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2017-01-20

環境省特定鳥獣保護・管理計画(クマ類編)ガイドライン に対するパブリックコメントの募集について

今日のニュースが、霊長類の60%に絶滅の赤ランプがついたことを報じています。クマもその保全には広大な自然が必要であり、人間がよほど注意して保護体制を保持していないと滅びてしまう動物です。環境庁(当時)は、1999年の地方分権一括法案で、クマに関する権限を都道府県に降ろしましたが、クマに関する権限をもう一度国に戻して、日本国として責任を持って国内のクマ保全に取り組む必要があります。

 

特に、四国のクマについては、もう待ったなしの「風前の灯」状態であり、地元県に任せておいては保全が不可能なことが明らかです。環境省が日本国の威信にかけて日本国の名で「四国のクマの絶滅回避」に乗り出すべきです。(国民の皆さん、声を上げてください)

 

今回パブリックコメントを募集中の特定鳥獣保護・管理計画作成のためのガイドライン(クマ編)は、生息推定数でクマ対応を決めるのではなく、国土をコア生息地・緩衝地帯・防除地域・排除地域にゾーニングして、コア生息地域では狩猟や捕獲を禁止するなど、当協会が長年主張してきた祖先の棲み分け共存法を大々的に取り入れており、その面では大変すばらしいものです。

 

しかし、問題は、絶えず新しい人が担当することになる都道府県の鳥獣担当者が、読むのか?どこまで守るのか?ということです。前回のガイドラインにも、クマ保護を意識したすばらしいことが書かれていましたが、現実には、都道府県が守っていなかったり、殺処分しやすいように勝手に規制緩和してしまったりしています。秋田県の場合、平成28年のクマ有害捕殺は468頭にものぼり、生息推定数1015頭の46%を1年で捕殺したことになるなど、もう無茶苦茶なことをやっていますが、環境省の指導はゼロでした。

 

環境省には、チェック体制も指導体制もないのです。目に余る場合、当協会が環境省に、都道府県がガイドラインを守るように指導してほしいと要請するのですが、権限外として国は動いてくれません。これでは多くの国民の声を聞いて、いくら立派なガイドラインをつくってみたところで、完全に「絵に描いた餅」です。

一生懸命考えてパブリックコメントに応募したわたしたち国民の労力はいったい何だったのでしょうか。全く報われません。ガイドライン作りが環境省の遊びになってしまっていると感じるのですが、言い過ぎでしょうか。

 

 

何てこと!昨年12月25日、北海道富良野スキー場に迷い込んだ?2才のクマを射殺し、ゲレンデ再開。

昨年のクリスマスの日、富良野スキー場で、体長1.1m、2歳の雄のヒグマを射殺してゲレンデを再開した事件がありました。

 

2016年12月26日産経ニュースweb版:http://www.sankei.com/life/news/161226/lif1612260012-n1.html

 

目撃されたところ  狩猟として射殺されたところ  富良野スキー場全景

 

熊森本部は、北海道の出先機関である上川総合振興局と、富良野市の鳥獣担当者に電話して詳しく状況を聞き取りました。

 

<上川総合振興局> 

・12月25日の10時頃、スキー場から、「富良野ゾーン」のくまげらコースの分岐あたりで、クマがコースを横切るのを目撃したスキー客がいると、富良野署に電話が入り、警察署から富良野市に伝えられた。振興局は現場には行かなかった。

 

<富良野市役所> 

・富良野警察からの電話を受けて猟友会と連絡を取り、11時頃にゲレンデに到着、スキー場経営者、警察、猟友会、行政で話し合った。クマがゲレンデから出なかったり、人里のほうへ降りて行ったりしたら危険なので射殺することにした。ただし、北の峰ゾーンと富良野ゾーンの間の森か、スキー場外の森へ逃げたら深追いはしないということにした。

 

猟友会がこのクマの足跡を発見してたどっていくと、コースわきの木に登ろうとしているクマを発見した。猟師が近寄っても、森の中へ逃げる様子がなかったので危険と判断して、11時40分に射殺した。実は、12月の初め、もう根雪になっている時期に、スキー場の麓の住宅地でクマの足跡があった。今回射殺されたクマだと思う。こんな時期にクマが出てくるのは初めて。どのような害があったのかと抗議されても、北海道ではクマの狩猟期間なので、有害捕殺としてではなく、狩猟として猟友会に撃ってもらった。

 

 

熊森本部から

北海道の先住民であるヒグマが棲んでいた広大な森を、明治以降次々と開発して、町や畑、スキー場にしていったのは人間です。

 

このクマが、なぜこんなところにいたのかはわかりませんが、まだ2歳で体長もわずか1.1m、母熊から離れて初めての冬です。猟師に発見された時、木に登ろうとしたというのは、怖くて人間から逃げようとしたのだと思います。猟師を見ても逃げようとしなかったと言われても、逃げる気がなかったのではなく、反対に怖くて一歩も動けなかったんだと思います。

 

今回の場合、クマを発見した段階で、人間はクマから離れ、クマが中央の森に逃げ込む時間を与えてやって欲しかったと思いました。スキーをお客さんに楽しんでもらうために、一つしかないクマの命を奪っただなんて、何とも残酷です。海外なら、麻酔銃で撃って眠らせて、ヘリコプターで山奥に運び逃がしてやるかもしれません。

 

このクマのどこが有害だったんですかと抗議したら、猟期だから狩猟したのですと返されてしまいました。飽食日本人が、食べる必要があったわけでもないのに、人間に見つかって恐怖でおびえている2歳のクマを撃つ。北海道のヒグマ生息地で育った自分ですが、人間にそんな権利があるのだろうかと思いました。

 

みなさんはどう思われますか。

 

P.S 熊森ブログが突然フェイスブックとツイッターに流れなくなって、約1か月。原因がわからなくて困っていましたが、本日やっと直すことが出来ました。一人でも多くのみなさんに熊森ブログを読んでいただきたいです。今後ともどうぞよろしくお願いします。

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