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2017-05

「くまもり20年を振り返って」 全国大会森山まり子会長挨拶より

「くまもり20年を振り返って」森山まり子会長挨拶

 

挨拶する森山会長

 

みなさんよく来てくださいました。

みなさんのご賛同、ご支援を得まして、日本熊森協会、設立以来20年間、全くぶれることなくまっすぐ歩み続け、今日ここに、20周年の記念すべき全国大会を迎えることができました。

みなさんと拍手で、心から共に祝い合いたいと思います。

 

くまもりがここまでこれたのは、私たち中心者の揺らぐことのない固い決意はもちろん、今日この会場にお集まりくださったみなさんをはじめ、これまで私たちをご指導してくださったみなさん、共に動いてくださったみなさん、会費などで支えて下さったみなさん、本当に多くの皆さんのおかげであり、亡くなられた方も含め、熊森にかかわってくださった全てのみなさんに心から感謝申し上げます。みなさん、本当にありがとうございます。

 

クマのため、全ての生き物たちのため、そして私たち人間のため、奥山にもう一度、広葉樹の水源の森を復元しようという熊森運動20年のあみを、ここで振り返ってみたいと思います。

 

ここで、「熊森20年のあゆみ」(1992年のツキノワグマ絶滅の恐れという新聞記事や、中学生たちによる当時の兵庫県貝原知事への直訴、1997年の日本熊森協会の設立で、①まずクマ捕殺数の一番多い地元を訪問、②1泊して、崩壊した人工林の内部や、動物が夜、田畑に被害を与える様子を視察したこと、③次の日、地元の人達と公民館で長時間懇談して意気投合したこと、ここから始まり現在に至るまでの熊森活動)を、約10分間の貴重な映像や歴史的写真で見ていただきました。

 

また、その中で、荒廃する人工林を自然林に再生しようとして始まった熊森の奥山再生運動だが、行政が全くと言っていいほど過剰人工林問題の責任を放棄し続けていること、さらに、増えたシカなどの影響で自然林の再生が非常に困難な状況になったこと、残された自然林まで一気に荒廃し始めたことなど、20年前には予想もしていなかったこのような新たな問題にも出会い、ますます問題解決がむずかしくなっており、熊森のような民間団体が啓発を繰り返して国を動かすようにもっていかなければならない等の方向性も示しました。

 

 

日本熊森協会はこの20年間、野生動物の命の尊厳を訴えてまいりました。野生動物の命の尊厳がわかるようになれば、残された自然を守り、壊し過ぎた自然を再生しようと思うようになるはずです。この熊森運動のバックには、全ての生き物たちと共に生きてきた祖先の文明を取り戻さなければ、近い将来、水源の森を失うばかりか、他者を思いやる優しい人間社会まで失い、日本文明が滅びてしまうという、私たちの強い危機感があります。

 

しかし、現実には、20世紀半ばから科学技術の驚異的な発展によって、地球上で唯一最強のの支配者となった人類は、他の生き物たちのことなど考えもせず、ますます大規模に自然を破壊する方向へと進んでいます。原発再稼働しかり、リニア中央新幹線しかり、辺野古の埋め立てしかりです。

 

この20年間に我が国の国会に出された奥山関連法案は、どれもこれも人間のしたことを棚に上げて、里に出て来るようになったからと野生動物たちを害獣視し、かれらの大量殺処分を促進するものばかりでした。戦後人間が壊した奥山を、野生動物たちのために復元・再生してやろうという法案など皆無でした。どうしてこんなことになるのか。原因はただ一つ、余りにも現代人がジコチューなのです。人類がこの自己中心主義を克服しない限り、他の生き物たちはもちろん、人類にも未来はありません。

今のようなことを続けていたら、やがて近い将来、私たち人間も滅びてしまう、そんな簡単なことさえ分からなくなるほど、現代人は狂ってしまっています。

 

この20年間を振り返ってみて、もし熊森がこの国になかったら、物言えぬ弱者である野生生物たちの立場に立ってものを言う人など誰もいないところだったという場面が多々ありました。

 

人間は何をしてもよいという欲望全開の破滅型物質科学文明の大きな流れに真っ向から対抗するこのような完全民間の自然保護団体が、会員の会費と寄附だけで運営され、分裂もせずここまで育ってきたこと、みなさん、これをあたり前と思わないでください。ありえないことなのです。

私たちは、熊森の発展は、21世紀に起きた日本国の奇跡の一つだと思っています。何度も何度も奇跡が起きて、奇跡の連続でここまで来れたことを思い返すと、今、この会をつぶしてしまったら、もう2度と誰にもこんな会は作れないのではないかと思ってしまいます。みなさん、絶対にこの会をつぶさないようにしてください。この後の20年も、そして、未来永劫にこの会を私たちの力で発展させましょう!

