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2015-11-15

北海道紋別市デントコーン畑で射殺された400キロヒグマ、殺しても問題は解決しない

少し前のことになりますが、ずっと胸に引っかかっている報道があります。

 

今年9月26日に北海道紋別市のデントコーン畑の中で射殺されたヒグマが、メタボヒグマとして遺体をクレーンで持ち上げられている写真付きの報道が10月10日にありました。

 

確かにこのヒグマはデントコーンを食べて太ったのですが、この様なことになる状況を作ったのは人間です。しかも、このヒグマは一番大切なたった一つしかない命を人間に奪われてしまったのです。

報道姿勢としては、ヒグマの死を悼む気持ち、人間側の反省にあふれる報道がなされるべきです。

にもかかわらず、報道が、このヒグマをさらし者や笑い者にしていると感じた人たちが、私以外にも何人かいたようで、駆除許可を出した行政や、マスコミの人権感覚(動物権感覚)に抗議すべきだという声が、熊森本部にもいくつか届きました。

 

たまたま紋別の山をこの春視察して、山にいくら餌があっても、デントコーン畑に住み着いてしまうヒグマたちの話を専門家にいろいろと教わった後だったので、このニュースには、特に思うことがありました。

 

本州の畑と違って、北海道の畑は地平線が見えるほど広大です。山にいくら実りがあっても、山の中を餌を探して歩くよりは、デントコーン畑に棲みついてデントコーンを食べ続けた方が楽です。かしこいヒグマは、デントコーン畑に棲みつくようになります。もちろん人間は困ります。

 

問題は、そのようなことをすれば人間に怒られるぞ殺されるぞということを、ヒグマにどう教えるかです。教える責任が人間にはあります。このようなことをしたヒグマを殺してしまえば、他のヒグマたちに伝わりません。また来年は、別のヒグマが同じことをして殺されるのです。いつまでも、いつまでも、ヒグマの命が無駄に奪われ続けるのです。

 

ヒグマの生息地でデントコーン畑を作るなら、農業者も行政も、畑でデントコーンを食べ続けたら人間にひどい目にあわされるから、山のものを食べておこうと、紋別のヒグマたちが学習できるようにもっていかなければなりません。それには、殺してしまってはだめなのです。殺してしまうのは人間の無責任です。

 

最近ヒグマやツキノワグマが人間を怖がらなくなったと言われますが、原因の一つは、銃の性能の向上にあるようです。山にいるヒグマやツキノワグマは、何百メートルも先から撃たれることが多いと聞きました。その場合、視力の弱いクマたちは、人間にやられたという因果関係がわからないので、なんだかわからないが突然けがをした、突然殺されたと思うということです。一つの案として、銃の性能を昔のように落として、自分を狙ったのは人間だとはっきり分かるようにすることによって、再びヒグマが人間を恐れるようになるのではないでしょうか。

 

他にも、デントコーン畑にびっしりデントコーンを植えるのではなくて、列状に植えて、ヒグマが入り込んだらすぐに人間に見つかるようにしておくとか、いろんな手が考えられると思います。殺してしまうのではなくて、人間の知恵でもって、デントコーン畑にヒグマが入らないようにすることが、人間に求められます。それなくして、ヒグマを殺し続けるだけなら、私たちは人間であることを返上したくなってしまいます。ヒグマとの共存など、口先だけの嘘になってしまいます。

 

 

奥山広葉樹林化の現場を見る③ (兵庫県戸倉第2皆伐地の最後の1本を伐る)

第2伐採地最後の1本は、ちょうどこの伐採地での伐採木の100本目に当たります。

写真では2本のスギが残っていますが、奥の1本は残すそうです。

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そういうわけで、手前の1本が、第2伐採地の最後の伐採木となります。2015.11.6の伐採の様子を映像で見て下さい。

https://youtu.be/UUtU8O_BVas

 

伐採後

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2015.11.6撮影

 

最新の、第2伐採地風景

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2015.11.13現在

 

まだまだ今後も、伐採木の搬出作業が続きます。

第2伐採地の上は、コナラを中心とした落葉広葉樹の2次林です。

これでこの場所にも、日光が当たるようになります。

生き物たちの棲める森がよみかえりますように。

 

それにしても、谷川の水量の少ないこと!

