中学生の時、日本の森や野生動物が危機的な状況にあること、クマたちが棲む豊かな森を失えば島国である日本は水源を失うことを知り、大きなショックを受けました。同級生や「理科の先生」であった森山まり子とともに、クマの絶滅阻止活動を大展開し、大学生になった1997年、みんなで日本熊森協会を結成しました。熊森活動を通じて、自然保護団体の中にも法律の専門家が必要と考えるようになり、弁護士資格を取得しました。2018年4月、初代森山まり子会長からバトンタッチされ、第2代会長に就任いたしました。
現在、日本の森や野生動物の危機的な状態は深刻化する一方です。昆虫に関しては、すでに種の大量絶滅が始まっています。地球規模の環境破壊が人類の生存を脅かすまでに進んでいるというのに、私たち人類はそれを止められないでいます。日本でも、奥山の広大なスギ・ヒノキの人工林が荒廃したまま放置され、野生動物たちは生息地を失い、餌を求めて山から出ていくと銃や罠で殺処分されます。また、土砂災害や保水力低下など、深刻な森林荒廃が進んでいるにもかかわらず、大人たちは目の前のことに必死で、自然保護に取り組もうとしません。
絶望的な状況には目をそむけたくなりますが、自然との共存なくして人類に未来はありません。母親になった私は、100年先、1000年先に、子どもたちが豊かに生きていける自然環境を遺すためにも、水源の森である奥山再生に人生をかけようと改めて決意しています。
一人一人の力は小さくても、たくさんの人が集まれば、国を動かし、自然を守る法律や制度をつくることができます。みなさんと、一緒に熊森活動ができたらうれしいです。たとえ活動に参加できなくても、会員の1人として熊森を支えていただけたら、熊森の力になります。
次世代のために!全ての生命のために!思いを同じくする者同士が手をつなぎ、クマたちをはじめとする生き物たちの命あふれる豊かな森再生の流れをつくっていきましょう!
21世紀の今も、自然なくしては、人間は1日たりとも生きられません。酸素、清らかで滋養豊かな水、食料、これらはどれも豊かな自然があって初めて得られるものです。
自然生態系は、無数の生物たちが密接にかかわりあい絶妙のバランスの上に成り立っており、絶えず変化しています。人間が管理したりコントロールできるようなものではありません。自然への感謝と畏敬の念を持って全生物と共存する社会を築くことが、熊森の考える自然保護です。
~ 祖先への感謝、未来への責任、生きとし生けるものへの畏敬の念 ~
全国の支部
地域の自然や文化に合わせて活動するため、各地に支部があります。
会員
欧米並みの数十万規模の大自然保護団体をめざし、活動を続けています。
活動の歴史
当協会は、中学生のクマ保護運動が発展して設立されました。
永久保全するために
買い取った森林
野生動物の餌場となる森林をトラスト(買い取り)し、間伐など手入れをしながら保全しています。
1992年1月、兵庫県尼崎市立武庫東中学校の生徒が持ってきた、1枚の新聞記事「ツキノワグマ環境破壊に悲鳴」は中学生に衝撃を与えました。
しかし、大人の動きは何一つありませんでした。胸の痛みを抑えきれなかった生徒たちは、自分たちでいくつもの自然保護団体を結成し、活動は発展していきました。
生徒たちの代表は、自分たちの集めた署名を持って兵庫県庁林務課に出向きました。それでも、絶滅が止められそうにないことを知ると、当時の貝原俊民 兵庫県知事に直訴しました。
全国植樹祭のために兵庫県に来られた天皇皇后両陛下にも、手紙を書きました。
その結果、ついに重い扉が開き、1994年5月、環境庁長官により、「兵庫県ツキノワグマ狩猟禁止」が発表されたのです。「調査や研究だけに終わらず、実践活動により森林や野生動物の保全を行う、欧米のような市民に支えられた大きな自然保護団体が日本にも必要だ」と考え、大学生になった元中学生たちは、1997年、日本熊森協会を結成しました。
