2024/11/15
くまもりNews今回の本部東北遠征時、米沢市の会場に「米沢の子供の未来と豊かな自然を考える会(以下、考える会)の方たち5人が参加してくださり、栗子山風力発電計画をどのようにして白紙撤回に持ち込んだのか発表してくださいました。
山形、福島両県にまたがる奥羽山脈の栗子山(標高1217m)で、JR東日本エネルギー開発が高さ168mの風車10基、発電最大出力3万4000キロワットの風力発電事業を計画して、環境影響評価配慮書を提出したのは2019年です。
しかし、多くの市民はこの計画を知らず、知ったのは2023年9月の環境影響評価準備書段階での住民説明会の時でした。
環境アセスメント段階:①配慮書→②方法書→③準備書→④評価書
説明会で事業者が提出した内容は、実際には予定地から3キロのところにイヌワシの巣が見つかっていたのに、「国の天然記念物イヌワシの巣は、風車建設予定地から10キロ以上離れており、風車に衝突する可能性は20年に1羽未満」と書くなど、データを改ざんしたものでした。(10月にデータ改ざんが発覚)
署名など集めたこともなかった素人ばかりの米沢市の女性5人は、大きな自然破壊を伴うこの計画に危機感をいだき、11月に考える会を結成。今年1月から本格的に活動を開始しました。
チラシを作って配布しながら計画の白紙撤回を求める署名を集め始めました。
下は、そのチラシの裏面です。クリックで大きくなります。
チラシの内容は以下です。
1、イヌワシやクマタカがバードストライクにあう。
2、低周波音によって、頭痛、めまい、睡眠障害が引き起こされる。
3、尾根を削るので、山の保水力が失われ、土砂崩れや水質汚濁の危険性がある。
今年3月には、考える会と市議会議員20名が意見交換会。
風車10基のフォトモンタージュを示すと、驚きの声があがりました。
福島県側から見た栗小山風力発電計画
近藤洋平米沢市長は、市民全体を対象にした説明会を早急に実施するよう業者に求めます。
8月に開かれた住民説明会には2日間で300人~400人の住民が詰めかけました。
この説明会は、まさに、業者の不誠実さを市民の目に焼き付けるものとなりました。
9月には考える会が市議会に提出した「栗子山風力発電事業の白紙撤回を求める請願」が、賛成多数でで採択されました。
市長は事業者の本社を訪れ、「全面白紙撤回」を求めました。
しかし、事業者があきらめなかったため、考える会は9月末、「事業の白紙撤回を求める署名」約7000筆を経産省と環境省に提出。
経産省が厳しい意見を出したため、業者は(勧告により)スケジュールの大幅な遅延とコストの増大が見込まれ、事業が成り立たないことが明らかになったとして、ついに、風力発電計画の断念を発表。今年9月27日。
短期間の活動で、風力発電を白紙撤回に追い込んだ考える会の共同代表のひとりは、「まるで山の神様が守ってくれたのではないかと思うぐらい、ラッキ―なことが続いた」と言われていました。
熊森も会報発送の際、会員に署名用紙を同封するなど協力しました。熊森会員から送られてきた署名には、寄附金同封や激励の言葉などもあり、皆で感激しましたとのことでした。
10月末、考える会から、熊森にもお礼状ハガキが来ました。
熊森から
5人の女性の中の一人は、学校では今、子供たちに再エネ推進を無条件でいいこと大切なことと教えているので、子供たちの中には私たちは再エネを止めた良くない人たちという見方もあることを知って、ショックを受けたと言われていました。
今は事の重要性がわかっておられない人もいるでしょうが、米沢市の森を守った皆さんは、後の世で米沢市の偉人としてきっと讃えられると熊森は思います。
「野生動物を環境破壊から守ろうの会 風力発電の嘘 クリーンエネルギー風力発電の闇」と名乗る人が、栗子山風力発電白紙撤回を祝って、考える会に、おめでとうの歌をプレゼントしたそうです。私たちもいっしょにおめでとうと歌ってあげたいです。
5人の女性の皆さん、本当によくがんばられました。(完)
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