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2014-09

9月22日 朝日放送テレビ 夕方の「ニュースキャスト」が、豊能グマ問題を大きく報道(関西エリア)

「ツキノワグマ捕獲したけど、対応苦慮なぜ」

(以下、内容)

ナレーター:今年6月の事ですが、大阪府内で初めて、野生のクマが捕獲され、それから3か月経つのですが、今もクマは狭い檻の中に閉じ込められたまま。

大阪府はこの事態を受けて対応マニュアルを作成したのですがこのマニュアルがまた波紋を広げています。

 

<日本熊森協会提供の、豊能誤捕獲グマの映像>

 

シャッターが開けられ薄暗い部屋に日の光が射しこむ。

檻に体当たりするのはツキノワグマ。餌をやるため人が出入りするときしか日光があたらない。この狭い檻の中で軟禁状態なってから3ヶ月。一頭の野生のクマの取り扱いを巡って行政の対応が八方塞がりになっている。

 

(現地から)ここは大阪府豊能町の国道です。この辺りはのどかな風景が広がりますが、この田んぼの奥の山の中で、今年6月、国道から300m離れた山中で、野生のツキノワグマが捕獲されました。

 

<猟友会豊野支部会長下村氏>

「ここですね。これはシカとイノシシの捕獲用に設置したんですが、熊なんて大阪では信じられへん話で。」

 

捕獲されたのは体長1.3m、体重51.5㎏、4~5歳のオスとみられている。

兵庫県立大学森林動物センター 横山真弓準教授

6月オスがメスを求めて行動圏を拡大する時期でたまたま通過をしてしまった。

 

大阪府内でクマが捕まったのは初めてで、関係者は困惑した。対応マニュアルが無かったからだ。府はとりあえず二つのドラム缶をつなぎ合わせた檻に閉じ込めた。しかし、その様子を報道で知った自然保護団体が、ヒグマの移送用の檻を府に提供。その時、あくまで臨時の物だと釘を刺したという。

 

<日本熊森協会 森山会長> 

「運搬用ですから狭い、しかも水飲み場やトイレはありません。それで大阪府さんに渡す時に1か月が限度ですよと。」

 

ところがツキノワグマは3か月過ぎた今も、狭い檻の中にいる。なぜなのか。クマが捕獲された時の対応としては、山に返す「放獣」、動物園などへの「譲渡」、そして「殺処分」の3つが考えられる。大阪府ではこれまでなんとか引き取り先がないかと、全国の動物園やクマ牧場などに打診したが、野生なので病気を持っている可能性がある、成獣では人になつきにくい等、105か所すべてに断られた。ならば殺処分できるのかというと、実は捕獲したツキノワグマをむやみに殺すわけにはいかない。近畿地方のツキノワグマは生息数が少なく絶滅が危惧されていて、環境省はイノシシの罠などに誤って捕獲されたものは原則、山に返すよう指針を出している。

 

 

<大阪府動物愛護畜産課 堤側課長補佐>

「人がかなりたくさん山の方まで住んでまして、クマを放したら急きょ人間と接触する可能性がものすごく高くなるという場所にありますので、大阪では無理ですね。ということで自分とこでは放せないという事になりますね。」

 

結局、行き場が見つからず、クマは狭い檻に閉じ込められたままだ。これまで大阪府では10年近く目撃情報すら無かったが、今年は豊能町以外にも、春先からツキノワグマの出没が相次いでいる。

 

近隣府県ではどう対応しているのか。京都府与謝野町 先月からクマの出没情報が連日続いている。

 

<京都府与謝野町住民>

「ここに細長い檻が据えてあった。向こう向きに蜂蜜が入れてあって、中に入って檻の蓋がバタっと閉まった状態で。」

 

先週柿の木などの被害が多かった場所に檻を仕掛け、メスのツキのワグマが捕獲され、その日のうちに集落から離れた場所で山に返したという。クマは臆病で学習能力が高い。 その習性を逆手に取って、この場所は危ないと認識させて山に返すと、人里に下りてくる可能性が低いという。

 

<京都府森林保全課 佐藤課長>

「檻とか罠にクマとかがかかってしまう。そういう場合は、目的と違う狩猟行為、捕獲行為になるので、その地域で放獣をしていると。」

 

