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2016-02

2月15日くまもりが、京都府<クマ捕殺・誤捕獲>現場を調査、現地行政担当者に会い改善策を訴える

この日、わたしたちは早朝兵庫県を出発し、京都府の<クマ捕殺・誤捕獲>多発現場へ出かけた。例年なら2月は雪で埋まっている地域だが、異常暖冬の今年は積雪がない。寒波の襲来で雪がちらつく中、現地調査をして回った。

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柿に来たクマを捕殺した集落

山すそには、金網柵が張り巡らされていた。シカ・イノシシは金網で防げたかもしれないが、クマは柵を乗り越えて柿の木に来たのだろう。この地域の山はどこも低く、真冬でも緑の葉が付いた常緑広葉樹で覆われていた。こんなところにクマなどすんでいるのだろうかと思うが、集落外れの柿の木は、どれもクマが木に登った跡の爪痕でいっぱいだった。

 

 

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くくり罠によるクマ誤捕獲多発地

横の田んぼには、一面に電気柵が張られていた。どこが獣道かは、動物たちの足跡ですぐわかった。この日は狩猟期なので、許可されているくくり罠の直径は主に12センチのはずだが、罠が全く見あたらなかった。

 

 

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電気柵が張り巡らされた山の中の果樹園  

野生動物たちの生息地である自然の山中があちこち切り開かれ、小さな果樹園が点在していた。野生動物たちに、人間の作物と自然の実りが区別できるだろうか。蜂蜜の入ったクマ捕獲罠は、果樹園の外に置くそうだ。

 

まだまだ不完全と言われながらも、京都府では、金網柵や電気柵が防除に多用されていた。しかし、この程度では被害が防止できないのだろう。もっと抜本的に、人と動物が棲み分けられる山づくりをしなければならない。私たちが見たところでは、近隣県の野生動物被害に悩む集落と、どこも同じような状況だった。戦後の林野庁の森林政策の失敗で、動物被害が増大するようになり、地元はみんな困っているのだ。こんなことになったのは、野生動物たちの生息地破壊に声を上げなかった全国民の責任でもある。

 

現場の行政担当者らに会い訴える

午後からは、アポを取っておいたA市とX振興局の行政担当者に別々に会いに行った。彼らは、人間の方が大事であり、地元には「クマ殺せ」の声しかないとして、クマの殺処分と誤捕獲の多発に何の疑問も持っておられなかった。くまもりとしては、彼らに届いている情報があまりにも目の前の事だけ、人間の事だけで、情報不足を感じた。これからの時代は、行政も人間の事だけを考えるのではなく、全ての生き物との共存策を強力に推進していくべきだ。そうしないと、人間は、かけがえのない自然や水源を失ってしまうと、くまもりは訴えた。

 

行政がまず取り組むべきは防除と生息地の復元である。最近は自然林も劣化が激しく、人工林の中と同様、野生動物の餌場がないことをくまもりは伝えた。

 

京都府がくくり罠の12センチ規制を外したことによって、これだけのクマ大量誤捕獲が起きることが証明されたのであるから、京都府も、12センチ規制を守るべき。クマを同じところで何度も有害捕殺したり誤捕獲したりしているのは、保護対策をなおざりにしている結果であり、大いに反省と改善を望みたい。

 

野生動物たちの生息数が爆発増加しているので大量捕殺すればよいという保護管理派研究者たちの単純な理論を鵜呑みにしないでほしい。くまもりは、クマ・サル・シカ・イノシシ・・・野生動物の大量捕殺対応の誤りに気づいてもらいたくて、全く違う角度から鳥獣被害問題を見ている画期的な研究者の論文を最後に提示した。行政のみなさんは、殺しても殺してもシカが減らない。よけいに増えたような気がすると言われていたが、この論文を読んでくださったなら、どうしてそうなるのか、自然界の仕組みが目からうろこでわかるのではないか。

 

来春からは、関西広域連合でクマ対応にあたる話も出ているということだった。今後、京都府でまずクマから、保護対策が進むかどうか注目していきたい。

 

 

 

 

 

京都府平成27年度クマ捕殺数・クマ誤捕獲数 西日本で突出最多 問題視した熊森が、京都府庁へ 

ツキノワグマは、西日本全域で絶滅の恐れがある種と指定され、どこも保護体制に入っている。そんな中、平成27年度の京都府のクマ捕殺数は41頭、誤捕獲数は80頭という西日本で突出最多だ。

