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2015-07-03

6月14日 第8回群馬県支部総会

群馬県支部会員28名、他支部会員8名、計36名で第8回支部総会が持たれました。

午後からは、宮澤正義先生を囲んで、「私の自然観と人生」というテーマでお話をして頂き、参加者からの質問にも答えて頂きました。みんな熱心に聞き入っていました。

 

<群馬県の野生鳥獣による農作物被害について>

群馬県支部は、5月28日、群馬県知事あてに「鳥獣の適正管理計画」に反対する申し入れ書を提出しました。6月10日に回答書を受けましたが、何の危機感も感じ取れない内容で、大変残念でした。

 

(A4で4ページにわたる、群馬県知事あて「鳥獣の適正管理計画」に反対する熊森群馬県支部申し入れ書の大要)

国は昨年5月30日、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」を「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」に改め、今後は、「鳥獣の管理」に法律の重点を置くことにしました。これに基づき、今年5月29日より、特定野生動物を保護対象の1種、管理対象の2種に分類し、2種に指定した種に対しては、あらゆる組織を動員して、科学的・計画的の名で捕獲殺害する計画です。

群馬県では、イノシシ、ニホンジカ、ツキノワグマなど6種が、2種に指定されました。

この計画は、生息地の状態、生態系、生物多様性をまったく無視した残虐で人間の狂気としか思えない計画です。野生動物たちを無慈悲にも捕獲殺害し、生態系の崩壊を招き、未来世代の生存さえも危機に陥れる「適正管理計画」強く反対します。

ツキノワグマの推定生息数に関しては、科学的に算出したと称しながら、過去15年間の捕殺数と平成26年度の推定生息数を見るに、全くかみあっておらず信頼できないことが明らかです。科学的調査の結果に基づいて適正管理すると称し、野生鳥獣を大量殺害することは許されることではありません。

 

以下は、群馬県庁の発表によるものです。

1群馬

 

<群馬県の鳥類による農作物被害>

(平成7年から平成20年までの推移)

2群馬県

 

(群馬県支部長の言葉から一部紹介)

レイチェル・カーソンは、1962年「沈黙の春」で、化学物質の危険性を世に出しました。冒頭の言葉は以下です。

「自然は、沈黙した。薄気味悪い。鳥たちはどこへ行ってしまったのか」

そして、晩年に行った講演の中で、「この恐るべき化学物質から逃げおおせる人など誰一人としていません」と警告されています。

群馬県の鳥類による農作物被害面積の推移を見て、群馬県でも「沈黙の春」が始まっていると私は考えます。

6月16日 (本部)三重県奥山調査

三重県大台町父ヶ谷から、さらに奥にある大杉谷国有林までを見に行ってきました。

道中、紀伊半島の険しい山々に圧倒されました。

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父ケ谷 の林道はあちこちで崩れており、水の破壊力のすごさ、重力に従って崩れ落ちようとする岩の力のすごさを思い知らされました。これらの自然の力の前には、人間が何をしても無駄だと感じました。

以前造られていたコンクリートの橋も、大雨や崩れてきた岩でふっとばされていました。2010年には車で入れた道ですが、今は完全に通行不可能です。

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ここは、年間降水量が3000~5000mmもの雨が降る世界的な多雨地帯です。山のあちこちから、水が噴き出していました。

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この辺りは、暖温帯と冷温帯の境目になっているため、低木層には常緑広葉樹が、林冠層には落葉広葉樹が多くみられました。

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ヤマツツジ

IMG_9867サルナシ

サルナシ(まだ実が小さい)

確認出来た植生は、ミズナラ、アカガシ、ヤマツツジ、サルナシ、タニウツギ、フサザクラなどです。動物は、山ビル、マムシ、ニホンシカなどです。

(帰り道の林道で、1頭の子鹿が全速力で走っているのを見る事が出来ました。)

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「牛鬼淵」と言われる滝。豊かな水源がここにある。

 

3時間歩いて、やっとのことで大杉谷国有林に到着です。

この国有林は台高山脈の山奥標高800~1000mの場所にあり、1500haという広大さです。

戦後の拡大造林により、ここもスギやヒノキの人工林の山となりましたが、自然遷移が進み、針広昆交林となりつつある場所も多くなってきているそうです。

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大杉谷国有林入り口の景観、尾根上はスギや松で、谷筋や斜面は広葉樹が占める

この日は、あいにくの雨の中での調査となりました。

こんな奥地まで林業に利用しようとして莫大な税金を投入し続けた日本国の歴史があります。この国策によって、クマをはじめとする野生鳥獣たちは、生息地を奪われ、絶滅を迎えています。

今や、木材需要は低迷しており、苦労して育てた材が、バイオマスという名のもとに、燃やして発電に利用されて終わるケースも増えています。

同行してくださった地元林業家の方も、こんな奥地にまでスギやヒノキを植える時代はもう終わったと言われていました。

 

国有林に残された膨大な人工林。これまでお会いした林野庁の上層部の方々は、口をそろえて、「戦後の拡大造林政策は失敗しました。日本の奥山を大荒廃させてしまいました。もうどうしていいのかわからないのです」と、言われています。

国有林は国民すべての財産ですから、国だけに判断を任せるのではなく、今後どうしていくのか、広範な国民で知恵を出し合って、共に考えていく時が来ています。

 

次回は、国有林の奥深くに入って、スギ・ヒノキの成長具合など見てみたいと思います。

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