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2016-09
10月22日(土) 兵庫県民会館で熊森本部主催 クマ狩猟再開(案)を考える講演会 参加者募集中
- 2016-09-28 (水)
- くまもりNEWS
くまもり本部がある兵庫県では、今、兵庫県行政によって、クマの個体数を減らすためとして、残酷で無謀なクマ狩猟再開が水面下で着々と進んでいます。
熊森が一生懸命訴えても、マスコミがほとんど問題点を取り上げてくれないため、ほとんどの県民は、兵庫県がクマ狩猟を再開する事の意味がわかっていないばかりか、クマを狩猟するということはどういうことなのかもわかっていません。
この際、佐藤さんを兵庫県にお呼びして講演をしていただき、その後、参加者全員で意見交換会をしたらいいことを思いつきました。
さっそく佐藤さんにお願いして、山形県から兵庫県まで来ていただくことにしましたので、一人でも多くの方にご参加をいただきたいと思います。
さっそく今からまわりの人達にもお声かけいただき、是非、皆さん誘い合ってお集まりください。
議員のみなさん、行政のみなさん、猟友会のみなさんにもお集まりいただきたいです。
<くまもり本部講演会> 参加者募集中! 参加費無料
1部 私がクマ狩猟をやめたわけ
元山形県クマ撃ち隊員 佐藤八重治(元山形大学演習林技官)
2部 兵庫県クマ狩猟再開を考える
ー参加者意見交換会ー
10月22日(土) 受付:17:40~ 講演:18時~
会場:兵庫県県民会館 兵庫県庁となり(JR/阪神元町駅北徒歩7分、地下鉄県庁前下車すぐ)
お手数をおかけしますが、会場設営の都合上、可能な方は、出来るだけ事前にご出席をFAX、メール、電話で、一言お知らせ願います。当日参加も歓迎です。
追記
10月23日(日) 受付:12:40~ 講演:13時~
会場:朝来市和田山公民館(朝来市和田山町玉置824-1)
同じ内容で朝来市でも行います。非会員の方の参加を歓迎します。
元クマ撃ち隊員が語るクマとのくらし
- 2016-09-28 (水)
- くまもりNEWS
9月24日、山梨県甲府市で、くまもり山梨県支部主催の講演会が開かれました。
この講演会は、去年、横浜市で、くまもり神奈川県支部が主催して行われたものですが、その時参加されていた山梨県支部長が、とても良かったので来年は山梨県でもやって欲しいと言われ、実現したものです。
この日は、80名以上の方がご参加くださいました。リニアに反対する会の方々も一部ご参加してくださいました。日本の自然を守りたい熊森と、日本の自然を守りたいリニアに反対する会が結びついたのは、本当にいいことです。
第1部 ツキノワグマと暮らして二十数年
佐藤八重治(元山形県大学演習林技官)
第2部 熊森はなぜクマを守るのか
日本熊森協会会長 森山まり子
ご参加くださった皆さんは、どちらのお話も、本当に熱心に食い入るように聞いておられました。
佐藤さんは、人がクマを狩猟することによって人身事故が増える仕組みなどをお話しくださいました。クマ撃ち隊員歴20年の経験がある者にしか語れない貴重なお話でした。
講演会をお世話してくださったみなさん、ご出席くださったみなさん、どうもありがとうございました。
近鉄が、電車が通らない時間帯だけ線路を横断できる「シカの踏切」 を開発
- 2016-09-28 (水)
- くまもりNEWS
国内初。シカ(鹿)踏切を近鉄が導入。動物が嫌がる超音波を出す装置を稼働。夜中は超音波を止めて鹿が渡れるようになっている。三重
相川哲弥ブログ。 http://blog.goo.ne.jp/jp280
私鉄大手の近鉄=「近畿日本鉄道」は、電車がシカをはねる事故が後を絶たないことから、
超音波を出す特殊な装置を使って、
電車が通らない時間帯だけ線路を横断できる「シカの踏切」
を開発し、事故の防止に効果をあげています。
この「シカの踏切」は、三重県津市内の近鉄大阪線に設けられました。
線路の両脇におよそ1キロにわたってネットを張った上で、
5か所にネットを空けた場所を作り、線路を横断できるようになっています。
ネットを空けた場所には、
遮断機の代わりに動物が嫌がる超音波を出す装置が設置され、電車が通る時間帯にはシカが入らないようにし、
最終電車の後は装置を止めてシカを通す仕組みになっています。
