2026/07/06
くまもりNews
奈良県平群町で進められているメガソーラー開発をめぐり、奈良県の山下真知事は7月6日の会見で、大阪高裁が6月18日に言い渡した「開発許可取り消し」の判決について、県としては上告しない方針を明らかにしました。
知事は会見で、「大阪高裁の判決に説得力がある」と述べたうえで、判決で不合理な点があると指摘された審査基準については、専門家の意見も踏まえながら見直していく考えを示しました。
また、この方針は7月6日の表明以前に、6月29日の時点で事業者側に奈良県として上告しない旨が伝えられていたとのことです。県が高裁判決を受け入れる姿勢を示したことは、住民が長年訴えてきた危険性が重く受け止められたという点で、大きな意味を持っています。
●一審と二審で判断は分かれた
この訴訟では、下流域の住民が奈良県に対し、林地開発許可の取り消しを求めてきました。一審の奈良地裁は、県が土砂災害の危険性を考慮する際に用いた基準は不合理とはいえないとして、住民側の訴えを退けていました。
しかし大阪高裁はこれを覆しました。近年、降雨量の多い日が増加していることに触れ、想定を上回る降雨があれば下流河川の流下能力を超える水が流れ、水害などの災害が発生するおそれがあると指摘しました。そのうえで、県の基準や判断過程には不合理な点があるとして、開発許可は違法だと判断しました。
知事が会見で「説得力がある」と述べたのは、まさにこの判決の中身に対してです。住民が訴え続けてきた「ここは危ない」「洪水や土砂災害が起こりうる」という声が、ようやく行政判断の見直しにつながった形です。
●問題はまだ終わっていません
一方で、工事を進める事業者はすでに上告しており、裁判そのものはなお続く見通しです。そのため、住民や弁護団は奈良県の判断に安堵しながらも、「まだ終わりではない」という思いを強くしています。
会見では、ようやく危険性が理解されたことへの安堵の声がある一方で、今いちばん優先されるべきなのは、裁判の先送りではなく現地の安全対策であることが強く訴えられました。
●6月の台風で改めて露呈した現地の危険
実際、6月下旬の台風と梅雨前線による大雨では、現場で大規模な土砂崩れが起きました。住民側は、あと少し雨が強ければ、土石流のような深刻な事態につながっていてもおかしくなかったと指摘しています。
これまでにも現地では土砂流出事故が繰り返されてきました。住民の不安は抽象的なものではなく、現に山の変化を目の前にしながら暮らしている人たちの切実な実感です。
さらに、防災工事を本来は造成工事より先に行うべきだったのに、それが十分に果たされてこなかったことも重く受け止められています。いま必要なのは、危険な斜面の安定化、排水の適切な処理、土砂や濁水の流出防止、生態系の回復など、緊急の安全対策です。
●喜びと同時に、元の森に戻せない苦悩も
奈良県が上告しない方針を示したことに対して、住民の皆さんが大きな安堵を感じておられるのは確かです。長く訴えてきた危険性が、ようやく公的に重く受け止められたという意味で、この判断は非常に大きいものです。
しかし同時に、住民の皆さんは別の現実にも直面しています。すでに工事はかなり進められており、失われた森林を元の姿に戻すことは非常に困難になっているからです。
工事が止まった後、その場所をどうしていくのか。
安全をどう確保するのか。
荒れた斜面や造成地をどう扱うのか。
住民の皆さんは、安堵と同時に、その後に残された重い課題にも向き合わざるを得ず、深く苦悩しておられます。
会見では、将来的には森林公園や、地域の人が親しめる場として緑を取り戻していきたいという思いも語られました。平群の山は地域にとって大切な宝物であり、そのまま荒廃した状態で放置してよい場所ではありません。
NHK
https://news.web.nhk/newsweb/na/nb-2050020371
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平群メガソーラー問題 奈良県は判決受け入れ 事業者上告でなお続く緊張ページトップに戻る