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2016-02-28
会員必読 「多種共存の森」清和研二著
- 2016-02-28 (日)
- くまもりNEWS
「天然林では多くの種が共存しているのはなぜか」
こんなことを疑問に思って研究した人がいたなんて驚きでした。東北大学大学院農学研究科教授の清和研二先生です。
清和先生は、徹底した現場主義。さまざまな鳥獣や虫、微生物や菌類のはたらきによって、自然界は最終的に多種共存の森になっていくことを、土の中の生き物たちや病原菌レベルまで動員して証明されました。<ジャンゼンーコンネル仮説>の証明。
自然界の意思は、どこまでも多種共存だったのです。それに逆らうような人間の自然への干渉は、遅かれ早かれ失敗に終わるしかありません。副題は、ー1000年続く森と林業の恵みーです。
熊森会員のみなさんにぜひ読んでおいてもらいたい衝撃の1冊です。
新本紹介 「リニア中央新幹線に未来はあるか」西川榮一著
- 2016-02-28 (日)
- くまもりNEWS
JR東海主張<リニアによって二酸化炭素排出量は増えない>のからくりを知りずっこける
先日の大阪でのリニア学習会場で、今年2月に出版されたばかりの本を買いました。神戸商船大学名誉教授西川榮一氏(交通機関工学)が、大阪のある市民団体から依頼を受けて執筆されたものです。
さっそく読ませていただきました。西川先生は、機械工学や交通機関工学がご専門なので、その角度からリニアを論じておられ、これまで読んできた本とはまた別の視点でおもしろかったです。
【西川先生の結論】
スピードアップするとエネルギー使用量は増加し、輸送コストも増え、システムは巨大化し、安全リスクは大きくなる。リニアは、JR東海や国交省など、推進側の一方的な審議しか受けていない。(今からでも遅くない)リニアは、環境や安全を主務とした社会全体の立場に立つ独立した第三機関による審査を受ける必要がある。今や、交通輸送、産業活動、人間活動の最上位にある地球環境の評価基準が最優先されねばならない時代である。
(くまもりから)大阪の市民団体がお願いしただけで、リニアのことを調べて本にしてあげようと思ってくださる研究者がこの国におられたなんて、感激です。
この本によって、JR東海の主張の問題点がさらにわかってきました。以下は、その一例です。
2045年、リニア全線開通しても東京ー大阪間の旅客輸送によって排出される二酸化炭素総量は増えない <JR東海>
(Q リニアは、新幹線の5倍のエネルギーを消費すると言われているのに、なぜ二酸化炭素総量が増えないのか)
<JR東海側の言い分>
リニアを導入しなかった場合の排出される二酸化炭素総量(飛行機、新幹線、車、バス)・・・合計43万トン
リニアを導入した場合の排出される二酸化炭素総量(リニア、新幹線、車、バス)・・・合計43万トン
<西川氏の反論>
飛行機の燃料使用量は多くて、現東海道新幹線の5倍です。JR東海の試算では、2045年、リニアを導入した場合の飛行機の使用量がよく見るとゼロになっています。東京ー大阪間が67分で行けるようになったら、飛行機利用者がいなくなってしまうという身勝手な前提のもとに作られた予測のようですが、そうなることはありえないと思われます。
くまもりから
JR東海の国民をだますような説明は許せないと思いました。一度なくした信用は、元に戻らないことを知るべきです。
2月21日 大阪「ストップ・ リニア!訴訟」集会に70名 その2
- 2016-02-28 (日)
- くまもりNEWS
<行政訴訟で市民が負ける訳>
裁判になったところで、日本では、市民が行政を訴えた裁判は、負け続けるのが常です。リニアも裁判だけでは止められません。なぜなら、日本では、いくら市民側に理があっても、学者たちも裁判官も、ほとんどみんなが行政側つまり権力側についてしまうからです。(強い者についておくと、自分が有利になる)それでもわたしたちは、リニア工事を認可した国交省を行政訴訟で訴えるしかないのです。
市民が負けるしくみ
①圧倒的な情報量の差・・・行政は、見せたくない教えたくない情報は、市民が情報公開を請求しても、黒塗りでしか出してきません。情報が不足し過ぎて市民は勝てないのです。