近鉄では、電車がシカをはねる事故が昨年度およそ300件発生し、統計を取り始めてから最も多くなりました。
対策チームを作って調べたところ、事故が多い区間では線路が生息域を分断する形になっていたためシカが危険を冒してでも線路を横断していたことがわかり、安全に渡れる仕組みを考え出したということです。
導入後、この区間では事故がまったく起きていないということで、担当者は、「シカとの共存が果たせる仕組みができた」と話しています。
(熊森から)
生命は、どんな生き物でも貴いのです。殺さない解決法を考えてくださったみなさんは、まっとうです。感謝です。
ありがとうございました。環境省に対抗することになりますが、国中に、動物を殺さない流れを作っていきましょう。
喜べない「やんばる国立公園」誕生 狙いは、特別保護区外の森林伐採許可
- 2016-09-28 (水)
- くまもりNEWS
以下、琉球新報より
やんばる国立公園誕生
【東京】環境省は6月20日、本島北部の国頭、東、大宜味3村にまたがる陸域と海域約1万6300ヘクタールを「やんばる国立公園」に指定することを決定した。同日の中央環境審議会の答申を受け決めた。今後は自治体と協議し、土地利用基本計画の変更などを経て、8月以降に官報に公示する。国立公園の指定は全国33番目で、完全な新規指定は2014年の慶良間諸島以来。一方、指定地域に米軍北部訓練場は含まれていない。
国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がり、固有動植物や希少動植物が生息し、多様な生態系が複合的に一体となった景観が特徴。10年度に実施された国立・国定公園総点検事業で「わが国を代表する傑出した地域である」などと評価されていた。政府は指定地域を含む「奄美・琉球」について、世界自然遺産登録を目指す考えで、国立公園化によって開発を規制し、環境を守る体制を強める。
●
以下、琉球新報より
喜べない「やんばる国立公園」誕生
特別保護地区がたった790ヘクタールのみとは!
開発行為が厳しく規制される特別保護地区が狭く、その他の指定地域で森林伐採が進む危険性を指摘し「長期的にはやんばるの生物多様性を毀損(きそん)し、種や個体群の絶滅を招くものになりかねない」と批判した。
やんばるDONぐりーず共同代表の喜多自然弁護士、NPO法人奥間川流域保護基金の伊波義安代表らが県庁で会見した。10団体・2人の共同発表で、伊波氏らは「このままでは世界自然遺産登録も不可能だ」と話し、遺産登録に向けた国際自然保護連合(IUCN)の審査も通らないと訴えた。意見書は環境省のほか県や国頭、大宜味、東の3村にも送付した。
意見書では、やんばる地域約3万4千ヘクタールのうち約40%の1万3632ヘクタールが国立公園(陸域)に指定されるが、伐採や動植物採取が厳しく規制される特別保護地区は790ヘクタールにとどまると指摘した。
指定区分は特別保護地区以外に、規制が厳しい順に第1~3種特別地域と普通地域があり、特別地域の伐採行為は許可制となる。
喜多氏や伊波氏は「貴重な地域が特別保護地区になっておらず、科学的根拠に基づく区分けになっていない。これでは伐採行為に国がお墨付きを与えるものだ」と話した。
英文へ→Environmental groups say plan for Yambaru National Park conservation area falls short
以下、日本森林生態系保護ネットワーク(CONFE Japan)より
(くまもりから)
これ以上、沖縄に残された貴重な森を開発しようとするなら、もはや狂気である。お金に目がくらんだ者たちは、どこまで日本国を裏切り続けるのだろうか。
日本森林生態系保護ネットワークの指摘がなければ、善良な国民たちは疑うことを知らず、「やんばる国立公園」の誕生を、手放しで喜んでしまっていただろう。危ない、危ない。
日本におけるワイルドライフ・マネジメント
- 2016-09-21 (水)
- くまもりNEWS
元々、ワイルドライフ・マネジメントというのは、1933年、狩猟動物の安定的な利用のためにアメリカで誕生した狩猟動物管理学の概念です。
しかし、1970年代になると、ディープエコロジーの考えが誕生し、自然の権利、動物の権利という新しい思想を生み出して、野生動物管理派と激しく対立することになり、今に至っています。