 

H27年クマ捕殺数(近畿・中国・四国)水見

 

これを問題視した熊森本部と京都府支部は、1月28日に京都府庁を訪れ、京都府が出しているクマ保護対策はすばらしいのに、どうしてこのような大量捕殺、大量誤捕獲が起きたのか、森林保全課の係官から聞き取った。<京都府ツキノワグマ>平成14年(2002年)より狩猟禁止。

 

「京都府第一種特定鳥獣保護計画第3期―ツキノワグマ―」(平成27年~29年)より、以下を抜粋

 

・丹後個体群(推定生息数700頭)・・・危急地域個体群ナラ類が集団枯損可能な場所から広葉樹への樹種転換を図るなど、クマの生息環境に配慮した森づくりを進める。防除の徹底と被害対策を進め、加害個体を管理(=捕殺)。

 

・丹波個体群(推定生息数200頭)・・・絶滅危惧地域個体群ナラ類が集団枯損森林所有者の協力のもとに、人工林の強度間伐による下層植生の回復、針広混交林化や堅果類の広葉樹植栽。基本的には防除対策を優先し、加害個体を管理(=捕殺)。

 

・誤捕獲の防止・・・原則としてクマの生息地では、イノシシやシカ捕獲用の「くくり罠」の使用を避ける。繰り返し、クマの誤捕獲を起こす者には、捕獲許可の更新中止を検討する。

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京都府のクマ対応について森林保全課の係官に質問する熊森本部・京都府支部

 

わかったこと

★京都府が公表していたクマ保護対策は、「誤捕獲グマは放獣する」こと以外、実際の場ではほとんど実施されていなかった。(!)

野生動物たちは哀れなことに、何をされても、ものが言えない。訴えることができない。共存を達成するには、鳥獣被害を受けて苦しんでいる地元の人達のことを思うのは当然だが、同時に、動物たちの声も代弁できる民間自然保護団体が、絶えず行政事業をチェックしていく必要がある。

 

・クマ有害捕殺はX振興局管内に集中

有害捕殺されたクマは、京都府内に4つある府庁出先機関としての振興局(山城、南丹、中丹、丹後)の内、あるひとつのX振興局管内に集中していた。(41頭中40頭)。果樹や柿に来たことが捕殺理由となっているが、同じ集落で6回も捕殺されているなど、防除を徹底させたのか疑わしい。

 

・クマ誤捕獲はX振興局管内のA市に集中

誤捕獲80件(箱罠20件、くくりわな58件、麻酔銃 2)のうち、約7割にあたる55件はX振興局内で起きており、うち48件は同局内のA市で集中的に起きていた。しかも、多い集落では10回も誤捕獲を繰り返しており、誤捕獲防止対策がとられた形跡はない。しかも、京都府は、クマの誤捕獲を避けるための環境省によるシカ・イノシシ用くくり罠直径12センチ以下規制を、近畿地方で唯一、規制緩和していた。 これでは、クマの足が罠にズボッと丸ごと入ってしまい、誤捕獲が頻発するのは当然。京都府には、なんとしても他県と足並みをそろえ、環境省12センチ規制を守ってもらいたい。

 

・広葉樹林化事業は中止

京都府では、平成14年~18年に、森林所有者の協力のもと、広葉樹を植栽する「いのちと環境の森づくり事業」を約30haで実施したが、現在、広葉樹林化事業はどれも中止。理由は、植えても、シカが食べてしまうので、苗木が全く育たないからとのことだった。

 

くまもりから

どんなにすばらしいツキノワグマ保護計画を作っても、その部署を担当する人間によって、実行されるかされないかが決まる。すべて、その部署を担当する人次第なのだ。

京都府本庁の担当者は、現場には1回も行ったことがないと言う。

くまもりは、現場を担当している人に会わねばならない。現地を調査し、その後、X振興局とA市の双方の担当者に会いに行くことにした。(つづく)

 

