2025/11/18
要望・提案パッケージでは、
「人の生活圏からクマを排除するとともに、周辺地域等において捕獲等を強化することで、増えすぎたクマの個体数の削減・管理の徹底を図り、人とクマのすみ分けを実現する。
として、さらなる捕獲強化が全面に出された内容になっています。
▼詳細はこちらから
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kumahigai_taisaku/pdf/countermeasure_summary.pdf
熊森から
人身事故を防ぐという観点からの対策パッケージですが、誤った現状認識から、本当に必要な対策に重点をおけていないものになっています。
🔴 クマ人身事故被害者に見舞金が必要
今年のクマによる人身被害は、想像を超える惨状ともいえるものです。私たちは被害を受けられたみなさんに、人一倍胸を痛めています。災害とも言われるほどの惨事になったのは、国土利用政策の失敗から来たものでもありますので、国は人身事故被害者に見舞金などの臨時予算を至急組んでください。
🔴クマは増えたのではなく、奥山から里近くに移動し定着しつつあるのが実態
確かに今年の状況を見ていると、一見クマが山の中で増え過ぎてあふれ出してきたように見えますが、現象だけをそのように判断するのは早計です。奥羽山脈のいくつかのビジターセンターなどにも問い合わせましたが、クマが増え過ぎたという事実はないとのことです。
当協会の長年の現場調査から、放置人工林、急激な地球温暖化、ナラ枯れ、昆虫激減、再エネ開発等でクマの本来の生息地である奥山の深刻な餌源劣化が起きていることが明らかになっています。さらに、過疎と高齢化による集落の衰退により、クマが奥山から移動して里周辺に定着するようになり、人とクマの距離が極めて近くなってしまっていることが事故多発の背景にあります。
大日本猟友会も、生息数増加ではなく、奥山にあった本来のクマ生息地の餌場の喪失と環境破壊問題を指摘しています。
森が豊かになったからクマ数が増えたという説があります。かつて人が過剰利用してはげ山になっていた里山が放置されたことによって森に還ったのであって、そのことによって今、クマは里山に移動してきたのです。しかし、クマたちの本来の生息地は広大な奥山であることを忘れてはなりません。私たちは奥山が大荒廃しているのが問題だと主張し続けているのです。
クマは日本文明を支える水源の森の生態系に欠かせない重要な動物ですが、人間より力の強い動物でもある故、祖先がしていたように人間とクマは完全に棲み分けて、クマは奥山に生息してもらう必要があります。そのために、奥山天然林の再生と奥山聖域化を、国家プロジェクトとして国を挙げて早急に取り組むべきなのです。

🔴本当に必要な緊急対策は人とクマの間にしっかりとした距離をつくること
奥山に棲めなくなったクマと人との距離が近づきすぎていることが事故多発の原因であれば、最も必要かつ有効な対策は、誘引物除去・被害防除・追い払いにより、人とクマとの間に距離をつくり、クマを集落に入れないことです。もちろん、奥山にはクマたちの餌が必要です。

🔴現場の知恵を集めて棲みわけて共存をめざす
石川県小松市や長野県箕輪町などは、被害防除と餌場再生に重点をおくことで成果をあげています。にもかかわらず、今の捕殺最優先のままの政策では、本当に必要な対策に人員や予算を注力できず、残念です。
捕殺だけでは解決しないという指摘は、私たち自然保護団体だけでなく、猟友会を初め、山や生き物をよく知る方々からも多く出るようになってきました。クマ対策パッケージの検討は今後も続くようですので、引き続き、捕殺中心から、被害防除と奥山餌場再生、棲み分けに重点を移して、何よりも人身事故や犬の事故を減らし、徹底した棲み分け共存を取り戻す対策へ方向転換するよう訴え続けていきます。
12月7日午後に兵庫県神戸市で、今、日本の森で何が起こっていて、本当に必要な対策は何かを語ることができる専門家や猟友会支部長にご参加いただき、熊森主催でシンポジウムを開催します。オンライン中継もしますので、ぜひ、ご参加ください。
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