1992年 2月 | 兵庫県尼崎市立武庫東中学校で「クマの絶滅を止めよう」という運動が始まる |
---|---|
1997年 4月 | 中学校の時の理科の先生だった森山まり子を会長に、大学生になった元中学生たちと市民が実践自然保護団体日本熊森協会(任意団体)を設立 |
1997年 11月 | 兵庫県美方町のクマ生息地で、第1回実のなる木植樹会を実施 |
1997年 12月 | 機関紙「熊森」第一号を発刊(後に会報誌「くまもり通信」にリニューアル) |
1998年 3月 | 大学生スタッフ3名をアメリカの自然保護団体に初派遣(シェラクラブ、他2団体) |
2002年 3月 | 国際ロータリー2680地区(兵庫県)大会で森山会長と学生5名が講演、「ロータリーの友」に掲載され全国で大反響 |
2002年 6月 | 兵庫県西宮市に初の事務所を開設 |
2003年 3月 | 京都府に初の支部結成 |
2004年 秋 | 奥山の実りが大凶作となり、クマが山から出てきて大量駆除される。北陸の奥山へ初のどんぐり運び(7トン) |
2005年 8月 | 薬殺寸前だったクマ「花子」の飼育支援開始(和歌山県) |
2006年 3月 | NPO法人奥山保全トラスト設立(後の「公益財団法人奥山保全トラスト」) |
2006年 11月 | くくり罠にかかったクマを初放獣(富山県支部) |
2007年 3月 | 小冊子「クマともりとひと」初出版 |
2007年 4月 | 正職員1名を初雇用 |
2007年 7月 | 会員1万人突破 |
2007年 9月 | 第1回東京シンポジウム開催(東京大学弥生講堂 参加者370名) |
2008年 3月 | 第11回地球倫理推進賞(社団法人倫理研究所)、文部科学大臣奨励賞受賞 |
2008年 5月 | 森山会長がNHKラジオ深夜便「心の時代」に出演し、大反響 |
2008年 10月 | 会員2万人突破 |
2010年 6月 | 皮むき間伐や植えない森づくり(自然再生)による森再生開始(兵庫県) |
2010年 11月 | 前年からの国会ロビー活動が、奥山水源の森保全・再生議員連盟設立につながる |
2010年 12月 | 朽木トチノキ巨木群の伐採阻止に成功(滋賀県支部) 一般財団法人日本熊森協会を設立 |
2012年 8月 | 第1回日本奥山学会研究発表会開催(兵庫県) |
2013年 12月 | 八幡平クマ牧場(秋田県)のクマ全頭救命に成功 |
2014年 11月 | リニア中央新幹線問題学習会開催 |
2015年 4月 | 誤捕獲グマ「とよ」の獣舎建造(大阪府)、飼育援助開始 |
2015年 12月 | 滋賀県高島市朽木の分収造林地を初トラスト(211ha) |
2018年 4月 | 第2代会長に室谷悠子が就任 |
2019年 3月 | 国会ロビー活動と全国署名約2万8000筆で、「放置人工林の天然林化」への使途が森林環境税法の衆参付帯決議に付く |
2020年 5月 | 前年に救命した親子グマ3頭を奥山に放獣(新潟県) |
2020年 6月 | 孤児グマ「くまこ」を保護(石川県) |
2021年 7月 |
全国再エネ問題連絡会結成。共同代表になる |
2023年 7月 |
東京都奥多摩にクマ生息地である山をトラスト(17.5ha) |
2024年 2月 |
クマを指定管理鳥獣にせず、 人とクマが遭遇しない対策を求める緊急署名1万4749筆を伊藤環境大臣宛に提出 |
2024年 5月 |
再エネ事業者が所有していた阿賀町の森林996haを開発から守るためにトラスト地として緊急購入 |
ページトップに戻る