(実現するといいな)天然林 和歌山県が買い上げ 生態系保護、江戸時代に学ぶ 開発禁じ「御留林」に

 和歌山県は来年度から、県内固有種などの貴重な生態系が残る天然林を買い上げて開発を禁じ、「新紀州御留林(おとめりん)」として保護していく方針を決めた。名称は、江戸時代に紀州藩などの大名が土砂災害防止などのために立ち入りを禁じた「御留林」にちなんだ。環境省によると、生態系保全の取り組みとしては全国でも極めて珍しいという。新年度予算案に関連予算を計上する。

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県の面積の8割近くを占める森林のうち、林業用にとスギやヒノキの針葉樹を植樹されなかった天然林は約4割の約13万5000ヘクタール。広葉樹が中心で、豊富な樹種に加え、固有種の昆虫や植物が生息するなど、生物多様性が高い自然の宝庫になっている。

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紀伊半島には「御留林」以外にもかつて、高野山などが建築資材を確保するために無秩序な伐採を禁じた「高野六木(りくぼく)」「熊野六木」があり、豊かな生態系の保全の役割も担っていた。しかし、戦後に植林が進んだことで小規模な天然林が点在する形となり、生態系を守る機能が薄れてしまっているため、当時の制度をモデルに買い上げて人の手が入らないようにすることにした。

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県は今後数年をかけて御留林とする森林の選定や現地調査を進める。水源保護のために県内の市町村が今後取得する山林と合わせて、5年間で計100ヘクタールの公有林化を目指す。事業費は県税の「紀の国森づくり税」を積み立てた「紀の国森づくり基金」を活用する。

くまもりから

くまもりは20年間、森林保全のあり方は西洋文明ではなく、我が国の江戸時代から学ぶべきとずっと主張してきました。なぜなら、森を消してしまった西洋文明との違いは一目瞭然。私たちの祖先の森の守り方が正しかったことは、もう実験結果からはっきりと出てしまっているのです。

本当に守るべき森は、人が入らないようにして、自然界の無数の野生生物たちのはたらきに任さなければなりません。森は、人間が管理などできる世界ではないのです。

さすが、南方熊楠を生んだ和歌山県。全国初の「御留林構想」があまりにもうれしかったので、担当部署にお礼の電話を入れました。和歌山県が現在保全している原生状態の天然林は、今のところ護摩壇の1か所だけなのだそうです。どこの山をどれくらい買おうとされているのか、いろいろと質問しましたが、まだ予算もついていないし、発表できる段階ではないということでした。

「御留林」構想、実現するといいな。江戸時代の森林保全策が全国に広がるといいな。1か所で最低1000haぐらいは押さえてほしいです。

今残っている天然林を守ると同時に、人工林率62%と異常に高すぎる和歌山の針葉樹植林地を、思い切って大幅に広葉樹の自然林に戻すこともお願いします。

(感謝) 日本経済新聞社が、JR東海リニア工事による被害問題の記事を掲載 2月8日 

以下、日経新聞 2016年2月8日(月)記事より抜粋

『リニア着工、環境問題も』=山梨、日照被害など110件=

JR東海はこの度初めて、山梨県実験線での延伸区間24.4㎞工事において発生した計110件のトラブルの詳細を明らかにした。高架の日陰になる日照被害が76件、工事で農業用水などが確保できなくなる水枯れが34件だった。

補償などの経費はJR東海が全額負担したが、日照被害は4件、水枯れは1件が未解決。対策費の総額は明らかにしていないが、全体の工事費に比べるとわずかな額という。

南アルプストンネルでも工事に伴い、河川の流量の減少が予想されている。

トンネルを掘った残土処理や工事用車両による交通環境の悪化といった課題もある。

例えば、東京都内では600万立方メートルの残土発生が見込まれる。

都によると、埋め立てが減っていることもあり処理策は未定といい、課題も山積している。

(甲府支局長)

 

くまもりより

経済、経済と、いまだに経済第一で、リニア推進記事ばかりが氾濫しているメディアの中で、リニアによる環境被害記事を書いてくださった日経記者さんの勇気と正義感に感謝します。

これで、リニア問題に思考停止させられてきた多くの国民も、少しは問題視し始めてくれるかもしれません。

JR東海は、補償費は全額負担したと言われていますが、それは、今生きているもの言える人間に対してだけです

 

JR東海は、もの言えぬ生き物たち・母なる大地・次世代の人々にも補償すべきです。(というか、母なる大地の大破壊をやめよ)

 

