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2017-01-24

鳥取県は狩猟ではなく、棲み分け(=ゾーニング)推進でクマに対応する方針

以下、日本海新聞2017年1月22日より

2ゾーン化しクマ被害対策 県が鳥獣保護素案

鳥取県は、野生鳥獣保護・管理事業計画の改定素案をまとめた。ツキノワグマに関して新たに導入するゾーニング区分の境界は、市街地や集落から「見渡せる程度の尾根、谷に囲まれた範囲」とし、人家や農耕地からおおむね200メートルを目安にする。本年度末までの改定を目指す。

 

素案によると、人の生活圏とクマの生息域の二つのゾーンで、それぞれに応じた対策を講じる。

 

人の生活圏では被害を抑えるため捕獲の強化や電気柵の設置、追い払いを行う。クマの生息域では保護を優先し、対策は入山者への注意喚起など最小限にとどめる。

 

有害捕獲は基本的に行わないが、イノシシなどのわなに誤ってかかり、被害の恐れが高いクマは殺処分も選択肢とする。このほかゾーニングの境界付近に「緩衝地帯」を設け、森林の植生回復などクマの生息環境を整備する方針も盛り込んだ。

 

(熊森から)

 

同じ東中国ツキノワグマ個体群を抱えて隣接する兵庫県と鳥取県。

鳥取県の対応の冷静さ、人間としての倫理観。この違いはどこからくるのだろうか。

兵庫県の鳥獣対策を動かしているのは、兵庫県森林動物研究センター。センターに問題があるとしか思えない。

 

<クマの生息域 ・緩衝地帯・人の生活圏>

クマを保護対象として3つのゾーンに分けて共存する策は、私たち祖先がこの国で長年成功してきたクマ対応です。西洋型ワイルドライフ・マネジメントなど、この国の自然や国民感情、日本文化に合わないし、自然界が人間の頭でとらえられないものであることを考えるなら、科学的でも計画的でもありません。

 

この方法だと、大変な予算を使って毎年クマ生息数を推定する必要などなくなります。

今年は何頭殺そうかなどと、数字にこだわってクマ殺害の数合わせゲームをする必要もなくなります。

クマの生息域に、その年のクマの生息痕跡が十分あることを確認したら、もうあとはほっておけばいいのです。

 

ただし、この政策を実行するには、クマの生息域に、クマが棲めるだけの広大で豊かな森が残っていることが前提です。鳥取県には、兵庫県・岡山県と同様、そのような森は残っていません。

 

この新聞記事で読む限りは、森林の植生回復などクマの生息環境を整備するとあるので、本当にやっていただけるならすばらしいと思います。くまもりも大いに協力したいです。

 

シカ・イノシシわなに米ぬかを使わないようにしないと、クマ大量誤捕獲につながりますから、その点は、注意していただきたいです。この点には、くまもりとして、不安が残ります。

 

スポーツやレジャーとしてのクマ狩猟を一般ハンターに依頼してクマ対策とするやり方は、半矢グマを生み、人身事故が起き、必ず失敗します。

 

鳥取県の、棲み分けてクマと共存という、人間性を失わない先進的な取り組みが全国に広まっていくように願います。

一面的な現象だけ見て間違った国策にひっかかる大学生たちを憂う 大学で狩猟サークル相次ぎ誕生?

全国各地の大学で狩猟サークル相次ぎ誕生 

       “農村の危機”立ち向かう若きハンター

・(((1月23日産経新聞記事より)

各地の大学で狩猟サークルが相次いで誕生している。高齢化が進み、ハンターが減少するなか、イノシシやシカなどの野生動物による農作物被害が拡大していることが背景にあるという。サークルはこうした問題を打開するためで、若者たちが“農村の危機”に立ち向かっている。(以下記事、略)

(熊森から)

シカ・イノシシを殺して、“農村の危機”が救えるものか!

学生をあおるような書き方であり、この記事に不快感を覚えるが、本当に全国各地の大学で狩猟サークルが誕生しているのだろうか。

若者をハンターにというのは、残念ながら狩猟派が動かしている現環境省のまちがった国策「すごいアウトドア 若者よハンターになれ」です。大学生なんだから、シカ・イノシシを全部殺してみたところで、産業構造を変えない限り“農村の危機”など救えないことに、自分の頭でよく考えて、早晩気付いてほしいものです。

シカ・イノシシも、殺すのではなく、大変であっても、被害防除対策によりこの国で共存していくべきです。クマ・サル・シカ・イノシシを害獣視するのはとんでもないまちがいです。彼らがいて日本の自然があり、私たち人間はその自然に生かされているに過ぎない動物です。食べ物に困っているわけでもないのに殺生することは、人間を不幸にします。

人間よ、傲慢にならず、自然界に感謝せよ!

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