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2016-11-08

北陸自動車道のクマ、射殺 担当部署への聞き取り

11月5日土曜日の、北陸自動車道に迷い込んだクマの射殺報道に胸をつぶした方が多いと思います。私は、ニュースを聞いて、射殺許可を出した人間を絶対に許さんと思いました。すぐ現地に飛んで行きたいと思いましたが、とりあえず、週明けの本日、なぜ殺したのか、関係部署に電話で聞き取りました。以下、概要報告です。

 

<新潟県庁環境企画課> 

くまもり :このクマの射殺許可を出した人はどなたですか。なぜ殺したのか納得できないので、説明していただきたい。

新潟県庁 新潟県のクマ駆除権は、市町村におろしています。しかも今回対応したのは、警察です。

くまもり :県庁担当課としては、何も知らない、無関係ということですか。

新潟県庁 :警察から報告は受けました。

くまもり :それで、何と指導されたのですか。

新潟県庁 :報告を受けただけです。今回の判断は警察です。

くまもり :報告を聞かれて、「そうですか」で終わるなら、何のための県庁ですか。

新潟県では、野生動物に知識のない警察が、勝手に、クマの殺処分を決めていいことになっているのですか。新潟県にクマの放獣体制がないのなら、クマを麻酔銃で眠らせて山に返すことができる体制を作るべきです。クマだけではなく、すべての生き物に対しても、そうしてください。

 

<糸魚川警察警務課>

糸魚川警察警務課 :今回の件は、新潟県警内の、高速道路交通警察隊(高速隊)が対応しました。

 

<高速隊上司> 電話 025-287-4433

くまもり :なぜ殺されねばならなかったのか、説明していただきたい。

高速隊上司 :警察官職務執行法にのっとって駆除しました。現場の判断です。午後2時過ぎに、高速道路にクマが入っているという情報が入りました。高速隊数名、糸魚川警察数名、東日本高速道路の職員数名、猟友会数名で現場へ行きました。山から1キロメートルも離れた場所で、高速道路の下は海です。とりあえず、高速道路を閉鎖しました。はじめから、射殺を考えていたわけではありません。逃がそうとして、ずいぶん長いこと待ちましたが、このクマは行ったり来たりして逃げなかったんです。

くまもり :テレビニュースで見た限りでは、パトライトがぐるぐる回って物々しい状況でした。クマは、たくさんの人間に取り囲まれて、恐怖で心臓が破裂しそうになっていたはずです。足を怪我していたとネットで読みました。

高速隊上司 :足を怪我していたという報告は受けていません。クマがどう感じていたかは、クマではないのでわかりません。

くまもり :もし、自分がこのクマだったらと想像してみたら、人間も動物ですからわかるはずです。クマは、とても臆病な動物なんです。人間がみんな消えて逃げ道を作ってやるべきでした。

高速隊上司 :このクマがどこへ行くのか見届けなければ危険ですから、人間がみんな消えるわけにはいきません。それなりに逃げ道を作ってやったつもりですが、うろうろするだけで、このクマは逃げなかったんです。そのうちこのクマは、コンクリートで囲まれた高速道路の退避場に入り込んでじっとしていました。暗くなってきたので、このクマがどこへ行くのかもう見届けられなくなってきたため、とりあえず、朝になるまで、退避場に閉じ込めておこうということになって、木枠でこのクマが入り込んでいる退避場に封をしようとしたのです。そうしたら、このクマが、退避場から出ていこうとしたのです。

くまもり :ニュースでは、人間に向かってきたから撃ったということですが、本当ですか。

高速隊上司 :そのような報告は受けていません。退避場所に閉じ込めることに失敗して、クマが出てきたときいています。夜の8時ごろになっていて、もう真っ暗で、現場の職員たちにもし怪我でもあったら大変なので、駆除するしかありませんでした。

くまもり :道路を早く開通させたかったんでしょう。

高速隊上司 :このクマをうまく退避場所に閉じ込められたら、道路はいったん開通させて、明日の朝明るくなったら、このクマを逃がす作業を再開する予定でした。

くまもり :射殺死体はどうしたんですか。

高速隊上司 :ネクスコという高速道路株式会社が、すぐにトラックに積んで持っていきました。皆さんに知っておいていただきたいのは、わたしたちも、なんとかこのクマを逃がしてやろうと努力したということです。

 

(熊森から)

今回のことで、新潟県の各部署に、高速道路に迷い込んだ動物を殺さずに山に返せるように、麻酔→放獣体制を今後県内に作ってくださるように要請しましたが、残念ながら、どこもその必要性を感じてくださいませんでした。

今回の場合は特殊な場所であり、ふだんは高速道路に迷い込んだクマは、自力で山に逃げ帰るそうです。

毎年、高速道路で轢かれる野生動物の数にはおびただしいものがあります。

最近、クマをはじめとする野生動物たちが山からどんどん出て来るようになり、地元は大変ですが、奥地に人間がどんどん入り込んでいるのをやめない限り、この問題は解決しません。

今回の場合、クマの生息地に高速道路を造ったことがすでに問題なのに、関係者の中に、人間側の責任を感じておられる方が誰もいませんでした。

 

糸魚川のクマさん、どんなに怖かったことでしょう。最後、閉じ込められないように退避場から逃げようとしたら、逃げようとしたという理由で撃ち殺されてしまいました。

このクマを哀れに思うわたしたちだけでも、せめて冥福を祈ってやりましょう。

このような難しい状況に於いては、本当に心から生き物を愛している方でないと、動物をうまく誘導できないだろうと思います。

 

関係者のみなさんの、「何とか逃がしてやろうと思ったんだけれど・・・」という言葉を信じたいとは思います。

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