昔、作家の森村桂さんが、「ゼネコンはお金が欲しいから、かけがえのない環境を破壊してまで工事をするのでしょう。お金は私たちの税金から取ってもらってもいいから、何もしないでください」と魂を振り絞って訴えられたことがあります。

 

くまもりも、同じ気持ちです。南アルプス山脈にトンネルを貫通させ、無数の水脈をぶち切るなど、正気の沙汰ではありません。そのようなことをした後に、何が起きるか考えてみたことはあるのでしょうか。誰が認めても、日本の国土を誰よりも愛する私たちは、絶対に認めません。

 

くまもりに賛同してくださる方は、2月21日(日)、大阪市弁天町ORC生涯学習センターでのリニア市民ネット代表川村先生の講演会に、万難を排して来ていただきたいです。14:00~16:30

2月5日<滋賀県長浜市トチノキ巨木林>業者が、自分に伐採権があると、山主を大津地裁に訴える

(以下、中日新聞2月5日より)

 

長浜のトチノキ巨木群、誰のもの?保全めぐり論議

 

 滋賀県長浜市木之本町金居原地区に群生して残っていたことがわかったトチノキの巨木群に関して、伐採を計画していた業者(73才)が、地主2人を相手に、トチノキなどの所有権の確認を求めて大津地裁長浜支部に提訴した。伐採対象は推定樹齢が最長で400~500年とされる貴重な巨木群。保全をめぐり、滋賀県などを巻き込んだ議論に注目が集まっている。

 訴状によると、業者側は2014年3~5月、金居原地区の土地4、6ヘクタールを所有する山林地主2人からトチノキやケヤキなどの樹木を計190万円で買い取ったと主張。2月4日に大津地裁で第一回口頭弁論があり、地主側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

 滋賀県自然環境保全課によると、金居原地区には幹回り3メートル以上(推定樹齢200~300年以上)のトチノキやケヤキだけで数十本はある。訴訟の対象となった土地は「県内で最も大きい巨木林の一角」(同課)とされる。

 業者は2014年に伐採を長浜市に申請。同年9月にも伐採する予定だったが、滋賀県や長浜市が業者に保全への協力を求めたため伐採には至らず、協議を継続してきた。昨年5月には三日月大造知事が現場を訪れ、「守る価値がある」などと保全を求めてきた経緯がある。

 業者側は再び伐採を模索しているが、地主側が「当初とは事情が異なる」と折り合わず、提訴に至った。

 木造建築の専門家によると、トチノキは木目が美しく、家具や内装の装飾に重宝されてきた。スギやヒノキに比べて価格が安定し、単価も高いという。(熊森注:1本300万円で売れるとのこと)

 業者の男性は取材に対し、「スギやヒノキを切っても売れず、生活は成り立たない。巨木には穴があいて枯れそうな木もあり、山のリサイクルとして活用していくべきだ」などと話した。

 4日の法廷には、巨木群の保全を訴える市民や学者らが傍聴に訪れた。京都大の岩坪五郎名誉教授(森林生態学)は取材に「県は保全の努力を」と伐採に反対した。

 地主側の代理人弁護士は「木の売買については双方の認識が異なっており、契約の合意の有効性に疑問がある。これまでのやりとりについて詳細な調査が必要だ」と述べた。訴訟は、次回期日から地裁本庁へ移されることが決まった。(角雄記、山中正義)

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山奥にひっそりとたたずむトチノキの巨木=長浜市木之本町金居原で

 

くまもりから

この伐採業者は、2010年に滋賀県高島市朽木に残されていた当時西日本最大級と言われていたトチノキ巨木群を伐採していた業者と同じ人です。

当時、伐採が始まっていることに気づいたくまもり滋賀県支部は、地元の方々や滋賀県民のみなさんと立ち上がり、伐採中止に持ち込みました。その後、裁判所に間に入ってもらい、2013年、残された巨木群を市民の力で960万円で立木トラストすることで決着し、巨木群は無事伐採から逃れました。

この業者はその後、長浜市でトチノキの巨木群を見つけ、2014年から伐採しようとしました。しかし、すぐに人々や行政に気づかれ、伐採阻止の動きが起こりました。くまもり滋賀もすぐに現地の山を調査しました。その結果、何と、高島市のトチノキ巨木群を上回る規模のトチノキ巨木群であることがわかったのです。もちろん、残された貴重なクマの生息地です。

