3月10日 熊森が花巻市猟友会長と共に環境省にガイドライン案(クマ編)に申し入れ
さらなる捕殺強化は、地域的絶滅を招く恐れも―3月10日、熊森が花巻市猟友会長と共に環境省に出向き、ガイドライン案(クマ編)に対し、提案書を提出しました
現在、環境省がパブリックコメントを募集している「特定鳥獣保護・管理計画作成のためのガイドライン(クマ編)令和7年度版(案)」は、内閣府の「クマ対策パッケージ」を受けて作成されたものです。クマが全国的に増加していることを前提とし、さらなる捕殺強化を可能にする内容となっています。
しかし昨年、ツキノワグマ1万2000頭超、ヒグマ2000頭超が捕殺されており(秋田県では2023年から2025年の間に5000頭超)、この上さらに捕殺を強化することは、クマとの共存を不可能にするばかりか、地域的な絶滅をも招きかねません。
●環境省への意見書提出
当協会はガイドライン案に対する環境大臣宛の意見書を自然環境局・堀上局長に提出した後、約1時間、局長や職員の方々に現場を知る者として申し入れを行いました。環境省の皆さんは黙って聞いておられました。
今回の提出には、室谷会長、鈴木北海道支部長、井阪秋田県支部長、東岩手県支部長のほか、東北の貴重な現場の声を届けるべく、岩手県猟友会花巻支部の藤沼支部長、山形の山岳ガイド・八木文明さんも参加。串田誠一参議院議員(熊森顧問)も同行してくださいました。
●東北の猟友会員と山岳ガイドが証言―「山にクマがいない」
狩猟歴50年の岩手県猟友会花巻支部長・藤沼さんは次のように証言しました。
「昨年、岩手で一番クマがいるはずの山を4日かけて縦走したが、見事に痕跡がなかった。一方、里ではたくさんのクマがいて、捕殺された。」
山形で山岳ガイドを務める八木さんも、ガイド仲間に聞いたところ、「昨年は山の中でクマを見る機会が極端に少なかった」という意見が大半だったと語りました。
クマは里に下りてきているが、「増えた」とは考えられない―東北の山を知り尽くした地元の2人の証言は、見事に一致していました。
環境省は、奥山の実態については今後調査を進めると言われていました。
また八木さんは、東北でソーラーパネルや尾根筋の風力発電の開発が次々と進んでいることにも言及。「山の環境の悪化がクマをはじめとした野生動物の行動に影響を与えている。土地所有者と事業者だけで開発が進み、周囲の住民が全く知らないままというのも大きな問題だ」と訴えました。
●罠中心の捕殺一辺倒対応は人身事故の悪循環を生むだけ―生息地再生と被害防除にこそ予算を
当協会が今回、環境省に強く伝えたのは、近年の捕殺のあり方に関する深刻な問題です。
近年、クマの捕殺はほとんどがハチミツや米ヌカなどの強力な誘引物が入った罠によって行われており、山の中にいる問題のないクマまでおびき出して、全て殺処分しています。この方法は、人とクマの境界をあいまいにし、みなしごグマを多発させ、事態をかえって悪化させるという悪循環を生んでいます。猟銃と犬でクマを追いかけていた時代の方が、クマは人里を避け、棲み分けができてうまくいっていました。
地域の安全を守る猟友会支部長という立場から、捕殺が必要な場合にはクマを捕殺もする藤沼さんも「罠にかかったものを全て殺処分し続けていたら、クマはいなくなってしまう。」と、危機感を示します。
罠による個体数調整に頼るのではなく、クマの生息地となる森を豊かにし、被害防除や緩衝帯の整備、犬などの力も借りた追い払いを徹底することこそが、人身事故を防ぐ根本的な対策です。熊森は、こうした取り組みに重点的に人材と予算を割くべきだと訴えました。
環境省は、「さまざまな意見をパブリックコメントで寄せてほしい」と応じました。
パブリックコメント提出はこちらから
【パブリックコメントについて】締め切り:2026年3月17日※郵送の場合は同日消印有効
環境省が現在、特定鳥獣保護・管理計画作成のためのガイドライン(クマ編)令和7年度版(案)に関する意見を募集しています。さらなるの捕殺強化ではなく、棲み分けて共存を望む多くの声を、環境省に届けませんか?
【環境省パブリックコメント募集要項など】
意見提出方法:環境省の意見記入フォーム[e-Gov]または郵送
〒100-8975東京都千代田区霞が関1丁目2番地2号環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護管理室
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