②圧倒的なエネルギーの差・・・市民は、本業の傍ら手弁当でお金を出し合って自由時間を使い果たし、社会正義を訴えるためにふらふらになるまで戦います。しかし、行政側は、市民の訴えをつぶすことが仕事で、それがすなわち収入であり自分のお金を使うこともありません。自由時間は休息してエネルギーを貯えます。
③第一、そもそも日本には自然を守る法律がないので、勝てません。開発許可後、市民から異論が出て10年たっても着工できない事業は許可を取り消しますというような法律が1本でもあれば、どれだけの無茶な開発がこの国で止まるかしれません。
要するに、日本はいまだ、市民社会でも民主主義国家でもないのです。
<唯一、市民が勝てる道=首長を動かす>
こんな日本ですが、田中康夫長野県知事や嘉田由紀子滋賀県知事の例からもわかるように、自然を守ることの大切さがわかる首長が選挙で選ばれて動いてくれれば、自然を守ろうとする市民の声が直ちに実現します。
くまもりから
川村先生、長時間いろいろと教えてくださってありがとうございました。
今後、首長さんに「環境破壊の超特急リニア」の実態を伝えていかねばならないと思います。また、工事は始まりましたが、まだまだ止められるということなので、リニアについて知るだけでなく、多くの国民にリニア問題を伝えられるような運動を起こしていかねばならないと思いました。
●いつも思うのですが、もっともっと多くの方に聞いていただきたかったです。
参考資料
●2011年5月27日、大畠章宏国土交通相(民主党)は、東海旅客鉄道(JR東海)が計画しているリニア中央新幹線(東京―大阪間)の建設を同社に指示した。(日経新聞より)
●2014年10月17日太田昭宏国土交通大臣(公明党)は、JR東海が申請したリニア中央新幹線(品川―名古屋間、総事業費5兆5235億円)の工事実施計画を認可した。
●2016年、石井 啓一現国土交通省大臣(公明党)
2月21日 大阪「ストップ・ リニア!訴訟」集会に70名 その1
- 2016-02-28 (日)
- くまもりNEWS
東京ー大阪間 大深度地下時速500キロ工事を進める文明には絶望しかない 川村晃生代表
大阪市弁天町で、リニア市民ネット大阪主催・日本熊森協会後援の「ストップ・ リニア!訴訟」大阪集会が持たれました。集会では、山梨県在住のリニア市民ネット代表慶応大学川村晃生名誉教授が、90分間にわたり、文学者として人々の胸をうつ格調高いお話をしてくださいました。
(会場風景)理路整然と熱弁をふるう、まるで青年のような川村先生
大阪が、リニアを受け入れないという決断をしたら、リニア中央新幹線工事は止まるそうです。(ようし!)
何も知らない国民
大阪で、「リニア、いらん!」の声が高まらないのは、ひとつには、リニアがどれだけ国土や国民生活に害を及ぼす危険なものか、500キロの速度を出すために湯水のようにエネルギーを使わねばならないなど、新幹線とは全く違うものであるということが、国民にほとんど何も伝えられていないからです。(今回もすべての新聞社に連絡しましたが、大手メディアの参加はゼロ。大手メディアの記者さん、がんばって!)
考える力を失った国民
また、想像力や思考力を失い、わが身に火の粉が降り注ぐまで黙っている国民が大量に増えたことも、原因のひとつでしょう。
JR東海の経営戦略
リニア列車と地下の壁の間は4センチ。確かにすごい技術だとは思いますが、地震などで壁がずれれば、乗客全員即死も充分に考えられます。JR東海は何兆円もの大借金をしてまで、何のために、母なる大地の地下水脈をぶちぎりながら、ジェットコースターさながら東京大阪間を67分間の弾丸列車を走らせようとしているのか。原発と同じで、国内がダメでも、海外への技術輸出でもうけたいという、JR東海という企業の長期ビジョンによる経営戦略のようです。国も日本経済の発展になると、後押ししています。(経済第一は、地球環境を破壊する。人類破滅への道)
絶望しかない
川村先生は、地球環境を破壊し、無数の生物に命を奪うまでの取り返しのつかない負担を強いながら走るリニアを、それでも造ろうとする文明、それを認める文明に、もはや絶望しかない。この文明を前に、どうして希望など語れるのか。みんなで絶望しようと訴えられました。
原告審査中
現在、「リニア・ストップ!訴訟」の原告団には600名が名乗りを上げています。しかし、裁判所が原告適格者かどうかを振り分けるので、最終的に原告団が何名になるかは、まだわからないそうです。自分が健康被害を受けるなどの直接被害を受ける人しか、原告になれない可能性があります。(つづく)