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2014-06

6月30日 本格的な炭まき  於:大阪府箕面市

炭を撒いて酸性土を中和し、枯れかけているマツやドングリの木々を次々と元気によみがえらせておられるくまもり群馬県の川嵜支部長が、日本奥山学会の発表の帰りに1泊して、大阪府で、本格的な炭まきを見せてくださいました。

 

炭撒きにご協力くださったのは、NPO法人箕面山麓保全委員会のみなさんです。   実験木に選ばれた木は、60年ぐらいたっているコナラの大きな木で、すでにカシノナガキクイムシが幹にいくつか入っており、虫よけの為の粘着防虫シートがかけられていました。しかし、これまでの経験では、今年の夏には枯れてしまうだろうということでした。

 

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オスのカシノナガキクイムシが、コナラの幹に穴をあけたため、木くずが白い粉に見える

 

熊森本部は、奥山を中心に活動しているので、箕面市の里山で、ナラ枯れがこんなに広がっているのを初めて知りました。

 

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土壌の酸性度は PH3.7。(地表3.6、地下7センチ3.8)かなりきつい酸性土です。   周囲に深さ10センチぐらいの穴を掘り、根にあたるようにまいた炭は約40キロ。1本の木で、これだけの炭をまくのかとびっくりしました。木酢液なども使われました。くわしくは、NPO法人箕面山麓保全委員会のホームページをご覧になってください。

 

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土と炭を混ぜ込みながら、炭を埋めていきます。さて、このコナラ、どうなるか楽しみです。効果は3か月後にはもう出るそうです。

 

炭まきが終わってから、近くの山を歩いてみました。ナラ枯れ防止やシカ除けに、多くの人々の力が使われていました。里山を守るために、NPO法人箕面山麓保全委員会のみなさんたちが、涙ぐましい努力をされているのがわかって、頭が下がる思いでした。

 

近くの山には、炭をまいていないにもかかわらず、カシノナガキクイムシにあけられた幹の穴から、どろりとした樹液を出してきて、虫と闘っている最中の木が何本か見られました。元気な木は、こうやって樹液を出して虫に打ち勝っていきますが、弱った木は樹液を出せないので枯れてしまいます。

 

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虫が開けた穴から樹液を出している木

 

NPO法人箕面山麓保全委員会が炭まき実験をされたのは、今回が初めてとのことです。いい結果が出るといいですね。   NPO法人箕面山麓保全委員会のみなさん、熊森川嵜群馬県支部長、熊森飯島石川県副支部長、みなさんありがとうございました。

 

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  NPO法人箕面山麓保全委員会、熊森群馬県支部長、熊森石川県副支部長、熊森本部

 

 

6月23日本部 奥山で炭まき候補木探し

男性3人女性3人で、梢枯れしている木を探しに、兵庫県の奥山へ入りました。酸性雨で弱っていると思われる木を見つけ、炭をまいて元気になるかどうか、実験するためです。

以前やった時は、買った炭を粉にするのが大変でしたが、今回は粉炭を安い値段で入手することができました。土壌改良剤として売られているものです。ラッキ—。さっそく5袋買いました。

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男性は一人7キロ、女性は一人2キロの炭をリュックに背負って、急な尾根筋を登っていきます。背中の炭のせいで、体のバランスがうまく取れず、足元がふらふらします。

標高700mあたりは、アセビヶ原と名付けようかと思うほど、地面はシカの食べないアセビの稚樹で埋まっています。周りはコナラやリョウブ等の広葉樹の自然林です。尾根の左右は全く違う山です。

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 尾根筋

 

まず、尾根の右側の山。この辺では普通ですが、全山スギの人工林。

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動物の棲めないスギの人工林

 

尾根の左側の山。この辺では珍しく残った広葉樹の自然林。

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昔はたくさん動物が棲んでいたであろう広葉樹の自然林

早く背中の炭を降ろしたいのですが、なかなか弱った木が見つかりません。2時間ほど歩いて、標高950mあたりで、やっと梢枯れしている木を2本見つけました。ここまで登ってきた限りでは、この山では、弱っている木がほとんど見当たりません。

