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2014-10-07

放置クリ園のふしぎ

ここはくまもりの植樹地ではありません。山の中に放置された、元クリ園です。

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ここのクリ園には立派なクリの木が120本ほど生えており、2009年以前にはいくつかのクマ棚を確認しました。しかし、2010年以降、クマ棚は全く見られなくなりました。

この町では、2010年の山の実りなしの異常年に、何頭ものクマが人里に出て行き、大量に有害駆除されました。このクリ園にこっそりクリを食べに来ていたクマは、この年に駆除されてしまったのかもしれません。悲しい気持ちで、今年もクリ園を調査してみると、1本のクリの木にだけ、今年のクマ棚を一つ確認することが出来ました。

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唯一確認できた今年のクマ棚

 

ここで、不思議な思いに駆られました。落ちているイガを見ると、今年、実ったクリの量は、はんぱな量ではありません。

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これまで、最近、ここにはクマが来なくなったと思い込んでいました。そこで次のような仮説を思いつきました。以前はクマはクリの実が青いうちに木に登って、イガごとクリを食べていました。しかし習性が変わって、秋にイガが落ちてから、実を拾うようになったのかもしれません。

もしそうなら、クマ保全に希望が湧いてくるのですが。

 

それにしてもこの辺りには、クマのフンが全く見当たりませんでした。

来年は、この答を出すべく、もっと早い時期からここの調査してみようと思いました。

 

10月7日 兵庫県但東町中部くまもり植樹地調査 ②2002年植樹のカキに、今年は実りなし

次に、兵庫県豊岡市但東町の中部に、2002年に植えた柿の植樹地を見に行きました。当時、このあたりの2か所に、役場のお世話で柿の3年苗200本を植樹させていただきました。

しかし、1か所の100本の苗木は、なぜか植樹後、すぐ、誰かによって抜かれたり鋭利な刃物で苗を切られたりして、全滅していました。

植樹に参加した人たちの多くは、阪神間からの一般市民でした。みな一様に、悲しい思いをしました。わたしたちの植樹を、快く思わなかった人がいたのだと思います。残念ですが、仕方がありません。

 

しかし、この場所に植えたカキは、無事でした。ここだけでも残してくださったことに感謝します。

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この場所で成長した十数本の柿の木は、2013年にたわわに実りました。そして、うれしいことに、クマたちが幹ごと折って食べてくれていました。みごと、クマ止め林の役目を果たしたと思います。

木が枯れてしまうのではと思うほどの、激しい枝折り、幹折りでしたが、今年はどれも枯れずに新たに元気な葉を出して育っています。しかし、さすがに、今年の実りはゼロでした。次回、何年後に再び実るのか、見ていきます。

 

この場所は、なぜか地面が芝生で覆われています。シカの糞がたくさんありましたが、地面は近くの自然林の中のように茶色一色ではなく、一面が緑でした。ここだけは、バッタなどの虫が、あちこちで飛び交っていました。奈良公園を思い出しました。芝生とシカは共生関係にあるということですから、このような場所を芝生にすることは、シカとの共存には意味のあることなのかもしれません。

 

ここには、今年の5月を初め、この2~3年の間に、シカ除けパッチディフェンスを張って植えた柿の大苗があります。

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今年5月に植樹した柿の木

こちらの方はどれも順調に育っていました。来年の雪解け時に、パッチディフェンスが倒れないように願うばかりです。

 

 

 

10月7日 兵庫県但東町西部くまもり植樹地調査 ①2002年植樹のシバグリの木が、クマに餌を提供していた

最初に、2002年に神戸東ロータリークラブのみなさんが、ホテルオオクラからバスをチャーターして植樹に参加して下さった、兵庫県豊岡市但東町の西部の山すそ近くの山崩れ後植樹地を調査しました。

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2002年春植樹した西部山すそ植樹地の斜面 2014.10.7撮影

 

久しぶりに訪問すると、12年間の間に苗木が大きく成長しており、ほんとうにここがあの植樹した場所だったのかと心配になるほど、風景が一変していました。横の林道を、スギの丸太を満載したトラックが3台通りました。今、この山の奥で、人工林が伐採されているのでしょう。

 

ススキに隠れて、道路からは見えない微妙な場所にあるシバグリの苗木に、今年の熊棚ができていました。クマがこの場所を利用してくれている!当時、植樹に参加された方にお知らせしたら、どんなにみなさん喜ばれることでしょうか。

 

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クリの木にできたクマ棚

新しい今年の爪痕も、くっきりと残っていました。

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クリの木についたクマの爪痕

クリの木の下にはまだ食べられる栗の充実種子も少し落ちていましたが、落ちている実のほとんどはぺったんこで、シイナと呼ばれる実の入っていないクリでした。動物がクリの実を食べた跡がわかるものもいくつか落ちていました。

 

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ぺちゃんこのクリがシイナ

シバグリ以外にも、コナラやクヌギなどの苗木も育っており、木によって個体差があるようでしたが、ドングリが実ってすでに大方落ちてしまっていました。何種類かの動物が、この植樹地の実りを利用して生きていることがわかりました。

 

このあたりは、人家が見当たらない所です。ここでこれからも野生動物たちが、ひっそりと、かつ、のびのびと生き延びてくれることを祈りました。

10月7日 兵庫県但東町くまもり東部植樹地調査 ③ここのクリの木にも熊棚が

こちらは2002年から何度も植樹をしに行った場所です。ミズナラ、コナラ、アベマキなどのどんぐりやシバクリが植えられていました。

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この植樹地はかなりの急斜面です

 

この植樹地にも、今年、クマが来ていました。まだ、効力はわずかかもしれませんが、クマ止め林の役目を少しずつ果たせるようになっていっていると思います。

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クマが折ったクリの木の枝

ここの植樹地で大きくなったミズナラにどんぐりがなっていました。

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ミズナラのどんぐり

 

今回、柿植樹地以外の全ての植樹地で、クマを初めとする野生動物たちが、植樹した苗木の実を今年も食べている痕跡を見つけることができました。植樹に参加してくださった当時のみなさんに、是非ご報告したいです。

 

しかし、自然に生えている山のドングリ類には、例外となった1本のシバグリ以外、クマ棚が全く見当たりませんでした。

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 山中に、クマ棚が全く見られない

 

20年程前になりますが、兵庫県と岡山県の県境近くの奥山の林道を走っているとき、周りの木々に、クマ棚がどこまでも延々とできていたのを覚えています。一体この一帯には何頭のクマがいるのだろうかと驚きましたが、意外と、1頭だったのかもしれません。

今回、山中にクマ棚を見つけることはできませんでしたが、クマがいなくなっているのではなく、最近のクマは、ドングリが落ちるのを待って食べるようになり、カキやクリ以外の木に登って実を食べる習性がなくなって来たのかもしれないという推論も成り立ちます。

 

自然界は、このように、まこと、判断がむずかしいです。

 

しかし、どんなにクマの習性が変わっても、糞は絶対にするはずなので、糞を探すことにも力を入れていきたいです。

 

募集!

11月8日に、豊岡市但東町で、クマ止め林の植樹会を実施します。ご自分の車で現地に集合できる方は、是非ご参加ください!!

自分が植えた苗木の実を、クマをはじめとする動物たちが食べるようになった時は、感無量ですよ。

 

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