日本では、1970年代から1980年代にかけて、学会で野生動物管理の導入の必要性が提案され、研究者の間で「保護」か「管理」かの基本的な方向性や視点をめぐって論争が行われました。
そうこうするうち、1990年代になると、シカやイノシシなどの野生動物による農林業被害が深刻化するようになり、ワイルドライフ・マネジメントの導入が検討されるようになりました。
ワイルドライフ・マネジメントは、直訳すると、「野生動物管理」となりますが、日本語としては印象が悪いため、「野生動物保護管理」と和訳されました。本格的に、導入されたのは、1999年の「鳥獣保護法改正」で、この時、日本熊森協会は、ワイルドライフ・マネジメントの自然観や動物観は間違っているとして、導入を阻止しようと国会に通い続け、当時の国会議員たちから賛同者が相次ぎました。日本自然保護協会、WWFジャパン、日本野鳥の会、アライブなど、日本の自然保護団体は熊森と一致団結して総力をあげて、導入に反対しました。
しかし、教え子の学生たちの就職先がなくて困っていた生態学者たちと獣害対策に頭を悩ませていた環境庁が結びつき、無理やり「鳥獣保護法改正案」を通してしまいました。
しかし、ここで考えてみましょう。どんなに科学技術が発展しようとも、自然界は人間の頭で管理できるような単純なものではないという事実を。私たち日本人の祖先は、自然や生き物たちに畏敬の念を持ち、手を合わせて、かれらと棲み分けることで共存することに成功してきたという現実を。
我が国が、人間にはできもしないワイルドライフ・マネジメントを導入したことで、野生動物たちはみんな泣いています。みんな不幸になりました。生き物なのに物扱いされ、罠で捕獲され、麻酔をかけられ、歯を抜かれ、発信機を付けられ、いじくりまわされて生死をさまよい、研究者たちのおもちゃにされているのです。
推定生息数が何頭だとか、年平均増加率が何%だとか、個体数を調整する為に何頭殺せばいいとか、個体群生態学などという数合わせゲームに使われて、研究者たちに遊ばれているのです。
ほとんどの国民は、都会に住んでいるため、この弱い者いじめを知らず、知った人も見ないふりをしています。
いつか日本人は、深く反省せざるを得ない時が来るでしょう。自然を管理してやろうなどと考えた人間の恥ずべき傲慢さに。人間としての倫理観の喪失に。
ある生態学者に、日本で今、ワイルドライフ・マネジメントが花盛りなのをどう思うか聞いてみました。
「学会がアメリカ主導になっているんです。アメリカが国立公園で行っていることの模倣です。しかし、アメリカの国土は広くて、国立公園の組織も管理も日本と比べ物にならないほど整備されている。レンジャーも配置されている。条件が全然違います。
日本は、明治に無計画な狩猟を導入し、野生鳥獣が獲り尽くされそうになるまで激減しました。その結果、江戸時代と違って、明治になると、野生鳥獣による農業被害がなくなってしまったんです。戦後は、野生動物たちの生息地であった奥山を開発と人工林で大破壊してしまい、残された動物たちが山から出て来ざるをえないようになりました。
平成になって数が回復してきたシカ等による獣害が大きく発生し始め、地元が悲鳴を上げるようになってきました。日本は国土も狭く、農林漁業と野生鳥獣がひしめき合っている。歴史も社会構造も全然違う。国立公園の仕組みもアメリカと全く違う。レンジャーの整備もできていない。そんなところに、アメリカのやり方を持ってきてまねてもうまくいくはずがない。
導入したのは、研究者たちです。仕事が欲しかったのです。全てお金です。ワイルドライフ・マネジメントなど人間に不可能なのに、研究者は行政に、ワイルドライフ・マネジメントを導入したら、獣害問題が解決できるようにレクチャーするのです。自分たちの出番が必要なように見せかけてお金を得ようとしているのです。一時の流行なのです。いずれ必ず破綻しますよ。行政は、自分たちの犯してきた自然破壊という失敗を隠すために、ワイルドライフ・マネジメント派の研究者を利用しているだけなんです。
根本問題である、自然林復元をやらない限り、鳥獣被害問題は解決しませんよ」
みなさんはどう思われますか。
野生動物を殺さない解決法が、最も優れている
- 2016-09-20 (火)
- くまもりNEWS
日本熊森協会は、獣害問題に対して、
野生動物たちを殺すのではなく
被害防除と生息地の復元で解決を!
