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2014-12-26

12月26日 豊能グマお世話 熊森としては、年内最終 

この日は年内最後のお世話日でした。
 
今回、お世話に初参加された会員さんが、クマさんの魅力に出会
ってとても感動されていました。想像していたよりも体が大きく
て毛並みがきれい、つぶらな瞳がなんとも言えないなどと目を輝
かせておられました。  

 若グマの姿形の美しさもさることながら、賢く愛嬌のある仕草
にすっかり魅了されたようです。

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 クマさんはもしかしたら冬籠りに入(りかか)っていたの
 かもしれません。
 わたしたちが檻の置かれた室内に入って行っても
 うつらうつらしていました。

 檻の横のシャッターをがらがらと開けはじめると
 クマさんは顔を上げ
 ようやくむっくり起き出して
 光の射しこむほうへ移動しました。

 先週食べなかった柿は
 熟れて甘くなったものを食べました。
 会員さんからいろいろと送られてきたものを与えてみまし
 た。
 食べるものと食べないものがありました。
 これまでと、嗜好が違っていました。

 クマさんはワラの交換作業に慣れたようです。
 作業中も落ち着いていました。
 お腹が空いていないのか
 ご飯の催促もしません。

 といっても、殻なしのクルミにだけは目がありません。
 柵に並べたクルミを
 立ち上がったまま舌でなめとり、ぱくぱく食べました。
 舌が届かないものは手の爪で器用にすくいとりました。
 その仕草にみんなから笑顔がこぼれました。
 (立ちながら食べる姿は初めて見ました!)
 
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この時とばかり、ツキノワの模様を観察する会員たち


 そろそろ作業もおしまいというころになると
 クマさんにエンジンがかかってきます。

 この日は水切りモップをつぎつぎにキャッチ、
 ぼりぼりとかじってしまいました。
 クマさんにかかれば
 アルミの柄などぽきりと折れてしまいます。
 水切りモップのゴムもプラスチックも
 あれよあれよというまにボロボロです。

 興味深かったのは、
 クマさんがモップの柄を口でくわえて檻のなかに引きずり
 込むと両手で体のしたに隠すような仕草をすることです。
 2本目のモップの柄もやはり体のしたに抱え込み、
 それらに覆いかぶさった状態で
 ゴムやプラスチックのパーツをかじりました。

 モップを取り戻すのはなかなかたいへんです。

 この行動は獲物を取り上げられないようにする工夫でしょ
 うか。

 もうひとつ思い浮かぶのは「熊棚」を作る習性です。
 (クマさんが木に登って実を食べるとき、
 実のついた枝を折って口でしごき
 食べ終わると枝をお尻の下に敷いていくので
 木の上に棚のようなものができます。)

 野生のクマさんの習性をちょっぴり垣間見たようで
 わくわくする気持ちが抑えられませんでした。


 スギ材の輪切りは残っていた3個を与えて
 在庫がなくなりました。

 


 クマさんのお世話で
 毎回気になるのは飲み水です。

 飲み水用の容器(バット)は小さく軽量で
 クマさんがちょっと手をかければ
 ひっくり返ってしまいます。

 バットは柵の5cmの檻の鉄格子の隙間から取り出して
 洗い、檻のなかにもどしてホースで水を張ります。
 そのため、いつも檻の隅に置かれています。

 クマさんは檻の隅をトイレに利用します。
 今回は3つのバットのうちひとつが
 うんちでいっぱいになっていました。
 ほかの2つのバットには水があまり残っていませんでし
 た。

 クマさんはもう冬籠りに入りかけていて
 ほとんど水を飲まないかもしれませんが、
 それでも、新鮮な水の常設は必要です。
 
 この日、クマさんがいちど嘔吐しました。
 こぶしひとつくらいの量を
 げろっと吐き出して
 あとはけろりとしていました。

 吐き出したものは
 すりおろした自然薯みたいでした。

 わたしたちはこれからも
 このクマさんとは長いお付き合いになると思います。
 大阪地区、阪神地区、近隣府県の会員のみなさまのご
 協力をいただきながら、力を合わせてお世話していき
 たいと願っております。

 とりあえず、春に広い新獣舎が完成するまでは、クマ
 さんを元気づけながら、本当に狭いのですが、この檻
 の中で元気に生き抜いてもらうしかありません。
 みなさん、応援してやってください。

 このクマさんを生かしてくださっている役場の担当者
 の方に、心からお礼申し上げます。年末年始の間も、
 毎日お世話に行ってくださるということで、本当にあり
 がとうございます。
 来春までお世話になりますが、どうか来年もよろしくお
 願いします。

12月26日付神戸新聞特集ページ 貝原俊民氏連載「わが心の自叙伝」に熊森が登場!

神戸新聞「わが心の自叙伝」連載中に、貝原俊民前兵庫県知事が事故死されました。そのため、幼少の頃のことはわかったのですが、知事になられてから、何を考え何を感じておられたのか、もうこれで永遠にわからなくなってしまったと、大変残念に思っていました。

 

ところが、完璧主義の貝原さんらしく、自叙伝はもう最後まで完成されていたということで、亡くなられた後も、神戸新聞紙上で連載が続いています。

 

12月26日の連載18回目「県政基調④」を読ませていただいていたら、何と、熊森に言及した記述がありました。会員のみなさんに喜んでいただきたいので、ご報告します。「環境創造への取り組み」というのが、この回の見出しです。

 

そこには、急激な都市化や工業化、目に余るゴルフ場開発などの自然環境破壊が進むなか、知事として貝原氏が、何とか乱開発を阻止しようと取り組まれたお話が出ています。そのなかで、

 

「クマが棲む奥山の生態系を保全しようとする日本熊森協会の活動も兵庫発である」

 

という部分が出てきました。この回には、豊岡市の中貝宗治市長によるコウノトリの野生復帰のことも、誇らしく書かれています。

 

貝原氏が、熊森について書いてくださった一文を何度も読み返してみて、涙が出そうになりました。貝原氏が、兵庫県から、クマが棲む奥山の生態系を保全しようと熊森が立ち上がったことを、誇りに思ってくださっていたことが伝わってきたからです。

 

何度か顧問として熊森の若手リーダーたちに指導講和をしてくださったり、長年会報を読んでくださったりしていましたから、わたしたちの活動を理解して下さっていたのはわかっていましたが、自叙伝にこのように誇らしく書いてくださっていたとは!

 

貝原さん、ほんとうにありがとうございました。これまでもまっすぐ進んできましたが、これからも、貝原さんにずっと誇りに思ってもらえるように、熊森はどこまでも徹底した現場主義者として国民に真実を伝え、真っ直ぐに活動していきます。

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