 

また、熊森には、報酬ゼロが条件の熊森の会長をやりますという若い2代目会長候補が育っています。これも当たり前と思わないでください。まず、ありえないことなのです。2代目会長候補は、本日午後からのプログラムの初めに、登壇いたします。

 

今の日本人は余りにも声を上げない人が多過ぎます。多分、自信がないのでしょうが、熊森会員のみなさんには、自分たちの言動が、全ての生き物と人類の未来を形づくっていくのだという気概を持って、家族、友人、同僚など、まわりの方々に熊森を語っていっていただきたいです。そして、私たちがそうであったように、一人の本気の人間が持つ力のすごさをご自身で確認していただくことを願います。

 

本日の20周年記念くまもり全国大会、最後までお楽しみいただくと同時に、参加していただいたみなさん同士で交流もしていただき、これからのことにも考えをめぐらせる有意義な時間にしていただけたらうれしいです。では、本日、最後までよろしくお願いします。ありがとうございました。

 

(後記)

熊森は、最前線には青年を立てるという運動方針で20年間やってきました。20周年記念大会でも、青年たちが中心になって運営、発表、みんなよく育ってくれて頼もしい限りでした。

当日は195名のみなさんと、20周年を祝い合うことができ、盛会でした。本当は、全会員の皆さんにご出席いただきたかったです。20周年ということで、新潟県から長年の企業会員であるM株式会社の社長さんが初参加してくださったのをはじめ、全国大会は久し振り、または初めてといった参加者も何人かお見受けしました。20年会員の参加もあり、みなさんに支えられてここまで来れたことを再確認しました。感謝でいっぱいです。また、10名の子供や20才の会員たちの参加に未来を感じ、うれしくなりました。後日、「熊森会員を増やしてみようと思うようになった。小冊子を送って欲しい」など、うれしいご感想も届いています。今は、自然破壊や野生動物の大量殺害が拡大する一方で、自然や野生動物と共生する意外に人間は生き残れないことがわかっている私たちには苦しい時期ですが、こんな時だからこそ、会員一同、心を一つにして、喜びや希望をもたらす活動をいっそう進めて参りましょう。

来年の全国大会は、4月28日です。今からご予定ください。遠方の方は申し訳ございませんが、旅費を積み立てていただき、何年かに1回は、全国大会にお集まりいただきたいです。 

 

「アントロポセンに生きる」20周年くまもり全国大会プログラムより

アントロポセンに生きる            会長 森山まり子

現代人は利口なようにみえて、実はもっとも愚かなことをしています。私たちの生存に必須の清浄な空気と清らかな水、安全な食べ物を与えてくれる地球環境を、目先の欲や快適さのために、あらゆる科学技術を使って年々その規模を大きくさせながら破壊し続けているのです。

 

地球46億年の歴史の地質年代表を見ると、現在私たちは最終氷期を終えた約1万年前から始まった完新世という地質時代に生きていることになります。ところが最近、「現在はもはや完新世ではない。20世紀の中ごろから、人類という動物が、物理的にも化学的にも生物学的にも、地球を完新世とは全く別の惑星に作り変えてしまった。現代は、アントロポセン(人新世)と呼ばれるべきであり、もはや完新世の地球に戻すことは不可能である」という説が出されています。

 

熊森20年の活動を振り返って、私が確信するようになったことは、どんな最先端の科学技術をもってしても、人間に自然をコントロールすることは不可能であるということです。最初、奥山に、動物の棲める森を復元してやろう(!)と思って活動を開始しました。しかし、多くの人に参加してもらって何度実践しても、自然界は、人間の思うようになど何一つなりません。私の中で、年々人間というものが小さくなっていきました。人間が自然に対してできることは、破壊だけです。研究者が野生動物の数をコントロールしようとするのは、かれらが本当の自然を知らないからです。アントロポセンに生きる私たちは、このことを知って、自らの生存をかけ、地球上に最大限の手つかずの自然地域を残していくようにしなければなりません。

 

クマ類編パブリックコメントに対する環境省回答についての熊森本部見解

<環境省解答の主なもの>

 
①、錯誤捕獲が発生した際は、どの都道府県であっても放獣する必要がありますとの記述について。

→→ (くまもり)現実問題として、誤捕獲グマの多くをまたは全てを捕殺している県に対して、環境省はどう指導するのか?鳥獣保護管理法第9条第1項の許可(=都道府県知事の許可)があったですませるのか?