と訴えてきました。
●1999年、当時の環境庁が国会に提出した、個体数調整名目で野生動物の大量殺害を可能とする「鳥獣保護法改正案」(名前だけは美しい)に、日本熊森協会は猛烈に反対して、国会に乗り込みました。そして、多くの国会議員や多くの自然保護団体を巻き込み、否決前例のない参議院先議法案であったにもかかわらず、廃案寸前にまでみんなで国を追い込みました。
環境庁の面目は丸つぶれで、当時、環境庁はあわてふためきました。北海道大学から琉球大学までの国と繫がっている国立大学教授たち30名ぐらいによる、この法案成立の必要性を訴える文面を、環境委員会に属する国会議員の事務所にFAXで入れるなど、大変な苦労をして巻き返し、どうにか、この法案を成立させた経緯があります。(国家権力のすごさを思い知らされました)(教授たちの文面の内容は、よく見ると全員同じでしたが)
●環境省が出してきた外来種の根絶殺害をめざす「外来生物法」(2004年成立)の時も、日本熊森協会は生命尊厳の立場から、当初より激しく反対しました。輸入を止めるべきあり、国内ですでに繁殖してしまった外来種の根絶殺害は不可能なため無用の殺生になるとして、各地のシンポジウムで廃案を訴え、環境省を追い込みました。
(この時も、国家権力のすごさを思い知らされました)
●環境省が若者たちをハンターにしようとして、環境省HPに、日本民族は狩猟民族であるというページを作った時、熊森は、縄文以降は、日本民族は稲作漁撈民族であると訂正を求めました。そのため、HPのそのページが突然、閉鎖され、長い間<工事中>となっており、気が付くと消えていました。
●環境省が、鳥獣被害が増えたのは狩猟者が減ったからであると、1970年以降の狩猟者数の変化グラフを見せたとき、もっと以前からの狩猟者数の変化グラフを見せるべきである。狩猟者数の減少と鳥獣被害の増大は関係ないと、説明の嘘を指摘してしまいました。
2013年8月の栃木県宇都宮大学で実施された環境省主催:「狩猟者養成フォーラム」では、栃木県支部員のみなさんと共に、開催反対運動を展開し、マスコミでも大きく取り上げられました。以下、その時の写真や資料。
環境省主催 ハンター養成チラシ
会場前で、整然と開催反対を訴える栃木県会員たち
栃木県の全マスコミが熊森の栃木県庁での記者会見を載せて、わたしたちの主張を大きく取り上げてくださいました。
A紙 B紙
私たちは、環境省や都道府県行政のみなさんと協力して、この国の自然や生き物たちを守りたいと思っています。
しかし、生き物たちを殺して解決するやり方は、必ず失敗するとわかっているので、申し訳ございませんが、この国の為に、今後も、正しい解決法をどこまでも訴えていきます。
嘘やごまかしはイヤなので、どこまでも真実を求めてまいります。
兵庫県森林動物研究センター10周年事業とNHK
- 2016-09-19 (月)
- くまもりNEWS
9月17日13時から、兵庫県三田市の兵庫県立人と自然の博物館4階ひとはくサロンで、兵庫県森林動物研究センター10周年事業として、企画展特別セミナー「ひょうごのツキノワグマ 保護管理のあゆみとこれから」が催され、約50名の県民が参加しました。
第1部
①過去から現在までのツキノワグマの分布 森光氏
②ドングリの豊凶とツキノワグマの人里への出没 藤木氏
③行動と繁殖 横山氏
④何頭いるか 高木氏
第2部
①兵庫県に於ける保護管理の方針と現場での対応 広瀬氏
②豊岡市鳥獣対策員 岡居氏(ハンター)
質問時間なし
発表してくださったみなさん、ありがとうございました。
しかし、熊森は、みなさんの発表で、いつもどうしても腑に落ちない部分があります。
●クマ生息地の荒廃や、劣化した自然環境の話が全く出ない
どうしてクマたちの本来の生息地の写真や話が出ないのでしょうか。生息地の自然環境の変化を抜きにして、クマ問題は語れないと思います。
みなさんの発表には、今回も、人工林のジの字も自然林劣化のレの字も出ませんでした。奥山にどんどん道路や砂防ダムができているのに、開発のカの字も出ませんでした。