 

くまもりは、高島市の時と同様、①クマをはじめとする多くの森の生き物たちのために、②近畿2府4県の水源のために、③未来の子供たちのために、長浜市のトチノキ巨木群も、絶対に残すべきだと思います。

 

くまもり滋賀は2014年6月、地元の方々と共に、当時の嘉田滋賀県知事に、直ちに伐採阻止を訴える緊急提言を行いました。(2014年6月12日くまもりブログ参)

長浜市のトチノキ巨木群は、伐採反対の声が高まり、いまのところまだ1本も伐採されておりません。そのため、今回、伐採業者が、「自分が生活する為に、伐採したい。自分には伐採する権利がある」と、裁判所に訴えた訳です。原生林は、さわらないのが一番いいのです。山のリサイクルなど詭弁です。

原発再稼働問題で、原発周辺の食堂などが、早く再稼働してくれないとお客が減って自分たちが生活できないと訴えている構図と同じだと感じました。個人の一時の生活のために、かけがえのない地球環境を破壊して取り返しのつかない事になっても良いという考え方は、地球の有限性がここまで明らかになった今、もはや認められないと思います。

ただし、この業者のような個人に対しては、彼らを責めるのではなく、転職斡旋や、それまでの間の生活保障などがなされねばならないと思います。

 

2月5日 保育士さんの研修会での森山会長講演 (神戸市)に、うれしい感想

神戸のポートアイランドで開かれた保育士さんの研修会で、森山会長の1時間講演がありました。

 

木でできた南欧風のとてもステキな会場でした。

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会場風景

 

森山会長は、「これだけ科学が発達した21世紀の今も、実は、人間は自然に生かされている、生かされているだけに過ぎない動物です。しかし、現在、多くの人々が自然から離れて暮らすようになったため、このことがわからなくなってしまっている人が多く、とてもこわいことです」というお話から始めました。

 

人間が生きていくために必要な3大要素は、酸素、水、食料です。そして、食料生産には大量の水が必要です。

日本の食料自給率は39%です。多くの食料を海外から輸入していますが、このことはバーチャルウォーターといって、みなさんご存じのように、海外の水を大量に輸入したことになります。日本地下水学会によると、そういう意味での水の輸入量たるや800億立方メートルにもなるそうです。(ちなみに、日本国内での年間水総使用量は900億立方メートルで、そのうち農業に使われている水は300億立方メートルです)

くまもり顧問である水ジャーナリストの橋本淳司先生によると、日本が食料自給率を50%に引き上げようとしても、今のままだとそれを可能にするだけの農業用水が確保できないそうです。日本はとても雨が多い国ですが、降水季節に偏りがあり過ぎるのと、あまりにも人口が多過ぎるため、ひとりあたりの降水量は世界平均の4分の1しかないのです。

 

どんなに時代が変わろうと、「水は森から」 得るものです。

林業名目や観光で森を破壊し続けることを直ちにやめ、壊し荒廃させた森は手遅れになる前に復元・再生させることが、今、日本にとって必要なことです。森の維持形成にはクマをはじめとする全ての野生生物が必要です。私たちは祖先がしていたようにあるだけの知恵をしぼって野生生物たちと共存しなければならないと、森山会長は訴えました。

ご出席くださった皆さんは、身じろぎもせず、会長の話に聞き入っておられました。

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森山会長は最後に、参加された保育士さん達に向けて、「現在起きている地元の獣害は、人間による自然破壊や防除不足がもたらしたもので、野生動物たちを有害捕殺するのは間違っている。保育士のみなさんには、全ての生き物に共感できるやさしい子供たちを育てていただきたい。それが、日本の自然を守り、日本文明を存続させることになるのです」と、講演を締めくくりました。

 

<若い保育士さんたちからの講演感想要旨>

・今日、自分の生活を支えている水や食料と自然がどのように関係しているのか実感できました。

・実家は地元で、小学生のとき、家の裏の柿の木にツキノワグマが来た。クマは怖い生き物だと言われていたので、今日の講演を聞くまでそう思っていたが、今日180度見方が変わりました。台風がきた時、床下浸水したり裏山が崩れたりしたが、原因は自分たち人間にもあることをすごく感じました。裏山は本当に下草が消え茶色一色で砂漠化しています。くまもりの活動に、ぜひ参加したいです。

