ホーム > アーカイブ > 2016-02-03
2016-02-03
徹底したシシ垣で防除 シカやイノシシを殺すことなく共存していた祖先を、誇りに思う
- 2016-02-03 (水)
- くまもりNEWS
滋賀県ご出身の奈良大学高橋春成教授の本「人と生き物の地理」を読みました。滋賀県の人達をはじめ、祖先がどうやって大型野生動物たちとこの国で共存してきたのかがわかります。
祖先は、万里の長城顔負けの徹底したシシ垣を、集落の至る所に張りめぐらせていました。野生動物を殺すのではなく、野生動物と棲み分けて共存するための人間の工夫や知恵でいっぱいでした。昔、機械もない時に、これだけのシシ垣を造るのにどれだけの労力を要したか、想像しただけで頭が下がります。農村地帯に、それだけの人力もあったのでしょう。
「蚊やり」を、思い出しました。蚊でさえも、祖先は殺さずに、向こうに追いやって、それで良しとしたのです。何とやさしい文化でしょうか。私たちが誇るべき、日本文化です。祖先と言っても、戦争に負けて、日本が人間至上主義の自然破壊型西洋文明に染まる前、高々数十年前の事です。
しかし残念ながら、戦後の宅地開発や国土総合開発などで、現在、多くのシシ垣は取り壊されてしまいました。最近は、金網型の平成のシシ垣がどんどんと農村地帯に張り巡らされています。景観上悪いかもしれませんが、大型野生動物たちと共存するには、この様な徹底した防除柵が必要であることを、今も残る数々のシシ垣の遺構から、祖先が教えてくれています。
高橋先生は、以下のような本も書かれています。
高橋先生の本を読んで、生き物たちの生命を尊重するやさしい心に触れ、うれしくなりました。
1月31日 太郎も花子も平和そのもの 冬ごもり中(和歌山生石高原)
- 2016-02-03 (水)
- くまもりNEWS
山田さんに、「2頭とも冬ごもり中だよ」と聞いていましたが、一応、兵庫県から3人で様子を見に行きました。
2頭とも寝ていましたが、私たちが来たのを知って、寝室からのっそり出てきました。そのおだやかな顔つき。みんなに愛され、大事に飼育されていることがよくわかります。
それにしても、2頭のなんという太りよう。何か月か食べなくても大丈夫でしょう。
さわってもらおうと、お世話隊に甘える花子
花子がさわってもらっているのを見て、太郎も同じことをしてほしいと鉄格子に顔を摺り寄せてきました。さわってあげると、気持ちよさそうにうれしそうにしていました。
冬ごもり中でも、人参を見ると目がない太郎
さて2頭が、運動場のあたたかい陽だまりに出ている間に、今年の巣穴をチェックしました。
どちらが太郎が作ったものか、花子が作ったものか、わかるでしょうか。
答え。上が花子で、下が太郎です。
花子はなぜか、木の棒を1本持ち込んで巣穴を作ります。
赤ちゃんの時、人間に母を殺され、母から何も教えられなかったのに、この上手な巣作り。毎年感心してしまいます。
太郎も花子も元気に?冬籠りしていましたので、みなさんご安心ください。しばらくして2頭とも、再び寝室に戻りました。
Z Z Z・・・
東京都における狩猟全面禁止を強力に訴えるクマ捕殺市行政 本部&東京都支部による行政訪問2
- 2016-02-03 (水)
- くまもりNEWS
クマ捕殺があった東京都の市行政担当者は、長年現場を見続けてきた経験から、「東京都は、狩猟を全面禁止にすべきだ」と、強く断言され、以下のことを語られました。
「野生動物が街中に次々と出てくる。かつてありえなかったことだ。いろいろな要因があるだろうが、自然界の事はわからないことでいっぱいだ。しかし、山歩きを続けてきた自分が確実に感じている要因の一つは、野生動物たちが山で安心して暮らせなくなり、山から飛び出してきているということだ。田畑の防除柵設置やスギの人工林を広葉樹林に換えていくことも大切だ。しかし、大変な経費や年月がかかる。そんなことより、すぐできることをまずやってもらいたい。それは、狩猟の全面禁止だ。
毎年11月の15日の猟期が始まり、ハンターと猟犬が山に入ると、野生動物たちが一斉に街中に飛び出してくる。この因果関係は、はっきりしている。そして、猟期が終わっても、山から出て来てしまった野生動物たちは、街中をうろついている。私たちは半矢になった動物たちを処分したり、残りの野生動物たちをもう一度山に返したりする追い込み作業に8月いっぱいかかるんだ。
9月は毎年ほっと落ち着く月だが、ハンターたちは10月になると、狩猟訓練と称して、もう山に猟犬を入れるんだ。すると同時に、また、山から動物たちが怖がって飛び出してくる。観光客はどんどん入ってくる。猟犬は走り回る。自分が東京都の野生動物だったとしたら、こんな怖い山にはおれないよ。
ここは都会だから、大型野生動物たちに走り回ってもらっては困るんだ。出てくる野生動物たちは、神奈川、埼玉、山梨など周りの山からハンターや猟犬に追われて出てきていると思う。そう考えると、東京都だけで解決できるものでもないが、1回実験してほしいんだ。1年だけでも実験してほしい。東京都での狩猟全面禁止。街に出てくる大型動物たちがぐんと減るんじゃないかな。そうなったら、自分も、野生動物たちを殺すというかわいそうなことをしなくてすむようになる。野生動物は、山にいて当たり前。山にいてくれたら、それでいいんだよ」
くまもりから
鳥獣問題の実態は場所によって違うので、私たちも急には何とも言えません。しかし、長年の担当者が言われるのですから、東京都は実験として、都内での狩猟全面禁止年を一度実施してみたらどうでしょうか。第一、人権だけではなく動物権が叫ばれ、生物の多様性によって人間が生かされていることがわかってきた21世紀です。スポーツやレジャーで野生動物を殺すことが認められる時代ではもうないと思います。
東京都は、スギの人工林を伐採した跡に、またスギ(無花粉)を植えることになっています。この町では、たとえ2割だけでもと、強硬に、広葉樹の苗を組み込んで植えているそうです。防除が進んでいないので、田畑の周りの電気柵張りなどを行う防除人員が欲しいと言われていました。
東京都は、糠でおびき出して、常設罠にかかった動物は全て殺すという信じられないようなことをしている所だという印象が、私たちの胸に強く残りました。
後日、東京都庁の鳥獣担当者に電話で確認したところ、鳥獣部署は予算も人員も少なくて、本庁からも多摩環境事務所からも、現地など見に行く余裕などないということでした。今後、東京都で誤捕獲されたクマを放獣する提案をしましたが、考えたこともないし予算もないと一蹴されました。
書類に印を押すだけなら、わけもわからず罠に掛けられて殺処分されていく野生動物たちの哀しさや苦しみなど伝わりません。なんとかしたいという気持ちさえ起きないのではないでしょうか。兵庫県などでやっているように、鳥獣担当者は現地へ急行してほしいです。
日本に、こんなにも無策で、野生動物たちの命を奪うことに無感覚な行政があったのを、今回初めて知りました。こんな体制でこれまで来て、誰からも強い抗議や苦情が出なかったことが不思議です。きっと、こんなことになっているということを、誰も知らないんでしょうね。組織内から改革の声が上がることは期待できません。くまもり東京都支部が動きます。
野生動物に敬意を持ち、共存しないと、やがて人間も滅びます。それが自然界のしくみです。