生息地は内部が砂漠化した放置人工林でいっぱいですよ。残された自然林は、内部が公園状態で、下層植生が消えており、臆病者のクマが棲めるようなところでは、もはやありませんよ。
兵庫のクマたちの生息地の自然環境について、兵庫県森林動物研究センター研究部長の横山真弓さんはいつも、「兵庫の森は今絶好調、豊かな自然にめぐまれている」と言われますが、クマたちが聞けば泣くと思います。兵庫県立大学の研究者たちは、みなさんとても頭のいい方なので、クマ生息地の荒廃や劣化に気づかないはずはありません。
研究者として、生息環境の問題については触れるなと、環境省や林野庁から注意されているのでしょうか。理解に苦しみます。
地元の人達はみんな知っていますよ。戦後の森林政策の失敗で山にえさがなくなったから、動物たちが山から出て来るようになったことを。
●どうしてクマたちの心がわかってやれないのでしょうか
山の実り大凶作年に、夜、民家の柿の木に親子で登っていたクマの映像を2回出されましたね。突然強烈なサーチライトで照らされても、母熊は逃げずに木の上でじっとしており、何もわからない子熊は、母熊の背中に乗ったり降りたりしていました。これは、人間を恐れなくなったクマとみなしていいのでしょうか。
私たちは、この母熊は、心臓が爆発するほど怖かったのだけれど、子供がいるので逃げるに逃げられなかったんだと思います。
同じ場面を見ても、人間側からだけ見るのと、クマの立場にも立って見るのとでは、解釈が180度反対になります。
前から不思議に思っているのですが、熊森本部がある兵庫県では、県立大学や森林動物研究センターに送り込まれてくる研究者たちは、なぜかみなさんワイルドライフ・マネジメント派で狩猟大好きという方が多いようです。
この日発表された皆さんも、狩猟再開を進めたいと思っておられるのでしょうか。
もしそうなら、ライフル銃を持った人間に追い回される恐怖や、弾が体にあたったときの痛さを想像してみてください。人間にも恐怖や痛さがありますが、動物たちも人間と同じように、恐怖、痛み、悲しみ、生への欲求があります。もし自分がハンターの餌食にされて、何もしていないのに銃で撃たれたらどう思うだろうかと想像してみてください。
●クマ数が20年で10倍になったら、誰でも気づきます
みなさんは大学で専門的に勉強したエリートでなければわからないむずかしい計算ばかりされていますが、猟友会の方に一度アンケートを取ってみられたらどうでしょうか。クマの痕跡やフンの数が20年で10倍になったら、どんな鈍感な人でも、計算などしなくても気づきますよ。
今回、最後に猟友会の方が、兵庫のクマが今940頭いるのなら、前から940頭いたのだと思うと言われたのは至言です。
熊森協会が出来て20年です。20年前と比べて、本当に熊棚を見かけなくなったし、クマが木に登った爪痕を見なくなりました。糞も見つけられなくなりました。クマが10倍に増えたなどあり得ません。
コンピューターで何日もかけて計算するより、山を歩いている人間の感覚の方が、ずっと正確だろうと私たちは思います。
上写真は、当日の研究者のパワーポイント発表
上図には、1996年の兵庫県クマの生息数は100頭以下で、20頭~50頭と書かれています。
兵庫県は、これを提示することにより、その後20年間で県内のクマが10倍に爆発増加して、狩猟を再開しなければならないほどの異常事態に陥っていることを強調したかったのでしょうが、反対に、墓穴を掘ったと思います。
日本のツキノワグマ研究の第一人者に、20年で10倍に増加の兵庫県のクマ数変化グラフを見せると、即座に一言、「あり得ないよ」と言われました。
県内の20年以上山に入っておられる猟友会のみなさんに、このグラフを見せて下さい。みんな笑いだすのではないでしょうか。「ありえないよ」って。日本の人口は、現在1億2千万強ですが、20年後に12億になったという割合です。そんなことになれば、誰でも増えたと気づきます。実際は、山中のクマの痕跡は、見つけられないほど、ますます減ってきているのです。
