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2016-11-01
兵庫県のクマ狩猟再開を考える くま森緊急集会
- 2016-11-01 (火)
- くまもりNEWS
①10月22日(土) 兵庫県民会館(神戸市)
第1部 佐藤八重治氏 講演会
実直そのものの佐藤氏の体験に基づいたお話に、みなさん聞き入っておられました。クロちゃんを飼育してみてわかるようになったこと、「クマはとてもかしこくてやさしい動物なんですよ」ということが伝わったと思います。
クマ狩猟なんて、スポーツじゃない。人身事故を増やすだけだというのが、20年間クマ撃ちに携わった佐藤さんの結論です。
第2部
意見交換会
活発な意見交換ができました。
(熊森から)
クマを1頭仕留めるとあまりにも高く売れるため、利権が絡んできます。
佐藤さんがクマ狩猟をやめようと思った大きな原因の一つは、ハンターたちの違法行為があまりにも多かったことだそうです。
人間、もうかるとなると、狂いだす。犯罪の温床になっていきます。以前、暴力団員の家宅捜査をしたとき、押し入れから熊の胆がたくさん出てきたというニュースがありました。熊の胆が、暴力団の資金源になっていることがわかりました。
本来、春の熊の胆が高値で売れるのですが、他の季節の熊の胆を春の熊の胆と偽って売る方法があります。実際にあるところの猟友会の方たちから、実物を見せていただき、説明を受けました。「バレませんか」と尋ねると、「一つ80万円で売る。バレたことはない」という答えでした。
今回の兵庫県のクマ狩猟再開が、人身事故や、密猟、無届け、熊の胆偽装などの犯罪を引き起こすもとになることは十分に考えられます。
その時は、クマ狩猟再開を進めた兵庫県森林動物研究センターの研究員や、県担当者は責任をとっていただかねばならないと思います。
②10月23日(日)兵庫県朝来市和田山公民館
西宮市の熊森本部から会場に行く道中、佐藤氏は車窓から兵庫の山々を見られて、「兵庫の山にはクマなど棲めないよ。どんな生き物も棲めないよ。山形にはここまで内部荒廃した山はないよ」と、山の荒廃ぶりに驚きの声をあげ続けておられました。
第1部 佐藤八重治氏 講演会
第2部
意見交換会
クマ生息地のどまんなかで実施したため、地元猟友会の方も何人か来てくださいました。
「山なんか死んどるわ」
この地元の声を、都市部のみなさんにも聞いていただきたかったです。そのうち①も②も、発言内容をまとめてみたいと思っています。
今回の兵庫県のクマ狩猟再開は、兵庫の山は大変豊かであるという前提の上に成り立っています。
食料豊富な山があるのに、あつかましくも人間の所にクマたち野生動物が出て来たのは、増えすぎた証拠であり、獲ってしまえというわけです。
しかし、おもしろいことに、地元で集会を持つと、まずこの前提が嘘であることを、熊森が説明しなくてもみんな知っているのです。クマが臆病で平和的な動物であることを知っている人もたくさんいます。
地元集会での意見を、県庁の鳥獣対策課のみなさんや都市のみなさんにぜひ聞いていただきたいと思いました。地元のみなさんの声を聞いて、今回の兵庫県のクマ狩猟再開が、地元や猟友会の声を聞かずに企画されたものであることを改めて実感しました。
佐藤さん、遠く山形県から来てくださり、本当にありがとうございました。兵庫県民がクマ狩猟再開問題を考えるいいきっかけを作って下さいました。
10月15日秋田県クマ捕殺数すでに県内過去最多450頭、県が猟友会に狩猟自粛を要請
- 2016-11-01 (火)
- くまもりNEWS
以下、秋田魁新報より
秋田県自然保護課によると、本年度に捕獲されたクマは15日までに計450頭に達し、統計が残る1963年度以降最多だった2001年度の420頭を超えた。個体数を調整するため春先に計画的に行う捕獲(=春グマ狩り)は今年、19頭だった。残りの431頭は全て有害捕殺で、全体の96%が住宅地や農地の近くで出没したことになる。地域振興局別では北秋田の119頭が最多で、仙北が78頭、鹿角、雄勝が53頭ずつと続いた。
県が定めたクマの保護管理計画では、保護のため年間の捕獲総数を推定生息数の10%までにすると定めている。県は今年4月時点の県内の生息数を1015頭と推定していることから、今冬の狩猟期間の対応を検討。19日に県の助言機関である県野生鳥獣保護管理対策検討委員会から「クマ猟を自粛すべき」との意見が出されたことも踏まえ、狩猟自粛の要請を決めた。
(くま森から)
いくらなんでも、生息推定数の半分を1年で殺してしまうなど、駆除し過ぎです。人間で言うと、1億2700万人の日本の人口を、一挙に6350万人にするのと同じです。
年間の捕獲総数を推定生息数の10%までにするというきまりはどうなったのでしょうか。
さすがに環境省から獲り過ぎだという指導が入ったのではないかと思いましたが、何もないそうです。(うーん、何のための環境省か)
一体、秋田県で何が起きているのか、秋田県庁自然保護課に聞いてみました。
秋田県では、クマの捕殺許可は、県の出先が持っています。
<2016年度 月別捕殺数一覧>
4月…7頭
5月…16頭
6月…43頭
7月…70頭
8月…180頭
9月…99頭
10月15日現在…35頭
担当者の話では、今年は雪解けが早くて、早くからクマが穴から出て来ていたそうです。昨年ブナが豊作で、一斉にメスグマが子を産んだらしく、子グマがたくさん見られたそうです。秋田では、有害捕殺したクマの体は、丸ごとハンターのものになるそうで、その際、胃内容などの報告を義務づけているということです。夏に人里に出て来て駆除したクマの胃内容は、ほとんどが空っぽという報告だったそうです。秋田のクマの夏の食べ物がなかったことがわかります。
明日から11月、かなり寒くなってきているので、今後はもうあまり人里には出てこなくなるのではないかということでした。冬籠りに入るのは12月の初めごろだそうです。秋田では捕獲罠にかかったクマは全て捕殺することになっています。「子連れグマを獲るな」というようなしばりはないそうです。
県としては、狩猟の自粛を猟友会に呼びかけましたが、呼びかけただけだそうです。去年、狩猟期に秋田で捕獲されたクマは5頭ぐらいということですから、狩猟を自粛したところでほとんど影響はないと思われます。
問題は、どうしてこんなに多くのクマが、夏に人里に出てきたのか。何か秋田の山も一挙に森林荒廃が進んできたのではないかと心配です。しかし、今月に開いた有識者の会議でも、そのような異変は発表されなかったそうです。耕作放棄地が増えているということでしたが、それは何も今年に始まったことではないので、今年、大量のクマたちが山から出てきたことの説明にはならないと思います。
春に北秋田市のネマガリダケの現場で死者が4人出たことが、クマは危険、山から出てきたらみんな殺してしまえとなったのでしょうか。残念ながら、秋田県には熊森の支部がないため、どうしてこんなに大量捕殺されることになったのか、くまもり本部も今のところはつかめていません。飽食日本人に、野生鳥獣との共存姿勢など、なきに等しいですね。