・先生のお話を聞いて涙が止まりません。今日のお話は、まさに今私たちがめざしている保育そのものです。ジブリ製作の「平成狸合戦ポンポコ」という映画も、森の大切さを動物の視点から子どもたちにわかりやすく伝えています。くまもりの活動に参加できればなあと思いました。

・山にスギがたくさん生えているのはいいことと思っていたので、自然について考えさせられました。ボランティア活動に参加させていただきたいと思いました。

 

講演会でいろいろとお世話になったみなさん、ありがとうございました。

 

 

 

2月4日、神戸市の保育園でくまもり環境教育

2月4日、本部環境教育チームは、兵庫県神戸市内の保育園で、

園児たちにくまもり環境教育を実施させていただきました。

あいにくインフルエンザが流行っており、
予定よりも参加人数は少なくなってしまったのですが、
参加してくれた園児たちはみんな活発で、とても反応が良かったです。

元気いっぱいの、ご挨拶♪

元気いっぱいの、ごあいさつ♪

今回のテーマは、「森と動物のつながり」です。

 

まずは、動物のうんちクイズ。
子どもたちは、動物のうんちの登場に、大はしゃぎ。
クイズでは、みんな想像力を働かせて、
いろいろな意見を聞かせてくれました。

 

次に、絵本の読み聞かせ。
絵本は、リスの親子の冬越しを描いた、「ヒッコリーのきのみ」。
私が小さな頃に、両親にせがんで何度も読んでもらった絵本です。
幼心に、動物と植物のつながりを学んだ、思い出があります。
子どもたちの心にも、何かが残ってくれたらなと、
気持ちを込めて読ませていただきました。

 

最後は、恒例のくまもりダンス。
去年やったのを覚えてくれている子もいて、うれしかったです。
今年は、テンポをどんどん速くしてみたのですが、
みんながんばって最後までついてきてくれました。

 

みんな、ダンスはお手の物です☆

園児たちにとって、ダンスはお手のもの☆

 

最近、幼稚園・保育園や小学校の先生方から

「自然の中での子どもの遊ばせ方がわからない」

「私自身、生きものが苦手なんです」

という悩みをよく聞きます。

 

くまもりにお任せください。

今回は、室内でのプログラムでしたが、

今後は、子どもたちや先生方と自然をつなげるような

野外でのくまもり環境教育も増やしていきたいです。

 

 ここの保育園でのくまもり環境教育は、これで7回目。
今年も、このような機会を与えていただき、本当にありがとうございました。☆(SY)

平野虎丸顧問ブログより 憲法に「自然保護」の規定がない日本

  平野虎丸です。ご訪問ありがとうございます。

数年前、熊本の自民党議員さんの勉強会に参加した際、なぜ、日本国憲法の改正が必要なのか、という話がありました。
今の憲法には時代に合わないことがいろいろあるけれども、その中の一つに、自然保護に関する規定がない、ことも挙げられていました。

それで、林野庁は日本の森を食い尽くし、環境省が野生生物を殺しまくっているのだと理解しました。

林野庁が森を食い尽くそうが、環境省が野生生物を悪者にして殺し尽くそうが、それを裁く憲法も法律も日本には存在しないのです。

自然公園法には国立公園内に「特別地域」が設定されていますが、特別地域においても、森林整備と森林保全のための植栽は禁止されていません。

森林整備・森林保全というのは、スギ・ヒノキを植林して林業を行うことです。

植林だけでも自然景観破壊になるのに、林業をすれば、山じゅうに林道が整備され、搬出道が細かくつくられ、山の形状は変わり、土砂流出を招き、近年は土石流災害まで引き起こしています。

ブログ左側のバーにある林業動画をごらんください。

日本の美しい自然景観を次世代に引き継いでいくための「自然公園法」においてさえ、国立公園や国定公園での植林、林業が特別に認められています。
「特別地域」に木や草を植えてはいけないけれども、林業を行うことはよし、とされています。

