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2014-09-22
9月22日 朝日放送テレビ 夕方の「ニュースキャスト」が、豊能グマ問題を大きく報道(関西エリア)
- 2014-09-22 (月)
- _クマ保全 | くまもりNEWS | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
「ツキノワグマ捕獲したけど、対応苦慮なぜ」
(以下、内容)
ナレーター:今年6月の事ですが、大阪府内で初めて、野生のクマが捕獲され、それから3か月経つのですが、今もクマは狭い檻の中に閉じ込められたまま。
大阪府はこの事態を受けて対応マニュアルを作成したのですがこのマニュアルがまた波紋を広げています。
<日本熊森協会提供の、豊能誤捕獲グマの映像>
シャッターが開けられ薄暗い部屋に日の光が射しこむ。
檻に体当たりするのはツキノワグマ。餌をやるため人が出入りするときしか日光があたらない。この狭い檻の中で軟禁状態なってから3ヶ月。一頭の野生のクマの取り扱いを巡って行政の対応が八方塞がりになっている。
(現地から)ここは大阪府豊能町の国道です。この辺りはのどかな風景が広がりますが、この田んぼの奥の山の中で、今年6月、国道から300m離れた山中で、野生のツキノワグマが捕獲されました。
<猟友会豊野支部会長下村氏>
「ここですね。これはシカとイノシシの捕獲用に設置したんですが、熊なんて大阪では信じられへん話で。」
捕獲されたのは体長1.3m、体重51.5㎏、4~5歳のオスとみられている。
兵庫県立大学森林動物センター 横山真弓準教授
6月オスがメスを求めて行動圏を拡大する時期でたまたま通過をしてしまった。
大阪府内でクマが捕まったのは初めてで、関係者は困惑した。対応マニュアルが無かったからだ。府はとりあえず二つのドラム缶をつなぎ合わせた檻に閉じ込めた。しかし、その様子を報道で知った自然保護団体が、ヒグマの移送用の檻を府に提供。その時、あくまで臨時の物だと釘を刺したという。
<日本熊森協会 森山会長>
「運搬用ですから狭い、しかも水飲み場やトイレはありません。それで大阪府さんに渡す時に1か月が限度ですよと。」
ところがツキノワグマは3か月過ぎた今も、狭い檻の中にいる。なぜなのか。クマが捕獲された時の対応としては、山に返す「放獣」、動物園などへの「譲渡」、そして「殺処分」の3つが考えられる。大阪府ではこれまでなんとか引き取り先がないかと、全国の動物園やクマ牧場などに打診したが、野生なので病気を持っている可能性がある、成獣では人になつきにくい等、105か所すべてに断られた。ならば殺処分できるのかというと、実は捕獲したツキノワグマをむやみに殺すわけにはいかない。近畿地方のツキノワグマは生息数が少なく絶滅が危惧されていて、環境省はイノシシの罠などに誤って捕獲されたものは原則、山に返すよう指針を出している。
<大阪府動物愛護畜産課 堤側課長補佐>
「人がかなりたくさん山の方まで住んでまして、クマを放したら急きょ人間と接触する可能性がものすごく高くなるという場所にありますので、大阪では無理ですね。ということで自分とこでは放せないという事になりますね。」
結局、行き場が見つからず、クマは狭い檻に閉じ込められたままだ。これまで大阪府では10年近く目撃情報すら無かったが、今年は豊能町以外にも、春先からツキノワグマの出没が相次いでいる。
近隣府県ではどう対応しているのか。京都府与謝野町 先月からクマの出没情報が連日続いている。
<京都府与謝野町住民>
「ここに細長い檻が据えてあった。向こう向きに蜂蜜が入れてあって、中に入って檻の蓋がバタっと閉まった状態で。」
先週柿の木などの被害が多かった場所に檻を仕掛け、メスのツキのワグマが捕獲され、その日のうちに集落から離れた場所で山に返したという。クマは臆病で学習能力が高い。 その習性を逆手に取って、この場所は危ないと認識させて山に返すと、人里に下りてくる可能性が低いという。
<京都府森林保全課 佐藤課長>
「檻とか罠にクマとかがかかってしまう。そういう場合は、目的と違う狩猟行為、捕獲行為になるので、その地域で放獣をしていると。」