とはいえ、クマを山に返すことについて、地元住民の思いは様々だ。

住民 A 「みんなクマ怖いがな。」

B 「処分してもええんじゃないかと思うのだが」

C 「いちいち殺すのは可哀想や思うで」

D 「何とも言えないが、そういう具合に決まっているのなら・・・。」

クマを放すことに住民から反対意見もあるが、京都府はクマを集落に寄せ付けない対策を進めたうえで原則クマを山に戻している。

 

インタビュアー 「住民の方から、放獣しないでとかいう声は?」

佐藤課長 「あっ、そうですね。ありますね。放すことについては、ご理解を頂くんですが。それに対して、一方では被害の防獣対策ですとか、いろんな普及啓発活動を市町村と一緒になって進めて、ご理解を頂いています」

 

 

豊野町と隣接している兵庫県も、京都府と同様、地元に理解を求めながら、誤って捕獲されたクマは、理解を求めながら山に返している。ツキノワグマは極力捕殺しないというのが大原則で、人とクマとの共生の道を探っているのだ。

 

これまでクマの対応マニュアルを持たなかった大阪府が、今回の事態を受けて今月上旬急きょ作った対応マニュアルが波紋を広げている。誤って捕獲されたクマを山に返すのに地元の合意という条件を付けたのだ。

 

<大阪府 堤側課長補佐>

「どこまでというのは難しいと思いますが、住んでおられ方の意見を全てというわけではないかもしれません。ただ出来るだけ多くの方の合意が要るかなと思っています。」

 

地元の住人はどう思っているのか

住民 A 「そらあかんわ。怖いわ。遠いとこ行くんならいいけどな。」

B 「誰かに引き取ってもらうとかが安心ですけど。」

C 「何とも言えない。返した方がいいけどなあ。」

 

少なからず否定的な意見が聞かれた。

府の新ルールでは誤って捕獲されたものは地元が反対すれば事実上殺処分することになる。それは環境庁の指針や他の自治体の対応とは正反対になる。

 

インタビュアー 「他のエリアから見るとどう取られるかな。不公平じゃないかなとあるんですが。」

堤側課長補佐 「ありますね。他と若干違っているのは、近隣府県さんではクマが実際に子孫を残しながら棲んでいる。大阪の場合はそこに棲んでいるのではなく、たまたま来たクマ。そこにひょこっと現れたものなので、若干その取扱い、感覚的には違うものかなという風には思います。」

 

人とクマとが共生するために兵庫県や京都府で作り上げた保護体制。一頭の迷いグマを巡る大阪府の体制がその保護体制を揺るがしかねない。

 

<大阪府行政の発言に対する熊森の見解>

大阪府行政担当者の不勉強と身勝手さ、ごまかしには、あきれ返ります。大阪府民の水源は、琵琶湖です。琵琶湖の水が、いつも満々とたたえられているのは、雨水や雪解け水以外に、琵琶湖の周りに残されたクマたちが造る豊な森から、毎日、琵琶湖に大量の水が流れ込んでいるからです。

 

「水は、森から」なのです。

 

琵琶湖の周りの森を形成している重要な構成メンバーであるクマが絶滅しそうになっているため、みんなで守ろうとしているわけです。

 

大阪府はクマの生息地ではないから、クマが迷い込んで来たら殺しますという身勝手な答えにはあきれてしまいます。しかも、豊能の山は、大阪府と言っても、京都府や兵庫県と隣接してつながっており、生息地に行政の境界線などないのです。

豊能の山に、クマが生息していないかどうかは知りませんが、生息していないならなおさら、放獣すべきです。クマは餌のない市街地になど向かいません。生息場所に帰っていくだけです。全く持って生態を不勉強です。

ほんの一瞬、大阪府の山中に顔出ししただけのクマを、なぜ、大阪府は殺す権利があるのか、理解できません。

しかも、殺すことに決めたのに、大阪府ツキノワグマ対応方針では、「周辺住民の合意が得られた場合、速やかに放獣を実施する」と記述し、一般の国民に、<次回は放獣もあり得ると誤解させる書き方>をしています。大阪府担当者のずるさは、全く許せません。大阪府にクマが顔出ししたら、速やかに殺すことにしましたと、誰にでもわかるように書くべきです。

 

今、捕獲して狭い檻に収容しているクマの状態は、明らかに動物虐待であり、動物愛護法違反です。大阪府動物愛護畜産課としては、早急に飼育改善をすべきです。大阪府では、お手本になるべき行政が、鳥獣保護法違反と動物愛護法違反を続け、動物を虐待しています。

