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2011

 人間の本能である、動物へのやさしさを簡単に捨てないで

以前よく熊森の集まりに来てくださっていたある女性に、ひさしぶりに会いました。「命を大切にする社会をめざして、今、シカ肉の有効利用運動をしています」というようなことを言われ、驚きました。どうしてシカ肉を食べることが、シカの命を大切にしたことになるのですかとたずねると、殺された命を食べてやり無駄にしないことは、シカの命を大切にしたことになるのだそうです。こんなこと言うのは、人間だけでしょう。

動物のすめる山を復元してやり、シカが山中に帰って人に殺されることがないようにしてやるのが、シカの命を大切にすることだと思います。殺さないことにまさる、動物へのやさしさなどありません。みなさん、野生動物頭数管理派(そんなこと人間にできっこない)の研究者や行政のプロパガンダに乗って、人間の本能である動物へのやさしさを簡単に捨てることがないようにお気を付け下さい。

半農半X

京都府綾部市の生まれで、今もそこにお住いの塩見直紀氏が、2、1世紀の生き方として唱えられた半農半X。8月28日、神戸で、塩見氏のワークショップがあって、行ってきました。30名ぐらいの参加者の中に、クマ森会員が5名もいてびっくりしました。

塩見氏の半農半X思想は、今や台湾に広まりつつあり、毎年、彼は講演依頼を受けて台湾に行かれているそうです。ご著書が中国語に訳される動きも出てきており、中国に広まる道も見えてきて、さらに韓国にも広がりそうになっているのだそうです。土と生きる生き方が、アジアから全人類に広まっていくかもしれません。

但馬のどこかに豊かな山が残っているのですか 本部 氷ノ山調査

8月21日は、あいにくの雨模様でしたが、23名で、兵庫県最後のクマ生息地氷ノ山の調査に行きました。行く道中、内部が砂漠化した人工林が延々と続いているのを見ていると、この19年、膨大な予算(=私たちの税金)が投入されているのに、全く兵庫の森が良くなっていないことに気づきます。それどころか、いっそう動物たちが住めなくなっているのです。

県行政や、兵庫県立大学の先生たちは、いつも、戦後、どんどん兵庫の森は豊かになって、動物が棲みやすくなったと言われます。この認識の違いはどこから来るのかいつも不思議です。今回は、「但馬のどこに豊かな森が残っているのですか」と、いつも怒ったように言われる、但馬の山を数十年間調べ続けてこられた地元研究者に、氷ノ山を案内していただきました。先生の頭の中には、拡大造林を行う前の戦前の豊かだったふるさとの奥山が、今も脳裏に焼き付いておられるのです。

氷ノ山に着くと、さすが兵庫県側にブナの森が385ヘクタール(県下最大)残されたというだけあって、見ているだけで癒されます。しかし、久しぶりに見た登山道の幅は、観光客を呼び込むために以前の3倍ぐらいにまで広げられており、山が神秘性を失って公園のような感じになっていました。去年、氷ノ山を訪れた観光客は32万人ということで、オーバーユースだと感じました。これでは、踏み荒らされる広葉樹の根っこが悲鳴を上げてしまうと感じました。地元観光協会にたずねると、まだどこからも、入山制限の声など出ていないということでした。荒廃が顕著になってからでは遅いので、早く手を打ってほしいものです。

大段ガ平という所には、大きな駐車場があり、春には、山菜取りの車が連日100台ぐらい来て、300人ぐらいが袋を持ってスズコ(チシマザサのタケノコ。クマの大好物)採りに熱中するのだそうです。クマをはじめとする野生動物たちのここにしかない貴重な食糧です。昔の日本人と違って、制限を外からかけないと、今の日本人は自粛などしないと感じます。

もちろん今回、森から、先生から、新たに多くを学びました。そのことは、ブログには書ききれないので、会報に載せたいです。

フォーラム ナラ枯れの特効薬は何かin立命館 

8月20日に京都で、NPO法人森びとプロジェクト委員会が主催する<第4回森と生きるキャンパスフォーラムin立命館>があり、研究熱心な熊森会員も多く参加しました。

●午前中は、京都市内の神社仏閣のスダジイなどのどんぐりの木をナラ枯れから守るために、あの手この手で取り組んでおられる大学の先生方や自然保護団体の方々のお話を、現地をいっしょに歩きながら聞かせていただきました。定員は100名という事でしたが、130名ぐらいの方々が熱心に参加されていました。