さあ、兵庫県は、今度はどんな手で、すでに発表してしまった<20年で10倍増加>の、もみ消しをしていくのでしょうか。
ちなみに、940頭の推定生息数を発表した研究者は、現在、さっさと県職員を辞めて、野生動物捕獲会社を設立し、その社長に収まっています。
当日会場に、NHKのカメラマンと記者が来られていたので、本日の行政発表だけを一方的に流さないようにお願いしておきました。しかし、NHKニュースを見られた人から、行政発表だけを一方的に流していたという報告を受けました。残念です。一方的な報道では、国民が判断を誤ってしまいます。マスコミの責任は重大です。
9月16日 兵庫県農政環境常任委員会傍聴の報告
兵庫県クマ狩猟再開の決定権を持っているのは井戸知事だそうですが、県議会議員さんたちには常任委員会で意見を言う機会があります。
傍聴席が10席あると聞いて、みんなで傍聴に出かけました。
兵庫県議会の入り口です。
常任委員会が開かれる部屋に入ってびっくりしました。常任委員会の議員さんは12人で、委員長と副委員長が前に座り、後の10人の方は5人ずつハの字型に座っておられましたが、なんと、その後ろに70人ぐらいの職員の方たちが部屋いっぱいにびっしりと座っておられたのです。
もちろん、部長・局長・課長さんたちが前の方に座っておられます。壮観なので写真を撮りたかったのですが、禁止されているため撮れませんでした。残念。撮りたかったです。
傍聴席はそのさらに一番後ろで、発言者の声がすごく聞き取りにくかったです。次回からマイクを用意してくださるようにお願いしました。
これだけの数の優秀な人材が関わっておられて、この中にたったひとりでもいいから、「放置人工林の砂漠化と自然林の劣化で、本来の奥山生息地を失った兵庫県のクマが、年平均20%で爆発増加して10年で4倍以上になるなどありえないだろう」と自分の頭で考えて、素直な疑問を持たれた人はいなかったのだろうか。クマの立場に立って、狩猟やクマ狩猟の問題点を考える人はいなかったのだろうかと、不思議に思いました。
これまでどの論文を読んでも、クマは繁殖力の低い動物で、年増加率は5%ぐらいとされてきました。ロシアの研究者の発表によると、豊かなカムチャッカ半島の森の自然保護区でのヒグマの増加率は、年2%だそうです。
もし、兵庫県のクマだけが、年15.5%~24.0%で増加していくのなら、何かとんでもない異変が起きているということで、クマを狩猟している場合ではありません。その異変の原因を見つけて、そちらにすぐ手を打たねばならないはずです。
まず最初に、鳥獣対策課担当者が、1992年に60頭で絶滅寸前だった兵庫県のクマが、今や著しく増加して940頭になったため、今年から個体数調整のための狩猟を再開して、ハンターに山の中に入っていただき、環境省目安の800頭以下にならないようにしながら狩猟をしていただく。これによって、棲み分けを復活させると説明されました。
山に食料がないから人里に出て来ているのに、山の中でハンターがクマを追い掛け回して、どうして棲み分けが復活するのか、説明に矛盾を感じました。しかも、本気でクマ数を減らしたいのなら、狩猟ではなく、有害駆除の方が簡単です。要するに、環境省の(バックはアメリカ?)、日本民族を狩猟民族に変えていくという方針に従うために、何が何でも狩猟再開へ持っていこうとしているだけなのでしょうか。
担当者の説明後、常任委員会の委員である県会議員さんが次々と意見を述べられました。以下は要約です。(文責:熊森)
A議員(クマ生息地選出):私の所もシカやクマが出て来る。他人事ではない。山が変わってしまっている。
クマ、シカ、イノシシ、みんな山に餌がなくなったから出て来ているんです。940頭?本当にこんなに増えているのか、もっと少なかったら?もっと多かったら?どうする。森造りを何よりも早くやらねばならない。いつ見ても山は、スギやヒノキばかり。動物のためにも、山を広葉樹林に戻すべきだ。
B議員:940頭という推定数をどうして出したのか説明してほしい。山に餌がないから出て来ている状況の中で、そのような山の環境も考えて、推定した数か?