 

②2003年以降、全国的な分布調査が実施されていない為、奥山のクマ生息状況は不明である。よって、クマの生息域が拡大したとの記述を改め、分布の前線が前進したと修文してくださった件。

→→(くまもり)調べていないことを認めた非常に大きな修正であり、高く評価したい。林野庁は戦後の森林政策の失敗の責任をとって、奥山森林生態系の荒廃ぶりを調査発表すべきである。今、生息地を破壊されたままになっている奥山にかつて生息していた野生動物たちも、それによって少しは浮かばれると思う。

 

③クマ類による森林被害を林業被害に修文してくださった件

→→(くまもり)クマは森林に被害など、何一つ与えません。当然のことながら、修文して下さった担当者の謙虚さを高く評価します。

 

④個体数水準において、幼獣を考慮した数値をガイドラインに示すべきではなく、成獣の個体数を示すこととすると断言してくださった件。

→→(くまもり)高く評価したい。

 

⑤ドングリを山に運ぶことについては、野生動物は愛玩動物ではない、給餌は自然のバランスを失わせる、植生の遺伝的多様性を攪乱するにより行うべきではないという回答の件

→→(くまもり)奥山生態系を本当にご存じないのだなあ。いまだにこんな誤解をしている人がいるのかと驚いた。この回答者(たち)と、じっくりと意見交換する機会を頂きたい。

 

 

<環境省の担当者に、くまもりより>

以前は、パブコメに対して、「今後の参考にさせていただきます」のオンパレードだったので、読んでくださったのかどうかわからなかったけれど、今回は、一つ一つに丁寧に回答してくださっており、誠実さを感じました。大変だったと思います。ありがとうございました。

なんと兵庫県姫路市にクマ、くまもり本部が急行

4月から5月にかけて姫路市北西部を中心にクマの目撃が相次いでいましたが、5月3日朝の神戸新聞デジタルによると、ついに捕獲罠がかけられたということです。

どういう状況なのだろう。熊森本部は、急遽、姫路市の現場まで駆けつけました。

地元の方たちに、どこにクマが出たのかきくと、みなさん丁寧に教えてくださいました。

写真1:4月28日~5月1日にクマの目撃があった現場(赤枠内)

写真2:クマの目撃があった場所は、姫路市により立ち入り禁止となっていた

 

現場は、竹林や2,3mの常緑樹が生い茂る山のすそ野で、スーパーや宅地が隣接していました。近くには絶えず車が流れる国道もあります。

くまもりとしては、一番に避けたいのが人身事故であり、立ち入り禁止措置がとられていることにとりあえず、ほっとしました。

 

 

○地元の人達に聞き取りをしてみました。

・ここ3日間ぐらい、夜10時30分~11時くらいになったら、1mぐらいのクマらしきものが現れる。

・クマらしきものが現れるとき、竹林の中で竹を踏んで割れる音が聞こえる。

・この辺は子供もたくさんいるので、不安。

・現場には、大きなべたっとした糞が落ちている。

・このあたりの山では、シカはよく見かける。サルも時折出てくる。クマが出てくることは滅多にない。でも昨年秋から何度かこの近くでもクマの目撃があって、今はこの山にもクマが住んでいるのだろうと思っている。

・住宅地やスーパーなど、人間の生活域が近い。クマが今後も出没するのは危険だと判断し、クマの捕獲罠設置を行政に申請した。

・現場に落ちていた大きな糞は、兵庫県森林動物研究センターが持って行って調べた。その結果クマの糞だったそうだ。

 

 

付近にクマの痕跡がないか見てみると、クマの糞らしきものが落ちていました。中には昆虫の残骸らしきものが入っていました。

クマの糞らしきもの。乾燥しているが、発見当初はもっと大きかったようである。

 

以下は、ここに設置されたクマ捕獲罠の写真で、クマ誘引物は米糠とのことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(この写真は、神戸新聞デジタルより)

 

この後、ひとりでウオーキングしている方に、「クマが出ているので、鈴など音の出るものを携帯してください」と伝えたり、外に生ごみを置いておられる方に、「生ごみはクマを引き寄せます。生ごみは屋内で管理してください」など、伝えて歩き回りました。みなさんに、「教えてくれてありがとう」と、喜んでもらえました。

 

(熊森から)

捕獲されたクマはどうなるのでしょうか。奥山に放獣すべきと熊森は思います。連休が明けたら県に電話してみます。

 

