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2015-09
北秋田市「くまくま園」に、梨10箱送付しました
- 2015-09-27 (日)
- くまもりNEWS
会員さんから送っていただいた梨がとてもおいしかったので、「くまくま園」のヒグマやツキノワグマたちにも梨を食べさせてあげたいと思いました。
数十頭のクマたちに喜んでもらうには、30個入りの梨箱を10箱ぐらい送らねばなりません。1頭につき5個与えても、一瞬でペロリでしょうが、クマたちの喜ぶ顔が見えてきそうです。
くまくま園のヒグマたち(7月の訪問時撮影)
秋田県で梨園を探したら、リンゴ園しか見つかりませんでした。リンゴはまだちょっと時期が早いと思います。
千葉県市川市が梨の大産地であることがわかってきました。さっそく千葉県市川市の会員にお願いして、安く分けてもらえる梨園を探していただき、10箱の梨を送りました。「くまくま園」の飼育担当者によると、クマたちはとても喜んで食べたそうです。
クマたちは、もちろんリンゴが大好きですが、それ以外に、クリ、カキ、ドングリ等も大好きです。夏に訪れた時、「とよ」が大好きなバナナを持っていきましたが、これは、半分のクマしか食べてくれず、だめでした。
実りの秋です。送れそうな方は、くまくま園の飼育担当者に電話で相談の上、クマたちの喜びそうなものを格安選外品でいいし、少しでもいいので、栽培業者や選果場と交渉して送ってあげてください。
ヒグマだけだと八幡平クマ牧場から行った17頭と、元々阿仁クマ牧場にいた1頭がいます。あと数十頭はツキノワグマです。
9月8日 本部森林生態学講座 「温暖化による昆虫の消滅が、クマを絶滅させる」(2日目現地)
- 2015-09-27 (日)
- くまもりNEWS
あいにくの雨でしたが、福井県境にある京都府南丹市の五波峠(標高600メートル)を、18名で訪れました。ここは、ブナやミズナラが生育する冷温帯林です。
昨日の座学で教わった通り、本当に森から低木や下草、昆虫が消えていました。まるでどこかの公園に来ている感じでした。
日本の奥山が、これまでの森林生態学の教科書と急速に違うものになっていっているのです。報道されないので、ほとんどの国民はこの現実を知らないと思います。奥山は、動物たちにもはや食料を提供できなくなっているのです。地球温暖化?酸性雨?全部、人間がしでかしたことです。
クマの痕跡がたくさん残っていましたが、全て古いものばかりでした。ここは、かつてクマをはじめとする野生動物たちの生息地だったんだなと思うと、森山会長以下熊森の創設者たちが、「クマ守れ」と立ち上がった時のやむにやまれぬ気持ちがわかるような気がしてきて、胸にこみ上げてくるものがありました。
<ハイイロチョッキリによるミズナラの大凶作>
この日、ハイイロチョッキリによって切り落とされたミズナラの実付きの小枝が、たくさん落ちていました。
かつてクマは、ブナと違って豊凶のないミズナラに頼って生きてきました。毎年秋には、ミズナラのドングリをたくさん食べて、冬籠りに入っていました。
しかし、温暖化によって、ハイイロチョッキリという暖温帯林にしかいなかった虫が奥山の冷温帯林に入ってきて大量に発生するようになりました。
この虫は、、ミズナラの青い実を小枝ごと次々と切って落としていきます。
2004年、2006年、2010年は、ハイイロチョッキリが大発生し、ミズナラが初めて大凶作となってしまいました。
2004年の第1回目のツキノワグマの大量出没は、台風でドングリの実が落とされてなくなったからと報道されていますが、実は、台風が来る前から、ドングリの実はありませんでした。このような場所を研究している人が、他にはいないのだなあとつくづく感じます。
<液果類>
ブナ・ミズナラといった堅果類の実りが良くないので、クマたちがいるなら、オオウラジロノキ、タンナサワフタギ、ヤマボウシ、ミズキ等の液果類を食べていると思われます。
中でも、オオウラジロノキはとても印象に残りました。リンゴの原種だそうです。2センチぐらいの小さな実でしたが、切ってみると、中はまるでリンゴで、香りまでリンゴでした。
(最後に)
本や座学で学んでは、現地で確かめていく。熊森は、日本の森や野生動物を守るため、奥山生態系の勉強、調査を続けて19年目です。
最高の研究者たちと組み、徹底した現場主義であれというのが、熊森の一貫した教えです。
奥山生態系を勉強したい人、調査したい人は、ぜひ私たちの仲間にお入りください。
9月11日 伊丹市いきもの講座、2回目を実施
- 2015-09-27 (日)
- _環境教育
兵庫県伊丹市の市民講座第2回は、くまもり環境教育チームによる「野生動物との共生~自然保護と野生動物~」です。
大人の方々に向けたお話は、環境教育チームとしては初めてです。
今回は、スライドと動画がメインの2時間講座。
途中、紙芝居「どんぐりのもりをまもって」を上演しました。
生態系のお話に始まり、国の自然環境保全への姿勢や、くまもりの自然保護について、お話しました。
メモを取りながら、みなさん真剣に聞いてくださり、
質問コーナーでは、最近のクマ問題について等、
たくさんのご質問をいただきました。
もっと詳しく聞きたかったというお声も!
