2023/06/01
くまもりNews滋賀県と京都府は隣り合っていますが、クマ対応は真逆です。滋賀県のクマ捕殺数は、毎年ゼロか1頭です。滋賀県(2018年~2022年までのクマ捕殺数計2頭)
一方、京都府はこの5年間を見ても、毎年100頭以上捕殺しています。京都府(2018年~2022年までのクマ捕殺数計622頭)
同じような環境なのに、この違いは、どこからきているのか、ずっと不思議でした。両方の担当部署を訪れてみました。
滋賀県庁 担当者2名。どちらも今春から担当です。
2022年の滋賀県のクマ生息推定数は、【湖北個体群164 頭】、【湖西個体群152 頭】生息数はずっと横ばいで、保護対象動物です。【第一種特定鳥獣保護計画】で保護されています。箱罠やくくり罠に錯誤捕獲されたクマは㈱WMOに依頼して全て放獣しています。昨年度の放獣数は15件だったそうです。滋賀県民はクマに寛容なようでした。イノシシは豚熱で自然減少しており問題なし、シカは年間16000頭捕っているということでした。
京都府庁 担当者は昨年からで、クマとサルを担当しておられました。
令和2年まで京都府もクマは保護対象動物でしたが、クマ生息推定数をベイズ法に変えて㈱WMOに推定してもらったところ爆発的に増加していることになり、令和3年からクマは管理(=捕殺)対象【第二種特定鳥獣管理計画】になりました。2012年の京都府のクマ生息推定数は、標識再捕獲法やヘアトラップ法により、【丹後個体群300 頭】、【丹波個体群200 頭】でしたが、2017年の京都府のクマ生息推定数は、ベイズ法で推定すると、【丹後個体群990 頭】、【丹波個体群650 頭】に激増です。
熊森は、クマが5年間に3倍にも増えたりするのか、クマが爆発増加したのではなく生息数の推定法が変わったから数が増えたように見えるだけではないのかと疑問を提示しました。また、階層ベイズ法による推定は、クマの捕獲数が増えれば増えるほど推定生息数が大きくなり過大推定となるため、他府県では使わなくなってきていることもお伝えしました。
熊森としては、京都府の延々と続く放置人工林の中は真っ暗なまま、ブナはこの10年ほとんど実っていないし、ミズナラはほとんど枯れてしまっている。生息環境がどんどん劣化して餌がなくなったらクマが爆発増加するというのはミステリーではないかと訴えましたが、担当者は山を見ていないということでした。また、担当者は、お隣の滋賀県ではクマの捕殺が毎年ほぼゼロのことをご存じなかったそうです。京都府のクマ生息推定数が突然増えたことに対しても何の疑問も持っておられませんでした。
京都府は、クマの生息数を減らすために予察駆除をかなり進めており、子グマまで殺していました。予察駆除というのは、ヌカを入れた箱罠を山裾にセットしておき、罠にかかったら将来被害を及ぼすかもしれないからあらかじめ殺しておこうという殺し方です。害獣としてしかクマを見ていないことがわかりました。熊森としては、山からクマの大好物であるヌカでクマをおびき出しておいて殺すなど人として卑怯ではないかと大抗議しましたが、担当者はこのような予察駆除に何の疑問も持たれていないようでした。野生動物の命をいったい何と思っているのか、熊森の怒りは収まりませんでした。京都府は野生動物の捕殺事業に年3億円も使っているということでした。(令和3年)
京都府庁のクマ対応改善はすぐにはできそうになく、いくつか申し入れをして、また来ますと言って今回は帰りました。まず、生息数を推定した㈱WMOから推定過程がわかるものを取り寄せてもらうことにしました。
熊森本部もがんばりますが、自分たちの税金がこのようなおかしな使い方をされていることを知って、クマたちのために声を上げようという方が、京都府民の中からも出ていただきたいです。熊森本部までご連絡ください。府民がこういう問題に声を上げないと京都府は変わりません。
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