それにしても、「県内に生息するツキノワグマは、絶滅の恐れから長く保護されてきたが、個体数の増加を受け、県は昨年11月、20年ぶりに狩猟を解禁した。兵庫県森林動物研究センター職員は、(クマは)食べ物に困っているとは考えにくく、頭数の増加で出没範囲が広がったのだろう。」といっていると、県側のコメントを一方的に掲載している神戸新聞の報道姿勢には、苦笑してしまいます。

 

確かに、兵庫県はクマ捕殺を控えてきましたが、戦後人間が破壊した広大な生息地は一切復元してやっていません。保護の片手落ちです。狩猟を解禁したことを評価したり、頭数増加などと数からしかクマという生き物を見なかったり、食べ物に困っていないと一方的に決めつけたりする県の主張を、何の疑問も持たず県民に垂れ流す報道姿勢を、とても恐ろしく感じました。県の職員よりもずっと長い年月、兵庫県のクマを調べてきた熊森協会に、どうしてコメントを求めて来ないのか、私たちにはその報道姿勢が理解できません。

住民たちが10日間ほど 見守っているうちに、見かけなくなった若グマ

この時期、親離れしたばかりの子グマが、各地で人里に現れては騒がれています。

 

4月中旬、クマ生息地の住民から、道路横で衰弱した子グマが1頭寝ている。まるでぬいぐるみのようなクマだという情報が本部に入りました。

3日間ほど見守っているが、母熊が現れる気配はないということで、地元の方々もこの子グマを思いやって心配そうでした。

うーん。あの愛情深い母グマが、今年生まれの子グマを見捨てるはずがありません。

母グマが病死した?母グマがイノシシなどの罠にかかってしまった?母グマが密猟された?

子グマだけでは生き残れないので、保護飼育することになるのだろうか?

くまもりとしてはどう対処すべきか悩みながら、とりあえず現地に向かいました。

 

 

地元の人に教えてもらったところに行くと、小さなクマが1頭、フキノトウを無心に食べていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

クマが食べたとみられるフキノトウのあと

 

 

あたりはフンでいっぱいです。(専門家にこのフンを送った所、後日、根っこなど地下のものが入っているので、アナグマのフンではないかと言われました。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

繊維質でいっぱいのフン

 

 

このクマ、確かに小さいけれど、今年生まれのクマではありません。すでに親離れしたクマなのでしょうか。

地元の人達に、「助けてやって」と、頼まれましたが、自力で生きていけそうです。

ただ、こんな人目のつくところにいたら、誰かが行政に通報して捕獲されてしまう恐れがあります。

 

心を鬼にして、追い払うことにしました。

山に向かって追い立てていくと、クマはぐんぐん逃げ始めました。

 

 

 

 

 

 

 

土手をかけあがって逃げるクマ

 

 

さらに追い詰めていくと、大きな木の上にするするとのぼって、不安そうに下にいる人間の動向を見ています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高い木の上から不安そうに下を見下ろしているクマ

 

地元の人達には、とにかく見かけたら、山の方に追い上げてくださいと伝えて帰りました。

 

 

うーん、人間を疑わず人間に親しみを持っているクマ…、こんな時、祖先はどう対処していたのだろうか。

このままだと金太郎の世界になってしまいます。

太郎を育てられた故東山省三先生は、金太郎の話は、昔どこの集落でもあった実話だとわかったと言われていましたが・・・

今の時代、行政がそんなことを許すはずがありません。

 

 

後日、地元から再び電話がありました。

このクマ、人間が畑仕事をしている横で、のんびり昼寝して、逃げてくれないというのです。

困りました。とにかく追い払ってもらうしかありません。

そうこうしているうち、雨の日がやってきました。

なぜか、この日を境に、このクマはぷっつり姿を見せなくなったそうです。

 

 

フキノトウはもう大きくなってしまい、土手の草は農家にツクシごと刈り取られてしまいました。

山を見ると、柔らかい新芽がいっぱい芽吹いてきていました。

今頃はきっと、おいしい若葉をついばんで山の中を移動していることでしょう。

もう人間の所になど来るんじゃないぞ。生き延びろよ。

思わず抱きしめたくなるほどかわいかった若グマの写真に、心の中で叫びました。

 

 

教訓

①地元の人達の心に、生き物に共感するやさしい文化が残っているから、これまでクマは絶滅を免れてきた。

②クマは、季節ごとに刻々と変化する食べ物を追って、移動していく。

 

 

 

 

北海道庁が、ヒグマ管理計画(素案)に対するパブコメ結果を発表

1 意見等の募集期間

平成28年12月12日(月)~平成29年1月13日(金)

 