●午後からは、会場を立命館大学朱雀キャンパス講堂に移し、「ナラ枯れの」特効薬は何か?」というフォーラムがもたれました。こちらの方には約350名の方々が参加されました。

10人ぐらいの研究者の方々がそれぞれ別の角度から、非常に興味深い発表を壇上でなされました。カシノナガキクイムシによる枯れもあるが、ムシに関係ない枯れもあるということでした。ナラ枯れの原因が特定できないと、真の対策は立てられません。諸説もっともでしたが、謎が深まったような気もしました。複合原因かもlしれません。

この日はナラ枯れ問題に集中しましたが、昆虫が激減したり、木の実の実りが悪くなったり、日本の森は、今、大変です。森の動物たちは悲鳴を上げています。人間活動によって、自然の森に何かとんでもない大異変が起きているのではないかという気がします。原子力エネルギーと同様、人間の頭では、複雑系の森の生態系などとらえきれないと感じました。ダニを研究されておられる研究者が、地球上にダニは6万種ぐらいいて、自分はそのうち600種ぐらいの名前と生態が分かる。それぞれのダニ種が、森の中で見事にそれぞれの仕事を分担しており、いなくていいダニはいないと言われていたことがとても心に残りました。地球上のすべての生物の命への畏敬の念が大切ですね。

無事だったくまもり自然農田んぼ

大型のノロノロ台風がやってきた。
田んぼの稲は、柵は、大丈夫だったろうか。
急遽、9月4日の朝、7時過ぎに西宮を出て、夫の運転で但東町に出発する。
西宮北有料は渋滞でストップ。
宝塚へまわるが「宝塚大橋」は通行止め。
のこるは、中山から切畑へ抜ける道しかない。
切畑の田んぼはあちらこちらで、1枚全部稲が倒れていたり、
完全に稲が水に浸かっている田もある。不安。

11時に田んぼに着いた。

小雨の中、田んぼに行く。柵は大丈夫。稲は倒れてない。
良かった。自然栽培の稲のほうが風水害に強いとは聞いていたが、そのためか。

それとも、まだ、青々としており、こうべが垂れるほどには実っていなかったのが幸いしたのか。

今年のイネの分けつは少なめ。稔にもばらつきがある。
収穫量は例年より少ないかもしれない。

但東町では、すぐ近くの田んぼでも稲が倒れていた。

「のぼりお 旬の里」のおばさんは「軽い倒れなら持ち直すが、水に浸かってると発芽するのでだめだ」と教えてくれた。

稲刈りの日までどうか山の神様、お守りくださいと祈りながら帰ってきた。(自然農塾担当H)

参加者募集!くまもり秋の2ビッグ講演会     10月16日橋本淳司氏、11月26日安田喜憲氏

くまもり秋の2ビッグ講演会のお知らせです!
学びと感動がいっぱい。是非ご家族ご友人お誘いあわせの上ご参加ください。
また、実行委員として事前・当日にお手伝いして下さるやる気いっぱいの方々を募集しております。9月10日(土)13:00~本部にて第1回実行委員会がもたれます。
詳しくは、本部事務所までお問い合わせください。

◆(1) 橋本淳司氏 (水ジャーナリスト)

「世界的な水争奪戦と日本の水問題」

とき/2011年10月16日(日)
14時から16時半(開場13時半)
ところ/兵庫県西宮市民会館 大会議室101

講演要旨
世界的な水の争奪戦に、日本は巻き込まれています。3.11以前、日本には2つの水の危機がありました。水源林の問題と水道経営の問題です。それに加えて3.11以降、放射性物質の問題が加わりました。こうした問題について具体的に解説するとともに、いま私たちができることについてお話いたします。
プロフィール
ジャーナリスト、著述家、アクアスフィア橋本淳司事務所代表。世界各地の水問題やその解決方法など取材し、「水と人」をテーマに執筆活動を行う。主な著書に「世界が水を奪い合う日、日本の水が奪われる日」(PHP研究所)、「放射能汚染水、水不足、水道停止、安全な水はどう確保する?」(主婦の友社)など。

◆(2)安田憲喜氏(国際日本文化研究センター教授・環境考古学者)

