お知らせ

2025/09/19

くまもりNews
衝撃!白山からもクマの痕跡が消えた
ced23415792fe68805a6feefd3bd5d09-1758274862.png

2025年 石川県白山

日本熊森協会の顧問研究者のおひとりである主原憲司先生から、石川県白山(2702m)の調査報告を受けました。以下にあらましをまとめます。

65年間にわたり白山に通い続けてこられた主原先生は、202596日にクマたちの生息域である白山中腹部を訪れ、信じがたい光景をご覧になりました。例年であればクリやミズキの豊作年には必ず見られるクマ棚(クマが木に登って実を食べた痕跡)が、皆無に近かったのです。まるで神隠しにあったかのようにクマたちの痕跡がない。こんなに実がなっているというのに、クマたちは一体どこへ行ってしまったのでしょうか。初めて見る光景に、先生はショックを受けられました。

山の実り調査結果

ブナ:大凶作
春に花が少なく、実は当然不作でした。林内のクマの痕跡も、皆無でした。
石川県庁も9月にブナ大凶作を発表しています。

ミズナラ:実質上凶作
7
月時点では豊作でしたが、※ハイイロチョッキリという暖温帯の昆虫が2025年には冷温帯のミズナラ林にまで上がってきて大繁殖。9割の実が落とされており、実質上はミズナラ凶作です。

ハイイロチョッキリに落とされたミズナラのドングリと果枝

落とされたミズナラ

※親虫は8月中旬~9月上旬にかけて、まだ青い未熟のドングリに穴を開けて卵を産み、葉付き果枝を落とします。1匹のメスが切り落とせる枝は約38本で、卵からかえった幼虫は親虫が枯死させた種子に感染させた酵母菌の菌糸を食べて成長し、10月に地面に潜ります。翌年5月に蛹化、6月に成虫となり地面から出て来て、産卵期までドングリの木の若葉を食べて過ごします。
(注)酵母菌に感染されたドングリの実は、もはやクマの食料にはなりません!

ハイイロチョッキリ

また、2000年代に大量発生した暖温帯のカシノナガキクイムシの冷温帯移動によるナラ枯れが再び拡大していました。第一次被害では太いミズナラの90%、コナラの30%が枯死しました。今、枯れなかった当時の若木が成長して枯れだし、ナラ枯れ第2波が起きています。

2025年  第二波ナラ枯れ 谷峠

クリ・ミズキ:豊作
今年はクリとミズキが大豊作でした。しかし豊作年には必ず付いていた大量のクマ棚が、見当たりません。やっと1本のクマノミズキでクマ棚を確認できただけでした。これほど実がありながらクマが来ていないのは初めてです。初の大異変!

クリ豊作だが、クマ棚なし

ミズキ豊作だが、クマ棚無し

オニグルミ:不作
5
月時点では豊作予測でしたが9月に調べると不作。昨年は並作以下にもかかわらず、クマ棚でいっぱいでしたが、今年のクマ棚はゼロでした。

ヤブデマリ:不作
ゴマギ・ガマズミ:並作~豊作

昆虫
温暖化の影響で多くの昆虫が激減していますが、不完全変態種のカメムシ・バッタ類は例外です。ブナ林にはクマの好物であるフキバッタ、亜高山帯の草地にはハネナガイナゴやミヤマフキバッタが多数発生していました。
しかし、これらの環境でもクマの痕跡は確認できませんでした。


クマ大好物ミヤマフキバッタ


兵庫県や京都府の奥山からはすでにクマは消えている
戦後大規模に造成し過ぎた人工林の内部が大荒廃しています。2000年代からは急激な地球温暖化によって広範囲にわたるナラ枯れが広がり、奥山森林生態系の下層植生や昆虫の消滅によって、近年、兵庫県や京都府では残された自然林内にもクマの餌はありません。
かつてクマたちが生息していた山では、新しい爪痕や糞などクマの痕跡が消え、トレイルカメラを設置してもクマが写ることはほとんどなくなっています。
動物の行動原理は餌ですから、現在の状況はクマが生息域を拡大したのではなく、生息域を移動せざるを得なくなった結果です。この事実を国民のみなさんに知っておいていただきたいです。


白山でも山からクマが消えた
豊かな森が残る白山には、推定約1000頭のクマが生息しているとされてきました。(クマの正確な生息推定数を出す手法は未確立のため、精度は全く不明)。
白山のクマたちは、下の集落へ?高標高地へ?それとも――
白山の中腹からクマの痕跡が消えた訳を、私たちは解明していかねばなりません。

お知らせ一覧に戻る

ページトップに戻る