻このコピーを変えてください。<生命尊重思想>

 

④ハンター数が減少の一途をたどり始めた1970年以降だけのハンター数の推移グラフを見せて、ハンターが減ったからシカ・イノシシが増えたのですと世論誘導するのは、国民だまし。今や、環境省付き研究者たちの「ハンター減少説」は、完全に破たんしています。

地球温暖化等人 間が引き起こした地球環境問題が、現代のシカ問題を引き起こしているのに、まるで、シカがシカ問題を引き起こしているかのごとく、シカに全責任を負わそう とするのは、人間として恥ずかしい。即刻やめてほしい。

人間が狩猟によって野生鳥獣の数を減らし続けないと、野生鳥獣の数が増えすぎてしまうという学説な ど、どこにもない。自然界は、自らの力で、絶妙のバランスを保つ。人間が入っていない未開の地ほど、自然は豊かです。

<対症療法ではなく根治療法を。本当の原因を国民に知らせること>

⑤自然界や山が荒れ、多くの狩猟鳥獣が激減している。むしろ今、一般的な狩猟を禁止すべきである。

今、地元の人たちが困っている、シカ、イノシシ、サル、クマなどの大型動物問題に対応できる被害防除専門官などを育成すべきだ。

レジャーハンターやスポーツハンターなど増やしても、大型野生動物問題など解決しない。「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」は、単なるイベントであり、税金の無駄遣いである。若い女性をプロパガンダに使うのは恥ずかしいので、やめてほしい。

 

 

<環境省の答え>

①生息地保証は環境省の仕事ではない。

②非捕殺対応は考えたことがない。

③このキャッチコピーはすごく気に入っている。このコピーによって、「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」への参加者が増えたから、変えない。

④グラフの一部だけを提示することに問題はないと考えるが、(熊森が強硬に求めるので)、次回の福井県のフォーラムから、1970年以前のハンターが今より少なかったときのグラフも見せることにする。

⑤考えが違う。

 

<参考>環境省発表データをもとに熊森が作成したグラフ。

全国狩猟者登録数(黒の折れ線)とシカ捕獲数(水色)の推移

全国狩猟者登録数とシカ捕殺数の推移

今、ニホンジカが一体どうなっているのか 日本人が対面している自然保護上の難題

1977年の論文を読むと、ニホンジカは絶滅が心配されていました。

シカは、当時は郡部の人でも、奈良公園や宮島に行かなければ見ることの出来ない珍しい動物だったのです。

50センチ以上の積雪日が30日を超えると死亡個体が出始め、50日を超えると、死亡個体が多発するという報告もあります。雪深いところでは、シカは動くことができなくなり、生きられません。

ーーーあれから36年。

今や郡部では、シカが増えすぎた、殺しても殺してもシカが減らないと、悲鳴が上がっています。

いったい、この国のシカたちに、何が起きているのでしょうか。

 

 

そんななか、私たちがニホンジカについて得た情報を、以下にまとめてみました。

自然界には、人間にわからないこと、理解不可能なことがたくさん起きますから、断定はできませんし、どこまで正しいのかも、わかりません。

しかし、人間に翻弄されてきたシカの姿は見えます。

 

シカはどうなったのか 

江戸時代、シカは、林縁の平地に今よりもたくさん棲んでいたと思われます。奈良のように、神様としてシカを大切にする地域もありました。

シカ生息地域の農家は、農作物をシカやイノシシから守るため、柵を設置したり、追い払ったり、時には殺害したりしながらも、この国で共存してきました。

 

明治になって近代化が進む中で、西洋文化である狩猟が一般にも導入され、野生鳥獣が獲られるようになります。(我が国では、明治になるまでの1200年間、「殺生禁止令」が出続けていた)

日本人の人口爆発が起こり、農地化や宅地化がどんどん進んで、シカたちの生息地であった湿地や草原は次々とつぶされていきました。

本来、平地の草食獣であったシカは、山へ山へと追いやられていきます。(今、シカが高山にまで上がっていますが、それ自体が異常なのだそうです)

大雪の年には、シカは動けなくなって、大量に餓死しました。

昔、たくさんいた野犬<ノイヌ>に、絶えず襲われました。(昔、本州や九州にいたのはオオカミではなく、大神としての野犬であるという説による)

戦争中には、食料として人間に食べられ、絶滅寸前にまで追い込まれたところもありました。

 

絶滅の恐れが叫ばれるようになって、メスジカを狩猟対象としないように等と、シカ保護策がとられました。

野犬は東京オリンピックの時に徹底的に駆除したし、飼い犬の放し飼いも禁止されました。これによって、生まれたての子ジカなどを捕食していた動物がいなくなりました。

 

戦後の国策である拡大造林政策によって、スギ・ヒノキの苗木を植えるため、奥山原生林が猛烈なスピードで、皆伐されていきました。

伐採跡地は、一時、大草原と化しました。

草食動物のシカが山の中で増えだしました。

しかし、その後、植林苗が育って、スギ・ヒノキの木々が大きく育つようになると、林中は真っ暗になり、林床は砂漠化してきました。

シカは、生きられなくなって山から出て来始めました。

 

その存在を忘れるほど見かけなくなっていたシカが平成になって、突然人里に現れ出し、みるみる目撃数を増やしていきました。人に追われると、山奥まで造られた道路を通って、簡単に移動します。また、人間が造ったこれら林道の法面に吹き付けられた外来種の草々は、シカたちの格好の餌場となりました。柔らかい草を食べているうちに、気づくと人里に出ていました。

地球温暖化で雪が減り、シカの大量餓死があまり起きなくなりました。(ただし、2012年は大雪でした)

我が国が工業立国をめざしたため、農業従事者が減って、耕作放棄地が目立ち、今や、シカたちが本来の平地の生息地に戻ってくるようになった形です。

農業被害、森林被害、生活被害・・・地元の人たちが、シカ被害に悲鳴を上げ始めました。郡部では、過疎化高齢化が進んでおり、シカに対応する力がありません。

 

<注:以上の記述に新たな情報が入れば、当協会としては、その時点で書き換える予定です。>

 

行政は、保護策をやめて、とにかくシカ数を減らそうと、メスジカも積極的に獲るように、猟友会に依頼しました。現在国は、シカ1頭を獲ると、捕獲者に8千円の報奨金を出しています。市町村の上積みもあって、シカ1頭の捕獲報奨金が2万円となっているところもあります。しかし、獲っても獲ってもシカ数が減らないと言われています。

 

(熊森から)

環境省は、研究者を使って、シカ大量捕殺装置を開発したり、猟友会と連携してハンター養成事業に力を入れ、国をあげてシカ捕殺に躍起となっています。そこには、野生動物の命に対する尊厳など完全に吹っ飛んでいます。生きとし生けるものに対する共感など、もはやありません。研究者たちが唱える適正生息数(1平方キロメートルに3頭)になるまで、人間の力で被害が出ないようにシカ数を減らし、その後はその数を保持しようと考えているようです。

 

しかし、野生鳥獣の数は、自然界では著しく増減を繰り返しながら長期的に一定となるようバランスをとっていくものです。人間が、人力で生息数を思い通りに調整してやろうという発想自体に無理があるのではないかと私たちは思います。

また、今のような大量殺害一辺倒の対応で、「私たちは野生鳥獣とこの国で共存しています」と言えるのか、当協会としては疑問を感じるのです。人としての倫理上の問題もあります。

そこで、環境省の担当官と意見交換をしようと思い、10月17日、兵庫県本部から3名が上京しました。(次ブログに続く)

 

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