見つけた木は、2年前に根の周りに炭をまいた木でしたが、元気になっていませんでした。炭の巻き方が少なかったのではないかと思い、もう一度、近々この木の周りに炭をまいてみることにして、とりあえず、この日は、炭を置いてきました。

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梢枯れしたミズナラ

 

印をつけた木の下で、記念撮影

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それにしてもこの辺りは、みごとなディアラインです。さぞシカが多いのだろうと思われますが、糞がほとんどありません。この時期は、シカはここにはいないのでしょうか。だとしたら、どこへ行ったのでしょうか。それとも、大量駆除の罠にかかって、みんな殺されてしまったのでしょうか。住んでいない者にとっては、わからないことだらけです。

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尾根から谷へ下りて帰ることにしました。途中、ブナの巨木の前で記念写真。それにしても、広葉樹林なのに、表土がなくなって根が地表にたくさん出てしまっています。周りには、枯れかけて、ほとんど軸だけになってしまったチシマザサがポツポツ生えていました。

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谷を伝って下山しました。

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今回は、目の前に小さな虫がずっと付いてきてうっとうしかったのですが、1日中奥山を歩いたのに、動物たちの気配が本当に少ししかありませんでした。広葉樹の自然林なのに、動物が棲めなくなっている。人間活動が原因なのでしょうが、原因も良くわからない。対策も良くわからない。本当に困ったことです。

 

昔は、谷川のまわりが赤くなるぐらいサワガニがいて、それを食べに来たイノシシが、両岸をまるでブルトーザーが入ったのかと思うほど掘り起こしていたと、この山ではありませんが、この地方の昔の山を知っている人に教わりました。わたしたちは、生き物があふれていた、そんな、ほんとうの森を見て見たかったです。

 

 

 

 

 

第3回日本奥山学会発表会が盛会裏に終了(速報)

80名の参加者を得て、第3回日本奥山学会の発表会を盛会裏に終えることができました。

 

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会場風景 6月29日 関西学院大学法科大学院(兵庫県西宮市)

 

日本奥山学会は、市民がお金を出し合って立ち上げた学会です。利権や権力とは全く無縁ですので、研究者の正義感と良心だけに基づいて発表できます。

 

記念講演、特別講演、研究発表や実践報告、いずれも高い倫理観と使命感を持ったみなさんに今年も発表していただくことができました。

 

今年は、行政担当者や、大学の先生、大学生、大学院生などの参加がありました。遠くは、熊本県、徳島県、香川県、石川県、愛知県からの参加者がありました。参加してくださったみなさん、応援してくださったみなさん、本当にありがとうございました。

 

またこの日、2014年VOL2-1の日本奥山学会誌が販売されました。日本奥山学会として、胸の張れる大変高い内容です。ご関心のある方はどうぞお買い求めください。1冊860円。

 

 

 

 

6月29日日本奥山学会

6月29日(日)に日本奥山学会を開催します。

13時より関西学院大学法科大学院(大学院2号棟)で行います。参加ご希望の方は事前に日本奥山学会事務局までお申込みください。

参照http://kumamori.org/

地図はこちら

 

 

開会

記念講演 広島大学名誉教授 中根周歩先生「水源の森としての奥山保全の意義」

特別講演 麻布大学獣医学部教授 高槻成紀先生「シカ問題は山問題–シカと植物の関係という視点から」

活動報告 川嵜實「松枯れ対策としての炭まき活動とその成果」

調査報告 高野信夫「間伐による植生回復と植林地の問題点等について」

調査報告「人間活動が熊の食生に与える影響」

閉会

 

 

 

