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2014-08-22
熊森との約束を守りましたよ 兵庫県波賀町リンゴ園の幸福さん 今年で引退
- 2014-08-22 (金)
- くまもりNEWS
2004年の第1回山の実りゼロという異常年のときのことです。この年は、なんと、10個もの台風が日本に上陸しました。
兵庫県のクマ生息地にある兵庫一の大きさを誇る波賀町原観光リンゴ園では、台風でほとんどのリンゴが落ちてしまいました。わずかに残ったリンゴを、毎晩クマたちがやって来て、食べ尽くしてしまいました。
そして、この年、リンゴはゼロとなり、観光リンゴ園は閉園に追い込まれたのです。
この時、このリンゴ園のリーダーである幸福専務理事が、「リンゴは、クマにプレゼントしたとあきらめる」と発言。これを契機に、幸福さんは、スギの人工林で覆われた周りの山々を見て、「クマこそ被害者。残りの人生は、スギを伐って、動物の棲める森を復元する」と、宣言。都市市民を主体とする熊森と固く手を組んだのです。
あれから10年。リンゴ園の周りの山々は、毎年毎年、人工林のスギが伐採され、その後に実のなる木が植えられていきました。
今年8月22日、久しぶりにリンゴ園に幸福さんを訪れました。
くまもり「幸福さん、すごいですね。すっかり周りの山の景色が変わってしまいましたね。これまで、人工林のスギを何本ぐらい切られましたか」
幸福さん「もう数えられない。無数やね。熊森と出会ってちょうど10年です。あの時約束したことを、守りましたよ」
ー 約束を守りましたよ ー
この言葉に、わたしたちは、胸がいっぱいになりました。
くまもり「それはそうと、幸福さん。以前、リンゴ園でクマを飼ってもいいなと言われていましたよね」
幸福さん「もう無理です。わたしは今年で引退です。引き継いでくれるメンバーを紹介します」
くまもり「わあ、すごい。後継者を立派に育てられたんですね」
幸福さん「さあ、最後の実のなる木の植林、くまもりさんとやりますよ。場所をご案内します。シカ除け金網も張ってあります。ドングリなどの苗木がある人は、自由に持ってきてください。
波賀町原での実のなる木植樹日は、10月25日(土)です」
熊森本部より:自車参加可。定員30名。参加していただける方は、早めにお申し込みください。
10月25日植樹予定地
幸福さん「ここは来年春に、柿をたくさん植えてカキ園にしましょう。ここは、木を伐り出す時の架線集材の土場にする予定でしたが、もう、架線を張れる技術者がいなくなって、これからはみんな、道を入れて伐り出しますから、不要になりました」
来春、柿植樹予定地
うーん。クマを飼ってくれる人なんて、すぐに見つけられるものではない。やはり、山に放獣するしかない。大阪府が豊能では絶対に放さないと言うのなら、近隣府県に頭を下げて頼むしかない。
くまもり「それはそうと、今も、リンゴを食べにクマさんがここに来ますか」
地元の人達口々に「この4年間、全くクマを見ていません。もう、氷ノ山にクマはおらんよ。みんな、餌を求めて、下の方へ行ってしまった」
8月22日 クマの保護飼育を決めるには、時間がかかる
- 2014-08-22 (金)
- くまもりNEWS | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
朝早くから、兵庫県のクマ生息地に向かいました。あちこちで過疎化高齢化が進んでおり、廃校が次々と出てきています。
廃校になった小学校を宿泊ができるように改造して、ボランティアとして管理しておられる元校長先生が、施設を案内して下さいました。
この方が、「ここのすばらしさは、静けさです」と教えてくださいました。そういわれてみたら、真昼間なのに、本当に静かです。思索するのに持って来いの場所だと思いました。
ここの集落では、もめごとなど何も起きない。みんなで助け合って生きているということでした。すばらしい社会です。
「クマが出ていますか」とたずねると、「今年は、この前から、何度か集落に来ていますよ」ということでした。
ここでは、クマを殺してくれという人など、ひとりもいないそうです。
この町では、以前、町がクマを飼っていました。(26歳で天寿を全う)。
「クマの飼育が、クマという動物を町民が理解するのに役立ったと思われますか」とたずねると、「それは、あるかもしれません」というお答えでした。
お話を伺っていると、このあたりの人々の自然観や感性は、まるで熊森だなと感じました。
自然や大型野生動物と共存する、おおらかで他者を思いやるやさしい文化が、このような奥地にまだ残っているのを知って、うれしくなりました。
「若いクマの研究者たちが、兵庫県のクマ数が激増したと言っていますが、どう思われますか」と、たずねると、「クマが増えているなど、ありえません」と一笑に付されました。そこに住んで日々クマに接している人たちの感覚は大切です。最先端の科学技術を駆使してクマの生息数を計算した大学の先生たちの研究結果が、もし、真実と大きくかけ離れたものになっているとしたら、今後、考え物です。
ご自宅のお庭の大きな木のテーブルの上で、昼ご飯を食べました。ここでの人々の過去の暮らしなど、興味深いお話をたくさん聞かせていただきました。本にまとめて、民族の知恵として、後世に残すべきだと思いました。
昼食後、集落の近くの山を案内してくださいました。
下草ゼロの、ヒノキの放置人工林が延々と続いていました。兵庫県は、人工林の間伐がどんどんと進められ、すでに1周が終わり2周目に入っていると聞いていましたが、実際の山に入ってみると、この辺は、間伐された山などほとんどないことがわかってきました。
地元に行く。地元の人とつながる。現場を見る。全国のくまもり支部地区でも、この活動を進めてください。
<地元とつながらなくては、熊森ではない>
別れ際に、「豊能のクマさんが、行き場をなくして殺処分されそうになっています」と言って、クマの写真を見せると、「わあ、かわいい。さっきの元学校で飼いたいなあ」と言ってくださいました。しかし、地元では、みんなが集まって、心が一つになるまで、ゆっくりゆっくり議論しながら事が進みます。
わたしたちは、今回の間にあわないと思いました。そこで、次の訪問場所に向かいました。