自発的に参加されているだけあって、みなさんとても熱心でした。
第3回いきもの講座(9月18日)は、
ツキノワグマのトヨくんに会いに、高代寺までハイキングです。
続報をご期待ください!(SY)
石川県白山市で、男性がクマに引っ掻かれる
9月23日午後2時頃、石川県の白山市で80歳の男性が、頭や腹、腕をクマに引っ掻かれるケガを負う事件がありました。
クマは親子で、2頭の子グマをつれていた母グマが、子供を守ろうとして、この方にケガを負わせてしまったようです。
事件現場は旧鳥越高原大日スキー場のロッジから南に約200m程離れた場所で、現地は、大人の背丈ほどまで伸びた草で覆われていたようです。
この事件翌日の24日に、猟友会等が現場付近を調べているそうです。
(参照→http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2015092402100011.html)
この件をネットのクマニュースで知ったのは、あいにく土曜日。役場はお休みです。
熊森本部は、さっそく、白山市の警察署と、念のため役場の方に電話をして、この事件の詳細を聞いてみました。
・事件後、クマはスキー場の山の中へ逃げていった
・26日現在の時点では、猟友会の方は動いておらず、捕獲罠もかけていない
事が分かりました。
本日は土曜日で、警察署にも役場にも事件の詳細を詳しくご存じの方がおられず、これ以上の情報は得られませんでした。
熊森の突然の電話にもかかわらず、警察の方も、当直勤務の職員さんも、調べまわって下さり、大変快く対応してくださいました。
ありがとうございました。
今後、このクマをどうするのか、気になるところです。週が明けてから、また、行政担当者に詳しくお話を聞いていきたいと思います。
本部では、察知したクマ問題は、状況を把握し、その後の処置について可能な限り当たっていこうと思います。
9月24日【本部】兵庫県ハチ高原・氷ノ山で山の実りの豊凶調査
あいにくの雨天でしたが、双眼鏡を持ってドングリなどの豊凶調査に出かけました。
最初に訪れた鉢伏山(1221メートル)は広大な山で、国定公園内にあります。クマをはじめとする野生動物たちが暮らすのにぴったりの場所ですが、行ってみて大ショックを受けました。
戦後に開発が始まったそうですが、今ではハチ高原スキー場やハチ北スキー場のコースが何本も走っており、長いコースは2500メートルもあるそうです。リフトもあちこちに張り巡らされています。
スキーだけではなく、パラグライダー、キャンプ、登山と、1年中を通じてアウトドアのメッカだそうです。もう、山全部が、人間の開発によって徹底的に蹂躙され終わったという感じでした。こんな巨大な山を、ここまで丸裸に近い状態にまで開発した人間という動物が恐ろしくなってきました。自然や山への畏敬の念などゼロだと感じました。
ブナ、ミズナラ、コナラの木がスキー場の道路沿いに少し残っていました。ブナの実を拾ってみましたが、全てシイナでした。
たとえ実が実ったとしても、こんな恐ろしい場所にクマたち動物は来れません。みんなどこへ行ってしまったのでしょうか。
戦後、どんどんと森が復元して、兵庫県のクマたちの生息地は増える一方ですという兵庫県の研究者たちの発表や、それを真に受けている兵庫県を思い出して、悲しくなりました。「クマたちの生息地を取り返しがつかないまでに大破壊した」が、真実なのです。みなさん、グーグルアースで、鉢伏山を一度、見て下さい。
あまりにも今の世の中、嘘の情報が多すぎる。しかも、嘘情報ほど、大手を振って歩いているのです。苦しくなってきます。
今回調べた場所は、氷ノ山から鉢伏山にかけての標高900~1200mのエリア(鉢伏山・福定・大段ヶ平)で、ここは、クマの貴重な食糧源となるブナやミズナラといった堅果類や、ミズキのような液果類が多くある地域です。3名が、豊凶調査は初めて。
ブナ
木に実がなっているかどうかは、必ずしも木の近くへ行けばわかるというわけではありません。特に、ミズナラ、コナラは、高さ20m、ブナは30m近くの高さにまで成長します。それらの実は、上向きに付くので、木の真下から見上げると葉に隠れてかえって実が見えなくなってしまうのです。