(以上)

9月28日 土砂で埋まっていく日本の渓流に危機感 兵庫県宍粟市<渓流の生物調査>

くまもり本部は、兵庫県の奥山の渓流に入り、水生生物の調査を行いました。

地元集落のおばあさんの話によると、昔は、この時期になると、30㎝ぐらいのアマゴが産卵のために浅瀬にたくさん上がって来て、女でもいくらでも手づかみできたということです。

 

8年前にここの谷川を見た時、すでに魚影が、見当たりませんでした。

地元の方の中には、釣り人が来て乱獲しているとか、バッテリーを持った人がやって来て、根こそぎ魚を獲っていったとか教えてくださる方もあり、わたしたちは胸を痛めました。

渓流魚は絶滅してしまったのでしょうか。今回、専門家に来ていただき、みんなで調査することになりました。

 

この日、指導して下さったのは、くまもり会員で渓流釣り歴40年のベテラン渓流釣り師です。

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まず最初に、この方は、青い雑巾で水中の岩肌をぬぐわれました。

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そこには、何匹かの小さな黒い虫がついていました。これだけで、「この川に、魚がいます」と、この方は断言されました。さっそく、釣り針にミミズを付けて、谷川の魚がいそうなところにたらすと、しばらくして12センチのアマゴがかかりました。

「まだ、アマゴが残って居た!」

わたしたちはうれしくなりました。初めてアマゴを見る人もいました。確かに、ヤマメと違って、体側にきれいな赤い斑点が付いています。

アマゴ2

魚は、写真撮影後、直ちに、川に戻してやりました。

 

わたしたちは、タモ網を使ってガサガサ調査をしました。

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川の中の石の下は、水生生物たちの大事な隠れ家です。石ををひっくり返すと、川虫やサワガニ、カジカなどの生き物の姿が少しありました。隠れていたところをびっくりさせて、申し訳なかったのですが、生き物たちと少し出会えてほっとしました。

 

(今回確認できた水生生物)

〇アマゴ、タカハヤ、カジカ、サワガニ、イモリ、川虫…本当に少しだけですが、見つけることができました。

× イワナとヤマメは、見つかりませんでした。

 

今回の調査で、谷川の水量が少なかったこと、流れが緩やかなこと、岩の下の空間が土砂で埋まっており、魚たちの隠れ家があまりないことなどが気になりました。

 

渓流釣り師は、まず山に入るとき、上流の山を見るそうです。戦後の拡大造林で、人工林にされてしまったところは、水量が激減です。魚もそれにつれて激減で、釣り場としては、だめだそうです。

 

また、人工林の中は下草が生えていないため、雨が降るたびに表土が流出し、谷川に流れ込んで、川を埋めていきます。川の流れが緩やかになると、水の中の酸素が不足したり、淵がなくなったり、川の中の岩の下にあった大きな空間(水生生物の隠れ家)が埋まったりして、渓流魚や川虫などの水生生物は生きづらくなります。

 

また、ダムが造られると、これらの魚は海に行けなくなってしまいます。

この日、興味深いお話をいろいろと聞かせてただきました。くわしいことは、会報などで、会員のみなさんにお伝えしていきたいと思います。

 

最近は、原生林でも下草が消えて、林床が茶色一色になっている所が多々あります。

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ササが消え、林床には、シカが食べないチャボガヤがうっすらと生えているだけです。(6月撮影)

この原因はシカだと言われていますが、それだけが原因かどうかはわかりません。その結果、雨が降ると、原生林からも土砂が流れ出て、原生林内の谷川までもが埋まっていきます。

ここでも、沢の両岸の樹木の根がむき出しになっており、川岸の土砂が谷川に崩れ落ちているのがわかります。その結果、両岸の樹木があちこちで倒れ込んできていました。

 

わたしたち人間が、経済や自らの欲望のために行ってきたことが、多くの魚たちや虫たちの生息場所を奪ったのだと思うと、悲しくなりました。

 

もう一度、昔のようにこの谷川に大きな魚をたくさんよみがえらせるには、大量の水量と、速い流れを復活させることが必要です。そのためには、この地域の奥山全部の風景を、昔の広葉樹林に戻さねばなりません。一市民団体だけでは限界があります。国を動かさなければ、だめです。

 