C議員:940頭という推定数はどれくらい正しいのか。人工林の広葉樹林化は進んでいるのか。隣接他府県からの移動はどれくらいあるのか。クマがシカと同じくらいのペースで増えていくなどあり得ない。
940頭という推定は論文にまとめられているのか。
まだ論文にもなっていない940頭という数字を使っての狩猟再開判断、これはまずい。
日本福祉大学の山上俊彦教授が、推定940頭というのは、山の実りゼロというあり得ないことが起きた2010年の異常に多かった目撃数、異常に多かった捕獲数を入れて計算したことなどによる過大推定だと指摘しているがどうか。
この推定生息数の算出において、奥山に餌がないという状況は考慮されているのか。
D議員:兵庫県だけ増加率が高いのは、県内だけで増えたのか。県外からの流入があって増えたのか。
<担当行政回答>と→(熊森感想)
E氏:平成14年度から、スギ・ヒノキの間伐を進めている。下層植生を生やすことによって、野生動物の環境が良くなる。
→(熊森感想)やらないよりはましかもしれないが、間伐しただけでは、クマの生息地などにはならないし、豊かな水源の森にもならない。奥山は広葉樹林に復元させることが必要。
平成18年からこれまでに、270haの広葉樹を植えてきた。野生動物育成の森や水源林に早くなるように取り組んでいる。
→(熊森感想)この20年間で、兵庫県では、広葉樹林が増えるどころか、逆に、人工林面積も人工林率も増えている。どういうことか説明してほしい。クマなどの大型野生動物たちが餌場として利用できるように、自然林に復元できた山は、どこに何ヘクタールあるのか。提示してほしい。
F氏:まだ論文にまとめられていないが、論文が完成次第、学会に発表してもらおうと思っている。
→(熊森感想)順序が逆でしょう。査読に耐えられる論文が発表されてから、政策に取り入れるべきです。
捕まえたクマはGPSで行動を追っており、奥山の方でも行動していると聞いている。
→(熊森感想)ご自分で奥山を歩いてみられたら、こんな荒れた山ではクマは棲めないと体感されるのではないでしょうか。ご自分の目で確かめてみてください。一体どれだけのクマが奥山にいるのか、GPSでわかっていることがあるのなら公表すべき。森林動物研究センターは、熊森の情報公開請求を拒否しているが、隠ぺい体質が過ぎる。
なぜ兵庫のクマの繁殖率が高いのかわからないが、鳥取や京都と状況が違う。
→(熊森感想)隣接府県との境は人間が行政ラインを勝手に引いただけで、自然界は繫がっています。状況は同じなのです。兵庫県のクマだけが爆発増加などあり得ないのです。
<全体的な熊森の感想>
やはり地元の議員さんは、しっかりと自然を見てきておられるので、祖先の文化である生命尊重思想に基づき、自信を持って質問されていました。また、都会選出の議員さんでも、独自によく勉強しておられる方がいて、すごいなあと思いました。
このような会で、行政担当者が議員の質問に答えるのは無理です。日本の行政は、長くて3年で部署が絶えず変えられていくので、専門性が育ちません。まして、今年の春来たばかりの人が責任ある答弁などできるわけがありません。今回のクマ推定生息数940頭は、ある研究者が、行政担当者でも検証できない複雑難解な計算式を作って出したものです。答弁に、なぜ、研究者本人を出してこないのでしょうか。本人以外の人が説明などできません。兵庫県のクマが爆発増加した。狩猟を再開すべきだと言い出した人こそを、この席に呼んで、どうしてそう考えるのか説明させるべきです。