大阪豊能誤捕獲クマ③ 同一個体群として生物を見るべきなのに、行政の厚い壁が救命を阻む

6月21日(土)22日(日)、大阪豊能誤捕獲グマのその後が気になるものの、行政が休みに入ったため、連絡がつかなくなりました。これまでも、こういう命に関わる大事な時に限って、よく土日に入ってしまうのです。   6月23日(月)、大阪府庁に問い合わせると、放獣するところもなく、貰ってくれるところも見つからず、このクマはずっとまだ、ドラム缶檻に入れられたままということです。水とハチミツだけはやっており、ドラム缶は屋内に入れてある。クマは生きているということです。いろいろと配慮していただいていることはわかるのですが、立つこともできない狭いドラム缶の中に、4日間も閉じ込めたままでは、動物虐待になります。自分がこのクマだったらと思うと、想像しただけで、耐えられません。とにかく、ハチミツではなく食料を与えてやってほしいとお願いして、この後、くまもりは、このクマの放獣に向けて、精いっぱい動いてみました。大阪や京都のくまもり会員たちも、有力者に頼むなど、陰で動いてくれました。   その結果、見えてきたのが、行政の厚い壁です。クマは絶滅寸前種なのですから、行政としては連携して守らなければならないはずです。しかし、現実問題としては、捕獲された市または町で放獣するという、決して動かせない鉄則が、行政にはあるのだそうです。今回の場合、豊能町で誤捕獲されたので、豊能町内で放獣する以外に放獣の道はないという他行政のみなさんの答えでした。   これまで多くのクマの放獣を手掛けてきた行政のみなさんは、「クマを放獣して問題が起きたことは一度もない。豊能で放獣しても、クマは直ちに兵庫か京都の山に帰る」と言われます。しかし、大阪府や豊能の担当者は、未経験ですから、クマを放したら、その場にとどまるのではないかなどという不安も当然、持ってしまうわけです。くまもりが間に入ることによって、他府県であっても、行政同士、連携し合って助け合って、絶滅危惧種に対応していただけないか、あちこち飛び回ってお願いしてみたのですが、行政の厚い壁は動きません。   本当に悲しくなりました。このクマは、兵庫の山から出て来たにしろ、京都の山から出て来たにしろ、自然界に行政の線引きはなく、<近畿北部地域個体群>に属するクマです。クマは人間によって近々絶滅させられる恐れが大きいため、ワシントン条約でも、保護するために厳しくいろいろなことが規制されています。日本でもこれからは、地域個体群として市町村行政枠を超えて、みんなで対応するように切り替えて行かないと、クマの保全はできないと思います。   こうなったら、大阪豊能誤捕獲グマ問題の解決は、国に乗り出してもらうしかありません。国有林に放獣するなどの、地方行政を超越した手段が必要です。くまもりは、環境省に大阪豊能グマ問題の解決を投げました。

大阪豊能誤捕獲クマ② 飼い主を探すのではなく、山に返してやってください

6月20日(金)、大阪府が、兵庫県と京都府の行政にクマの放獣をお願いしたが断られたので、動物園などの貰い手を探しているという情報が、くまもりに入ってきました。   これまで、野で大きくなった後に捕獲され、動物園や施設で飼われることになったクマのうち、クマのストレスが高じて悲惨な結果になった例が、いくつか思い起こされました。   第一、これまで、くまもりもクマの貰い手を探し回ったことが何度もあるので知っているのですが、誤捕獲されたクマを貰ってくれるところなど、まず、ありません。 しかも、クマは広い山野を駆け巡って 生をまっとうする動物です。   豊能町や大阪府庁にすぐに電話をしました。   いったん野生で大きくなったクマを獣舎に閉じ込めて飼育することは、クマにとって限りなくストレスです。山に返してやることが一番です。すぐ、放獣してやってください。     長年、クマの保護に関わってきたくまもりとしては、とてもていねいに説明してお願いしたつもりです。 この時、担当者から、クマはイノシシ罠からドラム缶檻に移されたことを教えていただきました。     捕獲場所を地図で確認すると、住所としては大阪府ですが、大阪府、京都府、兵庫県のちょうど境です。このクマは、京都府または兵庫県の生息地から出て来たことが考えられます。京都府でも兵庫県でも、どちらにしてもクマは絶滅危惧種であり、イノシシ罠に誤捕獲された場合、行政によって100%放獣されています。 今回のケースも、お願いすれば、行政の連携によって放獣していただけるだろうと、くまもりは思いました。