★当協会がシンボルにしているクマから見れば、戦後人間が奥山にしてきたことは、実りをなくし、昆虫をなくし、渓流魚をなくしたことで、徹底的にクマたちから餌を奪ったことになります。クマたちは里に出ていくしかありません。

9月21日 くまもり自然農 田んぼは毎日見まわるべし

本部自然農チームは久しぶりに、イネの成長を見に、兵庫県南部の阪神間から、北部の豊岡市にあるくまもり田んぼを訪れました。前回、田んぼを見まわったのは、9月6日ですから、2週間ぶりです。

 

到着してみて真っ青。田んぼに水を引き込む管に土砂がたまって、田んぼが干上がっていたのです。大事な時期だったのに、後の祭りです。しかも、どこから入ったのか、なぜか田んぼの真ん中でシカが死んでいたのです。もうきれいに骨だけになっていましたが。

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 田んぼの真ん中のイネが倒れ、穴が開いたようになっている。そこに、シカの毛が散乱していた

 

うーん。米作りの基本は、まず第一に、毎日田んぼを見回ることではないかと、思ってきました。コメも生き物ですから、毎日毎日、人間が見てやらねばならないと思い知らされました。農家の方が、毎日田んぼを見まわっておられるわけがよくわかりました。

 

居住地から遠く離れ、たまにしか見に行けない場所で、米作りをすることの限界を感じました。しかも、本当は、田んぼに水をためるのが米作りですが、くまもり田んぼでは、普段の水量調整ができないため、山からの冷たい湧水を、田にかけ流しています。そのため、田んぼの水温が上がらず、これも、イネの成長を遅らせている一因かもしれません。

 

みんなで気を取り直して、シカの死体を片付け、谷川から田に水を引き込む管に詰まっていた土砂を取り除いて、再び水を田に引き込みました。その後、畦の草刈りなどをして帰りました。

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当初、地元の方に、田んぼの見回りをお願いしていた時は、米は良く実っていました。

都市民が遠隔地で米作りを行う場合、日々の田んぼの水量調整ができませんから、やはり、地元の見回り協力が必要だと思い知らされました。

 

 

 

㉔ 9月18日 朝日放送テレビの夕刻番組「キャスト」の取材

豊能町誤捕獲グマのことで、「キャスト」の取材陣が熊森本部に来られ、森山会長を取材してくださいました。

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打ち合わせる時間もなく、いきなりテレビカメラが回り始めました。本当に取材現場のみなさんも、忙しくされているんだなあと思いました。少しでも国民のみなさんに真実が伝わりますようにと、願います。一方的な行政発表だけではなく、自然保護団体の声も流していただけるのは、あたりまえのことですが、本当にありがたいことです。

 

放送は22日夕方の予定だそうですが、状況次第では、変わることもあるということでした。

㉓ 9月17日、豊能誤捕獲グマのお世話

9月17日、北大阪地区の会員の方々を中心に、豊能グマのお世話に行っていただきました。

クマが入れられているクマ運搬用檻はきれいに掃除されており、部屋もとても明るかったそうです???こんな報告は初めてです。

何があったのか知りませんが、「大阪府のこの誤捕獲グマの飼育環境は、暗く狭く不潔で、クマを虐待している。改善して欲しい」と、訴え続けてきた熊森にとっては、一歩前進で、ありがたく思いました。

この日は、関東の会員が本部に送ってきてくださったマテバシイのドングリも持って行って、クマに与えて頂きました。

 

大阪府は依然として、マスコミのクマ収容現場の取材要請を拒否していますが、その代わり、行政が撮影した近況写真を提供することになったそうです。記者が自分の目で見ず、行政が取り繕った写真を掲載し、行政のコメントだけを流す。このような報道のあり方に、やがて恐ろしい世の中がやって来る気配を感じました。

㉒ イギリスの動物愛護団体から 大阪府松井一郎知事に、豊能のクマ問題で請願署名 数日間で5,312名分の署名が届けられる

イギリスの動物愛護団体が、豊能のクマを救うため、ネットで署名を集めてくださいました。熊森にとっては、初めて見るネット署名で、最初意味が解らず、戸惑ったり驚いたりしました。海外のみなさんを初め、署名をしてくださった全ての皆さんに、心からお礼申し上げます。すでにこの請願署名は、大阪府松井一郎知事に届けられたということです。

 