その樹木全体でどれだけ実が成っているかを調べるコツは、対象の樹木からある程度離れた所から、双眼鏡を使って調査すると良いという事を、この日学びました。
ミズキやヤマブドウ、サルナシ、マタタビ、アオハダ等の液果類も、クマの好物です。
最後、鉢伏山の隣の氷ノ山(兵庫最高峰1510メートル)を訪れました。氷ノ山にもスキー場はいくつかありますが、こちらの山は、まだ自然もある程度は残されており、ホッとしました。夏来た時は、あまり気づきませんでしたが、秋に来ると、ミズキ、クマノミズキ、ヤマブドウが結構あちこちに見られ、クマたち森の動物が食べられるかもと思いました。ただし、今回は、道路沿いの木しか調べなかったので、何かの動物たちに会ったり、痕跡を見つけたりすることはありませんでした。氷ノ山のブナは、うれしいことにいくつかが充実種子でした。みんなでソバのような小さな実の皮をむいて食べてみました。ヤマブドウやミズキ以上に、とてもおいしかったです。動物達もこの木に食べに来ればいいなと思いました。
今回調査してみて分かったことは、同じ場所に植わっている木であっても、実が付いているかいないか、多くついているか少しかなどに、かなり個体差があるということでした。隣り合った木でも、片方は豊作で、片方は全く実が付いていなかったりします。熊森では、大体その場所にある同じ種類の10本の木を調査して、数値化し、豊凶を出しています。
今年の兵庫県の堅果類の豊凶度合ですが、兵庫県立森林動物研究センターの発表によりますと、ブナとミズナラは並上、コナラは豊作だそうです。
熊森の判定はワンランク下です。
ただし、センターの発表は、ブナに関しては、目視だけであり、充実種子かシイナかは調べていないということです。ミズナラとコナラは目視だけでいいのですが、最近のブナの実は、中味のないシイナ率が無視できない割合で発生しているため、熊森はブナの実を持ち帰って、動物たちに食料を提供できる状態かどうか調べています。
全国各支部のみなさんも山の実りの豊凶調査を行い、本部までご報告ください。クマのいない県でも、調べてほしいです。
兵庫県氷ノ山のブナのシイナ率を調べました
- 2015-09-28 (月)
- くまもりNEWS
実がたくさんついていた氷ノ山のブナの実を持ち帰り、シイナ率を調べてみることにしました。
*シイナとは殻だけで、実の中に中身が入っていない種子です。1990年代の終わりごろから登場しました。
一方、充実種子は実の中に中身が入っている種子で、食べられるし、発芽も可能です。
ブナの実の皮をひとつひとつむいて、実が入っているかどうかを確認していきました。シイナの実は、外から見ると殻がへこんでいるので、作業に慣れてくると、皮をむかなくても、予想がおおよそあたるようになりました。
結果:シイナ率は37%でした。(充実種子27:シイナ16)
最初、密度の違いから水に浮いたり浮かなかったりするのではないかと思い、コップの水の中に種子を入れて両者を区別しようと試みました。しかし、どちらも水に浮かんでるものと浮かばないものがあり、有意差が認められませんでした。この方法は判別の有効な手立てとは言い難いようです。
栃木県那須町のクマ違法捕獲について、内部告発あり
栃木県那須町で、クマの違法捕獲が行われているという訴えが、8月末、地元からくまもり栃木に届いた。
栃木県では、イノシシを獲るなどで行政から許可を得れば、くくり罠を仕掛けてよいことになっている。
ただし、クマが誤ってかからないように、くくり罠の直径は12センチ以下と決められている。
しかし、直径を20センチに広げて、何回も違法にクマを獲っている近隣の狩猟者がいるというのである。
見かねた方からの通報である。
くまもり栃木メンバーが、現地を訪れたが、行政も警察も、現場の証拠写真がない話は取り上げられないとして、
非協力的だったそうだ。
現地は福島との県境で、放射線量が高く、熊森栃木のメンバーの中心スタッフたちが住んでいるところからはかなり遠いとのこと。
どうやったら違法捕獲がなくなるか、熊森栃木の挑戦が始まった。
みなさん、応援してあげて下さい。
詳しくは、熊森栃木のブログに書かれています。
ワイルドライフ「栃木足尾山地 ツキノワグマ復活の森を生き延びろ」再放送
