2022/10/12
くまもりNews9月8日、熊森本部会長ら6名は、兵庫県庁に菅範昭新環境部長を表敬訪問しました。
兵庫県庁環境部長室にて
挨拶が終わってから、同席されていた自然・鳥獣共生課の職員に、今年の兵庫県のクマの目撃数や捕殺数について聞きました。9月末の捕殺数は8頭(昨年同期26頭)と、近年と比べて激減でした。
青:狩猟、赤:有害駆除
環境部長室を出た後、農林水産部治山課森づくり整備班に寄り、とにかく奥山放置人工林の天然林化を進めていただきたいと熊森設立以来同じ繰り返しになりますが、今年もまたお願いしてきました。
農林水産部治山課にて
今年11月15日からのクマ狩猟再開
発表した資料によると、今年の兵庫県内のクマ推定生息数は、東中国ユニットの中央値315頭、北近畿北部ユニット325頭で、計640頭です。兵庫県はこれまで、県内クマ推定生息数が800頭を超えたら、狩猟を再開してきました。では、今年は兵庫県はクマ狩猟をしないと思いきや、するのだそうです???計640頭ですよ。
理由としては、今年から、基準を県内生息数ではなく、他府県にまたがる地域個体群の数で決めることに変えたのだそうです。(ハア???)
今年、東中国地域個体群推定数808頭、近畿北部地域個体群推定数814頭だから、京都府、兵庫県、鳥取県、岡山県、皆、クマ狩猟となったのだそうです。(そんなぁ)兵庫県が主導する広域協議会で、決まったそうです。兵庫県の責任は大です。他県にどうやって県内のクマ生息数を推定したのですかと尋ねると、兵庫県立大学のクマ研究者に県内の捕殺数と再捕獲数を提出したら、計算してくれたということです。その推定数にどこまで真実性があるのでしょうか。
個体数調整という名でクマを殺し過ぎてきたのではないか
今年9月末までのクマの捕殺数は、京都府50頭、兵庫県8頭、鳥取県13頭、岡山県7頭です。京都府の捕殺数が多いのは、シカ捕殺用くくり罠などに誤捕獲されたクマを殺処分しているからです。これは、法違反です。京都府は法を守るべきです。兵庫県は今年、クマの大好物を入れたクマ捕獲用箱罠などを生息地に1800基設置しています。それでも、罠にかかったクマは9月末現在8頭だけです。私たちは、いくらなんでも近年、クマを殺し過ぎたのではないかと感じます。
ちなみに当協会が、兵庫県の本来のクマ生息地のブナ・ミズナラの巨木の奥山天然林の尾根筋(通り道)に自動撮影カメラ3台を1年間(2021年10月1日~2022年9月24日)かけたところ、クマが写っていたカメラは1つだけで、9月16日の午前0:24と、9月20日の午前6:20だけでした。以前ならあり得なかった激減ぶりです。
9月20日の早朝午前6:20に写っていたクマ
今やクマたちは生き残るために、スギの放置人工林、シカの食害やナラ枯れなどで荒廃した奥山天然林から、餌のある里山に移動してきています。奥山が本来の生息地として機能していないにもかかわらず、クマの里での目撃数が増えているからクマが増加したと決めつけ、クマ数の管理のために狩猟が必要だなどと主張する研究者には、現場調査が不足しています。
今年のクマ狩猟再開に熊森が異議
野生鳥獣を担当する公務員の皆さんは、「私たちは公務員です。環境省が地域個体群が800頭を超えたらクマ狩猟再開と決めているから、それに従うだけです。公務員に専門知識はないので、専門家の先生の指示に従うだけです」と言われますが、地域によって山の状況が全く違うのに、全国一律800頭はおかしくないですか。第一800頭の根拠も不明です。
狩猟は趣味やスポーツですから、別にしなくてもいいものなのに、数字遊びのような感じで、推定数がわずかに800頭を超えているからとクマ狩猟の実施が決まっています。こんな、ゲーム感覚のクマ狩猟再開はやめてください。人の道からも外れています。
国民のみなさんは、野生動物たちの命をゲーム感覚でもてあそぶような今のクマ管理計画についてどう思われますか。このようなことに私たちの税金が毎年多額に使われているのです。全国行政担当者の皆さんに、もういいかげんノーの声を上げていただきたいです。熊森は、毎年増減を繰り返しながら複雑に変化していく野生動物の生息数を人間が一定数に管理しようとすること自体がそもそも、自然というもが何たるものかわかっていない研究者の発想だと思います。戦後これだけ自然を破壊してきた私たち人間がまずすべきことは、野生動物を殺すことではなく、生息地の再生や復元と保障、そして被害防止対策のはずです。
(追記)
クマを狩猟は大変危険で、熟練技が必要と言われています。しかし、今年4府県とも、クマを狩猟をする人のための特別講習会を開かないそうです。こんなことでいいのでしょうか。鳥取県は2007年からクマ狩猟を禁止してきましたから、今年は15年ぶりのクマ狩猟解禁です。
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