ヨーロッパでは現在、アニマルライト(動物の権利)が声高に叫ばれるようになってきております。この地球は、人間だけのものではない。全生物と人間が共存する場所としてとらえ直そうという方向に、文明の転換が始まっており、現代生態学の発達もあって、人間の事しか考えない人間中心主義は、人類破滅への道であるということへの理解が広まっているようです。

日本でも、人間が、他生物の存在に畏敬の念を持つやさしい文化を取り戻したいものです。

 

他生物にも優しい文明が、一番優れている

 <注:以下は、イギリス(ロンドン)の団体が大阪府知事にあてた請願署名の日本語版です>
大阪府知事 松井一郎様
請願書 
                                                                                                                                                                          2014年9月15日
貴府は2014年6月19日に貴府豊能郡豊能町山中で初誤捕獲されたクマを、日本国の定める鳥獣保護法に準じて即放獣しなければならないにもかかわらず、いまだに放獣しておられません。
3ヶ月以上も、日の当たらない暗い倉庫の中、水飲み場も糞尿処理もない狭い輸送用檻にこのクマを閉じ込めたままで、劣悪な環境でクマを衰弱させています。
これは虐待行為以外の何ものでもありません!
8月20日貴府動物愛護畜産課は「もらい手も放獣先も見つからなかった」としてこのクマの殺処分を熊森協会に通告したことがわかりました。
これは明らかに鳥獣保護法ならびに動物愛護法違反です。
今回の地域個体群であるツキノワグマは、絶滅危険種にも指定されております。
さらにこの事件後、9月4日発表の「大阪府ツキノワグマ出没対応方針」によると、「住民や自然公園等の利用者の安全確保を最優先するため」、今後も大阪府に顔出ししたクマや大阪府で誤捕獲されたクマはすべて捕殺するという内容です。
近隣府県行政が誤捕獲グマをすべて放獣し、生態系保全への努力を続けている中、大阪府だけが時代遅れも甚だしい自分勝手なわがままを通そうとしています。
一体何という暴挙でしょうか。
大阪府だけが、国法を逸脱することはいかなる理由をもってしても許されることではないと思います。
この事件はすでに全世界の人々の知るところとなりつつあり、クマの状況に関して世界中の心ある人々が常時固唾をのんで見守っております。
さらに貴府は管轄保健所で収容した犬や猫をことごとく殺処分しています。これに関して日本でワーストワンという事です。
この事実に関しても今回の事件と相まって全世界の人々の知るところとなりつつあります。
上記の事を踏まえました上で、謹みまして以下を請願させていただきます。
1.  クマを即時開放すること。
2.  長い拘束期間の後でクマの健康状態が戻りリハビリ後放獣可能な状態になるまで熊森協会にクマを預け、放獣すること。
3.  9月4日発表の「大阪府ツキノワグマ出没対応方針」を即時撤回していただく事。
ほんの数日間で集まりました分ですが、緊急の事態ですので急遽5,312名分の署名を添付させていただきます。
すでに現在新規の署名活動が開始されており、そちらの方もまとまり次第お送りさせていただきます。
貴府動物愛護畜産課の法律違反に対して、知事の正しく適切なご指導をなにとぞよろしくお願いさせていただきたく存じます。
万一上記の請願が却下されました場合、運動はさらに活発に広がっていくことになるとは必至でございます。
ご迅速なご善処を切にお願い申しあげます。
A・M
London, UNITED KINGDOM
熊森注:請願署名文書日本語版に訂正が必要な部分がありましたので、熊森本部が一部訂正しておきました。

㉑ これはひどい 熊森が、豊能のクマをぜひ飼いたいと言ったことになっています 

9月10日、大阪府松井一郎知事定例記者会見で、「豊能のクマをぜひ飼いたいといってくれているところもまだある」という発言に、驚きました。大阪府動物愛護畜産課の担当者に確認してみました。

 

熊森:豊能のクマをぜひ飼いたいといってくれているところがあるんですって?