全体の県議会を傍聴したことはありますが、このような常任委員会を傍聴したのは今回が初めてでした。すごく参考になりました。全国民の皆さんに、このような常任委員会をぜひ傍聴されるようにお勧めします。すぐ目の前で議員の表情まで見てとれるので、議員の力量や人格が手に取るようにわかり、次は誰に投票したらいいか、これでかなり判断できます。
同僚の議員が、まじめに一生懸命質問しているのに、なめきって横でニヤニヤ笑っている議員がいました。ご自分の人格を落としていることにお気づきではないのだと思います。議員として成長していただきたいので、態度を改めた方が良いと、教えてあげたいです。(完)
9月12日 貴重なブナ林が枯れている?ウエツキブナハムシ
- 2016-09-18 (日)
- くまもりNEWS
岩手県の会員が岩手県に支部を作りたいと本部を訪問されたので、豊かな巨木の森を見ておいていただこうと、阪神間から一番近い岡山県の若杉天然林86ヘクタールをご案内しました。
人工林地帯にぽつんと残された原生的な奇蹟の森です。
森に入ってみてびっくり!
美しかったブナ林が、猛烈に奥まで枯れているのです!
枯れたように見えるブナの巨木群 若杉天然林2016,9,12
葉が完全に落ちてしまっているのも、たくさんありました。
そういえば、3~4年前に、山形県支部長から、見渡す限り、ミズナラはナラ枯れ、ブナはブナ枯れ、もう今年の山には動物たちの餌が何もないと報告を受けていたのを思いだしました。
ここのブナは巨木で、葉が高い所にあり、何故枯れたのか全く見えません。
地面に落ちている今年のブナの実も皆無でした。
この森は消えてしまうのだろうか。
不安な思いで帰りかけると、下から西粟倉村の役場の方がNHKテレビのカメラマンと一緒に上がってこられました。
「ブナが大量に枯れていますよ」と訴えると、「ウエツキブナハムシです。枯れたように見えますが、ナラ枯れと違って、この虫は、葉だけ食べて葉脈は食べないので、木は枯れません」と教えてくださいました。これが噂に聞くウエツキブナハムシか。枯れないのだなと、一応ほっとしました。
どう見ても木ごと枯れているように見えますが、3年ぐらいでよみがえるそうです。兵庫県に広がれば困るなと思いましたが、まわりはスギの人工林ばかりですから、広がらないかもしれません。これからも観察していきます。
ちなみに、NHKはブナ枯れを撮影に来られたのかと思ったら、全然関係なくて、ふるさと納税の番組を作っているところだと言われていました。
この森には、ミズナラもたくさんありますが、ナラ枯れで死なないように、役場が毎年何百万円か使ってミズナラの木に1本1本薬剤を注入して、ナラ枯れを防いでおられるのだそうです。ここのミズナラは200年から300年たっていますから、その間起きなかったナラ枯れという異変が今起きていることがわかります。何という時代なんだ!
役場のみなさん、いろいろと教えてくださってありがとうございました。
9月11日 街頭署名 神戸元町駅 横浜桜木町駅
- 2016-09-18 (日)
- _クマ保全
街頭で、兵庫県クマ狩猟再開の中止を求める署名を集めました。
神戸の方は、スタッフ7名ボランティア7名の、計14名で午後から街頭に立ってみました。この日、300名の署名が集まりました。
みんなでがんばりました。神戸元町
マスコミ報道が不十分なためか、何のことか問題がわからないという方が多くて、説明し続けました。説明を聞かれた方は、大体がわかってくださいました。
都会の人達は、過疎化高齢化した奥地で、野生動物や地元の方がどんな窮状に陥っているのか、ほとんどご存じないことがよくわかりました。
うーん、もっともっと、私たちの手で現状を伝えていかねばなりません。
この日、神奈川県支部も、横浜市で街頭に立ってくださいました。本部としては、とてもうれしかったです。
そちらは、どんな様子だったでしょうか。