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2016-02-20
2月20日 ガールスカウトに、本部環境教育部が「とよ」を題材にした初授業
- 2016-02-20 (土)
- _環境教育 | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
今回お話を聞いてくださったのは、大阪のガールスカウトの子どもたち、リーダー、保護者の方々です。
「とよ」が高代寺で飼われるようになったいきさつや、「とよ」を通して見えてくる、日本の森や自然の問題をお話させていただきました。
すでにこの団のスカウトは、「とよ」に3~4回会いに行ってくださっているので、「とよ」の写真が出るたびに、大喜びしてくれました。
お話の後のクイズ大会では、様々な面白い意見が出されました。
子どもの想像力に、改めて驚かされます。
「クマたちが安心して暮らしていくためにはどうしたらいい?」とたずねると、
「人間だけが住んでいるんじゃないことを、人間が理解しないといけない」
と言ってくれた子がいました。
まさに、私たちが伝えたいと思っていること、そのものでした。
私たち人間は、たくさんの植物や動物たちが織り成す自然の恩恵を受けて生きているということを、これからも多くの子どもたちや人々に伝えていきます。
みなさん、とても熱心に聴き、質問してくださったので、嬉しかったです。
関係者の皆さん、貴重な機会を与えていただき、ありがとうございました。(SY)
3月の「とよ」君の劇、楽しみにしています。
<4月23日(土)、トヨちゃん保護飼育開始1周年記念イベント>
於:高代寺
あたたかな春の日差しの中、元野生グマ「トヨ」6才に会いに行きませんか?
楽しいプログラムを企画しています。詳しい内容は追ってご連絡します。
皆さん、是非、この日を開けておいてください☆
再び クマの皮はぎ行為は林業にマイナスでも、豊かな森造りにとってはプラス 殺処分は行き過ぎ
下の写真は、パンフレット 「京都府のツ キノワグマ」の<クマ剥ぎ被害防止ページ>にあるクマ剥ぎ山の写真です。
京都府では、皮はぎ行為を行ったクマは、除去(=捕殺)と決められています。
(PDFファイル、1,013KB) (PDF:1,012KB)
クマの皮はぎにより、赤く枯れたスギやヒノキ
(くまもり感想:人間が間伐したようにうまく枯らしている)
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クマの皮はぎとは
樹木の水分の吸い上げが著しい6月~7月ごろ、ふつう、母熊が子熊を連れて15年生~40年生のスギやヒノキにやってきて、幹の樹皮を歯などで一方向だけはぎ取り、樹液でぐっしょりぬれた形成層をかじって食べる行為です。(地方によって、皮はぎ文化を持つクマと、持たないクマがある)クマの皮はぎは、一方向だけの皮はぎなので、スギの木は枯れません。
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ただし、かじられた幹の部分は傷を負ったことになるので、その後、樹洞ができるなどいびつに成長し、将来的には、ニホンミツバチをはじめ、多くの森の動物たちに巣穴を提供します。(樹洞が形成されない場合もある)
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20年ほど前に、福井県の林業家の方からお手紙をいただき、クマの皮はぎ現場を案内してもらったことがあります。クマの真似をして樹液を舐めてみました。この時期のスギの樹液の甘いのにはびっくりしました。(甘くないのもある)
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林業にはマイナスであっても、森造りにはプラス
材の価値を落とされた林業家にとっては、これは林業被害です。しかし、この行為は、林業にはマイナスであっても、森造りにはプラスなのです。林と森は全く別物です。クマは林業をしようとは思いませんが、本能的に、生物の多様性を誇る森を造ろうとしています。
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樹皮を全周剥いで、スギを枯らし出したクマたち
最近、クマの皮はぎに変化が起きてきて、樹皮を全周はぐクマたちが現れました。こうなると、スギは枯れてしまいます。
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京都府は、皮はぎグマに対しては、加害個体を除去する(=捕殺)と決めています。
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奥地の山は元々、クマたち野生動物が暮らしていた森でした。戦後、人間が林業でもうけようとして、森の木を皆伐し、スギだけヒノキだけを植えて、林に変えました。ところが、林業がもうからなくなったため、間伐などの手入れもできず、人間はこれら人工林を放置して、今、山を大荒廃させています。
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クマに任せておけば、放置人工林も豊かな自然の森に戻っていくでしょう。
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林業用地は徹底した防除を
私たちが木を使う限りは、国産材でなければならないと思います。国内林業はとても大事な産業ですが、将来の水源地を確保するためにも、林業は奥地から撤退し、確保した林業地は、徹底した防除を施すべきであると思います。
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一つの事象でも、見る角度が違うと、害が益になります。スギの皮をはいだクマは殺処分と決めるのは行き過ぎです。人間が彼らの生息地を奪い過ぎたのです。
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人間も生きていかねばなりませんが、人間の視点からしかものを見ないのでは、私たちを生かしてくれている豊かな自然を失って、人間も滅びることになります。