 

大阪府:熊森だけです。他にはありません。

 

熊森:まさか。これってうちのことなんですか!うちは、飼いたいなんて言った覚えは全くありませんよ。

(熊森注:熊森の考えは、「野のものは野に」であり、特に、クマは飼うべきではないという考えです。しかも、クマを飼うということは、獣舎だけでも数百万円かかるし、土地、毎月の餌、人件費、それらを30年間分をかけると、何千万円も必要です。熊森はクマを飼いたいと思っておりません)

大阪府が殺処分すると言ってきたから、誤捕獲グマを殺すのはおかしい。大阪府が殺すなら、熊森はやむをえず保護飼育すると言っただけです。いったい、あなた方は、知事に何と報告して下さったのですか。自分たちが殺処分を伝えたため、熊森がやむにやまれぬ気持ちで、保護飼育を申し出たと、正しく伝えてくださったのですか。

 

大阪府:そのように伝えています。

 

熊森:これまで、このクマの保護飼育に関して、回答期限を付けたものまで含めて、当協会から3回FAXを大阪府庁に入れさせてもらっていますが全くお返事がありません。完全無視です。

 

大阪府:口でお答えします。

 

熊森:こちらも文書で書いたので、回答できる範囲でいいので、文書で回答していただきたい。

 

大阪府:わたしたちは、文書による回答は致しません。

 

熊森:文書でやり取りしないと、今までもそうですが、事実と違うことが何回も流れており、もう、動物愛護畜産課と安心してお話しすることはできません。

 

大阪府:行政というところは一切文書を出しません。

 

熊森:他の行政の方からいただいた文書が、これまでたくさんあります。大阪府さんが一切文書で答えないと言われるなら、国民に対する誠意が全くないということではないですか。国民をばかにしていると思います。(ちなみに、動物愛護畜産課にメールやFAXを出した人たちから、一切返事がないという訴えが、当協会に6月から来ています)

 

<熊森から>

知事の発言を読むと、有害捕獲と誤捕獲の区別もできておらず、動物愛護畜産課が実態を正しく知事に伝えておられるのかどうか、大変疑問です。そもそも、大阪府はこの誤捕獲されたクマを、3か月間も運搬用の狭い檻に閉じ込めており、鳥獣保護法と動物愛護法に違反し続けていること、担当部署が殺処分を決定したこと、熊森がそれはおかしいと言ったこと、…知事答弁を読んでいると、真実が伝わっているとはとても思えません。知事はお忙しいですから、担当部署がきちんと伝えないと、対応を間違い恥をかかれることになると思います。

 

現在、多くの方が、豊能の誤捕獲グマのことで松井知事に真摯な声を届けてくださっているようですが、今回の知事の記者会見答弁を読むと、全く知事の耳には何も入っていないような気がしました。もし、きちんと人々の声が入っていてこのお答えなら・・・言葉を失います。

 

 

⑳ 9月10日 大阪府松井一郎知事 豊能グマに関する記者会見

(以下 、大阪府のホームページより)

捕獲されたツキノワグマの受け入れについて

 

町中:大阪日日新聞の町中と申します。
6月に豊能町で捕獲されたツキノワグマなんですけれども、受け入れ先を探すということでされてきたと思うんですけど、現在はどのような状況でしょうか。

松井:捕獲されたその熊を、この間、105カ所打診をいたしました、引き受けてほしいということで。しかし、現在は引き受けるという返事をいただいたところはまだありません。今はこちら側で飼育をしております。
今後のことについては、今、内部で検討しています。全て協議先が立ち消えたかといえば、そうではなくて、ぜひ飼育したいと言ってくれているところもまだあります。ありますが、そこが安全に本当に飼育できるのかどうかをしっかり確認しないことにはお渡しするわけにいきませんから、その協議を継続して今やっているところです。

町中:結果的に飼育を始めてから約3カ月、野生動物を保護しているというこの状態については、どのようにお考えでしょうか。

松井: やっぱりこの大阪で熊が発見される、捕獲されるという想像を今までしていなかったわけで。大阪の場合は熊は生息していないという前提で今までやってきました。それで、その他の有害鳥獣と言われているイノブタとか鹿とか、そういうものについては、これまでも何度も捕獲をし、処分しています。だから、やはりそちら側は、慣れていたんですけどね。やっぱり熊というものに慣れがないので、すぐに処分できないのが今の現状です。だから、イノシシ、イノブタと言われるそういう有害鳥獣は、罠でひっかけたらすぐ殺処分ですよね。みんなあれ、ボタン鍋にしていますよ、それは。でも、そっち側は、慣れているからすぐできるんですけど、熊はやっぱり初めての経験なので、なかなかすぐに処分というところに、これ、気持ちの問題もあってできないというところですね。
でも、全国では年間約2,000頭…。