9月21日午前8時よりNHKBSで「栃木 足尾山地 ツキノワグマ 復活の森を生き延びろ」が再放送されます。
先日の放送を観て、よかったという会員からの声が本部に多数寄せられています。
あまりにも素晴らしかったので、DVDに録画をしたものを何度も見ているという声も届いています。
以下番組のウェブサイトより
本州最大の陸上動物、ツキノワグマ。険しい地形での追跡が難しいため、直接観察がほとんどできず、多くの謎に包まれている。その生態に迫ろうとする男がい る。動物カメラマン、横田博氏。およそ20年間、クマを見つめ続け、それを膨大な映像に記録してきた。フィールドは、栃木県足尾。かつて鉱毒事件が起き た、日本の公害の原点の地だ。一度破壊し尽くされた足尾の森。生態系の頂点に君臨するクマの存在は、森の復活の証なのだ。
ここまで
カメラマンの横田博氏は熊森会員で、栃木県支部の顧問をしてくださっています。
番組を視聴された方は感想を是非本部に寄せください。
NHKワイルドライフのウェブサイトはこちら
<本部>9月24日(木)のドングリ豊凶調査参加者を募集!
- 2015-09-18 (金)
- くまもりNEWS
熊森本部では、毎年この時期、ドングリの豊凶調査を行っています。
興味のある方は、ぜひ、ご参加ください。
平成27年 9月24日(木)
調査場所:兵庫県 鉢伏山
<本部車に同乗又は同行される方>
集合:午前7時45分 西宮市阪急夙川駅南口
<自車で現地集合される方>
集合:午前10時30分 はち高原スキー場
・持ち物:雨具、昼食(現地にはお店がないため、必ずご持参ください)、飲み物、雨具、双眼鏡(あると便利です)
注・舗装されていない悪路も通りますので、高級車で来られないようにお願いします。
注:今年度のボランティア保険に加入されている方のみとさせて頂きますので、ご了承ください。
お申込み&当日携帯:TEL 090-1073-0980 (お申込み期限は、20日正午まで)
2015年山の実り調査実施 ブナ、ミズナラ共に並下
今年の秋のクマの出没を予測するため、本部では毎年9月の初旬にブナとミズナラの豊凶調査を実施しております。
今年は9月11日~16日までかけて、一応兵庫県全域を回ってきました。
A堅果
●ブナ:並下
ブナは氷ノ山近辺では豊作の木が多かったのですが、それ以外の地域では実りが並作以下のものも多くて、全域で平均すると並下という結果でした。
下の写真は、養父市にある妙見山のブナです。
一見、豊作ですが、シイナ率を調べるため、持ち帰って、種子の中身を調べてみました。
シイナ:殻だけで中身がない。動物の食料にならない。
なんと、種子は100%シイナで、健常種子は見当たりませんでした。これは標高が低い所で採集したため、地球温暖化の影響を受けていると思われます。
ある程度標高の高い場所に生えているブナじゃないと、今や健常種子にならないのだそうです。
●ミズナラ:並下
ミズナラもブナと同様並下ですが、ブナよりもさらに実りが悪く感じました。それぞれの場所に1本くらいは豊作の木も生えていましたが、兵庫県全体では、どちらかと言えば不作の木が多かったように感じます。
B液果
ところどころに生えていた山ブドウも見てきましたが、山ブドウは鈴なりに実がついている木をいくつか見つけました。
サルナシもたくさん実がついているものを見つけましたが、数自体をたくさん見れていないので全体の豊凶状況は分かりませんでした。食べてみると、まるでミニキウイです。
サルナシ
この時期、クマのフンによく入っているアオハダも実っていました。
ミズキもよく実っていると感じました。ミズキはクマノミズキとよく似ています。
今年のクマノミズキは生理落下(完熟しないうちに落ちてしまう)が多いようです。ミズキには生理落下がほとんどありません。
今年の兵庫県の豊凶状況ですが、ブナやミズナラなどの堅果類だけではなく、山ブドウやアオハダ、ミズキなどの液果を含めて考えると、そこまで悪くはないのかなと思っています。
ただし、ブナに関しては10月の種子散布時期にもう一度シイナ率を調べに行く予定ですが、その割合によってはブナが不作になることも考えられ、油断はできません。