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2014-07-14

⑥誤捕獲されたクマが一時保護されている大阪府豊能郡豊能町て、どんなところ?

6月19日、大阪府で初めて、クマが捕獲されました。イノシシ罠に誤ってかかってしまったのです。このクマは、現在、豊能町で、職員から水やえさを与えられて、一時保護飼育されています。

クマが捕獲された場所から約1~1.5キロメートル行くと、京都府亀岡市であり兵庫県川西市です。京都府庁と兵庫県庁に電話で問い合わせたところ、今回このクマが、府内または県内で誤捕獲されていたなら、自分たちはすぐに放獣したと断言されました。

 

豊能町はというのはどんなところか。熊森本部スタッフたちは、6月末に、大阪府北西部に位置し、京都府亀岡市と兵庫県川西市に隣接する豊能町を車で訪れました。

 

【問題が起きた時はすぐに現地へ】というのが、熊森活動の鉄則です。

 

現地は、大阪府にこんな田舎が残っていたのかと信じられない思いがする、山々に囲まれた農村風景の町でした。小川にはいろいろな魚たちが泳いでおり、懐かしいふるさとに帰ったような気がしました。山並みは、北摂山系です。この辺りはかつての薪炭林で、現在は、アカマツ、クヌギ、コナラ等の放置里山林となっており、最近は、野生シカによる林業被害が起きているそうです。

 

豊能町は大阪府の自然景勝地であり、標高は400m~600m。大阪の中心地より気温が約3度低く、大阪の北海道等と呼ばれています。兵庫県境にある妙見山(660m)は、ブナとアカガシの巨木の混交林です。雪量も多いということです。

 

豊能町の面積は34平方キロメートル。森林率は、64%で、うち51%がスギやヒノキの人工林となっていますが、こちらもほとんどが放置されています。人口は21536人で戸数は8739戸です。

 

クマが捕獲されたのは、山林に仕掛けられていたイノシシ罠であり、クマが市街地に出て来たわけではありません。3歳のオスグマが、京都府または兵庫県のクマ生息地から、冒険心を起こしてそっと遠出してみたのではないかと、わたしたちは豊能町の山並みを見ながら感じました。

 

どちらにしても、一時保護飼育されているとはいえ、クマは小さな檻に閉じ込められているため、このままでは弱っていく一方です。豊能町は、一刻も早く絶滅危惧種のこのクマを、山に帰してやってほしいものです。

 

地図の赤い風船のあたりが、誤捕獲された場所周辺だと思われます。

豊能町野間口

ちなみに、今年の6月、このすぐ近くの京都府では3回、兵庫県では1回の、クマの目撃が報告されています。この辺りは、クマが一時期生存できる自然環境にあるということで、そういう意味で、すばらしい自然環境が残されている町だと思います。

 

 

 

 

⑦誤捕獲グマに対する国の対応規定はどうなっているのか

クマ等の野生動物は、「動物愛護法」や「鳥獣保護法」によって対応が国に規定されています。

法律というのは、大きな網の目で規定されたもので、個々の具体的な対応は、環境省が出す様々な文書で規定されます。

 

誤捕獲グマについては、平成23年に環境省が告示した「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針」が、平成24年から平成29年まで使われることになっています。以下は、この指針に記載されていることです。(以下の赤線は、熊森によるもの)

 

31ページ

第4、鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の許可に関する事項2

(6)捕獲実施にあたっての留意事項

 ② ツキノワグマの生息地域であって錯誤捕獲のおそれがある場合については、
地域の実情を踏まえつつ、ツキノワグマの出没状況を確認しながら、わなの形
状、餌付け方法等を工夫して錯誤捕獲を防止するよう指導するものとする。ま
た、ツキノワグマの錯誤捕獲に対して迅速かつ安全な放獣が実施できるよう
に、放獣体制等の整備に努めるものとする。

 

(7)捕獲物又は採取物の処理等

さらに、錯誤捕獲した個体については原則として所有及び活用はできないこ
と、放鳥獣の検討を行うこと、狩猟鳥獣以外においては捕獲された個体を生きた
まま譲渡する場合には飼養登録等の手続が必要となる場合があること、また、捕
獲許可申請に記載された捕獲個体の処理の方法が実際と異なる場合は法第9条第
1項違反となる場合があることについてあらかじめ申請者に対して十分周知を図るものとする。

 

32ページ

(9) 保護の必要性が高い種又は地域個体群に係る捕獲許可の考え方

地域における生息数が尐ない等保護の必要性が高い種又は地域個体群に係る捕
獲許可は特に慎重に取り扱うものとし、継続的な捕獲が必要となる場合は、生息
数や生息密度の推定に基づき、捕獲数を調整する等、適正な捕獲が行われるよう
図るものとする。このような種については、有害鳥獣捕獲と紛らわしい形態を装
った不必要な捕獲等の生じることのないように各方面を指導するとともに、地域
の関係者の理解の下に、捕獲した個体を被害等が及ぶおそれの尐ない地域へ放獣
させる等、生息数の確保に努めることも検討するものとする。

 

<熊森から>

近隣府県はどこも、それぞれ大変な中、誤捕獲グマを100%放獣されています。生息地であった奥山が大破壊されたままであるという問題が全く手付かずであるため、誤捕獲グマの放獣だけでクマ保全ができるものではありません。しかし、まず、助けられる命は助けること。豊能町は誤捕獲グマを一日も早く、放獣していただきたいと願います。

 

放獣にあたっては、クマ放獣に慣れている近隣府県のクマ担当者に会いに行って納得できるまで話を聞かれたり、放獣専門業者に放獣してもらったりしてください。

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