「森を守ることは日本の未来を守ること」

とき/2011年11月26日(土)
14時から16時半(開場13時半)
ところ/兵庫県西宮市民会館 大会議室101
当会顧問・衆議院議員の赤松 正雄さんもいらっしゃいます

講演要旨
2011年3月11日の東日本大震災で東北に残ったのは豊かな森の世界だった。「国破れて山河あり 城春にして草木深し」(杜甫春望)の一節を誰しもが実感した。森を守り森の中の生き物たちを守りとおすことは、日本を守ることなのである。
プロフィール
1996中日文化賞受賞、フンボルト大学客員教授(ドイツ)、1997〜1999京都大学大学院理学研究科教授(併任)、2006スウェーデン王立科学アカデミー会員、2007東京財団主任研究員、2007紫綬褒章受章、2008稲盛財団環境文明倫理研究センター所長、2009NHK経営委員、2010中山賞受賞など多方面で活躍。著書に「奪われる日本の森-外資が水資源を狙っている」他多数。

受講料
会員・一般 1.000円
大学生以下 無料

●申込み方法 ※電話・FAX・Eメール・ウェブフォームでお申込み下さい。
日本熊森協会本部事務局
電話 0798-22-4190
FAX 0798-22-4196
Eメール event@kumamori.org
秋の講演会参加お申込みフォーム

主催 一般財団法人 日本熊森協会 (http://kumamori.org)
後援 西宮市・西宮市教育委員会(予定)

●会場  西宮市民会館 大会議室 101号室
(住所:西宮市六湛寺町10-11 電話:0798-33-3111)
【会場アクセス】→MAP
・阪神電車 西宮駅「市役所口」改札北へ出てすぐ。
・JR西宮駅から西へ徒歩約10分。
※専用駐車場はありません。市役所東向いの市役所前公共駐車場を
ご利用ください。

哀悼 絵本作家松下千恵さん(和歌山絵本の会会長)死去

新聞報道によると、和歌山絵本の会代表の絵本作家、松下千恵さんが、8月18日に61歳で亡くなられたということです。謹んで哀悼の意を表したいと思います。

わたしたちと松下さんの出会いは、今から19年前のことです。当時、和歌山県の元理科教師東山省三先生が、我が子のように愛情を持って育てられたツキノワグマの太郎が近所の人の通報で行き場を失い、和歌山県によって秋田県のクマ牧場に送られようとしていました。

東山先生は、「太郎はうちの子だ、クマ肉缶詰なんかに絶対させるものか」と火を噴いたように県に立ち向かい、猛然と闘っておられました。これを知られた絵本作家の松下千恵さんが、「ツキノワグマ太郎」という絵本を緊急出版され、和歌山県を中心に「太郎を救え!の大合唱を巻き起こされたのです。

こうして太郎はめでたく、和歌山県が建てた生石高原山頂近くの獣舎で、生涯を無事に送れることが保障されました。生石高原の新築獣舎の中に入って太郎と楽 しそうに遊んでおられた松下さんの姿が、昨日のように思い出されます。わたしたちは、東山省三先生のがんばりはもちろんですが、松下さんの描かれた1冊の 絵本が太郎の命を救ったと感じたものです。

あれからずっと、私達と変わらぬ親交を続けてくださった松下さん。本当にありがとうございました。

「和歌山県民は、もともと生き物にとてもやさしいんよ」と、今では夢物語と思えるほどの、昔の和歌山での人間と動物達との信頼感あふれるほのぼのとしたふれあい話をたくさん聞かせてくださいました。

今、和歌山県選出国会議員が、野生鳥獣の生息地を人間が壊したことは棚に上げておいて、野生鳥獣なんか大量に捕殺して食べてしまおうという法案を国会に出したことを知られたら、どんなにか胸を痛められることでしょう。

10月15日 くまもり和歌山県支部結成に向けての会員の集い

地元の自然を守るためには、地元が立ち上がるしかない。
この度、和歌山県生石高原で保護飼育されている2頭のクマ 、太郎と花子のお世話に通い続けてくださっている和歌山県会員の方々のよびかけによって、支部立ち上げに向けた会員のつどいが持たれます。和歌山県会員の皆さん、まだ会員になっておられない和歌山県民の皆さん、どうぞ、ご都合をつけてお集まりください。