林野庁に配慮したものと思われます。
国有林は国立公園や国定公園内にあります。

これでは、「国立公園はない」に等しい。
日本の希少な自然は何も守られない。

自然公園法を見る限りでも環境省が林野庁の下になっています。
環境省が林野庁を指導できない。
その上、シカが生態系を破壊しているということになっており、生態系回復事業というのは、(一般人の常識を超えて)、シカの頭数制限、つまり、シカを殺すことが生態系回復事業と呼ばれているのです。
林野庁が日本の山を私物化しているのは目に見えていますが、これが自然公園法に基づいて行われているので、「林野庁が日本の自然や森林を破壊している」といって告発をしても、裁判所では裁くことができないわけです。
林野庁と環境省が殺してしまう日本の自然。

日本には自然を守るための憲法がないから、自然を破壊する法律しかできないのか。
森林法が出来た当時、まだ、原生林がたくさん残っており、原生林伐採を仕事にしていた私も、30年後に原生林がなくなっているなどとは想像も出来ませんでした。

原生林がなくなってからでも、法律を改正することはできたはずです。
憲法に「自然保護」の規定がなくても、実態を見て、現状を改めることはできるはず。

クマやサル、シカ、イノシシ、ニホンカモシカまでが里に出てくるというのは、国立公園内に野生動物の棲みかがなくなっている証です。

これでいいのか  ニッポン。

平野虎丸顧問が、「森林法」と「生物多様性基本法」の改正を要望 議員会館へ上京 平野氏ブログより

平野虎丸です。ご訪問ありがとうございます。

1月20日(水)、朝から飛行機に乗って上京し、最終便で帰熊しました。
日本には、自然を破壊する法律だけしかなく、自然や森、国土を保全する法律がないので、「森林法」や「生物多様性基本法」を改正していただくように、議員会館に要望書を提出してきました。
公務員は、国民に雇われているにもかかわらず、国民の為にならないことばかりしています。
このままでは50年後、日本に自然は残らないかもしれない、という危機感を抱いて行動を始めました。
日本では、自然を破壊する法律ばかりがつくられているのですが、目的は税金を使う為でしょう。
林業を森林と言って税金を注ぎ込んでいるのが公務員です。
公務員が、国民の税金で国民の共有財産である森を壊し、国民に迷惑をかけている今の状況をなんとしても変えていきたいと思っています。
林業も農業もしない土地だけが自然が息づく場所であり、野生動物、野鳥、野草、昆虫たちが安心して生息出来る場所となります。
自然のおかげで林業も農業も出来ます。
自然の働きに感謝して、自然が出来るだけ残るように努力していきましょう。
野生動物たちが棲めない場所は、人間も住むことはできないのです。
山じゅうが木材生産地になれば、いざというときには人間の食糧もありません。
本物の森には水も食料も薬もあります。
生物が生きていける場所は、地球が与えてくれる「森」です。

徹底したシシ垣で防除 シカやイノシシを殺すことなく共存していた祖先を、誇りに思う

滋賀県ご出身の奈良大学高橋春成教授の本「人と生き物の地理」を読みました。滋賀県の人達をはじめ、祖先がどうやって大型野生動物たちとこの国で共存してきたのかがわかります。

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祖先は、万里の長城顔負けの徹底したシシ垣を、集落の至る所に張りめぐらせていました。野生動物を殺すのではなく、野生動物と棲み分けて共存するための人間の工夫や知恵でいっぱいでした。昔、機械もない時に、これだけのシシ垣を造るのにどれだけの労力を要したか、想像しただけで頭が下がります。農村地帯に、それだけの人力もあったのでしょう。

 

「蚊やり」を、思い出しました。蚊でさえも、祖先は殺さずに、向こうに追いやって、それで良しとしたのです。何とやさしい文化でしょうか。私たちが誇るべき、日本文化です。祖先と言っても、戦争に負けて、日本が人間至上主義の自然破壊型西洋文明に染まる前、高々数十年前の事です。

 

しかし残念ながら、戦後の宅地開発や国土総合開発などで、現在、多くのシシ垣は取り壊されてしまいました。最近は、金網型の平成のシシ垣がどんどんと農村地帯に張り巡らされています。景観上悪いかもしれませんが、大型野生動物たちと共存するには、この様な徹底した防除柵が必要であることを、今も残る数々のシシ垣の遺構から、祖先が教えてくれています。

 

高橋先生は、以下のような本も書かれています。

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高橋先生の本を読んで、生き物たちの生命を尊重するやさしい心に触れ、うれしくなりました。

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