大阪豊能誤捕獲グマ① 専門家の手で山に返してやってください

6月19日(木)午前、大阪府豊能郡豊能町で、イノシシ罠にツキノワグマの若いオスが誤って捕獲されたというニュースがくまもりに入ってきました。

 

誤捕獲ですから、法律では直ちにその場で放獣しなければなりませんが、くまもりが一報を得てまず思ったのは、大阪にはクマは生息していないし、大阪でクマが捕獲されたこともないので、大阪の担当者たちがけがをしたら大変だということです。

 

そこで、くまもりとしては、すぐに大阪府庁の担当者に電話をして、クマ放獣の専門家を紹介しました。

 

捕獲場所で放すことが無理なら、移動して、直ちに山へ帰れるように放してやってくださいとお願いしました。捕獲されたクマは、人間が住む場所の怖さを知り、山の中へとんで帰るという話を何度か聞いています。クマの方向感覚は、まるで地図や磁石を持っているのかと思うぐらい正確だという話も、専門家から聞いています。

職員のお仕事その3

6月29日(日)が第3回日本奥山学会の開催日です。

奥山学会とは、奥山の環境に関する研究をしている研究者が集まって、動植物と森林の保全について話し合おうという集まりです。

 

兵庫県西宮市にある関西学院大学法科大学院で13時より開催します。プログラムはhttp://kumamori.org/をご覧ください。

聴講希望者は、上記日本奥山学会のホームページからお申し込みください!事前申し込みが必要です。

 

 

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このような学会の準備をしたり、発表内容を学会誌に編集して発行したりすることも、職員の仕事です。

写真は、当日の垂れ幕を点検している職員のNさんです。

 

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大阪豊能町誤捕獲グマ④ 狭いドラム缶檻に閉じ込められて8日目 いったん出して保護を

くまもりはこれまで一貫して、このクマを山に返すことを訴えてきましたが、ドラム缶檻内に9日目となった今、いったん休すです。

とにかく有害駆除用の箱罠でも何でもいいので、一度、このクマを狭いドラム缶檻から出してやってください。立てる所に移してやってください。きちんと食料も与えてください。お願いします。

小さな穴が少しあいているだけで、四方八方全てふさがっています。これでは、呼吸すら困難ではないでしょうか。

この状態では、もはや、今さら放してやっても、このクマには、遠くまで逃げる力が失われているでしょう。明らかに、動物虐待です。命を守るには、もっと迅速なプレーが必要です。

以下、読売新聞6月27日記事に掲載されていた、このクマが入れられているドラム缶檻の全景写真です。こんなところに大きな生き物を8日間も閉じ込めているなんて、もう、信じられません。

ドラム缶檻

6月15日 (自然農) 田植え

6月15日は、やや曇りがちの田植え日和でした。

田植えをすると、やっと稲つくりだなと実感できます。しかしながら、しんどい作業です。

これからの苗にとっては水位調整が肝心です、田植えをしながら水位の動きを見守ります。

田植えとは、苗の移植です。大きくなった苗を、苗床から取り出します。

ちょっとの間、苗の皆さん、我慢してくださいね。

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アドバイザーが、苗床から苗の取り出し方を説明する。「根を切らないように、鍬をつかってとりだして下さい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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苗の植え方を説明するアドバイザー。「苗を深すぎず、浅すぎず、植えて下さいね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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横に並んで、決められた位置に植えて行きます。2チームで植えていきました。写真は、Bチームの皆さんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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作付縄を張って目印のところへ植えていきます。この姿勢がつらいです。ストレッチしながら進みます。

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上の田に移ってラストスパートで植えました・・もう余力なしです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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天晴、全部植えました。苗は刈った草の中にあります。自然農の田植えは、見慣れた田んぼの田植えと、全く違っていますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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田の隣に水たまり池があります。モリアオカエルの卵塊があちこちに・・・びっくりです。でもこれが普通らしいです。

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