 職員

1,000頭ちょっとです。

松井: 1,000頭ちょっとが捕獲されて、そのほとんどは殺処分という形でされているわけですね。
だから、それは、慣れているところはすぐにそういう対応ができるんでしょうけども、大阪の場合、慣れていないので、今は3カ月かかってしまっているということです。

町中: 現在、協議中のところがあるというふうなことをおっしゃいましたが、仮にその団体なり施設さんが結局受け入れられないとなった場合、殺処分ということも視野に入れなきゃいけないのかなと思うんですけれども、そのあたりの判断というのはいつぐらいにするか決めていますでしょうか。

松井: 現在、団体と協議中ですから、その答えが出次第ということです。

2014年本部調査 山にクマの餌がない! 今年の豊凶調査はブナ凶作、ミズナラ不作

熊森協会本部では9月9日から13日までの5日間、兵庫県の但馬地方を中心に山の実り調査をしてきました。

調査樹種はブナとミズナラで、豊凶ランクは◎豊作・〇並作・△不作・☓凶作の4段階に分けました。各調査地で約10本程をブナは13カ所、ミズナラは15カ所で見てきました。

ブナは昨年度が一斉開花の年だったので、今年は凶作だろうという予想のもと調査しました。結果は、やはり凶作でした。ミズナラだけでも実りがあればと願ったのですが、ミズナラも不作でした。

昨年ほぼ豊作だった峰山高原のミズナラも今年は不作以下という状況でした。

9月16日 (57)

昨年度 2013年9月16日撮影 峰山高原のミズナラ-豊作

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2014年9月13日撮影 峰山高原のミズナラ-凶作

 

ブナはどの木も凶作です。梢枯れした枝に少しだけ殻斗がついている木がわずかにありましたが、中に実が入っているかどうかどうかは疑問です。しかし、それ以外はまず実が見つかりません。ゼロと思っていただければいいと思います。

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梢枯れした枝にわずかについたブナの実

ミズキはクマが大好きで、液果の小さな実がなる植物です。昨年は、この時期にたくさんの赤い実がついたいました。しかし、今年はまだ実が青く、実自体がついていない枝も多かったです。

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昨年度 2013年8月22日撮影  鉢伏のミズキ-全体的に赤い実がついているのが分かります

 

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2014年9月12日撮影  鉢伏のミズキ-全体的に実がほとんどついていません

 

今年は東北地方から中部・北陸のあたりなど、全国的に山の実りが悪いと報道されています。本当はコナラやアベマキ、ウラジロガシなどもきちんと調査すべきですが、ざっと見た感じではあまりよくないように感じました。ブナ・ミズナラ・コナラに関してはもうすぐ、兵庫県森林動物研究センター(行政)からも、発表があると思います。まず昨年よりかなり悪いと思います。

 

以前、山の実りが凶作の年、兵庫県では、秋にクマが集落に大量出没していた時期があります。最近は、春や秋から餌を求めて出てきているので、秋に大量に出て来る現象がおきるのかどうか、わかりません。

 

ただ、本来、おとなしくて臆病な動物なので、人間側が気を付けて行動すれば、人身事故も減らせます。クマの棲む山に入るときは、一人でそっと入らず、大きな声や音をたて続け、クマに人間が来たことをしっかり知らせてください。クマの方が、人間に出会わないように移動してくれます。

 

⑲9月9日付で、豊能グマ飼育環境改善願い文書を提出

当協会は、大阪府知事、動物愛護畜産課課長、豊能町町長あてに、以下3点について、豊能グマ飼育環境改善願いを申し出ました。

毎日の新鮮な水補給と給餌はもちろんですが、衰弱死しないよう、
①日光に当てること。
②衛生上の問題を考え、毎日糞尿の除去をすること。
③木切れ等の遊び道具を檻に入れるなど、ストレス軽減のための措置をとること。

以上。

 

 

尚、以前から申し伝えておりますが、当協会はボランティア団体なので、クマの保管場所を開錠して頂ければ、ボランティアで飼育手伝いに入らせていただきます。

 

9月9日に放映されたMBSニュースで、当協会が飼育手伝いに入った時の豊能グマの映像が流れたため、多くの方に、豊能グマは、明るくていい環境で大切に保護飼育されているという誤ったイメージを与えてしまいました。実際は、劣悪な環境で1日中暗い中で閉じ込められています。何もすることがなく、明らかに動物虐待です。普段の部屋の中の様子は以下です。写真中央にクマがいます。

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