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昔は30センチのアマゴがたくさん泳いでいたという、地元のおばあさんたちの話が夢のようです。

造り過ぎた人工林を自然の広葉樹林に戻さない限り、水量は戻りません。

 

さらにこの奥の川沿いに奥山保全トラスト第3伐採地となる予定の人工林があります。

すでに、今年の春(2015.5.31)に、大阪西ライオンズクラブのみなさんによって、皮むきがなされています。

 

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第3全伐予定地 2011.11.13撮影

 

持ち山を、保水力豊かでいきものたちがすめる広葉樹林に戻したいという個人山主さんが、次々と誕生してくださることを願います。

もちろん国産林業は大切ですから、林業地として残すべきところは残して下さい。

自然林復元を願うのは次の5か所です。奥山全域、尾根、川筋、山の上3分の1、急斜面

 

 

奥山広葉樹林化の現場を見る② (兵庫県戸倉第2皆伐地)

奥山保全トラストが所有する第2皆伐地の広葉樹林化の現場です。

 

2013年 チェンソー間伐実施 

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まだ林内が暗いです。

 

2013年 人工林部分の全除去を決定

残された木の皮むきを実施(5月26日)

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2014年 皮むきスギの伐採開始(1月29日)

s-2014.1.29

スギがあまりにも太いため、地面が伐採木で埋まってしまい、天然更新(森の再生)が期待できない。

伐採木を山から運び出したいが、川には橋がなく、川向うにも道がないため、トラックを入れることが出来ない。

 

長い苦悩の日々がありました。いろいろな可能性を調べ考え、地元、行政、森林組合、みなさん方からの助言もいただきました。

 

2015年10月 ついに、林内作業車による丸太の運び出しを決定

林内作業車が入れる道作り

s-道づくり開始2015.10,10IMGP1804

 

川をはさんだ第2皆伐地の伐採木を林内作業車に引き上げる。

重くて人力ではびくともしない太い丸太が、軽々と持ち上げられていく。

機械の力はすごい。

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材を山から運び出す。

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トラックが入れるところまで運んで積み上げ、業者に市場まで持って行ってもらう。

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延々と連日、材運び出しの作業が続いています。

第2皆伐地の残されたスギ伐採も続きます。

そしてついに、11月6日、第2皆伐地の最後のスギを伐採する日がやってきました。

 

 

奥山広葉樹林化の現場を見る① (兵庫県戸倉第1皆伐地)

兵庫県宍粟市にある、奥山保全トラスト所有(120ヘクタール)の奥山広葉樹林化現場を見てきました。

周辺の延々と続く人工林地帯の中にあるこのトラスト地は、大部分が原生的なブナ・ミズナラの巨木林です。

奇跡的に残されたたすばらしい森ですが、ふもとの谷川沿いを中心に、以前植林されたスギの人工林が、約12ヘクタールほど分散して存在しています。

奥山保全トラストは、これらの人工林を、ふもとから順次、すべて広葉樹林化して自然林に戻す方針です。

 

すでに、第1皆伐地の広葉樹林化は終わっています。

伐採前

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第一皆伐地 2011,9,7撮影

 

皆伐 スギが良く成長しており、伐採木で地面が埋まってしまいました。

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皆伐後の杉丸太の運びだし

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林内作業車で、道のある対岸に丸太を引っ張り上げる。

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近くまで来てもらったトラックに載せて搬出。

 

2012年

人工林跡地に、大阪西ライオンズクラブの皆さんが広葉樹を植樹

 ↓

現在

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南道から撮影

s-IMGP1965

東植樹地から撮影

第一皆伐地 2015,10,22撮影

 

ここに至るまでには、都市や地元の多くの皆さんのご支援、林業従事経験のある職員、多くのボランティアの皆さんのがんばりがありました。

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