とはいえ、クマを山に返すことについて、地元住民の思いは様々だ。
住民 A 「みんなクマ怖いがな。」
B 「処分してもええんじゃないかと思うのだが」
C 「いちいち殺すのは可哀想や思うで」
D 「何とも言えないが、そういう具合に決まっているのなら・・・。」
クマを放すことに住民から反対意見もあるが、京都府はクマを集落に寄せ付けない対策を進めたうえで原則クマを山に戻している。
インタビュアー 「住民の方から、放獣しないでとかいう声は?」
佐藤課長 「あっ、そうですね。ありますね。放すことについては、ご理解を頂くんですが。それに対して、一方では被害の防獣対策ですとか、いろんな普及啓発活動を市町村と一緒になって進めて、ご理解を頂いています」
豊野町と隣接している兵庫県も、京都府と同様、地元に理解を求めながら、誤って捕獲されたクマは、理解を求めながら山に返している。ツキノワグマは極力捕殺しないというのが大原則で、人とクマとの共生の道を探っているのだ。
これまでクマの対応マニュアルを持たなかった大阪府が、今回の事態を受けて今月上旬急きょ作った対応マニュアルが波紋を広げている。誤って捕獲されたクマを山に返すのに地元の合意という条件を付けたのだ。
<大阪府 堤側課長補佐>
「どこまでというのは難しいと思いますが、住んでおられ方の意見を全てというわけではないかもしれません。ただ出来るだけ多くの方の合意が要るかなと思っています。」
地元の住人はどう思っているのか
住民 A 「そらあかんわ。怖いわ。遠いとこ行くんならいいけどな。」
B 「誰かに引き取ってもらうとかが安心ですけど。」
C 「何とも言えない。返した方がいいけどなあ。」
少なからず否定的な意見が聞かれた。
府の新ルールでは誤って捕獲されたものは地元が反対すれば事実上殺処分することになる。それは環境庁の指針や他の自治体の対応とは正反対になる。
インタビュアー 「他のエリアから見るとどう取られるかな。不公平じゃないかなとあるんですが。」
堤側課長補佐 「ありますね。他と若干違っているのは、近隣府県さんではクマが実際に子孫を残しながら棲んでいる。大阪の場合はそこに棲んでいるのではなく、たまたま来たクマ。そこにひょこっと現れたものなので、若干その取扱い、感覚的には違うものかなという風には思います。」
人とクマとが共生するために兵庫県や京都府で作り上げた保護体制。一頭の迷いグマを巡る大阪府の体制がその保護体制を揺るがしかねない。
<大阪府行政の発言に対する熊森の見解>
大阪府行政担当者の不勉強と身勝手さ、ごまかしには、あきれ返ります。大阪府民の水源は、琵琶湖です。琵琶湖の水が、いつも満々とたたえられているのは、雨水や雪解け水以外に、琵琶湖の周りに残されたクマたちが造る豊な森から、毎日、琵琶湖に大量の水が流れ込んでいるからです。
「水は、森から」なのです。
琵琶湖の周りの森を形成している重要な構成メンバーであるクマが絶滅しそうになっているため、みんなで守ろうとしているわけです。
大阪府はクマの生息地ではないから、クマが迷い込んで来たら殺しますという身勝手な答えにはあきれてしまいます。しかも、豊能の山は、大阪府と言っても、京都府や兵庫県と隣接してつながっており、生息地に行政の境界線などないのです。
豊能の山に、クマが生息していないかどうかは知りませんが、生息していないならなおさら、放獣すべきです。クマは餌のない市街地になど向かいません。生息場所に帰っていくだけです。全く持って生態を不勉強です。
ほんの一瞬、大阪府の山中に顔出ししただけのクマを、なぜ、大阪府は殺す権利があるのか、理解できません。
しかも、殺すことに決めたのに、大阪府ツキノワグマ対応方針では、「周辺住民の合意が得られた場合、速やかに放獣を実施する」と記述し、一般の国民に、<次回は放獣もあり得ると誤解させる書き方>をしています。大阪府担当者のずるさは、全く許せません。大阪府にクマが顔出ししたら、速やかに殺すことにしましたと、誰にでもわかるように書くべきです。
今、捕獲して狭い檻に収容しているクマの状態は、明らかに動物虐待であり、動物愛護法違反です。大阪府動物愛護畜産課としては、早急に飼育改善をすべきです。大阪府では、お手本になるべき行政が、鳥獣保護法違反と動物愛護法違反を続け、動物を虐待しています。
(以上)