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2016-07-12

クマ目撃急増も狩猟解禁せず…鳥取では保護対象

<以下読売新聞7月8日記事より>

クマの目撃情報や負傷事故が相次ぎ、鳥取県が対応に苦慮している。

 6月には鳥取市内の小学校の裏山で確認されるなど、今年は7日現在の目撃情報が59件に上り、昨年同時期(29件)に比べて大幅に増加。全国では狩猟を解禁する動きもあるが県内では保護対象で、正確な生息数の把握が困難として踏み込んでいない。一人ひとりが、クマと遭遇しないための注意が必要だ。

 クマの被害は全国で多発しており、秋田県では5~6月にクマに襲われたとみられる死亡事故が4件続いた。県内でも5月に若桜町の山中でランニングをしていた男性が襲われて指を骨折。6月には捕獲したツキノワグマをおりに入れる際、作業員2人がかまれる事故も発生した。

 県内を含む東中国地域のツキノワグマは環境省の「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定され、県のレッドデータブックでも「絶滅危惧2類」(県内で絶滅の危険が増大している種)とされている。

 県は2007年に保護管理計画を策定し、狩猟を初めて禁止。現在は、目撃情報があれば花火で追い払うなどし、捕獲しても原則は山奥で放す。人が襲われたり、たびたび果樹園などに被害を与えたりする場合のみ、殺処分することが決まっている。

 全国的な被害を受け、兵庫県は今年、20年ぶりにツキノワグマの狩猟を解禁する方針を打ち出した。同県森林動物研究センター(兵庫県丹波市)によると、東中国地域では近年ツキノワグマの目撃、捕獲件数が増加。同県では昨年度の推計頭数が940頭で、保護管理の目安である800頭を超えたという。

 一方、鳥取では解禁に慎重だ。過去の目撃件数や捕獲数などから推計200~400頭が生息するとみられるが、正確な数は不明。県は「狩猟解禁で一気に数が減る可能性もある。すぐに踏み込んだ対応はできない」とする。今年度は保護管理計画の見直し年度だが、狩猟を解禁する予定はないという。

 同センターによると、7月はツキノワグマの繁殖期で、オスの行動範囲が広がったり、親離れしたばかりの若い個体が人里に出てきたりするという。担当者は「クマは臆病な性格で、鈴やラジオで音を出しながら行動すれば基本的には近づいてこない。山中でヤブの中に入らないなどの対策を取ってほしい」と呼び掛けている。

クマたちの餌場も隠れ場所も奪ったままでの狩猟再開は問題、兵庫県井戸知事に熊森がクマ狩猟を再開しないように直訴

今年3月17日、兵庫県立のじぎく会館で開催された、兵庫県野生動物保護管理運営協議会で、兵庫県行政が作成した「平成28年度兵庫県ツキノワグマ保護計画」が出されました。名前だけは保護計画ですが、保護の観点はゼロ。中味は完全に頭数管理計画です。

 

<兵庫県森林動物研究センター原案>

 

兵庫県内のクマが爆発増加し続けており、県内2個体群の推定生息数の合計が940頭(東中国地域個体群+近畿北部地域個体群、なぜか個別の個体群の推定生息数はわからないという怪?どういう算出法なのか?)を超えたため、今秋11月15日から1か月間、狩猟者一人当たり1頭までという条件で、クマの狩猟を20年ぶりに再開する。狩猟再開の根拠は、環境省が「800頭を超えたクマの個体群は安定」としているから。(くまもり:県内2個体群は県の東西に離れているので、別々に推定値を発表すべきであろう)

 

(熊森からの反論)

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井戸知事に、山が浅く開発が進んだ西日本で、なぜ兵庫県だけがクマ狩猟を再開するのかと撤回を訴える森山会長ら

 

自然界の事は人間がとらえられるようなものではない。数値化やコントロールは不可能。

 

兵庫県のクマ生息数は、元兵庫県森林動物研究センターのある研究員(現鳥獣捕獲業務を行う株式会社の代表取締役 社長・狩猟歴15年)が、集落周辺のクマ目撃数とクマ捕獲数を2大因子としてMCMCベイズ推定法を用いて独自にコンピューターで計算した推定値であり、1992年に絶滅寸前60頭と発表されていた兵庫県のクマが今本当に現在940頭もいるのか、第三者が検証できません。あまりにも過大推定であると、日本福祉大学山上俊彦教授など批判している研究者たちもいます。(日本奥山学会誌VOL4(1)2016の29~49ページ参照)

 

クマ爆発増加に疑問、ドーナツ化現象を考慮すべし

現在、この元研究員は、公務員を退職し、野生動物捕獲会社を経営しており、そのような業者が出した推定値だけを真に受けて、狩猟を再開するのは危険です。この元研究員に、クマの本来の生息地であった奥山が大荒廃して砂漠化しており、クマが棲めなくなってやむ終えず山から出て来て集落周辺に集まっているドーナツ化現象を考慮されたかたずねると、「奥山は調べていません」と回答されました。

 

被害防止対策と、生息地復元による棲み分けに全力を挙げよ

③ 山が深い東北等と違って、兵庫の山は浅く、奥地まで開発されてしまっており、多くの奥山は人工林も自然林も大荒廃し、クマの餌場も隠れ場もありません。たとえ、940頭いたとしても、この状態で山に入って※絶滅危惧種を狩猟する等、生態系保全上からも倫理上からも到底認められません。今は、地元の人達のために被害防除柵の設置などに力を入れる一方、長期的には奥山生息地の復元に力を入れて、クマが奥山に帰れるようにし、棲み分け復活をめざすべきです。

ワシントン条約:ツキノワグマは絶滅の恐れが最も高い附属書 Ⅰに掲載、兵庫県レッドリスト:Bランク

 

兵庫県の奥山の荒廃ぶりを全国民に見てもらいたい

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くまもり自動撮影カメラがとらえた下層植生を失った公園状態の山中を歩くクマ

こんな山の状態で狩猟を再開したら、姿が丸見えで、クマはハンターから逃げられない

 

★被害防止のためにやむ終えず人里で捕殺する有害駆除と違って、狩猟は一部例外者をのぞいて、山中に入って行って、スポーツやレジャーとして楽しむために行うものです。人間が奥山を荒廃させたまま、不確かな推定数や勝手な数値目標で狩猟再開を楽しむことは許されません。狩猟は有害駆除(=有害捕殺)と、全く別物なのです。

 

当面、集落に出てきたクマの有害駆除はある程度仕方がないとしても、これだけ山を荒らしてきた人間が、自らのしてきたことへの反省もなく、山中にそっと潜んでいるクマまで殺しに行く権利などありません。人間のためにも、弱者である生き物たちの命を大切にする社会を取り戻すべきです。

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