2 意見募集結果

北海道ヒグマ管理計画(素案)についての意見募集結果

 

応募者4団体・23人 102件だったそうです。

 

北海道庁が受け入れた変更はたった3件(以下)

 

1.ヒグマによる軋轢→人とヒグマとの軋轢(軋轢をヒグマだけのせいにするのはおかしいの意見に対して修文)

2.エゾシカの捕獲個体残滓→エゾシカの捕獲個体の不要部位(生き物の遺体をゴミ扱いする記述はおかしいに対して修文)

3.ヒグマ出没時の主要な通報先となる警察の役割を明記せよ→項目追加

 

問い合わせ先

北海道環境生活部環境局生物多様性保全課(動物管理グループ)

〒060-8588 札幌市中央区北3条西6丁目 道庁12階

電話番号 011-231-4111(内線24-394)

ファクシミリ 011-232-6790

電子メール kansei.shizen1@pref.hokkaido.lg.jp

※迷惑メール対策のため、「@」を全角にしています。

メールを送信する際は半角に置き換えてください。

 

(熊森から)

学識経験者や行政担当者は、その職務上、野生動物を命あるものとしてではなく、研究物体や害あるものとみなす傾向に陥りやすいため、彼らに任せておくと野生動物との共生共存がむずかしくなります。

 

今回採用されたのはわずか3件のみでしたが、生物としての正常な感性を失っていない一般国民が、学識経験者や行政担当者が間違った方向に進まないよう、絶えずかれらに声を届けて連携していく必要があります。

 

毎日の生活に追われている国民には、このような取り組みを行う余裕がないため、年金生活者の皆さんには特にがんばって声を上げてもらいたいです。

 

以前ドイツに行ったとき、教員などの生活が安定した公務員が、市民社会のリーダーとなって様々な分野に真摯な声を上げているのを見て、日本との違いに衝撃を受けました。本来、民主主義国家で市民社会のリーダーとなるべきこのような立場の人たちが、日本では残念ながら、残業に次ぐ残業で過労死寸前にまで陥っています。

 

非正規雇用の若い人たちもまた、その不安定さから、他者のことまで考える余裕がありません。

 

このように厳しい社会状況ではありますが、一人一人の国民が他者のことや社会に関心を持ち、自分の頭で考えて意見を言う流れを、熊森は作っていきたいと思います。このことが、人類が今後も地球上で生き残れる生き方を選択していけるかどうかを決めます。

 

 

山梨リニア工事でシカやイノシシが人里に移動の異変~第4回ストップ・リニア!訴訟傍聴報告

4月28日ストップ・リニア!訴訟第4回口頭弁論を傍聴してきました。137名の方が傍聴券を求めて並び今回も抽選となりました。

 

第4回目の口頭弁論では、リニア実験線がある山梨県の住民より、実際に起きている被害とこれからの延伸工事によって引き起こされるであろう被害についての陳述がありました。

 

山梨県笛吹市の現状については、野澤今朝幸市議はじめ3名の方が陳述され、トンネル掘削による水枯れの問題が述べられました。飲み水に使っていた井戸水や水田に用水していた谷川が枯れてしまったことに加えて、「地表の水が失われることによって、水飲み場やヌタ場を失ったイノシシやシカなどの大型獣が、周辺の人里まで降りてくることが、以前より頻発」するようになったということです。

 

リニア建設工事によって、動植物の生息地であった森の自然環境が破壊されていっているのです。このままリニア建設が進めば、リニア沿線すべての地域で同じような被害が発生することになります。生きられなくなって山から出てきた野生動物たちを待っているのは、行政による殺処分です。

JR東海は、私たちの命をはぐくんできた豊かな水源の森や多様な生物たちが、リニア工事によって危機に瀕していっていることが見えないのでしょうか。

 

この訴訟の中で、私たち原告側は、被告側に対し、「どこにどういう施設(車両基地など)ができるのか明らかにしてほしい」と求め続けています。今回は、裁判長が被告側にその計画を提示するよう求めました。被告側は次回以降の口頭弁論で、(国土交通省が)そもそも何を認可したのか、どういう基準でどういう具体的事象に沿って認可を下したのか、を示さなければならなくなりました。

 

今回の口頭弁論には、熊森会員さんも数名駆けつけてくださり、遠く山口県からご参加くださった方もいらっしゃいました。リニア沿線住民以外の方も、是非リニア問題に関心を持っていただき、日本の豊かな水源の森を残すために、取り返しのつかない国土大破壊、リニア工事即刻中止せよ!の声をみんなであげていきましょう。

東京地裁前の集会にて 4月28日

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