2024/11/16
くまもりNews上の文は、東洋経済オンライン2024/06/24に掲載された河野博子さんというジャーナリストが書かれた文です。ネットで全文読めます。東洋経済オンラインさん、このようなすばらしい文を掲載してくださり、ありがとうございます。
釧路湿原のメガソーラーラッシュについては、熊森も大変胸を痛めています。くまもり北海道支部は、今年の9月15日、現地視察のツアーを組みました。しかし、欧米の自然保護団体と比べるとまだまだ当協会の規模が小さすぎて、実践自然保護団体ではありますが、水源の森の保全・再生活動で手がいっぱい。残念ながら釧路湿原保全実践活動にまでとても手が回らないというのが現状です。
しかし、河野さんの文により、メガソーラーがこれ以上広がらないように釧路湿原を守ろうと土地買収(ナショナル・トラスト)運動を展開してくださっている地元団体NPO法人・トラストサルン釧路(サルンはアイヌ民族の言葉で湿原を表す)という団体があることを知りました。うれしいです。トラストサルン釧路に感謝でいっぱいです。
トラストサルン釧路は、土地を購入し管理する活動に取り組み、これまでに主に湿原の南部で59カ所、約607ヘクタールの土地を取得したとのことです。(釧路湿原の1/40)
釧路湿原は、北海道釧路市に広がる日本最大の湿原で、東西 25km、南北 36km、面積は約2万8000ヘクタール。東京ドーム約6000個分に相当する広大な湿原は、約1万年前の地形変化によって形成され、キタサンショウウオや湿原の象徴とも呼べるタンチョウといった希少な生物が生息する貴重な自然環境です。
湿原に依存する生物の保護や開発からの保護を目的として、1980年、釧路湿原は日本で初めて中心部の7863haがラムサール条約登録湿地としてラムサール条約に登録され、国際的に保護の重要性が認められた場所です。湿原の中央部やわずかな丘陵地が、1987年に国立公園に指定されましたが、行政に聞くと、国立公園内でも環境省の許可でメガソーラーが設置されているとのことです。
釧路湿原メガソーラー 毎日新聞より
熊森が調べると、夏のパネルの表面温度70度、積雪時の発電量はゼロ。設備利用率わずか15%でした。…役に立つ???雷が落ちたり火災になったりしたら、パネルの中から有毒物質が流れ出て水や大地を汚染するかもしれない。そうなれば、もう取り返しがつかない。
南部湿原一帯には、環境省のレッドリストで絶滅危惧種のキタサンショウウオ、タンチョウ、猛禽類のチュウヒの生息が確認されており、キタサンショウウオは釧路市指定、タンチョウは国指定の天然記念物。チュウヒは激減しており、全国で「135つがい」(日本野鳥の会による推定繁殖つがい数)しかいないとのことです。
南部湿原にあるメガソーラー。(撮影:河野博子)
発電所ができる前、この付近では、タンチョウの営巣やチュウヒの繁殖が確認された
熊森から
太陽光発電施設は現在、建築基準法上の建物にあてはまらないため、開発が抑制されている市街化調整区域でも設置できます。
釧路湿原に太陽光パネルが次々と設置されていくのに、止めることのできない国や自治体って何のためにあるのでしょうか。
かつて原野商法で釧路湿原に土地を買ったものの手放したい人々が多くいるそうですが、行政はそういう土地を受け取ると管理コストと管理責任が半永久的に続いていくから困るとして、受け取りを断っているそうです。
釧路市には、2023年7月に施行された「自然と共生する太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」がありますが、2014年6月には96施設だった市内の太陽光発電施設が、2023年12月には631施設と6.6倍に増えているそうで、条例に格上げしないと太陽光発電施設の建設ラッシュが止まらないもようです。
市長さんと市議会議員のみなさん、条例化を急いでください。お願いします。条例には効果があります。利益追求しか考えていない外資や道外の事業者から、釧路湿原を守ってください。
国は、再エネ事業による自然破壊を止めるために、法規制を急いでください。
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