【支部結成に向けた くまもり和歌山県会員のつどい】

日時:2011年10月15日(土) 10:30~15:00
場所:和歌山県生石高原山頂近く 太郎と花子の獣舎前(生石高原天文台 和歌山県有田郡有田川町大字803 すぐそば)
※車がない方は、JR和歌山駅東口に9:00に来ていただければ会員車に同乗可。必ず、前もってご連絡ください。

~会員のつどい プログラム~
◎10:30~ 太郎と花子の獣舎清掃作業(汚れてもいい服装でご参加ください)
◎12:00~ 昼食 兼 支部結成にむけた会員のつどい 於:「山の家おいし」の上のあずまや
※森山まり子会長も出席されます
※お弁当・水筒をご持参ください。(つどい会場隣のレストハウスで購入可)

ご参加いただける方は、10月13日(木)までに、メールか電話で日本熊森協会本部までお申し込みください。

豊かな森を守り、森を造る野生動物達と共存したいと願う和歌山県民の皆さん、このたび和歌山県選出国会議員が、野生鳥獣の一方的な大量殺害法案を国会に出したことに胸を痛めておられる皆さん、日本国が人間だけが生き残ればいいという誤った人類滅亡の方向に進まないように、みんなで声を上げましょう。

ぜひ、10月15日(土)、秋の和歌山の山が一望のもとに見渡せる生石高原にご参集ください!

和歌山県 切目川ダム建設を止めたい一心の方々と、(祝)今本博健顧問先生誕生

和歌山県日高郡の豊かな自然を、何とか子や孫に残してやりたいと願う心やさしい地元グループの方々が、予定されている切目川ダムの建設は大自然破壊になるとして、10年以上も建設を見直してほしいと要望し続けてこられました。しかし、この度、和歌山県庁は国に対して、地元からの反対の声はないので、ダム建設を進めてほしいという答申を出したそうです!

切目川ダム建設を止めたい一心の地元グループの方が、熊森に相談を持ちかけて来られました。さっそく、8月27日、前からぜひお会いしたいと思っていたダム専門家の京都大学名誉教授の今本博健先生の所へ、和歌山県熊森会員や地元グループの方々といっしょに相談に行ってきました。以前、原子力村ならぬダム村におられた今本先生は、これまでたくさんのダムを造り続けてこられました。しかし、ダムは治水に役立たないどころか、弊害の大きさを考えるなら、造ってはいけないと思うようになられました。そして、ダム村を出られたのです。

予想通り、今本先生の全身からは、誠実さがあふれ出ておられました。わたしたちは先生から、ダム建設の膨大な利権を教わってあきれ果てました。地元有力者や政治家が、全国にダムを造ろうとするわけがよくわかりました。原発と全く同じ構造だと思いました。人間は欲に目がくらむと、嘘やごまかしが平気で言えるようになります。子や孫や他の生き物たちがどうなろうが、国土がどう荒れようが、お金儲けの方が大事になります。つまり、他者を愛することが出来なくなるのです。国を愛することもできなくなるのです。そして、全身から不誠実さがあふれる人になるのです。気づかぬは本人だけです。

しかし、ラッキーなことに、ほとんどの圧倒的多数の一般国民は、利権とは無縁に生きています。この大多数を占める国民が声をあげたら、今の日本では、ダム建設は止められるそうです。いろいろと先生から知恵を授かって、地元グループの方々も希望を胸に元気よく帰られました。

いつか会報に、今本先生のお話をまとめたいと思いますが、その前に、全会員と全国民に、先生のご著書をぜひ一度読んで頂きたいと思います。一言感想を言うなら、今本先生、よくぞこの本を書いてくださいました!です。

熊森にも、山崩れや砂防ダムなどについて、いろいろとアドバイスをいただきました。先生には今後もいろいろと教えていただきたいので、顧問をお願いしたところ、快く受けてくださいました!これで熊森はまたいっそう強くなれそうです。感謝でいっぱいの一日となりました。

『ダムが国を滅ぼす』

「週間SPA!」ダム取材班

扶桑社

合同出版 (愛蔵版) クマともりとひと 第2刷へ

1年前に出版された 森山まり子会長著 (愛蔵版) 「クマともりとひと」(合同出版)の第1刷3500冊が売れたため、急きょ第2刷の印刷が行われています。合同出版の担当者によると、1年間で3500冊売れるだろうとよんでいたので、予定通りだとのことです。(愛蔵版)には、森山会長による熊森の哲学や自然観が満載されています。次の1年も多くの人々に読んでいただきたいです。

フィード

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